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予備校講師が見た合格する生徒・ダメな生徒 赤名完治 勉強の仕方に凝るヤツ、 予習に時間をかけるヤツなど 落ちる生徒のパターンを講師がズバリ告発! 予備校のウラ話もいっぱい 巻末付録 書き込み式・受験計画マニュアル 予備校生よ、もっと発想を変えて合格できる生徒になれ ・こんな生徒は落ちる、こんな生徒が合格る ・こんな勉強では落ちる、こうすれば合格る ・上手な勉強法=合格する生徒の発想法はここが違う ・ダメな生徒のための科目別とっておきの勉強法 ・興味シンシン・予備校講師のウラ話 ・失敗しない受験作戦・キミの頭は固い、もっと柔くして大学を選べ ―など予備校講師が教える必勝受験術

☆まえがき―灰色の受験生活の中から、彩やかな夢の輪郭が見えてくる 人間になりはじめのころは誰でも夢を持っている。夢がふつう目覚める前の夜に見られるもの ならば、その夢は人間として生まれてくる前の世界でインプットされたものかもしれない。 小学生のころ、友人関係の少なかった私を、いつも自宅によんでくれ、遊んでくれた親友がい た。二人の夢は宇宙飛行士になることだった。趣味が天文観測の彼はまた、タイムマシンの作り 方について熱っぽく語ってくれた。宇宙戦争のときの地球防衛システムの絵を二人で合作して、 学校の宿題で出したこともある。 その彼は小学校が終わらないうちに転校していった。その後、私はそんな子どもっぽい夢は非 現実のものとして忘れてしまった、しかし、〝詩人〝になったらしい。コミケットのマンガ同人 誌で、私の詩がマンガ化されているのを、生徒から見せられたときはびっくりした。 そころが、ある朝、新聞に〝日本人宇宙飛行士決定〝の記事を見たときはもっと驚いた。本当 にあのD君の写真も出ていた。夢は忘れはてなければ、必ずそのうち実現する、とは最近の私も 思うことだが。 転校したD君とは、大学の合格発表があったとき、同じ大学の別の学部に合格した彼から連絡 があり、久しぶりに会った。それからまたしばらく音沙汰がなかったが、お互いにもう別の道を 歩んでいたからね。数年前にNASAから年賀状をいただいた。それには〝プラズマエンジンの 開発をしている〝とあった。


「さすがアメリカ。人間の夢を実現するシステムがある」とそのとき思った。 まだD君は宇宙に飛んでいないが、いま彼はもっと大きな夢を実現させようとしている。 夢は捨てるな、持ちつづけろ、が私が彼から学んだことだ。そして予備校もそんな夢を実現さ せるもうひとつのエンジンなのだ。 知恵の実を食べてしまったから、おう人類はエデンに帰れない。神=自然に反抗して、知恵は 人類に反自然の道を歩ませる。そして知恵は、開けられてしまったパンドラの箱のように、再び 封印したとしても無駄な、取り返しのつかない自己進化の特性を持っている。それなら行けると ころまで行ってみよう。 受験勉強はつらいかもしれない。しかしこの数年間が、一生を闘い抜く基盤をつくってくれる。 あらゆるスポーツの基礎が走り込みであるように、〝灰色の受験生活〝の中から、彩やかな夢の 輪郭が少しずつ見えはじめる。

・まえがき―灰色の受験生活の中から、彩やかな夢の輪郭が見えてくる。 PART1 こんな生徒は落ちる、こんな生徒が合格る ・やれば出来ると思っているキミは永遠に出来ない 12 ・暗記に弱いからと、覚えることを後回しにする受験生は落ちる 14 ・ 「塾・予備校に行かなくていい」 教師のタテマエにだまされるヤツが悪い 16 ・ 「予習にじっくり時間をかける良い生徒」は受験に勝てない 18 ・クラブ活動に入って青春しようと思っているキミ、いい加減な気持は捨てろ 20 ・頭のいいヤツより悪いヤツが合格する秘密 22 ・勉強の仕方に凝るヤツは落ちる 24 ・大失敗するダメな生徒のすべり止め作戦 26 ・スランプになれるヤツが受験に勝つ 28 ・よく質問する受験生は必ず合格するわけでもない 30 ・模試データの読めないヤツは必ず落ちる 32 ・心の壁が越えられないから落ちる 34 ・挫折できない受験生は合格もできない 36 ・たった2週間の勉強で大学に受かった生徒の話 38 PART2 こんな勉強では落ちる、こうすれば合格る ・ 「赤本に手を出すのはまだ早い」 そう思い込んでいるキミ、落ちるぞ‼ 42 ・偏差値 35 から半年以内に青学に合格‼こんな生徒もいた 45 ・中間・期末考査で受験勉強を中断する生徒がいる 48 ・偏差値 55 以下の大学・短大を狙う生徒は


大学受験用の参考書をやるな 52 ・現役受験生は秋に偏差値が急落する 54 ・国語と小論文の違いがわからなければ落ちる 56 ・学校と受験勉強が両立できる時間割 58 ・目標あって計画なし、は必ず落ちる 60 ・試験時の時間配分をまちがえると落ちる 62 ・あとで答えを直すとまちがうのはなぜか 64 ・テクニックを軽視すると落ちるぞ 66 PART3 上手な勉強法=合格する生徒の発想法はここが違う ・忘れてしまったことは実は覚えている。忘れることが難しい 70 ・予習はするな、復習をしろ 72 ・寝る直前には頭を休めるな 74 ・速読の仕方(テクニック編)を知っていれば有利だ 76 ・速読の仕方(生理編)のポイントはキーワードにある 78 ・受験勉強はカラダ全体でやるものだ 80 ・勉強しはじめると成績が下がる、成果は3ヶ月後だ 82 ・学習できるというのは人間として生まれた特権だ 84 ・受験勉強でキレイになる、いつでも若々しくスマートでいられる 86 ・集中できない人のための勉強法 88 ・受験校によって異なる模試試験の受け方 90 ・小学5年生からの東大現役合格のためのちょっと変わった参考書作戦 92 ・限界だと持ったときがチャンス‼ 96 ・油断して遊ぶヤツが悪い 98 ・もう誰も叱ってくれない‼優しい良い親や教師が増えている 100 ・大学受験で合格できるかどうかは高1のときに決まる 102 ・集中力のない人のためのカード利用術 104 ・友情や恋と受験は両立するか、良いカップル、ダメなカップル 106 ・実は一流大学ほど合格しやすい 108 ・模試試験を受けろ‼そしてちゃんと復習せよ 110 ・受験勉強は教科書や参考書だけで学ぶものではない 112 PART4 ダメな生徒のための貨物別とっておきの勉強法 ・英語の発音問題が不得意なキミに 116 ・キミの日本語は国語の成績にはつながらない、なぜだ‼ ・小論文は誰だって書ける(作文編) 120 ・小論文は誰だって書ける(初級編) 122

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・英会話が出来ても受験英語には役に立たない 124 ・困ったときの実用小論文テクニック 126 ・日本語(国語)を軽視すると上位校に浮かれない 128 ・受験数学の賢い勉強の仕方 132 ・体験的数学勉強法を公開 134 PART5 興味シンシン・予備校講師のウラ話 ・バブル崩壊後の予備校講師のギャラはどうなっているか 138 ・予備校講師にになる法 140 ・受験生を落とすチューターや講師の微妙な関係 142 ・良い講師・悪い講師の見分け方 144 ・涙、涙のパフォーマンス講師 146 PART6 失敗しない受験作戦・ キミの頭は固い、もっと柔くして大学を選べ ・学歴取得のためなら裏ワザもある 148 ・進学に有利な高校の頭のいい見つけ方 150 ・良い予備校、悪い予備校の見分け方 152 ・専門塾・個人塾の活用を誤ると失敗する 154 ・受験大学の見かけの偏差値にだまされるな 156 ・いま大きな変革の時、大学も〝人気で選ぶな、やる気で選べ〝 158 ・見えない革命がキミに見えているか 160 ・キミたちはどのような進学・進路を選ぶべきか 162 ・〝人生到るところに青山あり〝国際化時代の進学作戦 164 ・英語ではもう食べていけない 166 ・受験生にとって男女は平等か 168 ・こんな予備校に行くと落とされる 170 ・推薦入試の時代の併願作戦 172 巻末付録 書き込み式・受験計画マニュアル 176 ・自己分析シート ・志望校選定シート ・進路検討シート ・週間学習スケジュール ・年間学習スケジュール ・あとがき―予備校講師入門


生徒「あいつ、バカのひとつ覚えで英単語ばかりやってる。 英語の発音ムチャ悪いし。考える頭ないんだったら受験なんかやめてしまえばいいのに。 」 声「たいてい、こういわれた生徒の方が合格る。 」 PART1 こんな生徒は落ちる、こんな生徒が合格る ◆やれば出来ると思っているキミは永遠に出来ない 試験で悪い結果をもらったあとで、よく「今日はやらなかったから」という人がいる。あるい は「やれば出来るのにどうしてやらないの」と言われ続けている人もいる。 実は「やれば出来る」と言われている人は、 「もしやっても出来なかったらどうするんだ。もう おしまいじゃないか」と不安がり、やらないでいるうちは、いつまでも「やれば出来る」のだか ら、と自分で自分をだまし続けて安心している。そう、だからキミは永遠に出来ないわけだ。そ れならいっそ「もうおしまい」からスタートしてはどうだろう。どんな天才・秀才でも赤ん坊で 生まれた。みんなゼロから出発した。出来なくってもいいからやってみる。もちろん本当に出来 ないように見えるかもしれない。けれど、本人も気がつかない無意識の奥の方で実力は着実につ いていくものだ。それに気づかないでいるのは実は本人だけなのかもしれない。試験の結果にも、 すぐには跳ね返ってこないかもしれない。 でも良いことも悪いことも、やったことはいつまでも着実に積み重ねられ、出てくるチャンス を待っている。 そのときのためにやり続けること。途中でやめてしまったことは結果として現れない。 やっても出来なかったことはよいことだ。なぜならやったことが必ず奥の方に積み重なってい るから。むしろやらなくて出来た人の方が問題だ。実力が向上するせっかくのチャンスをふいに したのだから。 まちがった答えは書いてはいけないといわれて、いつも空白の予習答案を提出する生徒がいた。 逆に一所懸命に書いたが、全部まちがう生徒もいた。その日の授業を聞いて理解できたのは、実 は全部まちがった生徒だった。事前に一所懸命に考えたので、理解しやすかったからだ。

◆暗記に弱いからと、覚えることを後回しにする受験生は落ちる 暗記の仕方はよくペンキ塗りにたとえられる。例えば塀を一度に塗ってしまおうとして濃いペ ンキをザッと塗ってしまう。ところが乾くとパリパリはがれ落ちてしまう。これは一夜漬けの勉 強と同じ。 きちんとペンキを塗りたければ、むしろ薄いペンキを何回かに分けて重ね塗りする。そうする と乾いたあともきれいに塗られたままになる。 つまり、知識事項の暗記は、本番の受験までに何回かは繰り返して覚えられるようにしておか ないといけない。だいたい受験のための知識は一カ月やそこらで覚えきれるものではない。 たとえば英単語を 6000 語覚えるのだって、毎日 10 語ずつやっていっても2年間かかる。もち ろんその間にせっかく覚えた単語も薄らいでいくから、やはり繰り返して覚え直して定着させ、


いつでも使える知識にしておかなければならない。英単語、英文法・・・と、英語だけとっても、 早め早めにやり始めていないととても間に合わない。 ところが、知識より理解が大切だから、と言い訳をして暗記をおろそかにする人がいる。理解 を家の設計図、そして知識を家の材料にたとえよう。確かに設計図は大切だが材料の知識がない ままで家をつくったら、たぶん強度不足でその家は崩壊する。 ちゃんとした知識もなしに作られた設計図のビルは空想のビルだ。決してそのまま建築しては いけない。 実は知識の複合したものが理解の単位だ。それをさらに組み立てて理解の体系が出来上がる。 しっかりした体系がいったん組み上がってしまえば、次からはそのイメージ)設計図)があちら こちらに応用できる。 だから知識も理解もともに大切なのだが、知識は勉強の初歩からすぐ覚えはじめられる。何も わからないときは、とにかく丸暗記でいいから単語一つでも、公式一つでも覚えておこう。理解 が深まるにつれ、あとからその知識が活かされるようになる。ああ、あれはこういう意味だった のかと、ひらめくもとになる。勉強法に悩んでいる暇があったら、一つでも覚えよう。 ◆「塾・予備校に行かなくてもいい」教師のタテマエにだまされるヤツが悪い 東大合格者数では定評のある私立の三年生で、校内成績もトップクラスなのに、偏差値は 40 以下という受験生がいた。夏休み明けに受けた模試試験の結果だ。それで親子とも真っ青になっ てしまったというわけだ。担任からは、予備校に行かなくてもいい、うちの学校では外の世話に ならなくても一流校に合格しているのだからと説得されて、それまで模試試験すらろくに受けて いなかったのだという。 でもね、ある意味では競争相手である予備校に行くようにすすめる学校はあまりない。実はあ る大手予備校の在籍現役生のリストに、その私立の生徒が多数載っていたのだった。しかもその 私立の時間割は、他校と比べて、予備校に通学しやすいようになっているのだ。 だとすると、教師のタテマエにだまされる方が悪いのではないだろうか。ホンネは、自分自身 で進学情報を手に入れて活用しろ、他校の利用の仕方を自分に聞かれても推薦できっこない、と いうことではないか。 学校は本当の学力をつけるところだ。塾・予備校は合格する学力をつけるところだ。目的が違 う。なのに、学校に両方を求めるほうがムシが良すぎることなのだ。 ところで最近、バブル崩壊のあおりで私立高校へ進学しにくい状況がある。私立に行きながら 予備校にも金を払い続けることは出来ない。それならということで、公立の人気も復活する気配 がある。そのため私立の中には対応など(受験指導のノウハウ etc)もまだなのに、急遽見せかけ の受験カリキュラムを組んでみたり、受験対策ゼミを設けたりして、予備校に行かなくても学校 だけでやっていけると説明するところも出てきている。あるいは指定校もほとんどないのに、ク ラブ活動、中間・期末試験などだけをガンバってやっておけば、内申が良くなる、そうすれば推 薦がとれると指導しているところもある。 今、目の前にある情報の見極めから、すでにキミの受験は始まっているのだ。


◆「予習にじっくり時間をかける良い生徒」は受験に勝てない じっくり考えれば、いろんな参考書・辞書を見れば、たいていの問題は解ける。しかし、入試 問題には制限時間がある。もちろん資料も参考に出来ない。 予習にじっくり時間をかけて、正しい答えをつくってくる人がいる。一学期の頃はそれでもい いかもしれない。けれど、受験の半年くらい前からは、制限時間の中でだけ問題を解くようにす る。いや、制限時間より十分(1割~2割)早く解けるように練習することだ。時間をかけて満 点を取れたって実践には役立たない。時は点なり、時は受験の能力なり、である。 なお、制限時間内に解くようにというと、わからないところは空所のままにする人がいる。そ れでは練習にならない。必ず、テキトーでいいから語句を入れること、記号をチェックすること。 それでもわからなければ、本分の少しでも答えらしいところをそのまま抜き出して、空所を埋め ること。 そのテキトーさが大切だ。気を楽にして、習うより慣れろ、でやってみよう。だんだん正答に 近づいていくから、テキトーが適当に、文字どおり適切な正答に近づいていくから面白い。 何も書かなければ、絶対にそこはゼロ点だ。潔さをモットーとする人でも、潔く不合格になる のは、やはりくやしいだろう。 世阿弥の『花伝書』に、有名な「初心忘れるべからず」という言葉がある。よく誤解されてい るが、これはフレッシュな気持ちを忘れるな、というのとは少し違う。ついでに言うと、 「忘るる べからず」ではない。 「べし」は終止形接続だから、 「忘るべからず」だ。 初心というのは、誰でも何か始めた頃は未熟でうまくいかない。他人から見ても自分から見て も醜い、カッコ悪い、このままダメになってしまうんじゃないかと不安になる。このときの状態 が初心だ。でも、誰でもそういう時を経験して生きてきている。最初は誰だってうまくいかない 方が普通だ。それでも死なずにやってきているじゃないか。日本人なら、いつの間にか日本語で 会話が出来てるじゃないか。いつだって今が赤ん坊、今が初心だって思うこと。必ず乗り越える ことが出来る。死なないでいれば、努力さえ中断しなければ。 ◆クラブ活動に入って青春しようと思っているキミ、いい加減な気持は捨てろ 運動部に入って青春しようと思っているキミ。クラブ活動はそんなに甘いものではない。特に 運動部でガンバっていう先輩は、キミが予備校だのデートだの他の習い事だのと言って早退しよ うとしても決して許してくれない。そんな浮気な後輩はいらない。運動部はそんないい加減な部 員は欲しくない。 たとえば、キミが受験勉強のために体力をつけるなんて目的を持って入部したとしよう。それ はクラブ活動を受験勉強の単なる手段としていることになる。まじめにガンバっている先輩がそ んな部員を許してくれるだろうか。どうしても体力をつけたいのなら、自分で費用をちゃんと払 ってスポーツセンターなどに通った方がいい。それでは受験のためにクラブ活動をやっている先 輩がいる運動部はどうだろう。しかし部活でスポーツ推薦をとるためにはせめて全国大会レベル の試合で準優勝ぐらいはする必要がある。しかもクラブ活動はたいていチームワーク、全員の自 己犠牲的一致があってはじめてうまくいく。そのスポーツがそんなに好きならそれは犠牲でも何 でもないだろうが、そうでもない人にとっては自分の受験勉強を犠牲にしているように感じられ ることがある。


そう感じたとしたら、やはり悪いのはいい加減な気持ちで入部したキミの方だろう。だからと いって途中退部は先輩が許してくれない。それどころか、推薦入試を受けるつもりなら、内申に あまりいい影響はないだろう。 ピアニストになろう、デザイナーになろう、スポーツ選手になろうという夢は途中であきらめ たらダメだ。逆に言うと、途中で気持ちがぐらつくようなら、最初から趣味程度で出来る、途中 でまわりにも迷惑をかけなくてもすむやり方でやっていた方がいい。 ◆頭のいいヤツより悪いヤツが合格する秘密 それは合否は総合点で決まるからだ。 たとえば国語の問題で、文法・文学史・漢字といった知識問題が四割、読解問題が六割とする。 頭の悪いヤツはカメさんのように地道に漢字などを覚えていく。一方頭のいいヤツはウサギさん で、知識問題は怠けてやらなくても難しい読解問題で点が取れてしまうので安心してしまう。 ところが実際は、知識問題はやらないと零点に近いが、読解問題は出来る人も満点は取りにく く、出来ない人も零点にはなりにくい。 これは極端な例だが、このように入試問題では、意外なことに、地道に努力するヤツが勝てる。 きどって頭のいいヤツになるよりは、わざと頭の悪いヤツになろう。もちろん、キミが本当に 頭の悪いヤツだったら幸いだ。脇見をせずに一直線に合格コースを進んでいけるからだ。 コラム1 「どうやったら東大に入れるんですか」この手の質問は最近よく聞く。 「それは東大に入るためには何を勉強しておけばいいのか、何が出題されるのか調べる。そして 必要な漢字・公式・単語・問題集・参考書をそろえて、それをやり終えるにはどうすればいいの か、逆算してスケジュールをつくる。あとは毎日実行していくだけで確実に東大に入れる。ただ し高1の夏休みに50前後の偏差値がある人の場合だ。そうでなかったら、不足の分は1浪なり 2浪なりして補えばいい」 こう答えている。要は計画性にあるということだ。 ◆勉強の仕方に凝るヤツは落ちる もしもキミが勉強の仕方に悩んでいて、いつも、もっといい勉強方法はないか考えているとし よう。それだけでもう十分だ。それ以上勉強の仕方に凝ると、勉強の仕方のプロにはなれるが、 勉強そのもののプロにはなれない。 以前、予備校の講師室に毎週新しい勉強の仕方を質問に来た受験生がいた。彼はなかなか勉強 に身が入らず、きっとまわりの人は楽々合格できる秘訣を知っていて、自分だけ不利な勉強をし ていると思っていた。 それで、ある講師に勉強法を聞き、また別の講師に勉強法を聞き、いい参考書を教えてもらい、 また別の参考書を教えてもらいして、結局、何も勉強そのものはしないまま、その年を終わって しまった。 勉強はあれこれ心配するよりも、毎日やるほうがいい。 勉強の仕方を気にする人がいるが、どんなやり方でも継続してやるほうが、賢いやり方で中断


しながらやるよりもいい。時間がないと気にする人がいるが、時間があってのんびりするよりも、 途切れ途切れでも短時間でも集中してやったほうがいい。もう年だから、いまさらはじめても先 に進んでいる人には勝てっこないと気にする人がいるが、先に進んで安心するよりも、あとから 頑張って追いかけるほうがいい。 江戸時代の代表的な学者が、 『初山踏』にこのように書いている(若干脚色したので原文を読み たい人は岩波文庫を参照) 。これは彼の実体験から出た言葉だ。あれこれ心配するよりも、そんな 暇があったらその間に漢字・単語・公式など、一つでも二つでも覚えたほうがいい。1年365 日、毎日 3 年間覚え続けた「バカな人」の方が、あれこれ勉強法を考え続けた「お利口さん」よ り、受験には確実に勝利する。 ◆大失敗するダメな生徒のすべり止め作戦 自分は偏差値60以上を目標とするから50以下をすべり止めにしよう、と考えると失敗しや すい。なぜなら両者は出題範囲がかなり違っていて、たとえば60以上ではほとんど出題されな い中学校の復習問題だが、50以下では大学だったりする。しかも八割出来て当たり前だから、 たとえ偏差値70以上には合格しても、50以下は不合格だったりする。たかが低学年の復習と いっても、キミが有名中学の入試問題をいきなり解いてみることを考えてみるとよい。まず大学 は忘れていたりして、合格点はとれない。 また、60以上を目標としているからといって50以下をすべり止めに考えるのもかなり危険 だ。たとえば国語では、中堅校では古典が出題されないことが多いが、すべり止めになるはずの 学校では漢文まで出題範囲であったりする。単純に偏差値だけで併願作戦を立てると大失敗する。 また、第一志望は四年制大学で、第二志望は短大で、それがダメなら専門学校で、などと考え る受験生がいるが、まともな専門学校ならそういう生徒はとりたがらない。だから、年内なら評 定平均値が 3.0 以下でもよかったところが、すべて失敗したあとに受験する頃には 4.0 以上を要 求するようになっていたりする。 とにかく偏差値だけで進学先を考えるのはいけないということだ。だいたい教職員レベルは学 校の偏差値にはあまり関係ない。むしろ、自由な進取の精神があって、学問するためにはより有 利であることもある。少なくとも、学問するために進学する人にとっては、その学校の偏差値は あまり関係ない。 ◆スランプになれるヤツが受験に勝つ 学習曲線というのがある。君たちが一所懸命勉強をしていると、実力は着実についていく。しか し、成績の方はそうはいかない。階段状に変化していく。 たとえば5月から6月の間に、ほとんどまだ勉強をしていないのに、成績の方は急上昇してい る。ところが6月から9月の間は、もう何ヵ月も勉強しているのに、成績は変化なし。 このことを知らないと、成績が急上昇した人は、 「自分は天才なんだ、勉強なんかしなくても大 丈夫だ」なんて思って怠けるようになり、成績が上がらない人は、 「自分はバカだ。いくら勉強し たってダメなんだ」と思ってあきらめる。こういう間違いをしでかしやすい。 小学生の頃はよく出来たが最近は全然ダメだ、という人は、どこかで勉強を怠けていなかった だろうか。いくら勉強しても成績が上がらないという人、実力はちゃんとついている。だから、


あきらめるな。 勉強しても成績が上がらない階段の平らな部分をプラトーといい、一般にはスランプとして知 られている。スランプとは、 「いくら勉強しても」成績が目に見えて上がっていない期間のこと。 この期間はふつう数ヵ月。一所懸命勉強をし続けて、実力がついている人なら、必ずこの帰還 を経験するはず。勉強をやめた人、していない人にはスランプはない。 ◆よく質問する受験生は必ず合格するわけでもない よく質問する生徒は必ず合格する、とよく言われている。そのとおりだが、そうではない場合 がある。 本当に初歩的でバカにされるんじゃないかと思われることを真面目に質問する。これはいい。 もちろん高度なことを質問するのもいいことだ。 ダメなのは授業中にくりかえし教えたことを聞き逃して、質問してくる生徒。それから参考書や 問題集の問題の解き方について、解説も読まないで質問してくる生徒。結局、解説と同じような 説明を講師から聞くことになる。 これは講師にとって二度手間になるというよりも、生徒自身にとってよくない。 そんなことばかりしていると、いつまでたっても自分自身で考える力、問題を解く力が身につ かない。解説を読んでそれでもわかりにくいところを質問する。そうすると、解説を読むだけで たいていのことは理解できるようになるし、わかりにくいポイントを効率的に理解できる。 質問するのなら、まず自分自身に質問する、それから問題文・解説文に質問して、それでわか りにくいところを講師に質問する。このようにして主体的に自分一人で回答する力をつけていか なければ、受験勉強にならない。 それからよくあるタイプに、受験勉強中の自分の不安をまぎらわすために、もちろん本人はそ うと意識していないだろうが、講師室に来て質問(おしゃべり)する生徒がいる。 これは他の質問したい生徒のじゃまになるばかりか、本人の勉強時間のムダにもなる。それで 不安が解消するのならまだいいが、なかにはそれで不安感をまき散らし、本人もさらに不安にな っていくという例もある。 ◆模試データの読めないヤツは必ず落ちる 模試試験の結果が返ってきたとき、ただ偏差値や点数だけを見て、そのままにする人がいる。 模試試験の成績は、君たちが合格するためのデータの宝庫だ。 君たちの偏差値と受験校の偏差値が同じなら、合格不合格は五分五分だ。偏差値が5以上違え ばふつう必ず合格するか、不合格かのどちらかだ。 ところが偏差値が10近く違うのに、楽々合格のはずの大学に落ちたり、逆に落ちて当然の大 学に合格したりする。それは当日のコンディションがたまたまいつもとかなり違ったり、問題の ヤマが当たったりはずれたりしたから、という理由だけではない。もっと重要な別の理由もある のだ。たとえば、キミの得意分野が出題されやすい大学の学部・学科を受験すれば、不得意分野 も含んだ内容の模試試験の偏差値が少々悪くても合格する。もちろん逆もあるわけで、模試試験 のデータが読めるかどうかで合否が決まるとも言える。 もし、不得意分野の出されやすいところにどうしても合格したいのなら、そこを集中して学習


することもできる。 「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」というのは孫子の有名な兵法の言葉だが、これは敵 (大学の学部・学科)の出題内容と己(自分)つまり受験生の偏差値の内容をきちんと分析すれ ば、負けるとわかっている敵とは決して戦わないし、勝てることが決まっている敵とだけ戦うの で、いつでも必ず勝つ、ということだ。もちろん、このように客観的に分析したら、どうしても 合格したいところに必ず入る作戦が立てられる。 ◆心の壁が越えられないから落ちる 以前、英会話学校の広告で、 「英会話が出来ないのはそう思いこんでいる心理的障壁が問題だか ら、まずその壁を取り除くことからはじめます」というようなのがあった。英会話が出来る出来 ないかは、語学そのものの能力というよりは度胸のあるなしだ、とも言われている。 受験に関しても似たところがある。たとえば、偏差値で50前後あれば、通常1年間の努力で 早慶レベルに合格することは可能なのだが、もっと偏差値の高い受験生でも、いや、自分はそこ そこに行ければいいんだ、よけいなお節介はやめてくれ、という顔をする。中には50以下でも 戦略的に努力して早慶に受かる人もいる。そういえば、自分(筆者)も50以下で早慶に入った クチだが。 やる気さえあってそれなりの努力をすればほとんど合格できるのに、戦略的にやれば実はたい した苦労はいらないのに、自分にはとても無理だしやる気もないといって、しり込みする。 その理由のひとつは、その目標にあと一歩で到達できなかったら傷つくから、少しでも傷つき にくい目標を設定しておきたいというわけだ。大変な苦労はしたくないというのだ。 だから講師の方で、プロの経験から必ず合格できるはずの目標を設定してやっても、逆に怖が って逃げ腰になる生徒がいる。こういう生徒は、その低い設定の大学にもたいてい合格できない。 アタマが悪いわけじゃない。ココロが弱いからだ。 ◆挫折できない受験生は合格もできない カラスがキツネに言いました。このブドウはとってもおいしいよ。でも、高いところにあるか ら、キミには食べられないよね。 キツネはカラスに言いました。そのブドウはすっかいからいらないよ。 みなさんもよく知っている、すっぱいブドウの寓話。このように、どうせダメだからと思って、 本当に行きたい大学は受験しない人がいる。 もっとひどいのになると、どうせまともな偏差値は出ないから、どうせ合格の見込みなしと出 るのだから、と怖がって、模擬試験そのものまで受けない。あるいは受けても、突然体調が悪く なったり頭痛がしたりして、ほとんど白紙のまま答案を出す人がいる。これでは本当の受験に受 かるはずがない。少なくとも、せっかくの模試データが勝つようできないままになってしまう。 不利である。 うまくいかなかったらもう立ち直れないかもしれないという怖れがそうさせているのだろうが、 受験は一方で心理戦でもある。ここを勝ち抜かなくてどうする。 むしろ、若いときに何度でも挫折しておいたほうがいい。年輩になって挫折したら、それこそ もう立ち直れないことがありうる。


だいたい模試試験の段階で合格可能性100%だったら、そこはもう受験勉強の対象ではない だろう。まだまだ合格可能性なしだからこそ、努力するのだ。 ◆たった2週間の勉強で大学に受かった生徒の話 大学受験をまったく考えていなかった生徒が、年が明けて突然、受験してみたいからと言って 来た。当然、模試試験すら受けていないし、たぶん総合偏差値は30~40といったところだろ う。しかし、いまはやる気十分なので、短期間に集中してやれる。 そこで、大学選びから相談にのることにした。偏差値が低いけれど内容が充実していて、就職 対策にも有利な大学ということで、産能大学の経営を選んだ。本人は文学部が志望だったけれど、 この大学ならマスコミ関係も有利だとにらんだ。 大学の偏差値はそのとき48くらいだったけれど、集中して効率的に勉強すれば合格可能。し かも今後、人気がじわじわ出てくるところだと予想した。入試問題を見ると思ったとおり、基礎 学力重視。その生徒は学校の欠席などもかなり多かったが、別に短大じゃないし、今後のやる気 を見てもらおう。 次は受験計画。これは大学ではなく、高校入試用のテキストを各科目、各1週間で仕上げても らうことにした。なに、やる気さえあれば大丈夫。特に英語は中1の最初から説明してあるテキ ストを選んだので、理解できないことはない。午前中に5ページ、夕食後5ページをやりながら、 そこに出てくる文法表現や単熟語を覚えれば十分。5ページのうち半分は練習問題だが、わかり っこないので一応やってみて、解答してから覚えてもらった。 これなら誰でもゆっくり出来る。特に午後1時から6時までの5時間にたった5ページでは時 間が余る。それで2時間ぐらいを割りふって、基礎の単熟語や漢字を覚えてもらった。もちろん 直前期には、過去問の練習。 もちろん合格した。しかしここで気を抜いてはダメ。せっかく勉強する習慣が身についたのだ から。その調子のままで大学生活もやってもらった。結果、4年連続成績トップの特待生。出身 高校に指定校推薦の枠が決まるというおまけもついた。 コラム2 英語の勉強法について質問された。 「文法の参考書を2回やりました。同じ本をもう 1 回やった方がいいでしょうか」 こういうのは女の子に多い。 「いや、別の参考書をやった方がいいよ。大切なことはどの本にもくりかえし出てくるし。ある 程度以上わかっているようなら、むしろ別の本をやって、いろんな角度からの考え方を身につけ た方がいい。 」 どの科目でもそうだ。何冊かの参考書をやる方が、同じものを完全にくりかえしやるよりもい い場合がある。いろんな解き方、考え方に慣れておいた方がいい。 生徒「漢字なんていくら覚えたって何点にもならないからやらない。オレは読解でちゃんと点を 取るよ。 」 声「たいてい、こう言った生徒は落ちている。」


PART2 こんな勉強では落ちる、こうすれば合格る ♠「赤本に手を出すのはまだ早い」そう思い込んでいるキミ、落ちるぞ!! 「赤本はまだやってはいけないって言われたんですが・・・」 こう質問してくる生徒が毎年何人もいる。 学校の先生も予備校のスタッフも、まず自分のところのテキストをしっかりやってほしいと願 うのは当然だろう。赤本はあくまでも“他社のテキスト”である。それから、ギリギリまで出来 るだけ多くの講座をとってもらいたい。やってみて、やる気をなくしてほしくない、といった理 由もあるだろう。 しかし、私はホンネでこうアドバイスしている。 “少しでも早くやるべきだ”と。そのわけはこう だ。 よく、受験直前の10月頃、こう言ってくる生徒がいる。 「先生、私の受ける※※大学の入試問題に漢文があるんです。古典しか出ないと思ってたのに。 今から漢文が出来るようにしてくれませんか。」 おいおい、古典というのは、古文と漢文を二つ併せて古典というんだ。古典古文だけじゃない んだぞ、と私はこう思う。 けれど、この生徒はまだいい方で、冬休み明けにこう言ってくる生徒には、 「来年の受験はガンバろうね」と言ってあげることにしている。 赤本は、まず主題分野のチェック用に“見てみる”のである。そうしないと、よけいな分野を やることにばかり貴重な受験勉強の時間を費やしたり、必要な分野をやらないままになったりし やすい。 やってみて出来なくたっていい。いや、まだ出来ないのが当然だ。 受験勉強のスタート時にやる入試問題が解けるのなら、受験勉強は必要ない。むしろ、一題で も二題でも解けたなら、自信を持とう。 ライバルが100のパワーで100の範囲を勉強しているとしよう。ところが、その大学の学 部学科の入試問題には、たとえば40の範囲しか出ない。それなら、キミがライバルの半分のパ ワーしか持っていなくたって、最初からその40の範囲だけ集中してやっていれば、合格するの はキミの方だ。 なぜなら、ライバルは80くらいのパワーを、実は出題範囲以外の勉強に費やしていた可能性 があるのだから。 つまり、ライバル=100-80=20の力で受験。つまり、出題分野には20足りないから 落ちる。 キミ=50-0=50の力で受験。つまり、出題分野より10多いから、ラクラク合格。 目的が受験なら、目的に合った勉強をしたキミが勝つのは当然のことなのだ。 コラム3 「先生、やります。休ませないでください」 文字通り熱っぽい声で、小学校6年生の女の子からこう頼まれた。


ひどい風邪のため、今日は休ませようという母親の言葉をさえぎって、こう言うのだ。 その子のスケジュールはこうだ。毎日、早朝特訓塾、放課後はもちろん塾、それから夜は11 時まで家庭教師、日曜は別の塾。 最近の傾向として、男の子にこういうガッツのある子はいない。 ちなみに、その次の週、私は風邪でダウンした。 ♠偏差値35から半年以内に青学に合格!!こんな生徒もいた F博士がT学院の生徒を教えた。彼は高校3年生で学校の成績はトップクラス。担任から、予 備校などに行かなくてもみんな一流大学に進学出来ているからと指導され、親も予備校・塾には 通わせていなかった。 (実はK塾のパンフレットには、現役生の学校リストに、そこの現役生がた くさん載っているのだが) 。ところが夏休み明けにK塾の模擬試験を受けてみると、偏差値が国語 は35、英語や世界史も60以下。それで私が国語を中心に受験勉強の仕方そのものもアドバイ スすることになった。 生徒の志望校は早慶と上智と青山、志望学部は経済。英語はT大学の講師が週2回(各 2 時間) 教え、国語と小論文と受験対策全体は私が週1~2日(各2時間)教えていくことになった。目 標偏差値は国語65、英語と世界史は各々70以上。それでも早慶は見込み薄。そこで、何が何 でも現役で一流大学に合格することを第一に考え、理想校は早慶、目標校は青山、そして偏差値 50前後がすべり止めになるように3ヵ月でもっていくことを計画した。 料金は1時間2万円だから、家庭が払っているのは月60万円くらいで、三ヵ月合計200万 かかる。それでも浪人することや、それまでに塾にも通っていなかったことを考えると安い。 学校の成績は良いのに偏差値が低いということは、基礎的な知識や理解力はあるけれども、入 試問題になれていないということだ。だから、9月中旬から11月中旬の2ヵ月間で、国語(学 燈社)、英語(研究社)、世界史(旺文社)の『大学入試問題集』をやってもらい、冬休み中は赤 本(教学社)を5冊ほど。冬休み明けからの1ヵ月ほどは不得意分野の補強と知識の総まとめ、 という計画を立てた。 英単熟語や漢字などは学校で普通にやっているので、受験レベルの知識は過去問の復習の中で 有機的に暗記してもらうことにした。 具体的な勉強法は各科目ごとのアドバイスを見てほしい。少しずつ話し合いながらつくって実 践してきた、そして成功してきたとっておきのノウハウなのだから。 コラム4 予備校の現代文や小論文の講師は社会科の講師が担当し、古文は現代文の講師が、漢文は古文 の講師が担当する。 これは受験の現代文は文学ではなく、思想・哲学系の論文であることが多く、旧式の文学教育 を受けた国語講師には理解不能であることが多いからだ。 他の理由としては、あまりにも専門家だと、今度は生徒の方がチンプンカンプンになるからと いう理由らしい。 そんなわけで、予備校講師は教えるプロではあっても、必ずしもその科目のプロというわけで はない。


♠中間・期末考査で受験勉強を中断する生徒がいる 学校の定期考査期間になると、予備校を休む生徒がいる。学校の予習・復習に追われて、予備 校の予習・復習がまったく出来ないままの生徒もいる。そういう人はたいてい高校を卒業するま で、つまり浪人するまで受験勉強が出来ないまま終わる。 クラブと勉強の両立も大切だが、学校の勉強と受験勉強の両立もなかなか大変かもしれない。 しかし、図のように、テスト一週間前から計画を立てて勉強するとよい。 注意することは、このテスト勉強は日常、学校の予習・復習に割りあてている時間帯で行うこ とだ。スケジュールを組んで日頃から学校の勉強もしている人は、中間・期末考査期間だからと いって受験勉強を中断するようなことはない。 学校の勉強と受験の勉強は重なっているところもあるが、かなり違っているところも多い。だ から、日頃から受験勉強もきんとした時間割を立ててやらないといけない。特に一般受験をめざ す生徒の場合は、現役合格のためには受験勉強に重きを置いた計画づくりが大切だ。 コラム5 札幌のあるマンモス予備校では、浪人生にはじめの数ヵ月は高1レベルから学習させる。それ 以来、全体の合格率が大幅にアップしたという。 予備校によっては、科目によって無学年制にして高3でも基礎が身についていない場合は高1 の講座がとれるようにしているところもある。 へんなプライドさえ持たなければ、思いきって1学期の間ぐらいは、いや場合によっては1年 間まるまるでも、低学年に配当された講座をとった方が理解もしやすいし、進歩もはやい。 ♠中間期末対策は教科書の丸暗記が一番だ 学校の中間期末考査対策は、原則として教科書の丸暗記が一番だ。先生の自作プリントがあれ ばそれも要注意。数学や物理の場合も練習問題を丸暗記する。つまり短時間で式の展開ができる ようにしておく。 丸暗記の仕方がわからなければ、教科書そのものを手書きで書き写すのが非常に役に立つ。コ ピーや切り貼りは役に立たない。 試験一週間前にはふつう時間割が発表される。もちろん、そこからスケジュールを組んで対策 をたてろという意味だ。またこの期間になるとテスト問題の作成がはじまっていて、先生の何気 ない発言の中に出題のヤマが隠れていることが多い。 ヤマをかけるといえば、毎回の考査のプリントは必ずとっておいて、次の定期考査の前にもう 一度やってみる。そうすると出題の傾向がつかみやすい。 なお中間考査では記述問題が出やすい。それは期末考査で記述問題を出題すると、締切日まで に採点が間にあわなくなる心配があるからだ。特に最終日の科目は記号問題になりやすい。 ただし、だからといって記号・選択問題対策だけをしてはダメだ。きちんと漢字で書いて覚え るようにすれば、記憶が薄らいでも、選択肢をみれば思い出せるが、最初からそのヒントが無け れば困るような程度の覚え方をしていると、ちょっと記憶が薄らぐだけで、まったく思い出せな くなってしまう。


基本的に学校の中間期末対策は、地道に書いて覚える努力でもって対応できる。この基本がマ スター出来てはじめて応用力が養成できる。また校内の定期考査はそのようなものであるべきだ ろう。 ある高校では、「ハイレベルなテスト」をしようとして応用問題ばかり出題した教師がいたが、 もちろん次回からその教師の授業は誰も聞かなくなった。授業内容は出題されず、自主的に参考 書をやったり予備校で学ぶことばかり出題されるからだ。 ♠偏差値55以下の大学・短大を狙う生徒は大学受験用の参考書をやるな 高校レベルの学習が無駄になる大学がある。これは偏差値でいうと55以下の大学・短大にあ てはまる。実際、このレベルの学校を第一志望にする受験生は、中学卒業程度の学力もない場合 が多い。いくらなんでもそういう生徒に入学されては、大学としても困る。 というわけで、下手に高度な内容をきくよりも中学レベル、せめて高校1年までのレベルがき っちり押さえられているかどうかを問う。この義務教育レベルというのは案外ハイレベルで、こ れがちゃんとわかってさえいれば、あとは大学側の指導で卒業までもっていける。つまり、下手 に高校レベルを中途半端につまみ喰いしている生徒より、大学に入ってから向上しやすいのだ。 そこで受験勉強も、いわゆる一流大学を目標にした学習法とは違ってくる。中学レベルの問題 といっても学校によっては8割出来ても不合格のところだってある。だから学習法を間違うと、 東大に合格する生徒だって、受験に失敗する可能性がある。このことを知らなければ、すべり止 めがすべり止めにならなくなる。 自分は偏差値が70だから50のところには軽く受かるんだから、と考えてはいけない。繰り 返すが、偏差値と大学のレベルには必ずしも関係しないのだ。 偏差値55以下に確実に受かりたいのなら、難関高校受験用の参考書をしっかり勉強すること。 いわゆる大学受験用の参考書は、やるだけ時間の無駄だ。 たとえば駸々堂の『高校入試決定的英語』などの高校受験用シリーズ、そして桐原書店の『入 門英単語』や『国語の基礎知識』をきちんと仕上げたら、あとは志望校の過去問をやり遂げるこ と。一般書店にない場合も、学校に問い合わせると購入方法を教えてくれる。 ♠現役受験生は秋に偏差値が急落する それは家庭教師についていたり、大学付属の、しかも進学校などで、今まで模試を受験してい なかった優秀な受験生や浪人生が、大量にその模試を受け始めたりするからだ。 自分はべつに受験勉強を怠けたわけではない。なのに偏差値が急落する。その理由は以上のほ かに、ラストスパートに向けてまわりがもっと勉強する、推薦入試の誘惑に心のどこかで負けて いる、といったことが考えられる。 平均して、5~10近くも偏差値が落ちることが多く、特に女子にその傾向が強いのが、推薦 入試の誘惑に弱い(逆に言うと、推薦入試で受かりやすい)場合があるからだろうか。 対策としては、 1最初から偏差値に変化も考えに入れた併願作戦をとる。 2ラストスパートに向けた受験計画の設定、もしくは見直しをする。


3偏差値全体は気にせず、絞り込んだ志望校のための対策を強化する。 といったことが考えられる。 受験勉強はたとえ1人でやっているように見えても、見えないところで同じ目標に向けて、日 本中の受験生が競争している。その見えないライバルと刻一刻、デッドヒートを続けていると思 うと、そこがどんなに入りやすそうに思える学校でも、少なくともたった1人が入学試験を受け るわけではないのだから、のんびりはできない。 ♠国語と小論文の違いがわからなければ落ちる 国語と小論文は全然違う。予備校講師の中にもこの両者、特に現代文の記述問題と小論文を同 じだと考えている人もいるくらいで、よく誤解される。しかし、この決定的な違いを知らなけれ ば落ちる。だいたい早稲田大学の文学部で、国語と小論文を両方課していることからも自明なこ とだ。もし、この両者が同じものなら、早稲田はよっぽどナンセンスなことをやっている。 国語の場合、 「次の文章を読んで後の問いに答えよ」とあるように、本文に関係ない自分の意見 を述べるとダメ。ところが、小論文は「自分の意見を述べよ」とあるように、参考文にあること だけを述べたのではダメ。このように正反対なものなのだ。 もちろん慶応大学のように国語を課していない大学では、小論文の中で両者を問うことがある が、その場合でも国語に関することは「要約せよ」というようにきちんと区別して問うている。 受験生の方もきちんと区別して各々答えなければならないのは当然だ。 国語の答えは本文の中にしかないが、小論文の答えはキミ自身の中にもある。 この両者の違いがわからなければ、国語の選択肢問題を選ぶときでも、 「自分の答え」を読んで しまい、出題者の意図する解答が見出せない。入試国語において、もっとも正しいのは出題者の 考える答えであることは当然で、それは「受験生自身の考え」とは違うことがあるばかりでなく、 「本文の筆者自身の答え」とも違うことがある。 ♠学校と受験勉強が両立できる時間割 学校の予習・復習で手いっぱいで、受験勉強がまったく出来ないという人がいる。学校の定期 考査が近づくと予備校を休む人がいる。こういう受験生が大学に合格できるのは学校がなくなっ てから、つまり浪人してからだ。 本来、学校と予備校は目的が違う。学校は総合的な教養・人間性を養うためのものであって、 だからこそ、いわゆる授業意外のクラブ活動・生徒会活動・文化祭・体育祭なども重視される。 学校が受験勉強をちゃんと教えてくれない、と文句を言う人がいるが、学校は予備校ではないの だから当然のことだ。学校はもっとちゃんとした教養を身につけるところだ。 予備校の目的は、もちろん大学に合格させること。そのためには、じっくりテキストの内容を さまざまな角度から読み込むことよりも、 「速く、うまく、点がとりやすく」設問を処理する方法 を教えることだ。 だから、必要なテクニックだって教える。くりかえし何度でも読めば、自然に必ずわかってくる さ、というのは予備校では通じない。そんなことをしていたら、受験には勝てないからだ。 それでは学校と受験勉強を両立させるにはどうしたらよいか。その解決法の一つは、時間割を


組んでみること。1対1もしくは1対2の割合で家庭学習の時間を分割しておく。そうして必ず その時間内だけで、各々終わらせるようにする。 はじめはなかなかうまく出来ないが、あきらめずに続けていけば能率が良くなり、スピードア ップする。たとえば、午後9時から1時まで学習する人は、午後9時~10時30分は予習・復 習。午後11時~12時30分は受験勉強というように割りふってみる。 ♠目標あって計画なし、は必ず落ちる 東大しか受けない、早慶しか受けない、と言って、基礎的な勉強をやらない人がたまにいる。 受験計画を立てるときも、すべり止め校の選定を決してしない。それどころか併願校も決めない。 それはそれで背水の陣で挑むわけで立派だ。ところが、そういう人に限って、それではそのため の受験勉強はしているかというと、そうではない。ゴールはあっても途中のルートがないのだ。 ゴールが決まったら、そこから逆算して、目標達成のための計画を立てなければいけない。そ して、それをきちんと実行していかなければならない。これは当然のことだ。 それが出来ないのは、たいていの場合、計画の立て方、目標達成のための方法がわからずに気 ばかり焦っているからだ。冷静に受験計画を立てるなら、その過程ですべり止め校の選定もする はずだ。 それでは計画はどう立てればよいか。例えば英語なら、単語と熟語の暗記用ハンドブックを買 ってきて、そのページ数を受験の1ヵ月以上前に終了するように割りふってみる。漢字や公式な ど主に暗記するべき事項を、こうしてすべて割りふってみる。それから、文法(英語・古典)や 数学・物理などの典型的な問題の解法の理解と暗記、さらに過去問の演習を各科目ごとに割りふ った計画表をつくってみるとよい。 ♠試験時の時間配分をまちがえると落ちる よく、時間が足りなくなって失敗したという受験生がいる。時間さえあれば、十分合格点に達 したはずなのにだ。 この失敗は日頃から模試試験をいくつも受けていて、正しく時間配分をしてさえいれば防げる。 たとえば、70分の制限時間なら10分余るように、60分で解くように練習しておく。 さらに途中の30分で、全体の半分は解いているようにする。 つまり答案用紙が配られたら、制限時間から10分引いた後、ざっと全体の問題量を見て、だ いたい半分のところまでを、残りの制限時間の半分で解く予定を決めておくのだ。 このとき、もし早めに解けたら次に進んでもよいが、間に合わないときはもうそこはあきらめ て、残りの半分の問題を解くようにする。これは決断力が必要だが、そうしておかないと、いつ までたっても制限時間内には解けない。模擬試験は、あくまで実際の入試で勝つための訓練なの だ。 ついでに言っておくと、設問をそれぞれ解いていくときも、ある程度考えてわからないところ は適当な答えを書いておいて、まったく違っていると思うときは×印を、疑問の残るときは△印 をつけておくとよい。先へ解き進むと、あとの方にヒントがあるかもしれない。そうでなくても、 余らせておいた10分間で、△や×の設問を考え直すといい。そのための10分間でもある。


♠あとで答えを直すとまちがうのはなぜか こういう受験生も多い。せっかく考え直して答えを変えたところ、最初の答えが正しかったと いう。 試験の解きはじめはたいてい勘がさえているが、あとの方になると疲れて鈍ってくる。反対に 論理力の方は、あとになるほどエンジンがかかってくる。 だから最初は勘に頼れるが、あとは論理力に頼るのがよい。 ところがたいていの受験生は「なんとなく」、つまり勘で書き直している。しばらくたってあて にならなくなった勘でだ。書き直したいときは、論理的にはっきり決めつけられるときだけにす るべきだ。 別の例としては、書き直すときに焦ってしまい、消しゴムで正しいところまで消してしまった り、まちがったところを残してしまったりすることがある。 もし、時間が余りすぎて困ったときは、ケアレスミスのチェックぐらいにした方がよい。 「正し いものを選べ」なのか、 「正しくないものを選べ」なのか、カタカナで答えるのか、ひらがなで答 えるのか、漢数字で答えるのか、句読点は含むのか含まないのか、抜き出しまちがいや、誤字脱 字はないか、さらには受験番号は正しいか、鉛筆が薄すぎるところはないか、などだ。 コラム6 「ちょっと来てくれ」 ある大手予備校のスタッフが、いかにも重大な宣告をするといったふうで私を呼びにきた。 「実は、うちが莫大な借金をしていると言っている講師がいる。誰なのか調査するようにと本 部から指示が出て、全員調べさせてもらっているんだ」 もちろん私ではなかったが、これじゃ借金が本当だと認めているようなものだ。 あとで、その額は3千億円を超えているという記事を見かけた。 ♠テクニックを軽視すると落ちるぞ 受験にはテクニックがある。いくら教養があってもダメだ。第一入試は落とすためのもので、 運転免許などの資格試験のように、基準さえクリアーしていればいいというものではない。いく ら君が出来ても、ライバルたちがもっと出来ていれば、キミは落ちる。逆にいくらキミが出来て いなくても、みんながもっと出来ていなければ、合格するだろう。 いや、自分は本当の実力をつけたいんだ。だいたいテクニックのあるなしで、大切な人生を決 められてたまるものか、入試はもっと神聖なものだ、こういう考えに近い受験生も多い。 ところが入試では、その受験生の本当の実力はわからないのだ。たった1枚かそこらのペーパ ーで、本当のキミの実力がわかるものだろうか。たかが1枚の紙切れだ。だからこそ、いわゆる 実力だけでは入試に勝てない。入試なんてそんなものだ。 そんなゲームだからこそ、テクニックが通用する。いや、テクニックのない、力だけの押し相 撲ではつまらない。 受験恐怖症で勉強も手につかないようなら、そんなの人生最後の勝負ではないんだ、たかがゲ ームなんだ、しかも生涯学習の昨今、何度でも取り返しのきくゲームにすぎない。こう割り切っ てみるのも手だろう。もちろん、ゲームは一所懸命でないとつまらない。


生徒「あのこ、オタクだよ。コスプレって知ってるし、エッチな本ばかり読んでる。 」 声「もちろん、こう言われていたコが合格した。 」 PART3 上手な勉強法=合格する生徒の発想法はここが違う ♠忘れてしまったことは実は覚えている。忘れることが難しい 自分が暗記が苦手で、せっかく苦労して覚えたこともすぐ忘れてしまう、という受験生がいる。 ところがそんな人に限ってどうでもいいことや、忘れてしまいたいイヤなことは忘れずに覚えて しまっていることがある。これはどうしてだろう。少なくともその人は暗記する能力をしっかり 持っているということだ。 人は一度経験したことは、サラッと見てみただけの教科書のページだって、本当は忘れること の方が難しいのだ。その証拠に脳のある部分(側頭葉)を電気的に刺激すると、本人が忘れてし まって意識もしなかったことでも次々と再現される。つまりこういうことなのだ。経験は意識を 通って無意識(深層意識)に入り込む。そしてもう経験以前の状態に戻ることは出来なくなる。 そして思い出すということは、それが無意識の表面にまで浮上してくることだし、 「覚えている」 という状態は、それが意識の間を浮遊していることだ。意識の間にあるからこそ、いつでも意識 的に、その経験(知識)を答案作成のときなどに利用することが出来る。つまり忘れないように することではなく、どうやっていつでも利用できる状態にしておくかが問題なのだ。 ♠予習はするな、復習をしろ 「完全に予習をしてこなければ予備校に行く意味がない」という講師がいる。しかしそれが出 来るのなら、その受験生はもともと予備校に行かなくてもよかったわけで、むしろ「完全に予習 が出来るのなら、予備校に行っても意味がない」と言い直すべきだろう。 少なくとも一学期のうちは予習は無用。むしろ授業をよく聞いて、きちんとノートをとってお く。ノートをとるのははじめのうちは完全に出来ないものだ。復習し、それで納得しにくいとこ ろをあとで質問して理解する。一学期のうちはこの繰り返しだけで十分だ。 復習の仕方がわからないという人もいるが、要は同じ問題をあとでやってみて満点がとれるよ うにしておけばいいのだ。知識事項は丸暗記し(まだ全体像をつかめていない頃は、深い理解よ りも丸暗記が大切だ)そのとき記号問題はもちろん記号ではなく、語句を漢字などで書けるよう に暗記する。漢字で出題されないことはわかっている場合でも、漢字で覚えれば記憶が薄まって も仮名は覚えているかもしれないし、選択肢をヒントにして思い出しやすい。 知識事項意外も、その問題の答えを丸暗記にする、その方が抽象的一般的な理解よりも具体的 で頭に入りやすいし、入試問題らしい答え方、考え方のルールに慣れることにもなる。 全く同一の問題が何回も出題されることはなくても、良問は角度を変えて、または同じパター ンで同じ文章の別の箇所を必ず聞いてくるものだ。 そのようにして丸暗記したことが二学期以降に役立つ。二学期は予習をしよう。ただし時間は かけるな。制限時間内で解いてみて、どこまで出来たかチェックしながら学習を進めよう。 「早い、 易い、うまい」が受験のコツだ。


つまり制限時間内に解く、やり易い方法で解く、うまく正しく解答する。受験はやはり本当の 学問とは少し違う。だからじっくり時間をかけて優れたことを考えてもダメだ。制限時間内の予 習、授業、そして復習の積み重ねで二学期はのりきろう。 ♠寝る直前には頭を休めるな 深夜遅くまで数学の問題などを解いていて、わからないまま寝込んでしまったが、目が覚めて その問題をみると、なぜか簡単に答えがわかってしまった。そういう経験をした人はいないだろ うか。 頭は夜寝ている間も実は考えている。だいたい寝ている間に脳の活動が完全に停止していたら、 人間はそのまま死んでしまっているだろう。それなら寝ている間に脳に受験勉強をしてもらおう。 そういううまい手はないか。 寝ているときの夢はなぜ見るか。それは昼間活動しているときの様々な経験を整理・整頓する ためである。その情報処理の時の排泄物が夢だとも言われている。 つまり昼間の学習中に脳波情報処理をしているわけだが、そのときに悩んだままの未整理なま まの問題を意識下では脳が夜、考えてくれているわけだ。これは楽かもしれない。これはぜひ活 用したい。しかし寝る直前に音楽など聞いてリラックスしてしまうと、あるいはマンガなど別の 情報を入れてしまうと、それが情報処理されてしまうことになる。受験生にとってこれはもった いない。 昼間の勉強は意識しているからつらいかもしれないが、寝ている間の情報処理は楽だ。 楽して効果が上がるのなら、これを活用しない手はない。 ♠速読の仕方(テクニック編)を知っていれば有利だ “速読”については多くの本が出ているが、実際は“速見”の仕方を説明しているだけだ。い わく、いかにすれば眼玉を早く動かせるか etc。 “速見”の対象とされている本も、ふつうに読めば誰でも理解できる内容のもので、これは受 験生の役には立たない。受験生にとって必要なのは、高度な内容の文章を制限時間内にどれだけ 速読できるか、理解できるかだ。 そのためには、古典的な速読の方法である斜め読みを推薦しておきたい。斜め読みとは通常1 行1行縦に読んで行くところを、図のように斜めのところだけを読む方法だ。 こうすれば、全体として読む面積が減るので、当然速く読める。もっと速く読みたければ、斜 めの角度を水平に近づけていけばよい。矢印のところに含まれる文字数が激減している。 ♠速読の仕方(整理編)のポイントはキーワードにある 斜め読みをすれば、全体として読む文字数が減るので、速見出来ることはわかった。しかし、 それで理解できるのだろうか。当然こう疑問を持つだろう。 斜め読みで速読できるのは、キーワードに秘密がある。キーワード(鍵言葉)というのは、そ の意味さえわかれば、文章全体の意味が推測できる言葉のことで、複数のキーワードをくりかえ し用いて文章は構成される。くりかえし用いられるからこそ、斜め読みしても、キーワードがど こかで必ずひっかかるのだ。読者はそのキーワードを頭の中で組み合わせて、文章全体の内容を


推測理解する。 キーワードとは、つまり用語・術語であって、漢字熟語や外来語である。明治時代、西周が西 欧の学術用語を輸入するとき、漢語を利用してからそうなった。だから、漢熟語をたくさん覚え ると、日本語(文章語)の語学力がアップし、速読力も増す。 キーワード集としては、桐原書店から数冊出ているのが受験生用、講談社新書の用語集は一般 用、さらに岩波新書の『術後集』も役に立つ。 それではキーワードの組み立てはどうするか。 これを詳しく書くと、 『速読速解実践編』が一冊書けてしまうので、ここではヒントだけ書いて おく。 1. 「しかし、だが、ところが」と言った逆説語をチェックする。 2. 「ではない、というよりはむしろ」と言った打消的表現をチェック。 3. 「絶対⇔相対」 「一般⇔特殊」といった対義語を特に覚えておく。 さしあたり、これらの表現をチェック―ふつうに読みながら傍線を引くだけでもよい―するだ けで、確実に速読力が高まる。 ♠受験勉強はカラダ全体でやるものだ アタマだけで勉強すると非効率だ。スポーツはカラダをつかう。しかし勝つためにはアタマも つかう。同じように勉強はアタマもつかう。けれど勝つためには、カラダをつかうべきだ。 これは、受験勉強もラストスパートまでは体力がないと続かない、という意味だけではない。 記憶がどれだけ役に立つように残っているかを調べたところ、 目で見ただけ

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書いてみる

60%

という結果が出た。これは、自分が学芸員資格を取るための講義で教えられたことだが、定着 度を80%にするためには、さらに他の人に講義してあげるといいようだ。 つまりアタマを使うだけよりも、カラダ全体をつかった方が効率がいい。 そういえば英単語を覚えるとき、チラシの裏だとか、いらない紙を集めておいて、なめらかに 書けるボールペンを何本も買ってきて、図書館で何時間も、口の中で「アバンダン、廃棄する、 アバンダン、廃棄する」なんて唱えながら、綴りをくりかえし、腑におちるまで書き続けて覚え たことがある。少々乱雑な字になっても気にせずに、どんどん書く。紙がいっぱいになったら、 ボールペンの色を変えて続ける。だいたい1単語、いつも2分前後書き続けたと思う。そのうち にボールペンのインクがなくなる。そうしたら両手でぼきっと折るのだ。その爽快感ったらなか ったな。こうして毎日平均2本ずつのボールペンを消費して、疲れるのはアタマではなく腕だっ た。これはとても役に立った。 しかも、アタマではなくカラダで覚えているので、あがったときも思い出せる。スポーツでも


カラダが覚えてくれるまでレッスンする。そうすると、なめらかな動作が出来る。 ♠勉強しはじめると成績が下がる、成果は3ヵ月後だ 「ちゃんと受験勉強をはじめたら、逆に成績が下がりました!」っこう言ってくる受験生がい る。 「当然だよ。いままでそれなりにやってきた勉強を止めて、新しくきちんとしたやり方で勉強 をはじめたばかりだから、新しいやり方の成果が上がらないうちに以前のやり方も止めているわ けだから」と私。 そういえば家庭教師でも、 「先生に習いはじめたら急に成績が下がりました」と最初は必ず言わ れる。しかし調べてみると、その悪い成績というのは、私がまだ担当していないときに受けた模 試試験の結果だったりする。特に家庭教師を頼まれるのは本人の成績が急降下しはじめるときな ので、なおさらだ。 ふつう新しいやり方で勉強をはじめて、その成果が出るのは3ヵ月後だ。そして一度その成果 が出はじめたら強い。もちろんときにスランプに入ることがあっても、きちんとしたやり方を継 続していけば大丈夫だ。 現に、はじめに成績が急降下した生徒も、あきらめずに心機一転した場合は必ず大幅な成績の 上昇をみている。中には、短大志望であったものが、結局は早稲田大学(二文)に合格した例も ある。まあ、この場合はもともと学習の積み重ねはあったが、正しい受験勉強のやり方がつかめ ていなかったからだったのかもしれないが。 ♠学習できるというのは人間として生まれた特権だ 動物はたいてい生まれたすぐから一人歩き出来る。それが進化の程度が進むにつれ、何も出来 なくなる。人間は生まれたてはとても無力だ。 動物は生まれつきの能力で生活する部分がとても多いのだが、人間は生まれてから身につける 能力で生きていくからだ。 だから動物はわざわざ勉強しなくてもふつうに生活できる。だが、人間は勉強しなくては生き ていけない。本能だけの人間は本能だけの動物より劣ることになる。 それなら人間に生まれて損をした、と思う人もいるかもしれない。けれど動物は環境が変わる と生きていけない。たとえば魚は陸上で生きていけない。動物は事前に決められた環境の中でふ つうに生きていけるように前もって本能が与えられているのだ。人間は本能の部分より学習の部 分が大きいということは、環境がどう変わっても生きていけることを意味する。 だからこそ人間は今後、宇宙にだって飛び出していけるのだ。 勉強は場合によってはつらいかもしれない。けれど、学習できるというのは人間として生まれ た特権なのだ。 ♠受験勉強でキレイになる、いつでも若々しくスマートでいられる ふとった豚よりもやせたソクラテスになれと言われるが、ソクラテスがやせていたとすれば、そ れは寝食を忘れて勉強したためばかりではない。ぐっすり眠ってお腹いっぱい食べてもやせるの だ。


150億もある脳細胞のごく一部が働かされるだけで、全体ではとてつもないカロリー消費と なる。集中して勉強するとすごくお腹がすく。ふとる遺伝子を持っているかもしれない人は一応 別として、勉強をし続けるとふとっている暇はなくなる。なお、心配事でやせるのは、悩んで頭 をつかうことに加えて、消化器が不活発になるからだろう。しかし、これは健康なやせ方ではな いだろう。 世阿弥の「花伝書」にこうある。 デビューしたてのタレントはフレッシュなので、少々下手でも人気者になれる。ところが、そ こで自分は天才なのだと思い込んでレッスンを怠ると、じきにまた新人タレントに抜かれて人気 がなくなる。若いときの一時的な能力・魅力(時分の花)にだまされてはいけない。時分の花が あるうちにこつこつ努力して、本当の魅力(まことの花)を養わなければならない。 ティーンの頃は勉強しなくても魅力があるが、それはうわべだけの、すぐ隣りに知性のにじみ 出るコが並べば、簡単にバレてしまうような、そんな時分の花にすぎない。しかもある歳を過ぎ ると、その時分の花さえも消え失せる。 ところが、まことの花を養った人はいつでも若々しく(好奇心のせいです)、スマートで(ふと れないのです) 、魅力的でいられる。 もちろんこれは自然な結果であって、これを目的とはしないこと。むしろ、受験勉強中は少し ふとっているくらいが、途中でガス欠にならないのでいい。 ♠集中できない人のための勉強法 いくら集中力がないといっても、誰でも1分か2分、ふつうは30分くらいは集中できるはず だ。それなら暗記用カードをつくって、登下校のバスや電車の中で、こま切れに集中して覚えよ う。ちりも積もれば山となる。毎日欠かさず続けていれば、大変な知識量になる。 カードのつくり方は、英単語・熟語なら表に英語、裏にその日本語訳を、漢字なら読み方とそ の漢字を、歴史なら年号と事件を、数学なら公式だけでなく、表に問題を裏にその解法の式を、 必要なら2枚にわたって書く。 もう少し集中時間が続くようなら(実は1~2分の集中をくりかえしていけば、だんだん集中 できる時間が長くなるのだ) 、たとえば喫茶店めぐりといった方法がある。 コーヒー150円くらいの店が増えているし、ファーストフードで飲み物だけ頼むのでもよい。 30分くらいの集中力を利用して受験勉強をする。これを4店くらいくりかえせば、なんと2時 間も集中して勉強したことになる。これは集中しないで5~6時間の受験勉強をするのに勝る。 もちろん図書館やベンチなど、お金のかからないところをハシゴするのもよい。長時間いようと するから、場所探しに困るのだ。むしろ集中できないことを逆手にとって、このような勉強法で 合格することが出来る。 ♠受験校によって異なる模擬試験の受け方 例えばキミが偏差値50前後の大学を受けるのなら、駿台模試よりも代ゼミの模試の方が役に 立つだろう。偏差値60以上の文系なら河合塾の全統模試、理系なら駿台模試のほうがより役に 立つだろう。 少なくともキミが受けた模擬試験の母集団(その模試を受けた人たち)の中に、キミの志望校


を受験する人がゼロならば、その模試のデータは役に立たない。逆にキミの受けない模試の母集 団にライバルが隠れているかもしれない。 だから、複数の模擬試験を何度か受けると同時に、志望校に合った母集団の多い模試を集中的 に受けていくとよい。 ライバルがどれだけいるかは、その模擬試験の結果をもらったときその学部。学科の志望者の 総数が出ているので、それを参考にするとよい。もちろん、特定大学向けの模擬試験がもっとも 役に立つことは言うまでもない。 なお、その模試の母集団は、通常夏から秋にかけて増える。それまで模試を受けずにいた人た ちが参加してくるからだ。そうなると出来る人の数も増えることになるから、偏差値が5以上急 に下がることがある。夏休み中の受験勉強は、このことを予測してやるとよい。ラストスパート の前のターニングポイントにあたるのが8月だ。 模擬試験の偏差値の見方も注意が必要だ。母集団の関係から、駿台偏差値が一番低く出る。河 合塾は5ぐらい高くなり、代ゼミだとさらに5ぐらい高くなる場合がある。大学ごとの偏差値は、 受けた模擬試験の予備校がつくったものでなければ、あてにならないのは当然のことだ。 ♠小学5年生からの東大合格のためのちょっと変わった参考書作戦 受験計画の立て方がわからない、予備校に行く機会がない、などという人のために、もし10 歳時からやっていれば、らくらく東京大学にも入れる市販のテキストを活用したカリキュラム例 をあげておこう。 すでにこのレベル・内容は卒業したよというキミなら、すぐに追いつけるし、そうでない人に も急がば回れのことわざどおり、低学年の復習から受験勉強を始めた方が、意外にすんなりこの 合格コースにのれる。 ♠限界だと思ったときがチャンス!! スポーツをしている人ならよくわかるだろう。練習をしていて、 「苦しい、もう限界だ」と思っ たとき、そこでやめていては、いつまでたっても能力はアップしない。もちろん、やり続けて体 をこわしてしまってはしょうがないが、限界だと思えるところで、もう一息だけ頑張ってみる。 そうすると、その分だけ今より実力がアップする。これを毎回くりかえすことで、少しずつ着実 に向上していくのだ。 勉強も苦しくなったときがチャンス。むしろ、苦しい、やめたいと思えるまで勉強に集中して いかないと、実力は向上しない。そして、その限界点でもう少しだけ苦しんでみるのだ。 スポーツといえば、ランナーズハイというのがある。たとえば苦しい早朝マラソンを欠かさず 続けていると、いつのまにか体調が悪いときでも、走るのをやめられなくなる。これは苦しみを 緩和させるための脳内物質エンドルフィンが分泌されるようになり、それは麻薬と同等の快楽物 質であるため、つまりマラソン中毒になるからだそうだ。 苦しい勉強もし続けていると、ある瞬間から快楽に変わる。これは勉強中毒だろう。ランナー ズハイやワーカーホリック(仕事中毒)と違って、喜んでかかりたい中毒症状かもしれない。 ♠油断して遊ぶヤツが悪い


バブル経済のころ、 「日本人は働きすぎだ。人間らしい生活をせずに働いて自分だけが黒字をた め込んで、欧米人がゆったり暮らすのをじゃましている。これはルール違反だ」と言われて、 「こ れからはレジャー産業だ。休暇をとろう。みんなで遊んで内需拡大して貿易摩擦の解消に役立て よう」ということになった。もう働かなくても、日本人は金利だけで食っていけるんだし。 こう考えたわけかどうか知らないが、真面目に働くことは悪いこと、財テクが良いこと。こう なった。結果はどうなったか。 ところがその間に、アメリカ人は働いたのだ。アメリカもビジネスマンはワーカーホリック(働 きすぎ中毒) 。その証拠に、働かないアメリカ人は仕事に就けない。日本では働かなくても窓際族 でいられる。能力があっても人間関係が悪いと、平気で閑職に追いやられる。その結果、生産性 はアメリカの半分近く。こういう状態でさらに働かなくなったのだから、日本経済は崩壊して当 然。 もしキミが、 「一人でガリ勉するんじゃないよ。おかげで平均点が上がってみんな迷惑してるん だぜ」って言われていたら、気をつけよう。そういう相手は、実はこっそり一人でガリ勉してい るのかもしれない。 コラム7 大学はレジャーランドだとの風潮に浮かれて、本当に遊園地をキャンパスにつくってしまった 短大があったが、予備校界にも似た例がある。 講師の人件費は出来るだけ切りつめ、広告費・設備費に大変な借金までしてカネをかけ、女の 子が入りたくなる雰囲気をつくった。これは業界ではディスコ方式といわれている。つまり短大 志望の女の子をたくさん集めれば、それを目当てに男子も集る。 もちろん、この予備校が最近になって突然、質実剛健をウリにしはじめたのはいうまでもない。 ♠もう誰も叱ってくれない!!優しい良い親や教師が増えている 「今日は学校に行くのがイヤだな。休んでもいい?」キミがこう言ったとき、 「いいよ」と言わ れたらどうだろう。とてもものわかりのいい親?でも、困ってしまう。 ところが、最近はそういう優しい親や教師が増えている。一時の感情だけで叱るのは論外だと しても、こうすれば良い、そうしなければ良くない、とわかっている場合でも、強制することは しない。 キミの人生まで面倒みるだけの覚悟がなければ、そうそう叱れるものではない。第一叱ってば かりいては健康にも悪い。どうして他人(?)のために、そこまで苦労する必要があるのだろう。 強制はよくない。民主主義の世の中だ。プロポーズだって強くすればセクハラになる時代に、ど うして強制などしていいだろうか。 というわけで、自己責任の時代だ。いま勉強しなくてあとで後悔しても、それは本人の勝手。 時分が犠牲になって相手から嫌われてまで、どうして叱ってあげなくてはいけないのだろう。そ れを求めるのは大変な甘えというべきだろう。 もう他人の意志は利用できない。自分自身の強い意志で運を選びとらなければならない。困る のは自分だ。責任は人生によって必ずとらされるのだから、自由にやっていい。もちろん他人に 迷惑をかけない限り。でも、自己責任がとれないヤツに限って、他人に迷惑をかけるんだな。そ


うすれば叱ってもらえる、と心のどこかで期待して。相手の強制力を利用して楽をしようと思う 人は、うまくいかなかったとき、必ず相手のせいにする。そんなことはもう知られている。だか らもう、誰も叱ってくれない。 ♠大学受験で合格できるかどうかは高1のときに決まる 高校受験が終わり、高校1年生になったとき、 「よし、これで次の大学受験まで3年あるぞ。浪 人したっていいんだから、まあ今年はゆっくりやろう。そうだ、スポーツをしよう。勉強はしば らくお休みだ」このように、生徒本人ばかりか親も思う。親だってキミの受験で十分ハラハラし たからだ。 しかし、今どき浪人している余裕はない。お金もないし、就職に必ずしも有利ではない。現役 合格を目指す。ところが上位校に限って、高校からの内部進学者が多い。指定校推薦ばかりか、 一般推薦まである。残った一般受験の枠を浪人生をライバルに闘うのは、あまりにも不利だ。 そこで、推薦をねらうことになるが、そのとき評定平均値という問題が出てくる。いわゆる内 申書の成績で、これは高校1年生のときからの成績で決まる。たとえ運動部などで頑張っていて も、これが規定に達しなければ、受験すら出来ない場合が多い。 つまり高校3年になってからでは、もう受験できなくなるわけだ。だいたい推薦入試をねらっ てクラブや生徒会活動で頑張るというのは、本末転倒だ。 脱サラをして次の仕事を始める前に、 「今まで大変な苦労をしたのだから、しばらく温泉にでも つかってゆったりしよう」などと考えると次は失敗するといわれる。エンジンが冷めきったら、 その後いきなりスタートは出来ないものなのだ。 ♠集中力のない人のためのカード利用術 どんなに集中力がないといっても1分や2分は集中できる。それでいい。カードを利用する。 文房具店などで3cm×10cmぐらいの紙を、たくさんリングで束ねたのを売っている。こ の裏表に暗記ものをメモっていき、ポケットなどに入れておいて、休み時間や歩行中にチラッと 見ては頭の中で繰り返す。これで覚えられる。 いわゆる暗記ものばかりではない。数学の問題を表に書いて、裏に解法を書く。文章そのもの を覚えるときはカードを何枚か続けて使う。カードをたくさん作っていく過程だけでも、かなり 頭に残る。さらに記憶をしっかいさせたいのなら、指でテーブルなどに書いてみるのもいいだろ う。 目覚まし時計を利用するのもよい。通常、入試問題は大問ひとつが20分前後で解くことにな っている。そうでなくても、だいたいの制限時間は目分量で割り出せる。その時間をセットして、 問題を解いていくのだ。受験勉強は時間をたっぷりかければいいというものではない。単語や漢 字や公式などを20分刻みくらいに分けて、その時間内に書いて覚えるとよい。 このように短時間に集中して覚えることを繰り返せば、いつのまにか長時間の集中力がついて いるのに驚くだろう。 ♠友情や恋と受験は両立するか、良いカップル、ダメなカップル 同じ目標を持った者同士なら両立する。しかし、片方が大学受験をしない場合、キミが合格し


そうになると邪魔をする、ことがある。キミが憎いのではない、このまま進路が分かれると、各々 別々の友人関係ができ、自分のことはもう見捨てられるのではないかと急に不安になるからだ。 そんなことはないと言っても、不安はなくならない。 だから、同じ目標を持っていても、ラストスパートに近くなって、互いの合格可能性に差が出 来てくると、やはり友情が成立しなくなる。キミが友情を大切にするなら、受験勉強はひと休み し、友人の相談にのってあげよう。一緒に遊びに行ってあげよう。この場合、二人とも落ちる。 そんなら遊ぶかわりに勉強を教えてあげるのはどうだろう。この場合同一レベルを受験するのだ ったら、たいてい相手だけが合格する。もちろん相手が感謝してくれるので、友情は存続する。 っこう思うのはキミが甘い。 人間関係は複雑だ。キミが相手に何か良いことをしてあげた場合、相手はキミが「恩を売って くれた」と気にしやすい。だからキミのちょっとした言葉が「恩を着せていやがる」と思われや すい。その結果、お世話してあげた人からお世話した人は嫌われやすい。いや、憎まれるかもし れない。平等な人間関係ではないからだ。 受験ではライバルはライバルとしてお互いにみることが、平等に認めあっていることになる。 お互いに教えあえるのなら、それがベストだろう。 ♠実は一流大学ほど合格しやすい それは入試問題の方針がきちんと出来ていて、ほぼ毎年決まりきったパターンでしか出題され ないからだ。いくつかの“一流大学”を参考に出題しているような、もしくは毎年のように方針 が変わっているような大学は対策が立てにくい。 いわゆる一流大学と他大学の違いは、単語力であることが多い。出題の仕方はそれほど変わら なくても、日頃から哲学者レベルのものを読んでいないと、ただの丸暗記では応用できないよう なレベルの単語力を要求する。 そういえば、慶応の総合政策学部の英語は、ただ英単語だけハイレベルなものを覚えていても 太刀打ちできない。日頃から、日本語でいいから難解な論文を読んでいないと、懸念がつかめな い。なるほど、これならわざわざ国語を入試問題にする必要がない。 早稲田大学は単なる偏差値より、本当に入学したいかどうかの熱意を重視する、と聞いている が、ある年の人間科学部の小論文は、 「人間と科学」がテーマだった。しかもその年の大学案内の パンフレットに、学部生のエッセイとして、 「人間と科学」が掲載されていた。本当に入学したい 受験生なら、当然読んでいたことだろう。 ♠模擬試験を受けろ!!そしてちゃんと復習せよ 試験の偏差値は模擬試験で実際に練習しなければ上昇しない。ただ授業を聞いて考えるだけで は、たしかに実力はつくけれども入試には間に合わないかもしれない。 どんなに集中力のない人でも、試験中は比較的集中できる。繰り返していけば、自然に集中力 がつく。 入試できかれることはだいたい決まっている。そのパターンがわかってくるので、受験勉強に 無駄がなくなる。つまり相対的に、あまり努力しなくても成績が上昇する。どこが試験に出やす くどこが出にくいところかがわかってくるので、勉強が楽になる。


試験の偏差値をみるだけでなく、出題分野ごとの成績も調べよう。得意分野・不得意分野の区 別は、科目の得意・不得意に劣らず大切だ。どんな得意科目でも不得意分野が出れば駄目だし、 もちろんその反対もある。 大学の偏差値だけでなく学部の出題傾向も調べておけば、以外に有利な受験が出来る。逆に不 得意分野が出題されやすいところなら、偏差値的には合格でも実際は不合格になりやすい。早め に補強しておくべきだろう。 模擬試験の問題はそれなりに集中して一度はやったところだから、復習をちゃんとするととて も効果的だ。 1 解答・解説をよく読む。それでもわからないところは質問するなどして、きちんと理解し ておく。 2 もう一度解く。今度は制限時間の半分くらいで、全問解答できるようにする。 3 解答したら、解説だけを読んで必要なら自分の解答を書き直し、最後にまた採点する。 たとえば、以上のような方法で復習する。次からは、志望大学の過去問でやってみるといい。 ♠受験勉強は教科書や参考書だけで学ぶものではない 受験勉強は何も学校や予備校でだけやるものではない。教科書や参考書だけから学ぶものでは ない。 たとえば、現代文はとにかく雑学が大切で、出来るだけ様々なジャンルの文庫本を読んだりT Vや映画をみる、旅行に行くといった試験・体験が成績向上に大いに関係する。歴史はマンガで 学ぶのが効果的だし、英語にいたってはペーパーパックの“あぶない”小説を読んでものにした という受験生もいるくらいだ。 小論文や倫理社会の対策としては「ソフィーの世界」が最高だ。少女マンガは現代文の小説読 解力を向上させるし、ニュース番組は政治経済に当然役立つ。インターネットにハマると物理や 数学が出来るようになるのは、自然にやる気が出てくるからだろうか。 あまり勉強をしているように見えない生徒で、とんでもなく高い偏差値を出している人には何 らかのオタクが多い。女の子の場合はアニメ、男の子の場合はパソコンあたりだ。 そういう生徒は、いわゆる勉強の本でも哲学書や学術文庫、ブルーバックさらには雑誌「大学 への数学」にハマっていたりする。 要は勉強をただ灰色のつらいものとせず、少しでも興味のあるものに置きかえてやってみると いうことだ。 誰でも興味のあることになら熱中できる。そしてひとつの科目で勉強のノウハウ(コツ)をつ かんだら、すべての科目で応用できるようになる。そういう意味で、すべての好奇心は知的好奇 心である。 コラム8 予備校講師というと知力が優れていると思われやすい。実は体力が問題なのだ。 週に6回も飛行機に乗り、片道6時間もかけて電車通勤をし、逆に短時間の移動のときは山の


手線内で夕食をとる。 朝は6時前に家を出、帰りは深夜。それからテキストの予習。日曜日も休まない。 そういえばY予備校のある老講師などは朝9時から、ぶっつづけに6コマ(1コマ90分)を 夏季いっぱいやっていた。大声で怒鳴り(声の大きさが勝負)、走りまわり(黒板はとても長い) 、 過労死した講師もいたらしい。 生徒「アイツ、あんな簡単な式までノートしてるから、だから計算が遅いんだよ。」 声「やはり、こういわれた生徒の方が合格した。 」 PART4 ダメな生徒のための科目別とっておきの勉強法 ♥英語の発音問題が不得意なキミに 英語の発音が悪いから発音問題が苦手だと思いこんでいる受験生がいるが、入試問題に出てく る発音問題はアメリカ人にも解けない。たとえば日本人でも日本語の発音・アクセントちゃんと しているかというと、そんな人はいない。それが出来れば特別なアナウンサーなどになれるくら いだ。 つまりハイレベルな入試で聞かれるのはふつうのアメリカ人でも間違えやすいところなのだ。 それなら「よく出る発音・アクセントのルール」(石原明監修)などを覚えた方が手っ取り早い。 何も流暢に英会話出来ることが受験英語の対策ではないはずだ。 もちろん英会話も出来ないより出来た方がいい。効率的な対策は、 1 英語つづりの表示される電子英語発音辞書やVIDEO映画の活用。 2

英語テープ(物語、ニュース、駿台の700選テープ)などをBGMがわりに繰り返し流

す。 3

はじめのうちは発音の良し悪しはあまりに気にせず、英文を音読する。そのとき出来るだ

け速読する。 結局、他人の発音を耳で聞くだけではなく、自分で声を出してみてその発音が自然に補正され るようにもっていくのが一番だ。 実はよほどひどい発音でも現場ではけっこう通じるものなのだし、恐がって話さないでいると、 いつまでたってもうまく話せない。 英会話は習うより慣れろの精神でいくのがいい。英会話で大切なのはテクニックではなく度胸 だ、とさえ言われている。 そういえばシンガポール人の英語はムチャクチャでイングリッシュではなくシングリッシュだ といわれているのだが、最近シンガポールでこういう経験をした。 タクシーの運転手いわく、 「きみたち日本人の英語とシンガポーリアンの英語の発音は違うだろ。 それはね、日本人がアメリカの英語を習っているのに対し、シンガポーリアンの英語はブリティ ッシュイングリッシュだからなんだよ」 ♥キミの日本語は国語の成績にはつながらない、なぜだ!! 私は日本人だから日本語は大丈夫だ。だから国語の、現代国語の勉強はわざわざしなくてもよ


い、こう思っている生徒がいる。 そういう生徒は国語の成績を上げるにはどうすればいいんですかと教師に質問して、本をいっ ぱい読んだらいいとアドバイスをされる。そして、もうそんな暇はないとあきらめたりする。 ちょっと考えてみよう。言葉の世界は大きくパロール(会話語)の世界とエクリチュール(文 章語)の世界に分けられる。そして日本人なら大丈夫だと思っている国語とは会話語の世界の国 語だ。ところが通常は国語の入試にヒアリングやリスニングはない。受験国語はリーディングと ライティングだ。いくら会話語が得意な人でも、受験のためには1から文章語の学習をしなけれ ばならない。 だから、学習法も英語のようにすることだ。つまり文法と単語を重視する。会話語がわかって いても文章語はわからない。文章語のための単語力をつけること。最近はそのための単語集も売 っている。国語が不得意な生徒のほとんどは日本語(文章語)の単語力がほとんどない。文章語 の単語のほとんどは漢字熟語だから、漢字の意味を考えながらたくさん覚えるといいのだが、外 来語などのキーワードも多い。やはり「現代文重要語」 (桐原書店)などの専用単語集で学習する のが手っ取り早いだろう。 現代国語の文法とは読解文法のことだ。いわゆる国語文法の知識も必要だが、文章全体の構造 をつかむための読解文法の力があった方がいい。読解文法はこの本だけでは解説しきれないので ヒントをひとつ。 出来るだけ対義語と類義語を覚えて、問題文を読みながらマークをつけてみる。こうするだけ でびっくりするほど本文がとらえやすくなる。 なお英語と同じ学習法といえば、1つか2つ難解に思える問題文(評論文)をそのままノート に書き写してみるといい。ただ読むだけでは気づかなかったところが見えてくる。 著名なある評論家は、図書館に通って1日中、論文をただ書き写していたという。 ♥小論文は誰だって書ける(作文編) 小論文の書き方がわからない、と言う生徒には次のように教えている。 「高校3年間をふりかえって」 「なぜこの学校(学科・学部)を選んだのか」この二つのテーマ だけで、800字の文章を書いてもらう。前者のテーマは、その受験生がどれだけ充実した高校 生活を送っているか、後者のテーマは、どれほどの熱意と目的をもって、これから学生生活を送 るつもりか、というように、両者とも主に短大などで面接代わりに作文として課されることが多 いものだ。 この作文の出来を見ると、その受験生のそのときのだいたいのレベルがわかり、その後の学習 法も見定められる。このレベルがまったく書けない人は、このようにする。 同じようなことを友達から聞かれたとしよう。 リラックスしてキミは答える。おしゃべりをする。雑談をする。それでいい。たとえばそのお しゃべりをそのままテープにとって、あとで書き写したとする。とても800字には収まらない ほどの量になっている。そんなものだ。 はじめは適当におしゃべりをするつもりで書いていこう。だんだんうまくなればいい。まず書 かなければ何も始まらない。 そして、同じテーマで数回書いてみる。800字なら、段落は3つから4つにする。 「、 」や「。」


の付け方がわからなければ、20字1行の原稿用紙なら(もちろん、最初は、レポート用紙など に書きなぐってもかまわないよ) 、 「、 」は1行に1つから2つ、 「。」は2~3行ごとに1つを目安 にするといい。 それから、漢字の書き違いがないようにする。面倒でも辞書を引いてチェックする。なお、あ まり難しい言葉はつかわない。カッコいい言い回しや、しゃべり言葉はやめるようにする。わか りやすい普通の文章にするのがベストだ。 ただし、以上のようなルールは、はじめのうちは気にしないこと。まずは書くことだ。書かな ければ、どんないい文章を書ける人でも、やはりゼロ点なのだから。 ♥小論文は誰だって書ける(初級編) 朝日新聞のコラム「天声人語」を使っている。こう言うと、あれは深みのない単純な文章でダ メだ、と言う人が必ずいる。確かに一般性のある典型的な文章で、だからこそ、初級編の小論文 対策にはもってこいだ。*ただし、いまの天声人語は駄文だから決して参考にしてはいけない。 1 原稿用紙のルールを守りながら、 (◇しるしのところはちゃんと段落変えをする)書写する。 これは一字一句のニュアンスをじかに感得するためでもある。 2

小見出しとタイトルをつける。つまり段落ごとと全体の題名をつける。これは文章の構成

を学ぶためだ。なお、 「天声人語」はコラムの題名であって、その文章そのものの題名ではない。 3 50字以内に要約する。 4 同じテーマで、自分の意見を200字以内で書く。 以上のことを1週間続けてもらう。はじめのうちはこれだけで2~3時間かけてしまう人がい るが、それでもかまわない。途中で休まずに必ず続けること。これだけでもある程度のレベルに 達する。 小見出しのつけ方だが、これはその段落のキーワードを見つけてそれを使ってもよい。長さは 10~15字程度。出来るだけ短く、しかも出来るだけ人目でその段落の内容がつかめるような ものがベストだ。全体のタイトルは小見出しの全部を見てからつけ直すと、構成がもっと理解で きる。 キーワードの見つけ方は、こう説明している。 目の悪い人は眼鏡を外して、文章を少し遠ざけてから眺める。少し濃くなっているところがキ ーワードだ。なぜこうなるかは別の項目で説明している。 要約の仕方については、全体のタイトルを頭に入れながら、小見出しをつなげていく。そうす ると、誰でも簡単に要約が出来る。これは文章要約の最終兵器だ。 ♥英会話が出来ても受験英語には役に立たない 受験のためにと思って英会話を習っている人がいる。これは時間のムダだ。日本語がいくら話 せても現代文がちゃんと解けるわけじゃないのと同様に、英会話が出来ても受験英語には通用し ない。たとえば、発音問題についても、ふつうのアメリカ人(たぶん田舎の大多数のアメリカ人) でもうまく発音できないようなレベルが出題される。これは学んではじめてわかるものだ。日本


人だって標準語ちゃんと話せるのはアナウンサーくらいだ。そういえば帰国子女の弱点は意外な ことに、文法と<発音問題>だ。 単語についても、評論文に用いられるようなハイレベルな単語は日常会話を目的とする英会話 では学べない。英語のニュース解説や討論番組がわかる程度でないと通用しないのだ。 文法については言うまでもないだろう。学校できちんと学ばなければ、ふつうの日本人に日本 語文法はわからない。むしろ最近は、JAPANESEを学んだ外国人の方が、日本語文法に詳 しいくらいだ。 教養の一部として、もしくは実用のために英会話を学ぶのならいい。受験のためと思って学ぶ と失敗する。どちらもレベルが高いか低いかということではなく、この両者は別々のものだから だ。 英語を大多数が話す国でも、英会話は難なくこなせるのに、英語の新聞が読めない、英語の論 文が読めないという人はたくさんいる。 日本人でも日本語、たとえば日本経済新聞が読めない人は少なくない。しかし、入試はそのレ ベルが出題される。 逆に受験英語のプロで、もしくは翻訳のプロで、英会話の方は「どうも発音が・・・」という 人はおおい。TOFELでもリスニングの割合はそんなに多くない。海外の大学が通信教育(リ ーディングとライティング)だけでも学べるようになっているのは当然だろう。 ♥困ったときの小論文テクニック A~(何々)と言われているが、実はB~である。なぜならばC~であり、D~という例もあ る。またE~は~と述べている。もちろんF~という意見もあるだろうが、G~であるから、や はりB~である。 以上の文章例の中の~の部分を埋めていく。これだけで一応模範的な小論文がつくれる。 Aは一般的な意見または参考文の要約。Bは独自の意見。 もちろん、反対の意見を必ずしも述べる必要はなく、同意見なら「これは確かにB~である」 となる。ただし独自の観点、別の角度からの意見を述べる。 Cは理由・根拠。 Dは具体例。 Eは権威からの引用で、新聞・書物から言葉を引用してくる。これは制限字数に不足しないよ うなら、べつに書く必要はない。 Fは読者の反論の予想。 Gはそれへの反論。そしてBをくりかえして結論とする。 このようにして、小論文全体を構成する。数回の練習で誰でもうまく書けるようになる。 800字程度の文章なら、AとBで第1段階、CとDで第2段階、第3段階で再びBをもって きて、序章・本論・結論の三段構成にする。CとDで別々の段落をつくってもよいし、あとは制 限字数しだいでA~Gの要素を入れていく。 なお、1行が20字の原稿用紙なら、800字の文章全体で3つから4つの段落に分けるとよ い。


また、句点は2~3行ごとに一つ、読点は各行に一つから二つにすると、自然に読みやすい文 になる。 そして、決してカッコいい文章にしようなどと思わないこと。芸術系の大学は別として、特別 な表現(修辞法)はつかわずに、単純なくらいわかりやすい実用的な文章を書く方がいい。文章 そのものの説得力は、テーマの深い理解から自然に生まれてくる。 ♥日本語(国語)を軽視すると上位校に受かれない 受験は英語が勝負だ、と言って、英語ばかり勉強する人がいる。確かに文系でも理系でも、英 語が受験のベースにはなる。ところが国語が出来ないと、その英語すら伸び悩むようになる。海 外帰国子女で英会話は抜群、英文もすらすら読めるけれど、なぜか英語の成績が上がらない、と いう生徒がいる。それは英文和訳がダメだからだ。本人はちゃんと訳したつもりでいても、採点 者からみると、まともな日本語になっていない。 慶応大学の総合政策学部のように国語が必要でなく、英語が特に重要なところでも、その英文 は、かなり国語力があって日頃から日本語の評論などを読み慣れていないと、歯が立たない場合 もある。 日本人にとって通常は英語より日本語のほうがよりニュアンスまでつかんで読解できる。だか ら、文章の内容そのもののレベルは英語より国語の方が高くなる。 そういえば数年前、韓国の国立大学での日本語での受験が出来なくなったことがあった。表む きの理由は、日本人の学者は独創的な仕事をしないので、日本語を学んでも学問に特に役立つと は思えない、だったと思う。たしかまともに反論した日本人はいなかったようだ。 確かに、日本の学者は外国の文献の翻訳・紹介ばかりで独自の仕事はしない、とはよく言われ ることだ。日本の学者は世界中の独創的な研究をせっせと日本語に翻訳してばかりいた。まあ、 反論の余地はなかったのかもしれない。 しかし、そのおかげで、日本人は母国語だけで世界中の文献を読んで、必要なら独自の研究が 出来るのだ。この蓄積が今ではものをいう。たとえば、英語圏以外で母国語だけで高等教育が受 けられる国なんてめったにない。 しかも、国際化が否応なしに展開する現在、日本語という日本人のアイデンティティはさらに 大切になる。 日本人にとって国語はすべての学力の基盤だ。文章題だけでなく、命題や集合の数学が国語力 に左右されやすいのは当然だし、英語だって国語力がなければ和訳できない。 第一、理科も数学も英語も、参考書は日本語で書かれているし、授業もふつう日本語だ。レベ ルが低いうちはどうにかなっても、内容が高度になってくると、国語力の不足はじわじわとこた えてくる。 それでは英語で全科目をやったらどうだろう。英語の方がわかりやすいし、面白いから、英語 だけで受験できる大学もあるから、こう思う人が必ずいる。 しかし、英語は中学校から学ぶが、国語は小学校から学ぶ。中学3年生の国語文法のレベルと 英文法のレベルを比べてみるとよい。国語の方がはるかに高度な内容を学ぶ。これは英語を小学 校から学ぶことにしても変わらないだろう。なぜなら日本語環境の中で日本人は生活し、読書し、 そして考えているからだ。


日本人は日本語で考える。その道具である国語が出来なければ、能力そのものも劣ったままに なる。つまり国語が出来ないと、学習全般の能力も伸び悩むのだ。 別に日本語が特に優れていると言っているわけではない。外国語のレベルはどうしても母国語 のレベルには及ばない、ということだ。そして、言葉で人は考える。 コラム9 「この予備校はクサっとる!」 こう叫んで、その講師は椅子をひっくり返して、講師室から出ていった。 Y予備校から高額のギャラで引き抜かれてきたその講師は、その有名予備校の看板講師として はりきってやってきたのだった。 しかしその予備校は羊頭狗肉というやつで、看板講師は本当に看板だけで、実際の講義を受け 持つのは別の講師陣。夏期講習にいたっては、最初いきなり零コマという扱い。 翌年、その講師は別の有名予備校に再移転した。まだ幸運なケースだったといえる。 ♥受験数学の賢い勉強の仕方 数学はやはり暗記ものだ。それではどうやって暗記するか。もちろん理屈がわかった方が暗記 しやすい。 まず岩波ジュニア文庫の「数学公式徹底入門」 「数学公式に強くなる」を読もう。これは中学生 向けに、大学受験の数学まで説明してくれているすばらしいものだ。 それから旺文社の鉄則シリーズ。これは解説が例題の10倍くらいある、とても丁寧なもの。 いきなり解法解説と一緒に読んでいっても、十分力がつく。一度解いてから解説を見るのなら、 全統模試の解説は、数学だけでなくすばらしい。 日常の宿題などは「高校数学解法事典」 (旺文社)を引いて、たいてい類題があるから、時間を かけてそれを探し出して解答する。くれぐれも、最初から自分の頭で解こうなどとしないことだ。 それが出来るのなら、キミは天才的な数学者だ。もう大学へなど行かなくてもいいから、人類の ために、すぐ研究生活に入ってほしい。 解法がわかったら、次はそれを見ないで出来るだけ速く解答できるように、もちろん途中の式 も省略しないで、解く練習をすることだ。こうして、いろんなタイプの問題にすばやく対応でき る能力をつけることが、受験数学の成功に直結する。 なお、数学で気をつけることは、理解できただけでは点は取れないということだ。くりかえし 速く解く練習をしていないと、本番では制限時間内に解答にたどりつけない。 ♥体験的数学勉強法を公開 数学を教えはじめたときはさすがに死ぬ思いだった。何しろ国語意外は偏差値50を超えたこ とがなかった。特に数学は高校の定期考査で二度続けて零点をとって、 「学校始まって以来だ」と ホメられたくらいだ。 けれど学校では生徒から専門外の質問もされるし、家庭教師もたまに全教科頼まれたりする。 塾によっては代講しなければならないこともある。 そこで身につけた一番の勉強法。模擬試験などの解法を読んで、解法をそのままノートしなが


ら、式の流れをつかむ。難しいのは途中が省略されていることが多いからだ。これは国語力の有 無が勝負かもしれない。 それが掴めれば、あとは出来るだけ多くのパターンの問題を同様の方法で解いていく。それだ けだ。 実際の受験の場合は制限時間内に解くために、何も見ないで式を展開させられるように同一問 題や類題でくりかえし練習しておく。 なお、学年が高いほど難しいわけでもない。中学受験の算数は恐ろしく難解だが、ベクトルや 二項定理は慣れると解きやすい。 ついでに特にお世話になった参考書をいくつか挙げておく。 「高校数学Ⅰ・Ⅱ」 (NHKテレビ) 「ラング解析入門」 (岩波書店) 「寺岡の鉄則実践問題集」 (旺文社) 「受験数学の盲点78」 (駸々堂) 「高校数学解法事典」 (旺文社) 「数学ハンドブック」 (聖文社) 「数学公式徹底入門」 (岩波ジュニア新書) 生徒「他の予備校は浪人向けだからダメなんだって。オレは現役で入学するし、ここの方が楽し いからね。 」 声「当然、この生徒は翌年、浪人向けと言われた予備校に入学した。 」 PART5 興味シンシン・予備校講師のウラ話 ♣バブル崩壊後の予備校講師のギャラはどうなっているか バブル経済のころは日給10万で普通ともいわれた予備校講師に、今もなりたがっている人が 多いそうだ。しかし、平成恐慌と称されそうな昨今、講師のギャラだって大幅に下がっている。 たとえば、Y予備校ではボトム(1コマあたりの最低ギャラ)が1万2500円であったが、 昨今は8000円を切ったといわれている。I予備校は例外的に今もボトム1万円をキーズして いるが、他の予備校の場合、大手でも1コマ90分で5000円もらえればいい方で、中小の予 備校なら3000円以下がもザラだ。 それも1日2コマ、週に4コマ、月に15コマ平均だから、月給は5万円以下。これではとて も生活できない。 それでも仕事があればいい方で、就職浪人の大学院生などがタダ同然でも働きたがるので、よ っぽどの実力がないと、まともな収入は期待できない。 逆にいうと、今後も予備校講師だけで―つまりスタッフ兼任もなく、文筆活動もなくやってい ける講師には、よっぽどの実力・覚悟がいると思われる。 ここで「思われる」としたのは、予備校業界そのものも軽費の削減のために、中には安いギャ ラでよければ、実力がなくても雇ってくれるところがあるからだ。


そういえば、J予備校では人気凋落のためつぶれかけたのが、思い切った人件費投資をやって 人気回復した。そうしてどんどん生徒が集まるようになったとき、ギャラの高い講師すらクビに しはじめた。かわりにチューターがいきなり講師になった。 またT予備校では、高いギャラで引き抜いてきた看板講師に夏季の講座を持たせず、大学生に たくさん講座を持たせていた。 もちろん、こういう講師・予備校にあたった受験生は災難だが。 ♣予備校講師になる法 Y予備校の場合、いきなり講師採用の試験はしない。独自に調査をして評判のよい講師をスカ ウトする。チューターやスタッフとして採用して、養成する場合もある。 一般的には、やはり新聞などで公募して採用試験を行う。大学入試問題を筆記試験で解く、教 育もしくは教授法について小論文を書く、さらに模擬授業を行う、といった方法で採用していく。 人事について発言権のある講師の紹介がないと、採用されにくい予備校、大学院を出ていない と実力があっても採用しない予備校、無名大学出身でも実力次第で優遇する予備校、ある程度教 えられれば、ギャラが安ければいい予備校など、と様々だ。 採用後も、ダメなら2~3ヵ月でクビにするところ、契約した以上は1年間はクビにしないと ころなどがある。実力ある講師にとっては、もちろん実力主義の方がやりがいがある。 講師の方でクビにされないために、いつも生徒を怒鳴りつけて、 「恐い先生だから、アンケート に、たとえ無記名でも悪いことは書かれないようにしよう」と生徒に思わせたり、逆に食事をお ごるなどして、それだけで人気をとったり、と、正攻法以外のことにがんばる講師もいる。生徒 の方も勉強そのものに耐えられずに、そういう講師を利用して、予備校生活そのものを少しでも 気楽なものにしようとする者もいて、つまり、ここもやはり人間社会の縮図になっている。 そういえば、頻繁に講師募集をする予備校の場合、べつに拡大しているからではなく、人事面 に問題があるのか、経営上どんどんギャラの安い講師に取りかえているかのどちらかだが、これ もまた一般企業によくある例が再現される。 一般企業と違うのは、いちはやく年功序列・ボーナス・終身雇用という日本的経営の三種の神 器から見捨てられていて、しかもいつでも予備校側からの一方的な都合でクビにされるというこ とだ。 もちろんその分だけギャラが高いのは、野球での外人選手の立場に似ている。 ♣受験生を落とすチューターや講師の微妙な関係 それは受験生との間に明確な力関係を保ちたがっているからだ。そういう場合は、たいてい受 験生からバカにされることを極度に恐れている。 だから、受験生がすぐに答えられない質問をすると不機嫌になったり、自分がアドバイスした 勉強法をとらないと無視したりする。 逆に受験生が何でも言うとおりにしているように思えたら、今度はしきりに他の講師の評判や 弱点などを聞きたがる。もちろん他の講師との間にも、優位な力関係を築きたいからだ。そうい えば、ある予備校のスタッフ兼講師は、 「キミのクラスにぼくの去年教えた生徒がいてね、誰かわ からないだろうけれど、いろいろと情報を教えてくれるんだ」と言っていた。たとえ嘘でも、こ


のようなことが脅しになるようなところだった。 それからキミが志望校を決定するときに、急に意地悪くなる場合もある。たいてい学歴コンプ レックスを過度に持っていて、きみの受ける学校のレベルが自分の卒業大学より高いと思ってい る。 出藍の誉れは教える方にとっても名誉のはずだが、そうは思わない講師もいる。たいていの場 合、彼はもうゴールにいると思っている。実は、死ぬまでゴールはないはずなのだが。 こういう態度でいる限り、もう本人も向上しない。たまに中小企業の社長が、自分より能力の ある者を嫌って、結局人材不足で会社をつぶしてしまうのにも似ている。ナポレオンの偉大さは、 常に自分より能力のある者を部下にしたからだと言われているのだが。 ♣良い講師・悪い講師の見分け方 キミが未熟な質問をしたとき、ただバカにしたり叱ったりする講師。これはもちろん悪い講師。 未熟なキミだからこそ予備校に来ているのだし、むしろ基本的なところにこそ、難問を解くコツ はあるのだ。ただし、キミがわざとそういう質問をしたりしても、良い講師なら見抜いているは ずだから注意するように。 出来る講師は、入試問題を持っていても、すぐにその場で解法を説明してくれる。解答がそう なっているから、などとは決して言わない。なぜ解答がそうなっているかを説明してくれる。た だし、キミがわざと解答例を隠して、意地悪をしようとはしないことだ。ある大手予備校の人気 講師は、テキストに解答例を貼りつけて、ほとんど予習せずに講義していた。とてもわかりやす い講義で評判がいい。 学者が研究に研究を重ねて独自の正解を教えても、それでは点は取れないだろう。だいたいそ んなレベルの講義がわかるようなら、やはり予備校には行かない。 逆に大学院生レベルの講師が、それこそ一夜漬けで徹底して予習に予習を重ねた講義は、熱意 こそ伝わるものの、少し違う角度から質問されるとたちまち行きづまる。プロの予備校講師なら、 毎日毎時間自己啓発して、つまり一生予習を続けて、どんな角度からも説明できるようになって いるはずだ。 もちろん、このような講師はまだ一人もいない。 ♣涙、涙のパフォーマンス講師 変装をしたり、歌をうたったりで生徒の人気をとっている講師を悪く言う人は多い。では当の 講師はどう思っているのか。パフォーマンス講師はたいてい講師室ではクラい。実は生徒にもバ カにされていることを知っているからだ。 生徒の方は笑いながら、予備校の講師もこんなことやらなくてはやっていけないんだ、こう感 じて自分の勉強に疲れた心を慰める。 そういうことだ。予備校は勉強を教える場とは限らない。つらい受験生のカウンセリングの場 でもあり、講師はもちろん聖職ではなくサービス業だ。 自分には出来ないけれど、そう割り切って日々パフォーマンスに励む講師のことは、やはり尊 敬する。 しかし、この涙のパフォーマンスが第一目標になると、どうかと思う。横浜のある現役専門予


備校は、採用試験で講師のルックスやボイスを中心にチェックしていた。スタッフいわく、 「いま の時代、まじめに教えればいいってもんじゃないんです。しゃべり方が魅力的かどうか、こうい うことが大切なんです」 生徒「推薦でいいところ合格できるから部活ガンバる。受験勉強なんて青春じゃない。」 声「たいてい、こういう生徒は浪人生として青春をエンジョイする。 」 PART6 失敗しない受験作戦 キミの頭は固い、もっと柔くして大学を選べ ◆学歴取得のための裏ワザもある 普通高校を出て一流といわれる大学に進学するのは、少なくとも現役で一般受験して合格する のはきわめて困難だ。 しかし目的が学歴取得のためなら、現在多様化する教育環境の中で、さまざまな裏ワザがある。 たとえば、中学の学歴しかキミが持っていないとしよう。ある進学校から、たまたま10名前 後もの中学浪人を出したことがある。受験勉強の復習のためだろうか、その担当講師が指導して その夏の大検を受けさせたところ、全員合格してしまった。もう高校に行かなくても、その年齢 になれば、大学を受験できることになってしまった。 ほかにも放送大学の選科生として1年以上在学すれば、その先、放送大学へ進学できる方法な どがある。 放送大学や通信制の大学は入試が事実上ない。自分は丸暗記の受験勉強は苦手だと本気で思っ ている人は、この方法の方が役に立つ。 慶応大学の通信制に例をとれば、ここから何人もの一流マスコミ人などが出ているし、放送大 学からはいきなり、学士ではなく、博士号をとるような人も出ている。もちろん、それなりの実 力がつかなければ卒業できないよ。 通信制といえば、海外の超一流校を日本で卒業することも出来る。よく、通信制というのは友 達もなく、1人で地道に家庭学習をして、あげく途中で挫折していくことが多いと思っている人 もいるが、実はスクーリングもあるし、必要ならその先MBAなども、進学して取得できるよう になっている。 シンガポールでは、いわゆる専門学校で、普通の学校のように通いながら、海外のMBAなど が取れるようになっている。今後、日本でも始まるだろう。 ◆進学に有利な高校の頭のいい見つけ方 よく公立校は予備校とはっきり違うのだから、浪人して当たり前の指導をしている、私立の方 が受験には有利だ、などと言う人がいる。ある意味では正しかったのかもしれない。 けれど公立校は、伝統のあるところは特に、いろんな生徒が出ているので、中には現役で一流 の大学に入った人もいる。また、浪人して超一流の大学に入った人もたくさんいる。そのために 指定校推薦の枠を、それほどの偏差値はなくてもしっかり持っていたりする。また、授業料が安


いので、その分併願校を多めに受けたり、予備校を利用したりしやすい。 私立の場合、たとえば東大合格者が多い高校であっても、大変なマンモス校で、実はほんのひ と握りしか志望校へ進学できていなかったり、ほとんど浪人してから大学に入っていたりする。 浪人してからの勉強は、その出身校とはあまり関係がない。 現役で進学するのなら、私立の女子高は比較的有利だ。保護者が浪人を嫌う傾向があるので、 その要望に沿って、学校側も現役合格を目指した指導をする場合が多い。 進学に有利な高校を見つけるのなら、指定校推薦の数と質をチェックする。現役だけの合格者 の内容をチェックする。予備校も利用しやすいカリキュラムかどうかチェックする、などという ことが大切だろう。 ◆良い予備校、悪い予備校の見分け方 これは受験生自身の目標と性格による。 たとえば、代ゼミは受験のプロがそろっていてわかりやすい講義が展開されるが、ともすれば 受験生の方がそれに甘えてしまい、少しわからなければ、すぐ講師の教え方が悪いと思ってしま い、自分で努力しない傾向がある。これではせっかくの講義も猫に小判、豚に真珠となる。 駿台は駿台文庫が特にすばらしい。模擬試験のレベルも高く、ことによっては高すぎるかもし れないが、これで高得点をとるとかなりの自信がつく。過去問集に関しても、他社の赤本などと 比べて最も性格で解説もわかりやすい。 河合塾はやはり全統模試だ。これを毎回、高1のはじめから受け続けて、復習もきちんとする と、模試解説も下手な参考書などよりよっぽど優れているから、予備校そのものに通うより役に 立つほどだ。これだけで上位校に合格できるほどのレベルだ。 地味だが手堅いのは一橋学院だろう。下位校から上位校まで、受験生1人1人のニーズにきめ 細かく応えてきちんと合格させる。テキストそのものも丁寧につくられている。 衛生授業に関しては、フォローの仕方しだいだろう。ただ優れた講義を見るだけなら、NHK の高校講座が無料で利用できる。 予備校によっては高校の退職校長を再雇用するなどして、事実上の提携をしているところもあ る。あるいはごく少数の、最初から見込みのある生徒のみ上位校に合格させて、大多数は授業料 を払うだけ、といったところもある。 ◆専門塾・個人塾の活用を誤ると失敗する 予備校によっては講師が選べないところがある。季節講習まで講師指定が出来ないとすれば、 場合によっては不人気な講師に当たることになる。もちろん人気だけで判断してはいけないが、 とかく季節講習期間は学校の教師のアルバイトや新人講師の実習に利用されやすい。あるいはセ ット販売のように、コース全体を申し込むと、その中に実力不足なためにギャラの安い講師を混 ぜて、全体で採算をとろうとするところすらある。 それだったら最初から個人塾を選ぶ方がいい。1人で何科目も教えているからといって、どの 科目もマンモス予備校の下手な“専門講師”より優れて教えている場合もあるし、そうでなくて も人間的魅力がキミのやる気を引きだしてくれる。人が人を教えるのが教育の本来だとすれば、 ある意味で理想的な受験勉強が出来る。ただし、人と人とは人間関係を持つ。うまくいっている


うちはいいが、人間関係の難しさはどこでも同じだ。それを十分わかっている場合だけ、個人指 導はうまくいく。 最近は英語だけ、あるいは数学だけといった予備校があり、その専門性をアピールしている。 しかし、これもただ1科目だけしか教えられないだけで、その専門科目の実力もマンモス予備校 の一般講師に及ばないとしたらどうだろう。 個人塾・専門塾ともに、利用法・選び方を間違うと失敗する。 ◆受験大学の見かけの偏差値にだまされるな 偏差値は無慈悲だ。合格不合格がはっきりわかるからだ。偏差値がわからなければ?とうてい 合格できないところに入れると思いこんで、たいした対策も立てないまま受験することができる。 少なくとも実際に落ちるまでは、夢も希望もあるからだ。逆に合格できるところも、出来ないと 思いこんで受験しないので、受験料が助かる。 つまり、偏差値は正しく用いれば強力な力を持っている。だからこそ偏差値を上げたくて、受 験生だけでなく大学も必死になるのだ。 それならと、見かけだけ偏差値を上げる方法もある。たとえば、今偏差値40の学校があった としよう。100名募集のところを、すべり止め受験している偏差値平均60の上位10名だけ を合格させたとする。これで偏差値は20も急上昇する。 もちろんその10名はほとんど別の学校に合格してしまうので、このままでは学生数がゼロに なる。そこで大量に補欠合格を出す。この学生たちの成績は見かけの偏差値にはあらわれない。 合格した学生たちは大変ラッキーだと思うだろう。自分の偏差値よりずっと高いところに合格で きたように見えるからだ。 高校でもいやに偏差値だけ高くて、大学への現役合格の方はさっぱりというところがあるが、 これは何も在学中の3年間に全然勉強が出来なくなってしまうためばかりではない。見かけが実 質に暴かれただけだ。 ◆いま大きな変革の時、大学も“人気で選ぶな、やる気で選べ” 現役で上智の英文に入り、難関のリクルートに新入社した女の子がいた。その翌年にあの事件。 事件そのものの評価については緒論あるが、少なくともイメージだけで入社したとしたら失敗し たことになる。 あるいは戦後、東大を出て製鉄会社に入社するのがエリートコース、私大からテレビ局などに 入社するのは“落ちこぼれ?”コース。景気のいいときは公務員はパスしたいが、いまは公務員 が一番。 このように、そのときの人気だけでもし選んだら失敗する。やる気で選んだところなら、会社 でも学校でも、時代の流れの中で成功できるし、たとえそれほどうまくいかなくても、好きな道 なら、やる気もなく人気企業に居続けるよりましかもしれない。 ただでさえ、いま大きな変革の中にいる君たちにとって、日本の数年間だけしか通用しないよ うな“常識”や“人気”にとらわれて、キミ自身の生き方を選べないようだと、目標も見定めな いまま、不必要で非効率な受験勉強をすることになる。 それなら、むしろ受験勉強よりも普遍的な教養を身につけたほうがましだろう。いま価値観も


混乱し、哲学書がベストセラーになるほどの、先の見えない時代の中で、キミたちの生き方は身 近からは得られにくい。詩や哲学の必要な時代は悪い時代だが、何も悪い天候(日照り)のとき に水が必要になるから「水が悪者」というわけではないように、キミ自身の生きるための“水” を、歴史的な視野の中から選び取らねばならない。 ◆見えない革命がキミに見えているか 逆資産効果というのがある。資産(不動産や株)を持っていると、逆に貧乏になるというやつ だ。 たとえば、1億円の資産を持っている人が、それを担保に1億円借りて、別にもう一つ1億円 分の土地を持ったとする。バブル経済のころまではすぐに土地が値上がりして2億円になる。元 の土地も2倍になるので、借りていた1億円と利子を返しても、2億円近い儲けになる。 つまり元の1億が3倍に、3億になるのだ。だからお金持ちは出来るだけたくさんお金を借り て、土地を買った。 ところがバブル崩壊で、逆に土地が2分の1に下がってしまった。 つまりもとの1億が完全に無くなって、利子の分だけ赤字になった。お金持ちであればあるほ ど、実は貧乏になったのだ。 このような大逆転は、ふつう革命でもないと起こらない。いま起こりつつあることは、見えな い革命だ。 ◆キミたちはどのような進学・進路を選ぶべきか バブル景気→バブル崩壊→米不足→大震災→取付騒ぎ→金融機関の倒産→日銀特融→台湾の銀 行が倒産→デフレ→リストラ→失業者の続出⇀銀行の寡占化⇀世界恐慌⇀? 以上の→部分は第二次大戦前の歴史であって現在のものではない。が、ほとんど同じ。だとす ると⇀の部分のように今後なるのだろうか。それなら預金は、資産形成は、、、。どうするべきだろ う。そして、キミたちはどのような進学・進路を選ぶべきだろうか。 遠き遠慮りなければ必ず近き憂ひあり、というが、今は数百年に一度とも言われる世界史の大 変革期、もしもキミが就職に有利になるように進学するつもりだったら、いま役に立つ進路はす ぐ不利な進路だったことになることを知っておいたほうがよい。 専門家は保守的だ、といわれる。なぜならばその専門の仕事が不要になれば、失業するからだ。 アリを喰うために専門家したアリクイが、アリのいない環境変化に遭えば、絶滅するようなもの だ。 そういう意味で、例えば語学の専門家は、いまの自動翻訳技術が高度化すると失業しやすい。 税理士・弁護士・医師など、最近の人気の急落した業種は、時代の急変に対応できなくなったか らだ。 それなら専門家はもうダメかというと、そうでもない。たとえば医学に詳しい弁護士、東南ア ジアに詳しい税理士というように、さらに専門家した専門家には、その仕事が集中しやすい。 もちろん、何が今後必要になるかは見きわめにくい時代だから、いろんな分野に興味関心を持 ち、ものになるとわかれば、さらに深められる“教養”を身につける方がよい。 このような生き方をジェネラルスペシャリストというのかもしれない。資産形成というなら、や


はり“自分に投資”が一番だろう。 ◆“人生到るところに青山あり”国際化時代の進学作戦 模擬試験の上位得点者のリストに、高校名でなく“検定”とある受験生が増えていることに気 づいただろうか。いわゆる高校に行かずに、個人でまたは予備校の検定コースに入って、大学受 験者資格検定を活用して、大学進学を目指す人たちだ。 これなら仕事をしながらでも、外国にいながらでも、夏の一時期だけ戸籍のあるところで受験 すればやっていける。自由な時間を活用して受験勉強に熱中することさえ出来る。通信制課程に 在学、インターナショナルスクールに在学、などで検定を受検することも出来る。 いっそのこと、海外の統一試験やTOFELなどを利用して、海外の大学に入ることもいいだ ろう。海外の有名大学は通信制も充実している。 もし、進学が就職のためならば、少しでも早く日本あるいは海外で、仕事・アルバイトをはじ めるのもいい。東南アジアの高度成長ぶりはめざましい。日本がどんなに小さな田舎に見えてく ることか。人生到るところに青山あり。そこまでいかなくても、海外に住み、日本をそれこそ大 切な田舎にするのも悪くない。 ブーメラン効果など気にすることはない。いくら日本の側でクローズしても、他国から供給さ れる。そうなれば自由競争の埒外に置かれて、かえって衰亡するだけだ。エデンの国から追放さ れてこのかた、知は自己進化するものであって、いったん知ってしまったことを誰も消去しきる ことは出来ない。 むしろ積極的に、今度は日本の良い部分を、アジアに惜しみなく供給するべきときだろう。東 南アジアはいまも人材不足だ。就職できる。 ◆英語ではもう食べていけない 国際化だから、英語はもっと必要になると思っている人が多い。確かにそのとおりなのだが、 必要は発明の母というわけで、イノベーション(技術革新)の波はさらに激しい。もう手づくり の英語では対応できなくなってきている。 バブル崩壊後、英会話学校が次々つぶれたのは衆知のこと。実はその前から、英語では食べて いけなくなっていた。英語は大切だ。だからみんな一所懸命に英語を学んだ。そのため供給過剰 になってしまい、英語講師は掃いて捨てられるほどになっていたのだ。 ここに自動翻訳トランスレーターが登場した。以前、絶対発明できない三大発明として永久運 動機などとともに自動翻訳機があげられていたが、いつのまにかAI(人工知能)研究の発達と ともに自動翻訳が行われるようになり、それでもつい最近まで50万円以上したトランスレータ ーソフトが、とうとう1万円以下で発売されるようになった。それどころか、いま発売されてい るパソコンには最初からトランスレーターが組み込まれていたりする。首都圏で25%といわれ るパソコンの普及率が、今世紀中にはほぼ一家に一台と急増しそうな状況から、トランスレータ ーあたりまえの時代になりつつある。こうしてインターネットを通じて、誰でも英語の情報が自 由に得られるようになる。これが国際化だろう。 通訳にしても、音声入出力装置と組み合わせてトランスレーターを使い、さらに小型のPHS などにリンクさせて会話すればOK。


もちろん、文学の翻訳は、絵が写真になって滅びなかったように、むしろより高度に必要とさ れるだろう。 ◆受験生にとって男女は平等か 男女雇用機会均等法とバブル崩壊によって、女子の求人は激減した。それは同じ待遇で扱わね ばならないなら、女子も男子も同じく4年生大学卒で、しかも転勤・残業もやれる人でないと採 用できなくなったからだ。いま思えば、お茶くみで給料がもらえるなんて最高だった。 ところが男子も終身雇用・年功序列が崩れたために、生涯自己啓発し続けないと失業するよう になった。いま思えば、サラリーマンは気楽な稼業かもしれなかった。 つまり女子が女子であることに甘えられなくなったように、男子も男子であるだけで会社にい られる時代ではなくなったのだ。これでこそ、男女平等というものだろう。 以前は女子学生を獲得するために、女子は少しくらい低い点でも合格させる、女子には短大や 女子大学という方法もある、という特権があった。このごろはそういう特権は通用しなくなり、 サバイバルのために女子はますます勉強をするようになり、男子は逆に特権をもらわねばならな いくらいになった。もちろん、そんな男子は就職戦線で破れる。つまりもう、男子だ女子だとい う時代ではない。男女の差ではなく、実力の差がものをいうのだ。年功序列が崩れたため、年齢 差も通用しない。 まだまだ差別されている女子、というイメージに頼る女子もいる。まだまだ男性社会の中の男 子という幻想によっかかろうとする男子もいる。もちろん、古い差別もまだまだあるだろう。し かし、今やその全体の状況よりも、個人個人の差の方がずっと大きい時代になりつつある。受験 生にとって男女は平等化と問うよりも、個人個人の努力が大切なのだ。 やはり明治の変革期に生きた樋口一葉の歌に、 「吹きかへす秋の野風に女郎花ひとりはもれぬも のにぞありける」というのがある。半井桃水の愛人であったと非難する人もいるようだが、むし ろこの意志と能力からは、一葉が桃水を愛人にしていた、と解釈するべきかもしれない。 ◆こんな予備校に行くと落とされる 「あいつらは、どうせどこにも受かりっこないヤツらなんですよ。ちゃんと会議をしてデータ を見たからわかっているんです。そういう生徒のためにムリして教えて、他の講師との協力が出 来なくなってもいいんですか」 これはある予備校のチューター兼スタッフから言われた文句だ。いちばん下のクラスを受け持 っていたのに、たまたま上のクラスより進度も早く、内容もかなりよく出来た。それを、もう少 しゆっくり、それこそ雑談でもして適当にやってほしい、というのだ。そうしないと、上のクラ スの講師からも不満がくるという。しかし、自分としては、教えている以上一所懸命やりたい。 というより、この点で不器用なため、適当にお茶を濁すことが出来ないのだ。だいたい生徒のア ンケートでも「よくわかる」となっているのに、どうして、あえてゆっくり少しだけやらねばな らないのか、と、こう思うのは、ある意味では自分の方がまちがっている。しかし、受験生にと っては、そんな予備校は願い下げだろう。 こういう予備校もあった。生徒が質問に来ると、いきなり怒鳴りつける。 「そんなこともわから ないのか。ちゃんと学校で聞いてこい」これでは何のために予備校に来ているのかわからない。


そういう講師に限って、そんな予備校では権力を持っていたりする。 また、ある予備校では、人気講師をつくらないように、その講師の講座が受けられないように カリキュラムを組み、スタッフなどが他の講座を生徒に勧める。こんなこともあった。その人気 講師は、突然生徒が来なくなったので、しきりに首をかしげていた。もちろん翌年の交渉でギャ ラダウンをOKさせるための作戦でもあった。 もっとひどい予備校では、ギャラが高めの講師の生徒数を減らそうと授業中にクーラーを切っ たり、マイクを突然切ったりしていた。その授業が終わって、戻ってきた講師がスタッフに「こ の予備校よくクーラーがこわれるね」と笑いながら言っていた。彼は「プロの予備校講師は生活 防衛のために必ず複数の予備校をかけもちするべきだ」こう言っていた。 ◆推薦入試の時代の併願作戦 年度内に指定校推薦で理想校に合格。さもなくても、一般推薦で、合格したら入学した方が得 だという大学を受ける。もしダメでも本番の模擬試験になるので、特に現役生にとっては実戦経 験の不足を解決してくれるだろう。 一般受験は必ず偏差値が5くらい高めのところを設定して、勉強しよう。もしダメでも、本命 校に確実に合格できる。すべり止めは必ず確保しよう。すべり止めがないという受験生は、大学 以外も考えてみよう。もちろん留学や通信制も候補にしてよい。 このようにランクを違えて数校受けると、そのときの状況やキミのコンディションしだいで、 本命に落ちても理想校に受かることだってあるからだ。同じレベルのところばかりだと、1校落 ちた時点で他もあきらめてしまいやすい。 理想校1、本命レベル校2、すべり止め校1、そして推薦校の、5校受験がベストだ。 ここで注意する点は、推薦受験校は別としても、必ず同一受験科目、同一出題範囲の学校だけ で併願校をつくることだ。でなければ焦点が定まらず、それこそ二兎を追うものは一兎も得ず、 という結果となる。 なお、本命校は1年以上前、併願校全体も受験の半年くらい前には決めておきたい。途中で微 修正があってもかまわないから、必ず目標を明確にしておく。 コラム10 「予備校講師なら教え方はプロだろうということで採用されたんですよ」という彼は物理の博 士号を持っていたが、今どきコンピュータはさわったこともないという。それがいきなり有名大 学の情報処理というよりもパソコンの講師になったのだ。 そこでパソコンの操作方法などを大ざっぱに説明し、私の中古パソコンをレンタルした。 そういえば、ある大学のパソコンの先生は大卒だが、彼はパソコンが使えるということで、数 学が専門だったが、いきなり採用されている。 実力中心なのか、学歴中心なのか、 、面白い時代になったものだ。

yobikou  
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