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ギリシャワイン

発見の旅へ

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Photo credits: National Interprofessional Organization of Vine and Wine of Greece Special thanks to Dr. Haroula Spinthiropoulou, specialist agronomist-viticulturist, and winemaker of Argatia S.A., for providing part of her archive (pages 47-51) COPYRIGHT: ENTERPRISE GREECE – EDOAO


1 ユニークなご提案

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2 ギリシャワイン発見の旅へ

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(生育環境) 16 3 比類なき多様なテロワール

4 地域とアペラシオン (原産地名)

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5 バラエティー豊かなブドウの品種

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6 ワインツーリズム 52 7 ギリシャの食文化

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8 ギリシャ・ワインマップ

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目次


リシャワインは、 ようやく20年前から世界のワイン業界周辺で存在感 を示すようになりましたが、 これにはいくつもの理由があります。その

ひとつとして、現在ワイン消費者が、ギリシャワインが我々の五感に訴えかけ るものを受け入れる素地ができてきたという事情があります。こうした事情 は、単にギリシャワインの品質の問題のみならず、世界のワイン市場全体の 動き、 トレンド、バランスと不均衡の問題とも言えます。現在ギリシャは、ユニ ークで競争力を大幅に高めたワインを提供することができますが、 このよう なギリシャの位置付けが持つ意味は、同時に、現在の市場でこそ高まってい るのです。 品質の向上、生産基準の改善、そして、 ノウハウの蓄積は、ギリシャワインの サクセスストーリーの半分ほどにしかすぎません。事実、 ここ20 年以上もの 間、数多くのワイン生産国や評価の確立したワイン生産国の中の新興地域 は、品質改善の目覚ましい成果を挙げています。同時に、品質が良ければい いというわけではないということも、 さまざまな証拠から明らかです。80年代 には、品質が、 ワイン生産時のミスがないということと同義と認識されること しか も多く、 このような認識は90年代にもある程度影響力を持ってきました。 し、現在の基準とお客さまの寄せる期待は、以前にも増して高まっています。 技術とノウハウの多くが利用可能となった最近の状況は、平均的な品質を引 き上げる推進力となったかもしれませんが、 これと同時に、多様なスタイル の間の統一を図る方向にも推移してきました。ワイン界の第一人者たちは、 ワインの国際化の進行と均一化がどの程度進んできたかについてさまざま な意見を出してきました。小売店の棚やレストランのワインリストで、さまざ

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まなワインの産地から選択できる時もありますが、 グラスに注いだワインか ら判断した場合、 どの種類も同じという事実の方が目を引きます。他の特徴 として、少数の単独品種が優位に立っています。ジャーナリストやトップのソ ムリエたちはこの展開をいち早く見抜き、さらに進んで、いまだかつてない 提案、新たな品種や新たなワイン生産地を求めてきました。彼らが最も注目 したのは、ラベルに異なるブドウの品種が表記されたワインを入手すること ではなく、 グラスに注いでその違いを感じ取ることができるかどうかです。 ギリシャは在来種の宝庫と言え、 こうした在来種が今日の市場での競争力 の原動力となっています。その在来種のほとんどが、独特で、 よく知られたブ ドウ種とは一線を画す品種です。ワイン醸造技術は、 このような品質を抑え るのではなく強調する方向に向かってきましたが、 これにはかなり明確な理 由があります。ワインの消費の面では、ギリシャ国内の市場は完全に成熟し ており、 ワインはギリシャ国民のライフスタイルの重要な部分を占めていま す。ギリシャ人は自分の流儀に厳格であることから見ても、 ワインは、マーケ ティングの手段としてギリシャ人に押し付けられたものでないと言えます。ギ

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ユニークなご提案

ユニークなご提案

リシャ人は、ほとんど全てのシチュエーションでワインを消費し、 フレーバー

フィールのおかげで、 この条件をクリアしています。料理との相性の良さ、中

が豊かである一方、さわやかでライトという、独特のスタイルのワインを好

アルコール度、そして徹底した飲み口のよさの追求という条件は極めて重要

んできました。ギリシャのワイン生産者は、全体としては国内市場をターゲッ

で、 これこそが、ギリシャ人が何世紀もの間しかるべきワインに求めてきた条

トとしてきたため、 このようなギリシャ人の嗜好に合わせてワインを生産す

件です。結局のところ、 これらの条件こそが、ギリシャワインが、ギリシャ料理

ることを求められてきました。このような独自性は、 ここ数十年のグローバル

のみならず世界中のどの料理とも完璧な組み合わせとなることができる理

なトレンドからは時代遅れに映ったかもしれません。 しかし、世界のワイン業

由なのです。

界周辺では、ギリシャワインとその基礎をなすコンセプトに注目しようとして いると見られる動きが高まりを見せています。

これ以外に、ギリシャのワイン生産文化が世界レベルで注目を集めてきたい きさつを物語る事例としては、現在行われている「テロワール探し」が挙げら

ギリシャワインの個性を最もよく表す特徴は、料理との相性の良さです。ギ

れます。1つのブドウの品種は、世界中ほぼどこでも栽培できますが、その「土

リシャ人は食事を全く取らずにワインを飲むことはないですし、ワイン全く

地の感覚」を伝えることのできるワインは、明らかにその場所に根付いた独

なしで食事をするのも論外です。多くの国の最先端のスタイルのワインの

特のものです。21 世紀の優れたワインは、その香りと風味を通じて、その産

大多数は、他の一皿に進ませてくれない一品として、それ自体食事としても

地が「どこでもよい」のではなく、 「特定のどこか」であることを示すことが求

よいように造られています。そのようなワインは、最初の一口は素晴らしく

められています。

感じるかもしれませんが、二杯目に進むことができないことが多くあります。 他に、アルコール度数という要因があります。よりアルコール度数の高いワ

「テロワール」の概念自体、世界トップクラスのワインの権威の間でさまざ

イン、 グローバル的な傾向としては、時として14 %かこの度数を大幅に上回

まな見解がなされていますが、マーケティング志向の戦略とは別に、真の意

るワインが好まれることから、 ワインがたるんだ、辛口で重く、口いっぱいに

味でテロワールに根差したワインを生産する上で、主に2つの必須条件があ

広がる味わいともなります。これとは大きく異なり、ギリシャ人が造るワイン

ります。第一の条件は、特定のテロワールのポテンシャルを十分に把握する

は、ほとんどの場合、口いっぱいに広がるというよりは、料理をぴったりの中

ため、時として何世代にも及ぶ十分な時間をかけることです。第二の条件は、

アルコール度のワインです。料理とワインとの相乗効果というか、 「 1+1=3 」

小規模の生産様式です。というのは、テロワール志向のブドウ生産者は、土

のトリックは、ギリシャ人にはなくてはならないものなのです。ギリシャワイン

壌、気候、 ブドウの生理的現象を表す数値が大量生産のもとでどこも同じと

は、文字通りの優雅さ、 テクスチャー、口の中をさわやかにする作用、そして、

なってしまうようではダメで、むしろ、 こうした数値の最大値と最小値を特定

複雑かつ深みがあり、 しかし、過度のものとなることのないフレーバーのプロ

することに力を入れる必要があるからです。ギリシャワインは、上の必須条件

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ユニークなご提案

ユニークなご提案

のどちらも満たすことに成功しています。ギリシャワインの生産は常に、 「土 地との会話」を行う生産者の手で、人、ひいては手仕事に見合った規模で行 われてきました。さらに、ギリシャの生産者は、自分のブドウ園のテロワール が持つポテンシャルを完全に把握するのに十分に長い期間にわたって、自分 のブドウ園の栽培を続けてきました。特色ある独特なテロワールが目を見張 るばかりに連なっており、 これがギリシャの誇りです。なぜなら、ギリシャの生 産者たちは、土地ごとの独自性をある程度含むワインがあるからこそ、自分 たち独自の経営を理解しているからです。多くのワイン通が「聖杯」 と評する テロワールは、 自然の恵みとしてギリシャもたらされたものです。 さらに、ギリシャワインというちょっと奇妙な提案を後押しするのは、その優 れた価値です。市場の最も安価なワインと比べられるほど安価とはいえませ んが、その品質は上位に位置するため、そのコストパフォーマンスが優れて います。たくさんのギリシャワインが、ギリシャより評価の定まった他の国で 生産されていたならば、現在の2~3倍の価格となったはずです。さまざまな 市場では、大半のワインの価格がかなり高騰していますが、そのような価格 の要因はイメージやマーケティング戦略であり、必ずしもその品質ではあり ません。むしろ、ギリシャのワイン生産者は、ギリシャ市場と密接な結びつき をもっているため、ほとんどの場合、その価格設定を現実に見合ったものと することが求められてきました。世界各国の愛好家がギリシャワインに費や すお金をつぶさに見ていけば、飲まれるワイン一杯ごとにいっそう豊かな性 格、他国のものとの比較で明確な個性、さらには、本来の意味での品質が保 証されるのです。

ワインしか飲まず、それを大量に飲みますので、輸出市場に向けてはきわめ

そのプロフィールから、ギリシャワインはワイン専門家にとっての重要なツ

インよりもはるかに大量に出回っているにもかかわらず、かなり高い価格の

ールとなっています。生産量が限られているため、ギリシャワインが主要な

付いた有名なワインがたくさんあります。実際には、稀少性によって需要が

輸出市場を席巻し、年間数百万ケースを販売するようになるとは考えにくい

減ることにはならず、むしろ増えていくといえるでしょう。

てわずかな量しか残されていません。世界市場には、ギリシャの最高品質ワ

です。もっとも、ギリシャワインは、今日、世界最高のコストパフォーマンスを 誇るワインのひとつに数えられています。そのため、ギリシャワインは、最高

ワインの世界で目立った存在となることが単に上質ま これから20年の間に、

の品質と価格以外にも、さらに独特の特質から見て、インスピレーション豊

たは、極上であることよりもずっと重要となっていくでしょう。このような要請

かな、真に違いをもたらす選択肢といえます。ワイン専門家であってもなく

は、 ブドウ生産者からワイン醸造専門家醸造者まで、そして、 ワイン販売者か

ても、当たり障りのない選択に反発し、選択の幅の必要性を理解するワイン

ら消費者まで、世界のワイン市場全体に広がっていくことでしょう。ギリシャ

関係者の目には、ギリシャワインは最高の楽しみをもたらしてくれる存在で

ワインは、おなじみの商品のその先の探求を目指す皆さまには、エキサイテ

す。ギリシャワインは、はるか昔から、選択の幅を求める要請に応えるために

ィングで他に類を見ないオプションを提供します。皆さまには是非この機会

造られてきました。

を見逃さないでいただければと思います。

ひとつだけ重大な問題があるとすれば、ギリシャワインの稀少性です。平均

コンスタンティノス・ラザラキス MW(マスター・オブ・ワイン)

的なヴィンテージで見れば、ギリシャ全体で、 ボルドーの生産量の半分をわず かに超えるぐらいの量しか生産されないことがあります。 しかもボルドーは フランスの一ワイン地域に過ぎません。さらに、ギリシャ人は、ほぼギリシャ

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インは、古代からギリシャ文化の一部であり続けてきたため、ギリシャ は、おそらく世界で最も長いワインの歴史をもつ国のひとつに数えら

れています。ギリシャは初めてワインを生産したとはいえないでしょうが、古 代ギリシャ起原とされるのは、 ブドウ栽培、生産、法律、貿易、そしてもちろん、

ワインを消費する方法のように、 ワインのあらゆる側面を含む文化を発展さ せたことです。ワインは、飲物であり文明を伝播する媒体として、前例がなく その後もおそらく19世紀までは比類ない水準にまで引き上げられました。ア ペラシオン制度の開発からワインライターの登場まで、そして、饗宴で給仕( オイノコオス、現在のソムリエに相当)が演じた大きな役割まで、古代ギリシ ャでは、 ワインは最も洗練された形で扱われていました。 ギリシャにおけるワインの長い歴史を示す証拠は、今日でも認められます。 数千年という、破られることのない記録を有する歴史あるブドウ園は、数多く 存在します。名高いブドウ園の頂点にあるのは、サントリー二島にほかなりま せん。この島には、自生の、 ブドウネアブラムシに襲われたことのないブドウ 園があり、3,500年の歴史を誇る目を見張る世界遺産となっています。特色 あるこのようなエコシステムの多くは、自然淘汰によって発展したものであ り、その位置は、大多数のブドウの害虫や病から守られた地域に当たります。 したがって、ギリシャのブドウ園の大多数は、有機栽培その他、通常他地域で 行われる方法に代わるブドウ栽培の手法に適しています。なぜなら、薬品を 多用する必要がなかったからです。 このような豊富な遺産があっても、ギリシャワインは今ある特質を活用して のプロモーションすることができ、過去の栄光は必要ありません。ここ30年

ギリシャワイン 発見の旅へ 2

の間、ギリシャのワイン生産には変化の風が吹き、 どちらかというと伝統的だ った農業分野が、今日のワインの世界の最先端へと姿を変えたのです。ギリ シャの生産者は、人、教育、 ノウハウと技術に多大な投資を行い、今知識やノ ウハウが急速に蓄積されています。現在ギリシャで生産されているワインの 品質水準は、他のどの国にもマッチしていますが、ギリシャワインを特別な存 在に高める特徴がいくつもあります。 ギリシャでのワイン生産は近代的ですが、人間に見合った規模を維持してい ます。伝統の長所を失うことなく近代化されたのです。最近では多くのベン チャーが設立されましたが、最新の機器を用いながら、規模としては小規模 または中規模にとどまっています。 しかし、ギリシャの基準で言う 「中規模の」 ワイナリーは、他の欧米各国の平均的なワイナリーと比べるとやや小規模で あることを念頭に置く必要があります。他方で、そのオーナーによって改修 され、 「新規参入者たち」 と競争し、市場の課題に対応できる伝統的なワイナ リーも多く存在します。

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ギリシャワイン発見の旅へ

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ギリシャのワイン生産の中核をなすのは、家族経営のブティックワイナリー です。ギリシャワインは、ワイン生産を自分の個性が前面に出たプロセスと 捉える生産者たちによって造られています。こうした特徴は、 ブドウ園やワイ ナリーに見られる個性的な味わいに現れています。植栽から剪定さらには収 穫まで、 ブドウ園での全ての作業が手作業だけで行われています。ギリシャ のブドウ園では手作業の比重が高まることで、労働にかかるコストが増加す るかもしれませんが、 これによって細部へのより事細かな配慮と、最高のブド ウだけを選び出す驚くべき能力が確保され、いずれの条件も、最高品質のワ インの生産に不可欠の要素です。細かいところにまで行き届いた手作業こ そが、ギリシャのブドウ園では世界でも独特な手法があふれていることを説 明することができます。サントリー二島の仕立て方法「クルラ」や、パロス島 で見られる「アプロタリア」方式はその一例です。ブドウ栽培者やワイン生産 者が何世紀にもわたって全体として蓄積してきた経験によって形成してきた 遺産です。 しかし、最大の安心感は、最先端の技術に裏打ちされた斬新な方 法がワイン醸造で用いられることで、 ブドウ園での骨の折れる作業を補う効 果が得られ、 より充実した成果が実現することでもたらされます。 ギリシャワインは、色々な意味で、 ワインの本来あるべき姿を保っています。 世界で消費されている大部分のワインの個性がマーケティング専門家や会 計士によって決められているのに対し、ギリシャのワイン生産者たちは、職人 のようにワインを手作りしています。このように、イノベーションと伝統とが 相互に絡み合って、 さらに「人」 という要素のフィルターを通すことで、大きな 魅力となっています。ギリシャ全体では、何十年もの経験を積んだベテラン のワイン生産者やブドウ栽培者を多く抱えています。新しい世代は、その親 の世代に触発されて、最先端のノウハウと国際的な経験を培うために外国で 勉強しました。 しかし、若き生産者たちはギリシャに戻り、才能あふれる最先 端のワイン生産者、 さらには専門知識を有するワイン専門家として活躍して いるのです。その多くは、ギリシャの大学での講義にもかなりの時間を割い て、次世代のワイン専門家たちを育成しています。 ワイン生産に見られる上のような流れの持つ意義は、 ギリシャワインにとって極 めて大きなものでした。なぜなら、 このような流れがあったことで、 十分な数の クオリティワインの生産が可能になったからです。他の多くの国にも言えること ですが、 最高のワインを生産する2、 3のワイナリーがあるだけでは、その地域全 体の国際的なイメージのプロモーションに十分とは言えません。多くの偉大な 生産者と多くの素晴らしいワインがあってはじめて、 世界のワイン市場にインパ

現在では、 コンテスト等での賞の数だけ見ても驚くべきものです。表彰を受

クトを与えられるのですが、 まさにこうした状況が現在のギリシャワインに当て

けるレベルと生産の基準が年々高まっていることから、多くの生産者は、そ

はまるのです。 こうした状況の裏づけとなるのは、 非常に多くのギリシャワイン

のワインが、純粋な品質の観点から、世界の他の地域のワインと競争できる

が、 国際的に高い評価を受け業界全体での評価を左右するワイン評論家によっ

のかを確かめようとしました。こうして、ギリシャワインは多くの大規模な国

て認められ、 最高峰のワイン団体やコンテストで受賞しているという事実です。

際ワインコンテストに参加しました。こうしたワインコンテストは、 イギリスや

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ギリシャワイン発見の旅へ

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ベルギーなどの最も競争力の高い市場や、スペインやフランスなどの伝統 的な「ワイン生産大国」で開催されたものです。また、生産者たちは、主要な ワイン雑誌やワインライターにもサンプルを提供しました。これらのワイン は在来種だけでなく、外国品種も材料としていたため、優れた国際的なワイ ンの多くと真っ向から競合する形になりました。その結果は、少なくとも国際 的なワインコミュニティーの注目を引くのに足りるものでした。ギリシャワイ ンはかなり短期間で、金賞、 トロフィーと、高い評価を受けたのです。そのた め、多くのコラムニストや専門家が、自身の本国からギリシャに赴き、 ワイン の世界における 「次世代の注目の的」を直接目にしようとしました。 ギリシャワインが賞を受賞する決定的な要因は、10年間の歴史をもち、 この 種類のコンテストではギリシャ唯一の、 テッサロニキの国際ワインコンテスト に見出されます。毎年、国際的な権威であるワイン審査員が集まり、何百種 類ものワインをテイスティングし、最優秀のワインに賞を与えています。テッ サロニキの国際ワインコンテストは、 ワインの優れた性格と、あまり知られて いない品種を高め、品質水準をいっそう押し上げるのに最も適した手段とな りました。このように、 テッサロニキのワインコンテストがワインにもたらした

同時に、オーガニック栽培されたブドウから造られたワインも、ギリシャワイ

持続的な効果は、ギリシャ国内に限られたものではなく、主要な輸出市場で

ンの重要な側面のひとつをなしています。ほとんどのギリシャのワイン産地

ギリシャワインのアンバサダーを作り上げる上でも決定的となっています。

では、問題の少ないエコシステムをもっているため、オーガニック栽培が当 然採用されます。病気のプレッシャーが小さく、栽培が小規模に行われ、そし て、 ブドウ園で手作業が行われているため、薬品を用いないブドウ栽培体制 が可能です。さらに、 ブドウ栽培からの収入が通常少ないことで、ギリシャの 多くのブドウ栽培者はブドウ栽培だけに打ち込むことができず、他の作物の 栽培や畜産にもかかわっています。そのため、ブドウ栽培者は、混作を通じ て、 ブドウ園で薬品を用いないことで得られる全体で見たインパクトを真の 意味で理解することができています。こうして、ギリシャのブドウ栽培は、何千 年もの間たゆまず行われてきた一連のオーガニック手法と結びついている ということができます。また、今日では、 このアプローチから、バイオダイナミ ック農法ワインやナチュラルワインを生産する生産者のグループが登場して きました。 ギリシャワインは、数多くの重要な特性によって、世界のワイン市場で際立っ た存在です。ギリシャワインは、注目と評価を受けるに値すると多くのワイン 専門家に明確に認められた優れたワインですが、ほぼ未開で、 ワイン愛好家 にとってはほとんど未知の領域です。訪れる人の多い市場では、過度の競争 はワイン供給過剰と均一性という結果を招き、専門家とワイン愛好家はいず れも、新しい風に常に関心を示すのです。 ギリシャワインは、真の意味で「ヨーロッパの」ワインです。ヨーロッパ最高の ワイン連盟の一部であり、品質の観点からはイタリア、スペイン、 フランス、

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ギリシャワイン発見の旅へ

ギリシャワイン発見の旅へ

ポルトガル、 ドイツそしてオーストリアのワインと同じ水準にあります。その

むワインの多様性を支持する行動でもあります。ワインは常に文化の担い手

特有の歴史的テロワールを表現することのできるワインで、そのあらゆる特

であり、多様性の上に発展してきました。ギリシャワインによって提供される

徴から、旧世界が原産であることは折り紙つきです。そのため、世界の主要

ものとはここで述べた全ての要素に他ならず、素晴らしい風味だけにはとど

なブドウ園や優れたテロワールのワインを探求して味わいたいと考えてい

まらないのです。

れば、ぜひとも試飲すべきワインと言えます。同時に、疑う余地なく最先端の ワインでもあり、ギリシャが最先端のブドウ栽培・ワイン醸造のプロセスを行 っていることを示しています。ギリシャワインは、主流なワインにすれば型破 りで稀少なものであるばかりでなく、その本来の性質から「稀少」なのです。 なぜなら、生産能力が限られて独特の、限定されたテロワールで造られてい るからです。 ギリシャワインを選択することはワイン消費者にとって「宣言」を意味しま す。ギリシャワインのグラスを味わうことは本質的に1つの「探究」を意味し、 ワインに関するこれまでの経験をさらに豊かなものにします。同時に、自分 へのごほうびで道楽でもあります。また、ある程度の鑑識眼とワインに対す る専門的な理解の存在を示します。最後に、 これも同じく重要なことですが、 ギリシャワインのボトルを選択することは、世界的傾向と言える均一化では なく、刺激的で共存主義的、そして、世界的に多文化に根差したブドウ園を育

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リシャの気候についてきわめてよくある形でおおまかに単純化して 言えば、ギリシャは地中海性気候であるといえます。もちろん、 この単

純化が当てはまる地域は、主に沿岸部に数多く存在します。 しかし、 このよう

な気候パターンは、北部の地域や内陸部では、根本的に変わります。マケド ニア、 イピロス、 スラキ(トラキア)、中央ギリシャ、そしてペロポネソス半島の 中央部分の多くの地域では、その気候は、地中海性気候というよりは、大陸 性気候の特徴を強く示します。冬はずっと厳しく、標高の低い場所でも雪が 多く降ります。また、春は湿気が多く涼しく、夏は、 夕方に過ごしやすく、時とし て涼しいことがあります。さらに、秋には、寒くて湿気があることがあります。 最後に、いくつかのアペラシオン、特にギリシャで全体としては最も降水量の 多い地域であるギリシャ西部では、秋口に嵐が頻繁に発生します。嵐が来る 前に、果実がしっかり熟した状態を確保することは、 ブドウ栽培者に重要であ り、そのために、その年その年、細心の注意を払って事細かな調整が必要と なります。 ギリシャのブドウ園の大部分は、高山気候地域に分類できます。現在、最高品 質のワイン生産における高山気候の意味についてはさまざまな見解がなさ れていますが、高山気候は、常に、優れた品質と同等と見ることができるとす る専門家も数多くあります。第一に、 この立場については、誤解があると言え ます。というのは、世界にある多くの、温暖または熱帯のブドウ栽培地でも、 素晴らしい、真の一流ワインが生産されているからです。また、特定のブドウ 品種について語ることなく、高山気候だけについて議論するのは、そもそも 理に適っていません。特定のブドウ栽培地、例えばフランスのローヌ北部は、 リースリングのような品種にとっては気温が高すぎるかもしれませんが、 グ

比類なき多様な テロワール (生育環境) 3

ルナッシュ・ノワールにとっては気温が低すぎるかもしれません。高山気候と いうものが、ほとんどのヴィンテージで十分に熟したブドウの実現をブドウ栽 培者に促す場所と品種の組み合わせであるとすれば、ギリシャのブドウ園の 大部分が高山気候の恩恵を受けています。 ギリシャは、特にブドウ栽培の観点からはほどよく面積の小さい国で、 ブドウ ブドウが栽 園の総面積は約110,000ヘクタールです。目立った特徴としては、 培されている地面の面積は、 ここ十年ほど変動のない状態を維持しており、 将来わずかに面積の増加が予定されている程度です。生産者は約180,000 人を数え、 これは農業にかかわっている土地所有者の約 5 分の 1に相当しま す。そのため、 ブドウ園の平均的な土地面積は0.5 ヘクタールを少し上回る 程度で、ギリシャにおけるブドウ栽培はかなり断片化されていると言えます。 この数は毎週のように ワインを生産するワイナリーは900以上ありますが、 増加しています。

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比類なき多様なテロワール (生育環境)

2014年のワインの年間平均生産量は290万ヘクトリットルであり、ギリシャ は、世界で17番目にワインの生産量が多い国となっています。赤ワインと白ワ インのうちで圧倒的に多いのは白ワインで、赤ワインは総生産量の3分の1ぐ らいに過ぎません。予想いただけるかと思いますが、ギリシャの在来種は、生 産されるワインの大部分を占め、全体の90%ぐらいに上ります。品質の観点 サヴァティアノ、 ロディティス、 マスカット ( から最も重要な4種のブドウ品種は、 ブラン、 アレクサンドリア、 ハンブルク)そしてアギオルギティコです。 主なブドウ産地はクレタ島、ペロポネソス半島、マケドニア、そして、 アテネに 近い中央ギリシャ地方、つまりアッティカ県とヴィオティア (古代ギリシャ語で はボイオティア)県です。アペラシオンの観点からは、赤ワインの最も大きな アペラシオンはネメア、辛口の白ではパトラ、甘口ワインではサモス島が先 頭を行き、パトラでは、甘口の赤ワインはマヴロダフニ種の独壇場です。ギリ シャでブドウが全く栽培されない地域はきわめて少なく、通常、ギリシャの中 でもかなり岩の多い地域に限られます。 従来 OPAP(ギリシャで、VQPRD に相当するもの)や OPE(ギリシャ に認定されたことで知られ、現行で原産地呼称保 で、AOCに相当するもの) 護( PDO )のステータスを取得している地域は33 あります。最も重要なア ペラシオンはサントリー二 PDO(主にアシルティコ種)、ネメアPDO(アギ オルギティコ種)、マンティニア (モスホフィレロ種)、ナウサとアミンテオ (い ずれもクシノマヴロ種)です。また、100ほどの原産地表示保護(PGI)もあり ます。この新たな区分には、従来の地域ワインの全てと、伝統的特産品保護 カテゴリーに区分された2つのスタイルが含まれます。 (TSG) ワイン生産の観点からは、 ギリシャは5つの地域に分けることができます。それ は、ギリシャ北部(スラキ、 マケドニアとイピロス)、中央ギリシャとアッティカ、 ペロポネソス半島とイオニア諸島、 クレタ島、 そして、 エーゲ海の島々です。

This diversity of terrains, altitudes, aspects and soils on the hilly slopes of Mt Vermio result

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ギリシャ 北部

リシャ北部でのワイン生産について語ろうとすれば、 クシノマヴロの 産地からスタートするのがよいでしょう。魅力的なこのブドウ品種は、

表情がきわめて豊かで力強く、それでいて深味があり、口いっぱいに広がる

ことのない、独特のワインの原料となります。複雑で難解な、知的好奇心を

地域とアペラシオン (原産地名) 4

そそる個性を持っていると同時に、全てのギリシャワインと同様に、強くて濃 厚な風味の料理に最適です。クシノマヴロのワインは、通常、少なくとも2年 熟成した後で市場に流通し、その間、かなりの期間オーク樽とボトルで貯蔵 されます。このワインは、熟成していくにつれ群を抜いたワインとなる、色は 鮮やかな赤で、がっしりとしたタンニンを含み構成はしっかりして、酸味が際 立ち、その個性からは混じり気のない優雅さがにじみ出ています。クシノマ ヴロの性格の本質は、 レッドフルーツ、 トマト、オリーブ、乾燥プラム、煙草や ナッツの複雑で個性のある香りに見出すことができ、樽で熟成していくと、香 辛料の味が微妙に加わることが明らかです。これらのワインのボトル熟成の ポテンシャルは長く、 まさに素晴らしいの一言に尽きます。 おそらく、ナウサは、 クシノマヴロを用いる最高の2つのアペラシオンのひと つです。ナウサは、 クシノマヴロ単独品種のアペラシオンです。ナウサはまさ に、 この品種が優位に立ち、 この品種を原料として、素晴らしい深さ、息をの むような複雑な味わい、そして、おそらくギリシャの辛口の赤ワインの中では 最も長い熟成ポテンシャルを誇る、最高のワインが何銘柄か生産される地

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地域とアペラシオン (原産地名)

ギリシャ北部

域です。新鮮さと活気にあふれた40 年物のボトルが数多くあるという事実 が、何よりもこの地域の特性を物語っています。アペラシオン地域は中央マ ケドニアの平野を見下ろすところにあり、 ヴェルミオン山の斜面の、標高150 ~450メートルの位置にあります。ヴェルミオン山は標高としてもさまざま な地点にあり、その傾斜や方角もまちまちであることから、ナウサの地形は 最も決定的な要素となっています。この地域には支配的な土壌の種類はな く、 ブドウ園は、石灰岩、ローム、砂そして埴土が混合体です。もっとも、有機 物質が少ないため土地も痩せており、収穫量は自然と限られたものになりま す。この地域の気候は、地中海性気候と大陸性気候の影響を受けた中間の ものであるといってよく、 ヴィンテージのバリエーションは存在するものの、 目立ったものではありません。北風はブドウの生育を阻害する要因となるこ とがあり、時として、風除けがなされていないブドウ園では、春先に霜が降る ことがあります。 上で見たように、 ヴェルミオン山の斜面の形状、標高、方角そして土壌の多 様性は、それぞれのブドウ園の間で際立った違いを生じさせ、他地域よりも 小規模で個性豊かな数多くのテロワールを存在させています。ナウサのブド ウ栽培者は、何世紀もの時を通じて、 このアペラシオンの特定の村で生産さ れたワイン間に相違があることを長い年月をかけて発見し、その成果を観測 し、 これを合理的に説明しようと試みました。このように、 「クリュ」の概念は、 ナウサの生産者の考え方の中では何十年も前から定着しており、 この事実 は、既に魅惑的なこの地域にさらなる複雑な魅力を追加しています。ブドウ 園の間のこのような性格の違いは、通常、生産者ごとに異なる2つのアプロ ーチに表れています。ワイナリーや小規模のブドウ生産者の中には、 「ブドウ 園呼称」ワインを造ることで、自分たちの土地の個性を前面に出していこう とする生産者もいます。また、画家がより複雑なイメージを醸し出すために 多くの色彩を用いるように、いくつかのクリュをブレンドすることで、いっそう 個性の強いアペラシオンの表現を導き出していこうとする生産者もいます。 いずれのアプローチからも、注目すべき個性の素晴らしいワインが造られて

ナウサ(マケドニア地方中部)のブドウ畑

います。 アミンテオは、 クシノマヴロのみを用いる、ギリシャ北部で第二のアペラシオ ンです。ここはギリシャで最も寒いブドウ栽培地のひとつで、その気候は大 陸性気候に分類できます。冬は寒く、夏と秋は比較的涼しいです。冬の間は、

は、緩やかな傾斜が見られるものの、 ブドウ園の平均的な標高として高地に こ あると言え、570~750メートルの間となります。他の重要な要素としては、

原則としてかなり降雪があり、降水のパターンは独特で、 たったの50~60キ

の地域で目立つ、近隣の山脈から吹き下ろす冷たい北風が挙げられます。こ

ロ離れたところでも、 この地域の基準となる気候とは大きく異なります。アミ

の風は年中吹きますが、 ブドウにストレスとなるものではなく冷やすもので、

ンテオが湖の近くにあるということも、 この地域独特のテロワールを生み出

きわめて好都合に作用します。土壌は主に砂質で有機成分に乏しく、 ここで

アミンテオの す要因となっています。この地域全体で5つの湖がありますが、

は、大いに必要となるまたとない水はけが実現します。いくつかの場所では、

ブドウ園の多くは、大陸性気候というこの地域の気候条件に決定的な役割を

あまりにも砂の量が多いため、 ブドウネアブラムシがおらず、 この害虫に感

果たすペトロン湖とヴェゴリティダ湖の近くに位置します。この地域の地形に

染するおそれがありません。土地は概ね不毛で有機成分にきわめて乏しく、

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地域とアペラシオン (原産地名)

収穫量がかなり低いことから、アミンテオは、 クシノマヴロの栽培に最適の

ギリシャ北部

いです。また、アミンテオは、ロゼワインがきわめて多く生産され、かなりの 量のスパークリングワインが生産されているギリシャで唯一のアペラシオン

場所です。

でもあります。これらのスパークリングワインのほとんどはシャルマ方式で造 アミンテオで生産されるワインは、 がっしりとしたタンニン、優雅な構成、そし

られ、品種の個性をより強調し、伝統的な手法で造られたワインによく見られ

て、 レッドフルーツ、 トマトやオリーブの香りといった、 クシノマヴロ特有の性

るイーストの強いプロフィールをそれほど強調しません。オフドライタイプは

質を全て生き生きと示しています。ナウサのワインと比べた場合、アミンテ

特に成功を収めています。さらに、地元の生産者は、特定の土地のクシノマヴ

オはフルーティーな性格の方が立っており、 より薄味で花のような香りが強

ロを用いて、 ピンク色の斑点をもつことがあることからヴァン・グリ (灰色のワ イン) とも呼ばれる素晴らしいブラン・ ド・ノワールも数銘柄造っています。こ れらの銘柄は、 クシノマヴロ本来の香りをそのまま維持しながらも、深みと新 鮮さを組み合わせることができるものです。もっとも、 アミンテオのアペラシ オンの下では認められているのは、赤のスティルワインと、 ロゼのスティルや スパークリングワインのみです。 アミンテオとナウサについて語る場合、ギリシャのワイン生産分野でのロゼ ワインの発展を具体的に検討するのがよいでしょう。ロゼワインは、世界中 の多くのワイン市場で明白に認められるのと同様、ギリシャでも人気が上昇 しています。ロゼワインは消費者を大いに魅了することができると同時に、 生産の面で柔軟な対応ができるため、 ワイン生産者にはとても手ごろです。 幸運なことに、 アギオルギティコやクシノマヴロなど、大部分のギリシャの黒 皮品種では、ロゼワインとして醸造すると、素晴らしい結果が得られます。こ のことは、モスホフィレロやロディティスのような、白ワインの生産で知られ たピンク皮のいくつかの品種にも当てはまります。また、ギリシャのワイン醸 造専門家たちは、 どのようにすれば外国の品種から優れたロゼを造るすべを 熟知しています。さらに、醸造専門家は、高品質のワインがもつ「シリアスな」 側面と、本来のロゼワインがもたらしてくれる純粋な喜びとの間にある微妙 な境界線のバランスを保つすべを知っています。 過去には、ギリシャ人がもつロゼの一般的なコンセプトは、多くのヨーロッパ 人が「ライトな赤ワイン」 と呼ぶものと同じものでした。色は特徴的な赤で、 レ ッドフルーツが強くてジューシーなアロマを含むワインノーズと、 さわやかで どちらかというと豊かな味覚をもつものでした。もっとも、 ここ10 年の間に、 これ以外に2つのスタイルが登場しました。第一は、残糖度が少しある、オフ ドライとセミスイートの中間のスタイルです。これは、料理なしで、 ワインだ けが飲みたい消費者にアピールするタイプのロゼで、他のワインよりむしろ カクテルと競合するものです。この種類のワインの成功の鍵は、 ワインの甘 さと酸味との間のバランスにありますが、ギリシャの品種は、必要なレベルの 酸味に達することが容易にできます。このスタイルの素晴らしいスパークリ ングタイプも数銘柄存在します。

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地域とアペラシオン (原産地名)

ロゼに関する第二のアプローチは、ルビー色や紫色よりも玉ねぎの皮の色

ギリシャ北部

しています。ブドウ園の品種の組み合わせとしては、ボルドーの赤品種と白

の方に近い明るいロゼワインです。このアプローチで重点が置かれている

品種が優位に立っており、それ以外に、ユニ・ブラン、 アシルティコ、 ロディティ

のはワインのパワーや強さではなく、優雅さと組み合わせたクリーミーなテ

ス、 シャルドネそしてシラーがあります。カヴァラのワインと比べて、 ドラマの

クスチャーと複雑さです。これらのワインはロゼの中でも料理に合い、ほと

ワインはよりしっかりとしており、 カヴァラのワインはより活気に満ちていま

んど全ての種類の料理のお供になります。

すが、 どちらもさわやかな飲み口です。これら2つの地域は主に国際品種で 有名になっていますが、 アギオルギティコやマラグジアなどの、他の地域から

ギリシャのロゼワインの3つの顔はすべて、常に発展し続け、 これから数年間

のギリシャ品種の植栽も大幅に増加しています。

でさらに成長することが確実なこの領域をより刺激的なものとしています。 本土の東部、 トルコとブルガリアとの国境にあるスラキは、ギリシャで地理的 ナウサもアミンテオも、 ワイン以外にもお客に提供できるものがたくさんあ

に最も離れた場所にある地域の 1つです。最も重要な2つのワイン産地はマ

ります。数多くの村には、多様な自然環境以外に、伝統的で絵のように美しく

ロニアとアヴディラで、 どちらも長い歴史をもっています。もっとも、スラキ

て、独特な建築、一流の宿泊施設、そして、他では中々見られないクシノマヴ

は、近年まで、きちんと管理された秘密のような状態でした。大部分は未開

ロの古いヴィンテージを地元の料理と絶妙にマッチさせるワインレストラン

発のままであるこの地域のポテンシャルに多くの生産者が目をつけると、そ

が数多くあります。さらに、 ヴェルギナのようないくつかの素晴らしい古代遺

のブドウ園は急速に拡大しました。新たに植栽されたブドウはギリシャとフラ

跡がこの地域の魅力を高めています。

ンスの品種からなり、白品種としてはアシルティコ、 マラグジア、 ソーヴィニヨ ン・ブランとシャルドネ、 ピンク皮のロディティスとリムニオ、そして、赤品種と

高大なマケドニア平野の北部にあるキルキス地域では、 グメニッサのアペラ

してはカベルネ・ソーヴィニヨン、 グルナッシュ・ルージュ、 メルローそしてシラ

シオンもクシノマヴロを用いており、通常は20 %のネゴシカとブレンドして

ーがあります。これらの品種が市場で優れた結果を収めると、 ブドウ栽培者

います。ここでのスタイルは、 この地域の温暖な気候に恵みを受けて、より

たちは、タンニンが多く、強くて、実が小さいスラキのマヴルディ種、白品種

広くてソフトで、最初に立つフルーティーなアロマがより強いです。さらに海

のズミアティコ、そして、主に (しかし、それのみではなく) ロゼのブレンドに用

の近くにあるハルキディキは、ギリシャで最も特徴的な地形の 1つで、3 本の

いられているピンク皮品種パミディのような、地元の特産品を世に知らしめ

指のような形をした半島がエーゲ海の中へと伸びる形をなしています。ハル

る方向に向かいました。

キディキの気候はブドウ栽培に理想的なものです。最も重要なブドウ栽培地 は、赤ワインと白ワインの両方を含むプラギエス・メリトナ、 エパノミ、そして、

最後に、 イピロスは、ギリシャの北西の端にある山岳地帯で、その大部分が標

アトス山の素晴らしいブドウ園です。白品種にはアシリ、 アシルティコ、 マラグ

高700メートル以上の場所にあります。ここの気候は比較的湿度が高くて高

ジア、そしてソーヴィニヨン・ブランが含まれ、赤品種としてはカベルネ・ソーヴ

山気候です。最も重要で人気のある白品種は成熟が遅いデビナであり、 ロデ

ィニヨン、 リムニオ、 クシノマヴロ、 カベルネ・フラン、 メルロー、 シラーそして

ィティスやマラグジアのブドウ園もいくつかあります。この地域の最も重要

グルナッシュ・ルージュがあります。

な赤品種であるベカリとヴラヒコは、ギリシャの他の地域ではほとんど見ら

カヴァラとドラマは、東マケドニアのワイン地域を構成し、スラキと東マケド

め、ボルドーの赤品種やトラミネールで目を見張る成果が得られています。

ニア内陸部でこれら3 県以外の地域を隔てています。カヴァラの地域全体、

イピロスで唯一のアペラシオンはジツァで、デビナを用いて、アルコール度

特にパンゲオ山の斜面周辺の地域は、高品質のブドウを提供する重要なブド

数が低く淡麗な、ほぼ空気のように軽い性格とスタイリッシュなレモンの風

れません。山岳地帯にある村メツォヴォのブドウ園では外国品種が大半を占

ウ栽培地です。主なギリシャ品種はロディティスとアシルティコで、 ソーヴィ

味のある白ワインが造られています。ジツァは、スパークリングワインやセミ

ニヨン・ブラン、 シャルドネ、 カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フラン、 メル

スパークリングワインの伝統を有するギリシャでも非常に数少ない地域の 1

ローそしてシラーは、新たに植栽された品種の中ではこの地で生産される

つです。ワインは主に白ですが、 ロゼも数銘柄あります。

品種の大部分を占めています。カヴァラのワインは、一般的に、 マケドニアの 多くのワイン地域には見られない果実の明るさと温かさをもっています。カ ヴァラに隣接して密接な関係を持つドラマは、東マケドニアの北半分にあり、 ドラマではブドウ栽培は急激に発展し、 陸地に囲まれています。ここ30年間、 この地域を、高級市場向けの、ギリシャにおける最高品質ワインの生産地と

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中央ギリシャ

中央 ギリシャ

央ギリシャは非常に広大な地域であり、テッサリア、エヴィア(古代エ

ウボイアと呼ばれていた)島、 ヴィオティア (古代ボイオティアと呼ばれ

アッティカのブドウ畑

ていた)、そしてアッティカの重要なブドウ栽培地が含まれています。ここ数 十年でブドウ栽培に対するスタンスの変化がこれほど明確であった地域は、 ギリシャでごくわずかしかありません。過去には、中央ギリシャのブドウ栽培

ーヴィニヨン・ブラン、 シャルドネ、 シラーやカベルネ・ソーヴィニヨンなどの国

は、テッサリアのアンヒアロス、 ヴィオティア平野、エヴィアのリランディオ平

際品種を選ぶというトレンド、そして、テッサリアのリムニオ、エヴィア島のマ

野やアッティカの広大なメソギア地域のように、平地にある、暑くて肥沃な地

ヴロクンドゥラやヴィオティアのムクタロのような、忘れられた在来種を復活

域の大規模なブドウ園が主流で、主なブドウ品種はロディティスとサヴァティ

させるというトレンドでした。多くの生産者は、 これらの異なるアプローチを

アノでした。その時代の生産者は、 バルクワインと低価格に重点を置き、品質

それぞれ独自の形で組み合わせることで目を見張る成果を実現し、ギリシャ

はそれに見合ったもので、感銘を与えるほどのものではありませんでした。

ワインが何度もコンテストで受賞する結果につながりました。

1980年代になると、ワイン生産の哲学に変化の風が吹きました。新たな世代

ラプサニは、 この地帯の最も重要なアペラシオンで、 オリンポス山の低い部

のブドウ栽培者たちは、それまでに確立されていたブドウ栽培地、伝統的な

分に位置しています。もちろん、 「低い」 とはいっても、標高がそれほど低いと

品種や栽培技術に疑問を抱きました。こうして、彼らは、 まず、 オリンポス山の

いうわけではなく、 ブドウ園の標高は700メートルになることもあります。ラ

ふもと、 アタランティ渓谷、 エヴィア島のディルフィやリストナ、そして、 より南

プサニは、品種の構成としてはクシノマヴロ、スタヴロトそしてクラサトをそ

にあるキセロナス、 ゲラニアやペンテリなどの山のような、 より涼しい地域を

れぞれ同じ量で含んでいます。最も良い状態にある場合は、バランスのとれ

選択しました。これらの地域はすべて、予想以上にかなり涼しく、標高は200

たオーク、成熟しているが過度に甘くないフルーツ、中程度のハーブ、 シルク

~700メートルです。第二の段階は、植栽する品種の選択でした。急速かつ

のようなタンニン、 エキス、そして存在感を示します。これらのワインは、外国

同時に、3つのトレンドが発展しました。まず、主にアシルティコやマラグジア

人の嗜好にクシノマヴロを紹介するのに最適です。なぜなら、 ラプサニは、 マ

などの、ギリシャの他の場所からの在来種を植栽するというトレンド、主にソ

ケドニアのクシノマヴロのアペラシオンのより希薄なワインと比べて、常によ

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地域とアペラシオン (原産地名)

りフルボディでビロードのようであるからです。レゼルバとグランレゼルヴァ のボトルは最高のワインに熟成することがあり、何年もそのまま保管する価 値があります。 中央ギリシャの他のアペラシオンとしては、比較的無名のメセニコラやアン ヒアロスがあります。メセニコラはプラスティラ湖に近接したカルディツァに

ペロポネソス 半島と イオニア 諸島

位置し、地元のマヴロ種を、 シラーやカリニャンとブレンドして赤ワインが造 られています。アンヒアロスはテッサリアのヴォロス港に近く、サヴァティアノ とロディティスで白ワインが造られています。 最後に、 アッティカはアテネとその周辺を含むより広いエリアで、生産量の面 ではギリシャで最も重要な地域です。アッティカは、 ブドウ栽培に関する理由 だけでなく、ギリシャの首都であるアテネが位置するということからも、ギリ シャワインにとっても重要性の高い地域です。アテネはワイン取引の中心地 で、多くの流行がここで誕生しています。もっとも、アテネの重要性は、近隣 のブドウ栽培地にとっては諸刃の剣となっています。なぜなら、都市化が進む につれて、 ブドウ園の維持が経済性・合理性の面から立ち行かなくなっている からです。もっとも、 アッティカのブドウ園とその豊かな遺産が無くなってしま うとすれば、 とてももったいないことです。ここでの主な品種はサヴァティア ノで、日常的に楽しめるワインから、8 年まで貯蔵できる最高のボトルまで、 色々なワインがこれを用いて生産されています。

リシャ本土の最南端であるペロポネソス半島は、通常はイオニア諸島 と合わせて1つのグループに分類される、きわめて重要なブドウ栽培

地です。ペロポネソス半島では、赤品種が栽培されているその地域において

ギリシャで最高のワインが数銘柄造られていますが、白ワイン中心です。白 ワインのアペラシオンの最上位にあるのはペロポネソス半島の中心にある マンティニアで、 コリントスの南東の端のより近くにあるネメアは、ギリシャ では最大の、単独品種で醸造した赤ワインのアペラシオンとなっています。 マンティニアは、エキゾチックなモスホフィレロのアペラシオンです。モスホ フィレロはピンク皮の品種ですが、主に白ワインの生産に用いられていま す。きわめて優雅なワインで、新鮮さとミネラル風味に溢れています。最も 人気のあるスタイルはスティルのライトな辛口ワインで、食前酒としても消 費されています。また、セミドライやスパークリングのタイプもあります。い くつかのグリ・ ド・ノワールタイプもあり、 ブドウ液に短時間スキンコンタクト を施すことで、ほのかな灰色味わいと、 わずかに熟成が増した香りのプロフィ ールを得ます。モスホフィレロは花の性格が強く、特に強調されているのが バラの花びらの香りと、 シトラスと新鮮なフルーツのような味わいです。広が ってゆく風味と酸味を強調して端麗な酸味を演出し、 アルコール度数は中程 度か低く、ほとんど12.5 %を超えることはありません。今日のワインの世界 アタランティ (フティオティダ県)のブドウ畑

では、 これほどの風味を持ちながらこれほど低いアルコール度数となること

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地域とアペラシオン (原産地名)

ペロポネソス半島とイオニア諸島

栽培されています。ネメアは、通常は辛口の赤ワインですが、 アペラシオンの 下では甘口タイプも認証を受けています。色が深くて、 レッドフルーツの凝縮 された香りがあり、香りが複雑です。丸みのあるボディは、高品質の熟成した タンニンと酸味の新鮮さによって緩和されています。これは、ネメアのアペ ラシオンに最もよく見られるスタイルです。 もっとも、ネメアは、他の表情も持っています。オーク樽熟成を経ずに、収穫 後数カ月で流通する若い赤ワインです。この方法で造られるワインは、ネメ アでは何十年間も生産されていますが、最近までは全てのネメアワインが樽 熟成を経ることが義務であったため、PDOネメアとして表示されることがで きませんでした。もっとも、市場環境の変化を認識した上で、樽熟成を経てい ないネメアのアギオルギティコワインがネメアの PDOに含まれることが法 律で認められました。この新たな法律は、 ワイン生産者たちにとっては、かな り好都合なものでした。全てのブドウが丸一年の樽熟成に耐えられるワイン をもたらせるわけではありません。この改正により、 ワイン醸造専門家たち マンティニア (ペロポネソス半島・アルカディア県)のブドウ畑

は、かなりチャーミングで商業的に魅力的で、かつ、名声のあるネメアのアペ ラシオンをラベルに表示したワインを生産できるようになりました。ライトで 飲みやすくて、中程度の酸味とソフトなタンニン、そして、 レッドフルーツの新 鮮な香りをもつこのワインは、素晴らしいアギオルギティコの世界へのきっ

は、ほとんどありません。これらのワインはさわやかでチャーミングでありな

かけとしては最適です。

がらも、かなり洗練され、複雑な味わいと個性が豊かです。そのスタイルか ら、新鮮なハーブ、エスニック料理やスパイシーな料理、 シーフードや寿司な

ネメアは、常に、多彩さと品質とを同時に実現しています。その理由は、その

ど、香り豊かな幅広い料理のお供に最適です。

最も野心的なタイプを取り上げても、長期間のボトル熟成にもふさわしく、

モスホフィレロワインのスタイルは、地中海の平均的なリゾート地よりもか

ります。グルメの観点からは、ネメアは、多様な料理のオプションのお供とし

なり高山気候の性格を帯びています。マンティニアは高原で、標高は650メ

て理想的であり、現代の食生活のニーズや要求に対応することができます。

他方すぐ消費してもよいという、珍しいスタイルのワインだということにあ

ートルを超えるため、 この地域のブドウ園は高山に位置しているといえます。 気候は大陸性気候で、夏は厳しくなく、夜は涼しくてそよ風が吹きます。軽い そよ風が吹いて湿度が低いため、病気のプレッシャーが大きく抑えられ、低 介入のブドウ栽培に好都合な環境を形成されます。そのような好条件を利用 したオーガニックのブドウ園のこの地域に占める割合は増加しています。土 壌の種類は多様で、粘土質岩が比較的優勢ですが、土地は痩せ、生産量が過 剰にはなりません。また、 ピンク皮のブドウから淡い白ワインを造ることは困 難な作業で、 これを実現するためには、栽培や収穫の全てを手作業で行い、 斬新な技法や最先端のワイン生産技術を用いる以外にありません。 マンティニアからコリントスへ車で30分ほど向かうと、数千年の伝統を受け 継いでいるネメアの魅惑的なブドウ園があります。1460年に、当時ネメアが アギオス・ゲオルギオス (ギリシャ語で「聖ゲオルギオス」の意) と呼ばれてい たことから正式にアギオルギティコと名付けられた赤品種が、ネメア全体に

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地域とアペラシオン (原産地名)

ネメアの複雑な表情は、 この地域の複雑なテロワールとの間には明らかに 関連性があります。気候は、温暖な地中海性気候と大陸性気候を組み合わ せたものですが、日照時間が長いのが特徴です。冬は穏やかで、年間の降水 量は多いとも少ないとも言えません。この地域のクリュの間にはわずかな相 違しかみられないにもかかわらず、特に夏の間は、 ネメアのほとんどのブドウ 園で夜間と日中の気温に大きな違いがあります。また、ネメアの地形はきわ めて複雑で、多様な土壌を有し、標高も250~850メートルと広範囲です。ブ ドウ園では、冬の剪定から収穫まで広範囲にわたって手作業が行われます が、地元の人々の間では、土地の手入れは自然の恵みに対する見返りと考え られています。ここで忘れてはならないのは、ギリシャでのブドウ栽培は、常 に社会的な広がりを持ち、 ネメアのブドウ園は、古代から、地方社会の営みと 発展に不可欠に結び付いてきたということです。 この地域にはそれぞれ独自の特色を持った観光地が数多くあり、マンティニ アとネメアはこの地域の見どころの一部に過ぎません。メナロ山、パルノナ ス山、 ジリア山やファルマカス山の斜面、 ドクサ湖やスティンファリア湖、そし て、いくつもの森や川では、目を見張る自然の美しさを見つけることができ ます。この地域は、 スキー、 ハイキングやラフティングなどのアウトドアアクテ ィビティと、海水浴や水上スキーなどのマリンアクティビティを組み合わせる ことのできる非常に珍しい地域に数えられています。地元の伝統料理は個 性豊かで、そのほとんどでは、ほぼ全ての村の特産品店で購入することので きる地元の特産品を最大限に活用しています。伝統的な山岳建築はあちこ ちで見られ、中世からの数多くの村がこの地域に点在してきました。近郊に は、古代ネメア、 ミケーネ、オリンピア、エピダウルスやパナギア・ トン・ヴラホ ンなど、いくつも古代遺跡やビザンチン遺跡が位置しています。さらに、ナフ プリオンは、ギリシャ全体の中でも最も人気があり絵に描いたように美しい 街のひとつです。文化イベントは年中開催され、エピダウルスフェスティバ ル、ナフプリオンフェスティバルや、マンティニアの古代劇場でのイベントな ど、その多くが、国内に限らず、国外でも影響力を持っています。幸運なこと に、 この地域全体には、訪問者に開かれたワイナリーが非常に多くあり、 テイ スティングと教育セミナーを提供しています。 ペロポネソス半島の北側の海岸にあるアハイアは、いくつものアペラシオン をもつ、 ブドウ栽培のさらなる中心地です。アハイアの主な都市はパトラで、 マヴロダフニ・オブ・パトラはギリシャで最も有名な甘口の赤ワインのアペラ シオンです。 「マヴロダフニ」は「黒い月桂樹」を意味し、そのワインは、 この 名称がほのめかす強くて複雑な、香り豊かな性格を実際にもっています。ワ インは、酒精強化を施して「ヴァン・ ドゥー・ナチュレル」のスタイルで醸造さ れ、オーク樽で何年も熟成されます。若いうちは新鮮で活気があり、甘さと タンニンのバランスがとれています。 しかし、最高の生産者の造る古い伝統

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地域とアペラシオン (原産地名)

的なマヴロダフニは、素晴らしい複雑性と他に見られない個性をもっていま

ペロポネソス半島とイオニア諸島

発揮します。ギリシャで最も降水量が多い地域のひとつです。イオニア諸島

す。それらのワインはシルクのようにきめ細かく、スパイシーで甘口、 フルー

はかなり山がちで、場所によってはかなり急斜面で、エーゲ海の島々より人

ティーなニュアンスがあり、記録的な熟成ポテンシャルが印象的です。

を寄せつけない地形となっています。こうした条件の結果として、 この島々が

アハイアには、他にも、3つのアペラシオンがあります。2つはマスカット、つま

また、 このようにバラエティに富んだ地形は島々の内部で中気候が異なる、

示す容貌、傾斜さらに土地の肥沃さがバラエティに富んだものとなります。 り、マスカット・オブ・パトラと、パトラのマスカット・オブ・リオをベースとしたも

海水面近くでは暑くなったり、標高の高い場所では涼しくなったりします。こ

のです。マスカットについては、成熟しすぎた遅摘みのブドウで造られたワイ

れら全ての結果として、 テロワールやワインのスタイルが多様なものとなり

ン (ヴァン・ナチュレルマン・ ドゥー)が認められているにもかかわらず、生産さ

ます。もっとも、幅広いワインの種類が多種多様である原因としては、 テロワ

れるワインのほとんどが酒精強化を施されており、 ラベルに「ヴァン・ ドゥー」や 「ヴァン・ ドゥー・ナチュレル」と表示されています。これらは芳醇で、強くてパ

ールが分散しているのみならず、栽培されている品種の数が多いことも挙げ られます。

ワフルなものであり、 リオ地域のワインとよりさらに優雅な風味のあるワイ と呼ばれているもので、 ロディ ンです。3つ目のアペラシオンは単に「パトラ」

イオニア諸島全体、特にザキントス島とコルフ島に、重要なワイン生産地が

ティスで造られる辛口の白ワインに関するものです。ロディティスは、ペロポ

いくつか存在しています。また、小規模のブドウ園をほぼどこでも見られま

ネソス半島全域のブドウ園で多く栽培されるピンク皮の品種で、そのブドウ

ここでは、おそ す。7つの島の中で最も重要性が高いのはケファロニア島で、

の状態が最高なのはパトラです。標高が高く生産量の低いブドウ園からのワ

らく最高品質の有名なワインが生産されています。

インは、複数の層で構成され、 レモンの風味があり、鼻の中に強い香りを残し 口の中に広がる、ギリシャの白ワインの代表的なものです。

ケファロニア島、そして、おそらくイオニア海全体で最も有名な品種は、 ロボ ラです。ケファロニア島のロボラは、実に、 この地域で唯一の辛口ワインのア

ペロポネソス半島の最後のアペラシオンは、その南東の端にあるラコニア

ペラシオンです。最も高貴なギリシャ品種のひとつであるロボラからは、 レモ

であり、ギリシャで最も美しい中世からの村であるモネンヴァシアの周辺に

ンのようなフルーティーさと新鮮な酸味を帯びながら、深さ、 ミネラル風味と

位置しています。ここは、中世における、有名なマルヴァジアワインの原産地

エキスに十分に含む、かなり優雅な白ワインが造られます。他の重要な品種

であり、 このワインが現在復活を遂げたことは、真の意味で目を見張る流れ

としては、 チャウシがあります。 レモンやハチミツの香りが豊かで、時にスパイ

です。モネンヴァシア・マルヴァジアというアペラシオンで、主にモネンヴァシ

シーな性質が見え隠れしています。モスカテラはケファロニア島の特産で、

ア種を、 アシルティコ、 アスプルデスやキドニツァなどの品種とブレンドした、

ほのかなマスカットの香りとフローラルな強さを十分に感じられる白ブドウ

オーク樽で熟成したスイートな白ワインのものです。ブドウは天日干し (ラベ

です。

ルでは「リアストス (日光にさらした)」と表示されます)されていることが条 件で、酒精強化の有無は問題ではありません。ワインは、少なくとも2 年間、

ケファロニア島には、マスカット・オブ・ケファロニアとマヴロダフニ・オブ・ケフ

通常は大樽とした、古いオーク樽で熟成することが必須条件です。そのスタ

ァロニアの、 スイートワインの他の2つのアペラシオンがあります。マスカット

イルとしては甘くて香りがよく、パワフルですが、バランスが取れていてさわ

の、 この地特有の亜種は優れたマスカット・ブランで、マヴロダフニで定植し

やかな面もあります。

た苗木は、ほとんどが最高品質で、色も濃厚なチゲロのクローンです。マヴロ ダフニ・オブ・ケファロニアは主にケファロニア島の南東の沿岸と、法律上この

西側の海岸には、イオニア海に面しているイリア県とメッシニア県がありま

アペラシオンに含まれているイタカ島の南で生産されています。非常に優雅

す。マヴロダフニはこれらの地域の多くの場所で見られますが、最も注目に

な枠組みの中に素晴らしい構成とハーブの香りを併せ持つ、 マヴロダフニで

値するワインは、 イリアではレフォスコ、 メッシニアではカベルネ・ソーヴィニ

造られた辛口赤ワインへの嗜好が高まりつつありますが、 これらのワインに

ヨンというように、ギリシャ国外の品種を原料としています。比較的温暖な気

は、マヴロダフニのアペラシオンを付すことができません。それでもなお、一

候に恵まれたこの地域のブドウは、熟成させる価値のある素晴らしいワイン

度は試すべきものであることには変わりありません。

を生み出します。 イオニア諸島は、地図で見るとアドリア海の真下の位置でギリシャの西側の 国境を形成しています。ここの気候は極端な現象がなく、海が最大の影響を

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エーゲ海の島々

エーゲ海の 島々

サントリー二島のブドウの木はバスケット状にして育てられている。

そのカルデラと、 エーゲ海によって形づけられています。土壌は火山性で多孔 性のもので、溶岩、 テーラの灰と軽石でできており、有機成分は全く認められ

ません。気候は島特有の地中海性気候で、穏やかな冬、涼しい夏、干ばつと、 「 えきれないほどの島々があるエーゲ海には、多くの最高のテロワー

メルテミア」 と呼ばれる強い風が特徴的です。もっとも、海から発生する霧は、

ル、固有の品種やワインのスタイルがあります。専門家たちは、その

夏の間、 ブドウに必要な湿度を提供します。ブドウの実を病気その他の危険か

中でも特に独自性が高いのがサントリー二島だとしています。この島が「独

ら保護するユニークなエコシステムにあるサントリー二島のブドウ園は自生で

自性」の定義となりうるほど、サントリー二島の独自性は優れたものです。サ

土壌には水分がなく、一度もブドウネアブラムシの影響を受けたことがありま

ントリー二島の主な品種はアシルティコで、独自の遺産をもつこの高級品種

せん。実際に、サントリー二島はブドウネアブラムシがいないだけでなく、 ブド

は目を引くほど優れたテロワールで育てられています。この品種からは、若

ウネアブラムシに感染するおそれがないのです。なぜなら、 ブドウネアブラム

い時でも、熟成しても楽しめる辛口の白ワインが造られます。構成がおおざ

シは、伝播するためには少なくとも5%の粘土が必要ですが、サントリー二島

っぱで、新鮮で、特徴的な酸味と、 アルコール度数は高くでもバランスを保つ

の土壌の粘土は0%だからです。そのため、サントリー二島のブドウ園は世界

ことが、 シトラスの独特な香りと強いミネラル風味をもっています。オーク樽

で最古のブドウ園である可能性があり、 約3,500年前からのものであると言わ

で熟成しているワインはさらにしっかりとした構成をもち、その香りはかなり

れています。ブドウの木の大部分は、平均樹齢50~100歳、あるいはさらに高

複雑です。アシルティコは稀少でユニークな、価値が高く国際的に評価され

齢で、1ヘクタール当たり約15ヘクトリットルという生産量はギリシャ国内で最

ている「由緒正しき」ワインで、複雑な料理と、魚やシーフード全般に最適で

低です。 この島のブドウ園は、 間違いなく世界文化遺産の名に値します。

す。熟成ポテンシャルは辛口の白ワインの中ではひときわ目を引き、15年熟 成のアシルティコワインでもなおその若さを保つことができます。他に、 「ヴ

ブドウの木は「クルレス (輪)」または「カラシア (バスケット)」 と呼ばれる、伝統

ィンサント」 と呼ばれる地元の特産品もあります。ヴィンサントとは、天日干し

的な技術で育てられています。これは、茎を高さの低いバスケットの形に丸め

されたアシルティコのブドウで造られた甘口ワインです。ヴィンサントは強力

ることで、 強い風や日差しからブドウの木を守るというものです。 この島の独自

で濃厚な、芳醇でしっかりとしたワインで、何十年でも熟成できます。世界で

のエコシステムにブドウ栽培を適応させるために栽培者が世代を超えて積み

デザートや芳醇で風味豊かな料理に合います。 最も偉大なワインの1つで、

重ねてきた経験から直接得られたものです。土壌にブドウネアブラムシがいな

サントリー二島のテロワールは、世界でもユニークなもので、 テーラの火山、

替えられ、根の部分はそのまま維持されます。このことにより、時として、地上

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いため、 「カラシ」 と呼ばれるブドウの木の上部は、通常、15~20年ごとに取り


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地域とアペラシオン (原産地名)

エーゲ海の島々

を見張る売り上げを上げています。ここで栽培されているマスカットはマスカ ット・ブランですが、 ブドウ栽培者たちは、 この品種を他の地域で生育しても、 通常「マスカット・オブ・サモス」と呼んでいます。酒精強化(ヴァン・ ドゥーまた はヴァン・ ドゥー・ナチュレル) ワインから、天日干しされたブドウを用いた甘口 ワイン (リアストスすなわちヴァン・ナチュレルマン・ ドゥー) まで、多くの種類が 生産されています。グラン・クリュ・ヴァン・ ドゥー・ナチュレルは、通常生産量が きわめて低いとされる、標高400メートル以上のブドウ園から生産されてい ます。主な2つのスタイルとしては、若くオーク樽熟成なしで、マスカット種を 原料とした新鮮で強力な最初のアロマの要素に重点を置いたスタイルと、 ブ ドウの実、生産方法と熟成が融合するやり方にまたとない優雅さを示す、オ ーク樽熟成を経たスタイルがあります。いずれも、 ヨーロッパで最高の甘口 ワインに数えられています。

サモス島のブドウ畑

リムノス島は、 エーゲ海北部でワイン生産が行われる2番目に大きな島で、そ のブドウ園ではマスカット・オブ・アレクサンドリアが大半を占めています。 リムノ ス島のマスカットは深みがあり、 若々しく、 サモス島のものよりもフローラルで 早熟です。マスカット・オブ・リムノスというアペラシオンは、 甘口ワインの全ての

の部分は数十年のもので、根の部分は数世紀も前からブドウの木が存在する

醸造方法に適しており、 それには、 厳選されたブドウ園のグラン・クリュの下位区

ため、サントリー二島のテロワールの他に類を見ない特性が強調されていま

分も含まれています。また、 この島では、 マスカット種を用いた辛口の白ワイン

す。驚くほど人の手が加わっており、収穫を含む栽培に関するあらゆる作業が

と、 辛口と甘口の赤ワインが生産されています。赤ワインに用いられる品種は、

手作業で行われます。収穫の時期はギリシャで最も早く、通常は8月初めに行

ホメロスが初めて言及した品種リムニオですが、 甘口タイプにはわずかにマス

われます。 「ぺズレス」 と呼ばれる、 風による土壌の浸食を防ぐために丘の急激

カットが含まれていることがあります。甘口のマスカットを除くこれらのワイン

な斜面に設けられたテラス状の地形も、 かなりの労力を要するものです。

の全てのスタイルには、 リムノスのアペラシオンを付すことができます。

この島は、 カルデラやエーゲ海などの独自の自然の美しさ、あまり見られな

エーゲ海の他の重要なアペラシオンとしては、 ロドス島とパロス島があります。

い形状のビーチ、一流の最先端の宿泊施設、美容・健康サービス、そして、外

ロドス島はドデカニソス諸島の最も大きな島で、 ワイン生産の観点から最も重

国料理や地元料理を提供する有名なレストランを誇り、観光客にとって最高

要な島でもあります。そのブドウ栽培地は、 2つの別個の地帯に分けることがで

の旅行先となっています。この島には、いくつもの天然の伝統的な製品、 マリ

きます。標高が低い方の地帯には低地のブドウ園が含まれ、 もうひとつの地帯

ンアクティビティ、 カステリアやグラデスに見られるようなキクラデス諸島の 素晴らしい建築様式、古代シラやアクロティリなどの古代遺跡、博物館、そし て、文化活動や国際会議観光用の施設があります。このような経験の中でワ インが果たす役割は重要なもので、最先端のワイナリーや「カナヴェス」 と呼 ばれる伝統的な地下のワインセラーで、 テイスティング、 セミナーやグルメイ ベントが行われています。さらに、 エーゲ海とカルデラという他に類を見ない 眺めを提供するブドウ園、地下のワイン博物館、 さらには最高峰のレストラン やワインショップには、魅力的なワインリストがあります。 上に述べたようなサントリー二島の輝かしい側面以外に、マスカット種から は、特にサモス島、 リムノス島とサモス島でも、主に甘口の、最上級のワイン が数銘柄造られています。サモスは人気の高い歴史的なアペラシオンで、目

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リムノス島のブドウ畑

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地域とアペラシオン (原産地名)

には、 高さ1,216メートルの頂上をもつアタヴィロス山の斜面が含まれます。土 壌は、 小さなポケット状の砂、 粘土、 石灰岩と砂利が混じり合ったもので、 より標 高の高いブドウ園では石灰岩の含有量が増します。ブドウ栽培地の90%以上

クレタ島

と がアペラシオンの境界内にあります。1つ目のアペラシオンは単に「ロドス」 呼ばれるもので、 主にアシリと、 少量のマラグジアとアシルティコで造られる辛 口の白ワインと、地元では「アモリアノ」 と呼ばれているマンディラリアから造 られる辛口の赤ワインとロゼワインがこれに含まれます。特に新鮮で甘口のマ スカット・オブ・ロドスには、 独自のアペラシオンがあり、 マスカット・ブランとマス カット・ トラニの双方が用いられ、法律上は天日干しのブドウから酒精強化ワイ ンまでの全てのスタイルが含まれています。また、 ロドス島は、 いくつかの有名 なボトルがタンク発酵のものであるにもかかわらず、 長期にわたって、 ギリシャ のボトル発酵のスパークリングワインで主導的な役割を果たし、 このタイプの 暖かい 主な供給源でした。 そのスタイルは非常にチャーミングで飲みやすく、 気候の果実の成熟度と新鮮さを組み合わせています。いくつかのロゼタイプ は、 地中海全体で最高のスパークリングワインに数えられます。スパークリング の白とロゼは、 ロドスのアペラシオンに含まれることが認められています。 パロス島は、キクラデス諸島の中央に位置し、古代ギリシャの最初期からワ イン生産地のひとつでした。パロスのアペラシオンでは、モネンヴァシアのみ で造られている風味と香りが豊かな白ワインと、マンディラリア3 分の 1とモ ネンヴァシア3 分の 2をブレンドして造られている、白ワインより一般的な赤 ワインが認められています。赤ワインの生産に白ブドウを用いることが認め られているギリシャで唯一のアペラシオンで、 よく見られるのは、発酵してい

レタ島は、ギリシャで最も大きい島で、 ブドウ栽培の観点から最も重要 な島でもあります。この島で平地なのは、主に沿岸のごくわずかな部

分で、比較的高い山々が東から西まで島を横断しています。クレタ島がギリ

るモネンヴァシアのブドウ液に、圧搾したばかりのマンディラリアを加えると

シャの最南端にあることから、その気候はギリシャで最も暑いのは当然で、

いう方法で、刺激的で芳醇な、独特の性格を作り出します。

実際、数多くの観光客がこれを裏づけてくれます。もっとも、山々はこの地域 の気候、そして、ひいてはクレタ島におけるブドウ栽培にとって非常に重要と

ペロポネソス半島のラコニアにおいて最近、モネンヴァシア・マルヴァジアの

なっています。ブドウ栽培者たちは、標高の高い場所で植栽できるため、いっ

アペラシオンを導入したのと軌を一にして、パロス島でも、マルヴァジア・パ

そう高山気候の性格の強い中気候が実現しています。この利点は、 クレタ以

ロスという第2のアペラシオンが認められました。このアペラシオンには、天

外の多くのエーゲ海の島々にも見られるものです。こうして、 クレタ島のほと

日干ししたモネンヴァシアとアシルティコを用いた、樽熟成を経た甘口ワイ

んどのブドウ園は標高の高い、アフリカから吹く暑い南風から守られた北向

ンが含まれます。この名称について説明すれば、マルヴァジアワインが主に

きの斜面にあります。

ペロポネソス半島のモネンヴァシアの港から輸出されていたにもかかわら ず、 「マルヴァジア」 という呼称がよく使われるようになり、エーゲ海の多くの

その面積が最も多いのは クレタ島には、 ギリシャのブドウ園の約15%が存在し、

地域ではこのスタイルの甘口ワインをかなり大量に生産していたことで、一

イラクリオン県で、 ハニア県、 レシムノ県そしてラシシ県がこれに続きます。土壌

般名として扱われていたという点が挙げられます。パロス島は、 クレタ島(下

の大部分は粘土と石灰岩で、 多くの場所では粘土の比率が多いです。土壌は、

記参照) と並んで、分かりやすい選択肢となったのです。

斜面の方が平野よりも肥沃ではないという一般的なパターンに従っています。

ブドウ栽培との関係で重要な島の最後はティノス島で、生産者の数が増えつ

クレタ島には7つのワインのアペラシオンがあり、 これらには、 マルヴァジア種

つあり、 アシルティコ、マヴロトラガノ、そして在来種のポタミシやクマリを含

のアペラシオンも2つ含まれています。5つはイラクリオンに近く、残りはラシ

むかなり興味深いブレンドがあります。

シ地域のシティア町にあります。

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地域とアペラシオン (原産地名)

地域とアペラシオン (原産地名)

ペザよりも強力でがっちりとし、 これに対し、ペザは、 フレグランスと優雅さが 特徴です。ペザには、 レモンの風味があり香り豊かで、新鮮さの溢れる、 ヴィラ ナのみで造られた白ワインも含まれます。イラクリオンの最近の2つのアペラ シオンは、 この地域の古典的な3つのアペラシオンの地域全体を包含するも のです。ハンダカス・シティアのアペラシオンには、 ヴィラナと15%までのアシ ルティコ、 アシリ、 スラプサシリそしてヴィディアノで造られた辛口の白ワイン と、 マンディラリアとコチファリで造られた辛口の赤ワインが含まれます。マル ヴァジア・ハンダカス・カンディアのアペラシオンは、甘口ワインのみのもので、 マルヴァジア・シティアと同じ品種構成に、品質の面でかなり有望なポテンシャ ルを示していることから注目を集めている、稀少な白品種であるヴィディアノ が加えられています。 これらのアペラシオン以外にも、 クレタ島のワイン生産者たちはそのポートフ ォリオを広げるのに、 さまざまな刺激的な方法を用いています。ブドウ園には ボルドーやローヌの品種が植栽されており、多くの場合、 これらの試みから真 のポテンシャルが垣間見えます。そして、 さらに重要なのは、 多くの若手のワイ ン生産者たちが、 ダフニやプリトのような絶滅に近い在来種や、 ソレラ方式で スカラニ(クレタ島・イラクリオン県)のブドウ畑

熟成され、 シェリー酒にも似たマルヴァスのような忘れ去られたスタイルを復 活させようとしながら、 まさにエキサイティングなワインを造っているというこ とです。

ホワイト・シティアは、 少なくとも70%が新鮮でレモンの風味がある品種ヴィラ ナを原料とするものとされ、 この品種に、 スラプサシリ種がフローラルな複雑 丸味があり芳醇な性 さを加えます。シティアの赤ワインはリアティコ100%で、 格で、 生産者は、 色の濃さと酸味を高め、 やや高めのアルコール度数を達成す この るために20%のマンディラリアを加えることが認められています。また、 地域では、 リアティコを原料として素晴らしい濃縮された甘口ワインも造られ ています。さらに、 マルヴァジア・シティアのアペラシオンもあり、そこでは、主 にアシルティコ、 アシリ、 スラプサシリ、 リアティコと、 これより少量のマスカット・ オブ・スピナそしてマスカット・オブ・カンディアの複雑なブレンドでワインが造ら れています。 やや伝統のあるイラクリオンの3つのアペラシオンは、辛口ワインと甘口ワイ ンのダフネス、辛口の赤ワインのみを醸造するアルハネスと、辛口の白ワイ ンと赤ワインが造られる、最大のアペラシオンであるペザです。主な品種のう ち、 ヴィラナが主要な白品種であり、 コチファリが最も人気のある赤品種とな スパイシーな性格と っています。ダフネスはリアティコ100%で造られており、 真のパワーを示します。アルハネスとペザの赤ワインは強力で革のような味 がし、 アルコール度数が高くて酸味が低く、 丸みのあるタンニンが特徴の品種 マンディラリアを用いて造られます。アルハネスは であるコチファリを75%と、

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クレタ島のブドウ畑

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ギリシャの 白品種と ピンク品種 アイダニ  AIDANI 極めて厳格で優雅な、 フローラルなワインで、新鮮な酸味 と丸みを帯びたテクスチャーがあります。主にサントリー二 島で、厳格で、 クリスプな、時としてアルコール度数の高い アシルティコに丸みを与えてソフトにするために、 ブレンド されます。

アシルティコ  ASSYRTIKO 極めて厳格で優雅な、 フローラルなワインで、新鮮な酸味 と丸みを帯びたテクスチャーがあります。主にサントリー二 島で、厳格で、 クリスプな、時としてアルコール度数の高い アシルティコに丸みを与えてソフトにするために、 ブレンド されます。

アシリ  ATHIRI 極めて厳格で優雅な、 フローラルなワインで、新鮮な酸味 と丸みを帯びたテクスチャーがあります。主にサントリー二 島で、厳格で、 クリスプな、時としてアルコール度数の高い アシルティコに丸みを与えてソフトにするために、 ブレンド されます。

バラエティー豊かな ブドウの品種 5

デビナ  DEBINA 極めて厳格で優雅な、 フローラルなワインで、新鮮な酸味 と丸みを帯びたテクスチャーがあります。主にサントリー二 島で、厳格で、 クリスプな、時としてアルコール度数の高い アシルティコに丸みを与えてソフトにするために、 ブレンド されます。

マラグジア  MALAGOUSIA 極めて厳格で優雅な、 フローラルなワインで、新鮮な酸味 と丸みを帯びたテクスチャーがあります。主にサントリー二 島で、厳格で、 クリスプな、時としてアルコール度数の高い アシルティコに丸みを与えてソフトにするために、 ブレンド されます。

モスホフィレロ  MOSCHOFILERO 極めて厳格で優雅な、 フローラルなワインで、新鮮な酸味 と丸みを帯びたテクスチャーがあります。主にサントリー二 島で、厳格で、 クリスプな、時としてアルコール度数の高い アシルティコに丸みを与えてソフトにするために、 ブレンド されます。

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バラエティー豊かなブドウの品種

マスカット・オブ・サモス  MUSCAT OF SAMOS 香り豊かなバラの花びらの傑出した複雑性、熟成したフル ーツとベルガモットの風味。芳醇かつ濃厚で、中程度の酸 味、密度の高い構成と熟成ポテンシャルがあります。オーク 樽で熟成すると、甘口タイプでは、 目立って新鮮さを保ちな がらも複雑なスパイシーさを実現します。

キドニツァ  KIDONITSA ギリシャ語では、 「キドニ」とは「マルメロ」のことであり、 こ の新興の品種の名称が示すように、マルメロを思い起こさ せる強い香りと、熟成したモモの香りと微かなミネラル風 味があります。風味ではソフトで、 ジューシーで包み込むよ うな感覚があります。

ロボラ  ROBOLA きわめて高品質の、香り豊かで新鮮なワインで、 デリケート なシトラスとミネラルの香りがあります。非常にバランスが とれており、淡麗なレモンのような酸味とミディアムのボデ ィをもっています。フルーツの深みと複雑性。ボトル熟成す ると興味深い結果が得られる場合があります。

ロディティス  RODITIS ピンク皮の品種です。 しばしば熟成したメロンとハチミツを 思い起こさせるフルーツの香りが多く、強い香りと風味を もっています。風味の枠組みは広く、さわやかな、かなりソ ーヴィニヨン・ブランに似たレモンのような後味があります。

バラエティー豊かなブドウの品種

ギリシャで 栽培されている 重要な外国の 白品種 シャルドネ  CHARDONNAY

熟成したフルーツの強くて芳醇な香りと風味、構成のしっか りした味わい、 フルボディ、中程度か高いアルコール度数、 そして、中程度の酸味をもちます。多くの場合、 オーク樽で 熟成または発酵します。

ソーヴィニヨン・ブラン  SAUVIGNON BLANC ワインノーズが非常に強く、新鮮さとキャラクターが豊か で、草、 レモンとより多くのトロピカルフルーツの香りがあり ます。味わいについては特徴的な酸味をもち、中アルコー ル度、 ミディアムボディです。オーク樽で発酵したものは最 高で、熟成することもできます。 ギリシャで栽培され成功を収めている他の外国品種としては、 セミヨン、 ヴィ オニエ、 トレッビアーノやトラミネール/ゲヴュルツトラミネールが含まれ、認 知度は低いものの、品質は低くないダフニ、 ラゴルシ、 モネンヴァシア、 マスカ ット・オブ・アレクサンドリア、ペトルリアノス、スラプサシリや他の多くの白の 在来種もあります。

サヴァティアノ  SAVATIANO フルーツが濃厚で強い香りをもちながらも、バランスがと れていて口の中でジューシーなワインを造るポテンシャル があります。高山気候の地域原産や樹齢の高いブドウの木 で採れたブドウは、驚くほど優雅で香り豊かです。

ヴィラナ  VILANA 特に痩せたブドウ園に植栽された場合は、中程度から低め の、 フローラルでスパイシーな香りのプロフィールをもち ます。中から高アルコール度で、酸味はソフトでもバランス がとれており、非常にさわやかな風味をもっています。

ヴィディアノ  VIDIANO 優雅でありながら、ワインノーズは非常に明らかな香りを もち、 フローラルさと共に、成熟した核果を思い起こさせま す。口の中でのボディはミディアムですが、エキスとミネラ ル風味をもっています。新興の単独品種で、最高品質を達 成しうるものです。

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ギリシャの 赤品種

アギオルギティコ  AGIORGITIKO オーク樽で熟成した場合、深い色、 レッドフルーツの濃縮さ れた性格をもち、香りは複雑です。ボディが芳醇で、品質が 高く熟成したタンニンを含みます。若い時にボトル詰めす ると、中程度の酸味、 ソフトなタンニンとレッドフルーツの新 鮮な香りが特徴の飲みやすいワインとなります。

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バラエティー豊かなブドウの品種

コチファリ  KOTSIFALI

バラエティー豊かなブドウの品種

クシノマヴロ  Xinomavro

淡色で、文字通り地中海の品種で、高アルコール度で、 レッ ドフルーツの香りが強く、酸味は中程度です。コチファリに は、色、酸味とタンニンを付加する他の品種とのブレンドを 必要とし、通常はマンディラリアが用いられます。

リアティコ  LIATIKO 中程度の色の濃さをもち、香り豊かで、直線的なパレットに 中程度の酸味があります。天日干しすると、 この品種の性格 が変わり、酸味と濃縮度がより高くなり、風味もよりパワフ ルで複雑なものとなります。

リムニオ  LIMNIO 古代からの品種で、 ホメロスが最初に言及したものです。新 鮮なハーブと実の小さいフルーツの香りをもち、 すっきりし た強さがあります。味わいについては中程度のタンニン、 フ ルなボディと比較的低い酸味をもっています。

リムニオナ  LIMNIONA この品種も新興のもので、多くの生産者は「発展途上」 と評 価していますが、大きな期待が寄せられています。ワインノ ーズはミネラル風味があり新鮮なハーブの風味豊かで、味 わいは複数の層からなり、酸味を特に強調しています。

マンディラリア  MANDELARIA ギリシャで最も色の濃い品種で、 ボディ、香りと風味の強さ がやや不足していますが、酸味とタンニンが豊富です。その ため、 マンディラリアは、 ブレンドに用いられることが多いで すが、単独品種としても興味深い結果をもたらします。

マヴロダフニ  MAVRODAPHNE 通常は淡い、黄褐色を帯びた赤色で、 スイートな、酒精強化 されたワインです。シルクのようにきめ細かく、ほのかにタ ンニンが感じられます。オーク樽で数十年間でも熟成する ことができ、強烈な印象を与えるきわめて複雑なワインで す。非常に有望な辛口の単独品種の赤ワインも造られ、注 目を集めつつあります。

マヴロトラガノ  MAVROTRAGANO 最近発見されたもので、色が濃く、 ワインノーズは濃縮され ていて深いですが、焼け付くような感覚が全く感じられま せん。味わいは芳醇で、 オーク樽での2年間の熟成にも耐え うる優雅なタンニンに包まれています。人気上昇中です。

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熟成すると優れたワインの原料となるこの品種は、明るい 赤色で、 きめ細かいながらもがっしりとしたタンニンと、 しっ かりとした構成と優雅さをもっています。香りは複雑で、 レッ ドフルーツ、 トマトとオリーブの香りが強いです。通常はオ ークの香りをもち、スパイス、乾燥プラム、煙草とナッツの 微かな風味があります。ボトルでの長い熟成ポテンシャル をもっています。

ギリシャで 栽培されている 重要な 外国産赤品種 カベルネ・ソーヴィニヨン  CABERNET SAUVIGNON 深く不透明な色合いで、 ワインノーズは鮮烈で、成熟したブ ラックフルーツの香りとヒマラヤスギの風味があります。 し っかりしており、 タンニンが豊富で、味わいに構成があり、中 から高アルコール度、酸味は中程度です。熟成に適したワ インです。

メルロー  MERLOT 濃い赤色です。ワインノーズは強く、 成熟したチェリーとレッ ドベリーの香りと、チョコレート、 タフィーとコーヒーの甘さ が感じられます。味わい豊かで、 ソフトなタンニンと、中アル コール度です。

シラー  SYRAH 深みのある不透明な色合い。濃厚なワインノーズは、 ブラッ クフルーツ、皮とスパイスの風味豊かで、黒コショウが基調 をなしています。がっしりとして成熟したタンニンをもち、 フ ルで幅広く、高アルコール度で酸味が中程度です。 ギリシャで植栽され成功を収めている他の国際品種としては、 カベルネ・フラ ン、 サンソー、 グルナッシュ・ルージュ、 ムールヴェードル、 レフォスコとテンプラ ニーリョがあり、今はあまり人気がないとしても、今後有望とされるギリシャ の赤品種としては、 クラサト、マヴルディ、ネゴシカ、スタヴロト、 ヴェルジャミ や他の多くの品種があります。

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リシャが、人気のある優れた観光地であることについては多くを語る 必要はないでしょう。それでも、ギリシャで体験できる、きわめて多彩

なワインツーリズムの体験の知名度は低いです。ギリシャは、 ワイン通にも、 また、たまにしかワインを飲まなくともライフスタイル全体の中にワインに 関する経験を取り込もうとしている消費者にも、さまざまな体験を提供して います。実際に、ギリシャに行けば、訪問者は、 ワインアンバサダーになってし まうのです。 出発点として最もおススメなのが、多くの地域にあるワインロードのイニシ アチブがあります。いくつかの最も注目すべき例としては、ギリシャ北部、中 央ギリシャ、アッティカ、 クレタ島やペロポネソス半島のワインロードが挙げ られます。これらのワインロードでは、訪問者は、 メツォヴォの伝統的な村、数 多くの近代に建立された修道院や古来の修道院が混在する聖山アトスなど、 驚くほど素晴らしい旅行先へと赴きます。これらのワインロードは、単にワイ ナリーに限らず、 レストラン、 ホテル、そして、 さまざまな農産物の熟練した生 産者も包含するものとなっています。 確立されたワインロードツアーの他にも、ギリシャには、 ガイド付きのツアー、 テイスティング、そしてワインセラーでの販売という日常をはるかに超えた 経験を提供するワイナリーがたくさんあります。多様な宿泊施設やウェルネ スのインフラを提供する最先端の設備、バイオクリマティックなワイナリー やエステートが多くあり、訪問者は、 ワインセラーやブドウ園での作業を行う ことで、直に体験をすることが可能です。他にも、印象的な自然環境に位置 し、テイスティング、ディナー、そして、組織されたイベントなども提供してく

ワインツーリズム

れる体制にある生産者もいます。

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ワインツーリズム

地中海の美食の中心的存在のギリシャ料理に与えられたお墨付きについて は非のうちどころがありませんが、ある特定の外国の料理や多国籍料理を 提供する素晴らしいレストランも数多くあります。ほとんどの飲食店が充実 したギリシャワインセレクションを提供していますが、同時に、料理とワイン が同等の重要性をもつ次世代のワインレストランもあります。アテネ、エル ンダ、 ミコノス島、サントリー二島、 テッサロニキ、ハルキディキ、 ロドス島、 コ ルフ島そして他の多くの場所に見られるこれらのワインレストランでは、バ ラエティに富んだワインリストを提供しており、そこには、稀少なラベルの銘 柄や容易に入手できない過去のヴィンテージも多く含まれています。新たな 世代のギリシャのソムリエたちは、ギリシャワインに関してきわめて深い知識 を有し、同時に情熱も持っているため、 自分に見合った一本を選ぶことがこれ までになく容易になりました。 ギリシャへの旅は、原点への旅です。一般にあまり知られていない、バラエテ ィに富んだ多様な自然、文化そして社会の要素があり、 これらの要素は、確 立された定型化された捉え方を超えて、現代ギリシャの本当の性格を明ら かにしてくれます。知名度が低く、誰も触れたことのない、人が足を踏み入 れたことのない自然の恵みを受けて、他の要素に加えて、比べようのない美 しさ、多様なコントラスト、生物の多様性、そして、海洋公園や自然保護区な どが。島々や本土の伝統的な建築は驚くほど素晴らしく、訪問者は、マケドニ ア、 イピロス、ペロポネソス半島やクレタ島の山岳にある村、中世の城や地下 の洞窟を利用した住居を訪れることができます。 「人」という要素も重要です。ギリシャでは、もてなしは日常生活の「心」とな っています。そして、ギリシャ人がワインを留めておく場所も、まさにその「 心」の中なのです。

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中海式食生活は、世界中で多くの識者が究極の栄養計画と見なして きました。この食生活は長年にわたって注目され続けています。地中

海性の食生活の中心かつ本質となるのは、その定義からも歴史上の理由か

らもギリシャの食生活です。味わいがどの国の食生活でも重要な要素をな すことは間違いなく、ギリシャ料理でもこの味わいに欠けるということはあり 得ないのですが、研究者たちは、ギリシャ国内の各地域の食生活が健康に及 ぼす良い影響にも驚きを隠せません。 伝統的なギリシャ料理は、ほとんどのギリシャ人が家で食べている食事から なり、他の国でも大きな成功を収めています。そして、 ここ20年の間に、野心 的な多くのシェフによって最先端のギリシャ料理が形成されました。これらの シェフたちは、外国料理の材料を取り入れて新たな手法でこれらの食材を演 出するか、あるいは、代表的な地元の材料を用いて単に新たな料理を創作す るか、いずれかの方法で伝統的なレシピを別の料理にアレンジしました。これ ら2つのアプローチは競合するものではなく、調和して共存しています。伝統 的なギリシャ料理は、それぞれ独自の特徴を持つ地方料理の混合体であり、 他方、最先端の最高級ギリシャレストランは、今日のギリシャ料理のアンバサ ダーとして機能しているのです。その多くが国外でも評価されている数多く の優れたギリシャレストランの存在や、外国の多くの主要都市でギリシャ料 理が活発に存在感を示していることにも明らかです。 ギリシャの食生活における重要な展開として、 「地域性」の重要性が増してい ることが挙げられます。その土地の産物を、近隣で販売、 プロモーションして 体験もするということです。ギリシャの多くのワインセラーや特産品店が、高

ギリシャの食文化

品質の地元の産物を厳選し、 このような産物に重点を置いています。もちろ ん、 ワインは、食材の中でも特にオリーブ、オリーブオイル、マスティック、サ フラン、 ハチミツ、 ハーブ、 ビネガーやチーズなどの天然産物から成る国や地 方のポートフォリオをさらに充実させています。

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ギリシャ・ワインマップ (原産地呼称保護地域)


33 の原産地呼称保護地域( PDO )

PDO ワイン: PDOとは原産地呼称保護を意味し、ギリシャのVQPRD

(AOVDQS&AOC) ワイン全てを含む。

Greek Wine Brochure in Japanese  
Greek Wine Brochure in Japanese  

ギリシャワインの総合ガイド 品種、ブドウ、ワイナリー。

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