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循環器内科看護師のためのフットケア  静脈性疾患・リンパ浮腫に対する治療とケア

杏林大学付属病院   皮膚排泄ケア認定看護師  丹波 光子


杏林大学医学部付属病院 •  許可病床数1153床 •  入院患者数 1日平均  848人(2012年度) •  外来患者数 1日平均  2215人( 〃 )


形成外科外来
 『下肢救済フットケア外来』の連携  透析病院 地域の病院

検査技師

看護師

皮膚・排泄ケア認定看護師(3名)
 リンパセラピスト(2名)


下腿潰瘍をもつ患者
 糖尿病
 抹消循環障害 人工透析 静脈鬱滞性

糖尿病内科
 皮膚科
 循環器内科
 血管外科


その他 形成外科医師

靴・装具士


下肢救済フットケア外来患者数 1694

延べ患者数

1480

1133

643

210

19年度

20年度

21年度

22年度

23年度


有病率と患者背景 •  欧米における静脈性潰瘍の有病率は    女性、高齢者に多い    治癒後の再発率26∼69%高い   当院下肢救済・フットケア外来   H23年4月∼H24年1月 患者数582名中56名9.6%   女性33名男性23名   平均年齢69歳   潰瘍の再発患者18名 32%


•  80代 男性:寿司職人  2009年8月受診   

事例1

2011年10月治癒   2012年7月再発   


事例2リンパ静脈吻合術後再発 術後圧迫療法していない  蜂窩織炎で入院  蜂窩織炎改善後圧迫療法開始


静脈疾患・リンパ浮腫のケア 患者のセルフケア状況  患者に合ったケアの選択をする  継続可能なケア 

患者・家 族背景

どんな時に痛いのか  痛みの程度 

痛みの程 度

下肢の状 態をアセ スメント

動脈性  糖尿病性  静脈性  リンパ浮腫  圧迫療法  継続可能なもの 

圧迫療法

WBP:wound bedprepare;on  創傷をア TIMEのコンセプト

セスメント


静脈性潰瘍の原因 •  静脈疾患による皮膚病変の基本的病因   静脈高血圧  病態   ①静脈血の逆流:弁不全   ②静脈の閉塞:深部静脈血栓症   ③逆流と閉塞の混合:深部静脈血栓後遺症 


リンパ浮腫の分類 1)原発性リンパ浮腫:発症原因が確定しないもの  ①先天性リンパ浮腫  ②早発性リンパ浮腫  ③晩発性リンパ浮腫 2)続発性リンパ浮腫:発症の原因疾患が特定しているもの  ①手術後や外傷後  ②深部静脈血栓症  ③悪性腫瘍の憎悪  ④その他


病歴 •  手術歴  •  肥満・妊娠・血管性静脈炎・深部静脈血栓 症・下腿外傷  •  生活状況:長時間の立位・長時間の座位・仕 事  •  糖尿病・喫煙歴・低栄養・体重減少  •  治療の経過  •  病気の経過 


静脈疾患のアセスメント •  浮腫  •  ヘモジデリン沈着  赤血球の血管外漏出により  ヘモジデリン(血鉄素)が沈着  した結果生じる  (下腿1/3領域に起こる)  •  脂肪皮膚硬化症  下腿の皮下組織の線維化により、  皮下組織が固くなる状態  •  静脈瘤  •  白斑  •  静脈性皮膚炎  •  合併症:潰瘍


リンパ浮腫の症状 •  •  •  •  •  • 

浮腫  皮膚の乾燥・硬化  線維化・脂肪の増生  皮膚の角化・像皮症  皮膚の色調変化  痛み


静脈性潰瘍の特徴 部位 創縁の深さ 創底部 浸出液の量

• 下腿1/3に多い • 内側に多いといわれているが、外側にもしばしば発生する • 創縁は不正形 • 深さは真皮から皮下組織までが多い • 血色がよい赤色 • 炎症期には壊死組織や、フィブリンが創面に存在する • 一般に多い

潰瘍周囲の皮膚 • 色素沈着・浸軟・痂疲・落屑・硬化・浮腫・小静脈の拡張 痛み

• 炎症期に強い痛みがある


静脈性・リンパ浮腫の管理 •  Wound Healing Societyの静脈性下肢潰瘍管 理ガイドラインの中で推奨されている治療       「ライフスタイルの適合」        「圧迫療法」


圧迫療法 •  圧迫療法は静脈不全の原因となる静脈高血 圧を改善させる治療法    ○ドプラ―やABIで末梢動脈疾患の有無を確認    ○ドレッシングの着脱によりドレッシング材が        はがれることがあるため、創閉鎖までは弾       性包帯により圧迫する。また圧迫療法開始直後        は下腿周囲径が変化しストッキングの場合サイ      ズが変更しやすいため弾性包帯を使用する 


弾性包帯  圧迫療法の圧の基準         病因

    適切とされる圧

一次性下肢静脈瘤

足関節圧で  20∼30mmHg

深部静脈血栓症後遺症 

足関節圧で  30∼40mmHg

リンパ浮腫 

30∼50mmHg

  正しい巻き方にはトレーニングが必要 

コンプリラン6‐10

コンプリハフト8.10  自着生低伸縮性包帯


その他使用物品

皮膚の保護  均一に圧力を配分

皮膚の保護  筒状包帯 それぞれ病院内で必要なものを検討してください


事例3

•  両側下腿潰瘍  •  10年以上前より両側下腿皮膚潰瘍にて加療 されている  •  既往歴:リウマチ  圧迫療法2週間後 •  内服薬 プレドニン3㎎


弾性ストッキング •  静脈性下肢潰瘍に推奨されるストッキング圧    圧迫圧 30∼40mmHg台の製品  •  リンパ浮腫で推奨されるストッキング圧    圧迫圧 30∼50mmHg台の製品   再発予防の時期を含めると着用が長期にわ  たるため、患者が着用継続可能なストッキング を選択する


創床状態をアセスメント:局所のケア  (WBP:wound bedprepare;on) 創周囲皮膚は脆弱で  乾燥しやすい  創辺縁の管理  →石鹸洗浄清潔に保つ   静脈鬱滞の程度が悪化ほど   皮膚は乾燥し、皮膚の   バリア機能が低下する  E  保湿剤の使用 

T

TIME  コンセプ ト

湿潤の不均衡  乾燥により上皮細胞の遊走が阻害される  M 過剰な滲出液により創周囲の浸軟  滲出液管理  →薬剤・創傷被覆材の選択 

壊死組織  創収縮や上皮化が阻害される  炎症期が遷延する  壊死・不活性組織の管理  →壊死組織の除去 

I 感染・炎症  感染により創部の細菌が増殖する  炎症期が遷延する  感染・炎症の管理  →壊死組織の除去    洗浄・抗菌薬による感染の    コントロール 


ドレッシング交換時の疼痛コントロール •  痛みのアセスメントを行い疼痛管理を実施   処置前の痛み:処置前に鎮痛薬を使用する   疼痛軽減のため、非固着性のドレッシング材

コンバテック社:バーシバXC

アルケア社:エスアイエイド


ライフスタイルの適合 ①長時間の下肢下垂を避ける  ②就眠時の下肢挙上  ③弾性ストッキング、弾性包帯の正しい装着  ④スキンケアについての日常生活指導  ⑤肥満予防・改善


スキンケア ①創周囲と創周囲を石鹸  ②微温湯流す  ③保湿剤を塗布 保湿継続3か月後


事例4 •  80代 女性  •  介護の主人と2人暮らし  •  身長158㎝ 体重73㎏  •  日常生活 夫が入院しているため毎日病院通い  既往歴:3年前より下肢に潰瘍が出現       近医受診するが潰瘍が改善せず       痛みも強く紹介され当院受診  ドプラ―で足背動脈・後脛骨、前脛骨動脈良好  創の状態:右・左に下腿1/3に不正形の潰瘍         創部の悪臭はなく、周囲皮膚の発赤なし         感染兆候なし  本人の思い    何年も診てもらってのによくならない    痛くて、痛くて


•  静脈の鬱滞を軽減する目的で圧迫療法を導入   体が足の指まで届かないため弾性包帯を毎   日巻くことができない   創は小さく感染兆候はない  毎日まき直しの必要がない自着生低伸縮包帯 を使 用し1週間に1回の交換  処置は1週間に1回のためカデックス軟膏  疼痛コントロール:ロキソプロフェン1日3回 


経過(1週間後)

両下腿の浮腫は軽減  右下腿は治癒  左下腿の肉芽赤色、周囲皮膚軽度浸軟        感染兆候なし  1週間に1回の交換継続


2週間後  創底から肉芽の形成あり 

4週間後  一部浸出液はあるが改善  エスアイエイドに変更 

6週間後治癒 


弾性ストッキングに変更

リンパナースによるストッキングの選択と装着指導  6か月経過しているが再発はなし


【リンパ浮腫指導管理料】  •  100点 1 保険医療機関に入院中の患者であって、子宮悪性腫瘍、子宮 附属器悪性腫瘍、前立腺悪性腫瘍又は腋窩部郭清を伴う乳腺悪 性腫瘍に対する手術を行ったものに対して、当該手術を行った日 の属する月又はその前月若しくは翌月のいずれかに、医師又は 医師の指示に基づき看護師又は理学療法士が、リンパ浮腫の重 症化等を抑制するための指導を実施した場合に、入院中1回に限 り算定する。 2 当該保険医療機関入院中にリンパ浮腫指導管理料を算定した 患者であって、当該保険医療機関を退院したものに対して、当該 保険医療機関において、退院した日の属する月又はその翌月にリ ンパ浮腫の重症化等を抑制するための指導を再度実施した場合 に、1回に限り算定する。


まとめ •  手術後、創治癒後も再発リスクがある。  •  再発しないための継続できる圧迫療法の継 続が必要  •  継続できるように患者教育と患者が可能なも のを選択する。  •  皮膚が脆弱なためスキンケア必要  •  痛みを伴うため痛みの管理が必要


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