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東京西徳洲会病院 形成外科 木下幹雄  田港見布江  海暁子 関山琢也  杏林大学 形成外科  大浦紀彦  


はじめに 糖尿病性足病変の治療を目的とした分類 欧米ではワグナー分類やテキサス分類が頻 用 

本邦では神戸分類が提唱

テキサス大学分類

神戸分類(寺師ら2010年)


はじめに 糖尿病性足病変の治療を目的とした分類 欧米ではワグナー分類やテキサス分類が頻 用 

本邦では神戸分類が提唱

テキサス大学分類

神戸分類(寺師ら2010年)

治療ターゲッ ト

感染 血行障害 神経障害


はじめに <共通する治療ターゲッ ト> 感染 血行障害 神経障害

これらをいかに評価し、治療方針を決定して行く か?

創傷を治癒へ導く重要なカギと なる


感染の評価  糖尿病性足病変では潰瘍部から容易に感 染を来たし、急速に拡大する可能性が高 い

 局所所見から感染の重症度を迅速 に判断することは特に重要


感染の評価  米国感染症学会(IDSA)による感染の臨床分 類  <局所感染の診断> 

・ 局所の腫脹および硬結 ・ 発赤、紅斑  ・ 局所の圧痛・疼痛  ・ 局所の熱感  ・ 不透明、白色もしくは血性の膿汁 分泌物  2つ以上の徴候を含むもの  局所感染ありと診断する 


感染の評価  <局所感染の分類> 皮膚・皮下組織に限局した局所感染の発赤の範囲が  潰瘍周囲の0.5 2.0cm未満のもの

Mild Infection  潰瘍周囲2cm以上に広がる発赤を伴う局所感染  膿瘍や骨髄炎・細菌性関節炎・筋膜炎などの  皮膚皮下組織以下に広がる感染 

Moderate Infection 


感染の評価  <局所感染の分類> SIRSの診断基準を2つ以上満たすもの 

・ 体温38℃以上もしくは36℃以下 ・ 脈拍90/分以上  ・ 呼吸数20/分以上もしくはPaCO2  32mmHg以下  ・ 白血球数が12,000/μL以上または4,000/μL 以下  膿

Severe Infection 


感染の評価 Mild Infection  皮膚・皮下組織に限局した局所感染の発赤の範囲が  潰瘍周囲の0.5 2.0cm未満のもの

外来でも通院加療が可能 抗生剤内服 抗菌性外用剤の使用


感染の評価 Moderate Infection  潰瘍周囲2cm以上に広がる発赤を伴う局所感染  膿瘍や骨髄炎・細菌性関節炎・筋膜炎などの  皮膚皮下組織以下に広がる感染  基本的に入院加療が必要 抗生剤内服・点滴 適切なデブリードマン 抗菌性外用剤の使用


感染の評価 Severe Infection 

SIRSの診断基準を2つ以上満たすもの 重度局所感染症の診断のためにはCTが有用 膿瘍形成やガス壊疽・壊死性筋膜炎が  存在する場合には緊急での手術が不可欠


感染の評価 <骨髄炎の診断>

PTB test   (Probe to Bone test) 

MRI画像評価

ゾンデを潰瘍部から挿入し 潰瘍が骨に到達しているか を  確認するテスト 

T2強調画像にて骨髄炎 は高信号を示す 過大評価してしまう難点 が


感染の評価 壊死組織や骨髄炎を認める症例 ⇒ デブリードマンは必須だが、、 

十分な血流がない状態でのデブリードマ ンは 壊疽の進行を早めるため注意が必要 


日常の感染管理 <創局所の洗浄療法> 創局所の汚染物や細菌・死滅組織の除去 を目的として創洗浄は日常の管理に不可 欠 

洗浄液の種類は? 効果的な洗浄法 は? 


日常の感染管理 <創局所の洗浄療法> 洗浄に使用すべき液体 は?  創傷外科学会  「感染創ガイドライン」

CQ1:開放創の創洗浄に水道水を用いても良い か? 推奨文 水道水は無菌ではないものの、生理的食塩水と比較しても創の感染率が 特に上がるわけではない。 少なくとも骨や胸腔・腹腔に至らないような創においては、その利便性 と低コストを考慮すれば水道水による創洗浄は勧めても良い。(推奨グ レード B)


日常の感染管理 <創局所の洗浄療法> 洗浄の方法 は? 

十分な圧力(13 psi以上)をかけ て洗浄を行う 大量の洗浄水で洗う

JBI evidence based information 2006

浴室でのシャワーが 創洗浄にもっとも有 効 毎日行うのは難し い!


日常の感染管理 <創局所の洗浄療法> 日常の創傷治 療 

洗浄用ボトルを使用した創局所の洗浄


日常の感染管理 <創局所の洗浄療法> 日常の創傷治 療  軟膏や粘稠な体液、細菌が放出するバイオフィルムなど  が創面に固着

石けんなどの界面活性剤を使用して洗浄を行うと より創部の清浄化が得られやすい真田ら 褥瘡会誌2(1) : 32~39, 2000


日常の感染管理 <創局所の洗浄療法> 日常の創傷治 療  汚染が強く、創傷が深部に至っている症例 

パルサバック:整形手術で骨髄を洗浄する機械


日常の感染管理 <創局所の洗浄療法> 日常の創傷治 療  悪臭が強く、嫌気性菌による感染が強く疑われる症例  オキシドール(過酸化水素)による洗浄を併用することも 

抗菌効果とともに組織障害性も強いため、直後に洗い流すこと 感染が改善したら通常の洗浄法へ転換すべきことなどに注意


日常の感染管理 <創局所の被覆材料> デブリ直後など、感染徴候が強い開放創 

殺菌性の強いヨードホルムガーゼを使用

組織障害性が強く、多量に使用すると精神症状が出ることも


日常の感染管理 <創局所の被覆材料> 感染徴候は改善したが、浸出液が多い症例 

イソジン含有の吸水性軟膏(カデックス®など)を外用

浸出液が多めの創傷や創部を乾燥に導きたい時に使用


日常の感染管理 <創局所の被覆材料> 感染徴候を認めず、肉芽良好で浸出液が少ない症例 

ワセリン基剤の軟膏(バラマイシン®など)を外用 被覆材の使用 

組織障害性がほとんどなく、組織を湿潤に保ち上皮化を促進したい時期に使用


日常の感染管理 <創局所の被覆材料> 感染徴候を認めず、肉芽を積極的に上げてゆきたい症例 

局所陰圧閉鎖療法を選択する VAC®

SNaP®

虚血肢に使用する場合は、やや陰圧を下げて使用する 密閉することにより発熱などの感染徴候が現れた場合には使用を中止する 


血流の評価 <創傷の状態から見た血流評価>

血行再建を行っても創傷治癒のため に十分な血行が得られないことも

日々創傷を観察して 虚血のサインを見逃さないようにすることが 大切 


血流の評価 <Red Ring Sign> 潰瘍の中心部が壊死し  周囲の皮膚に発赤を認めるサイン 

虚血に伴って毛細血管が拡張し現れるサインと言われている


血流の評価 <創部の虚血のサイン> 壊死組織周辺の境界が不明瞭 疼痛が非常に強い 


血流の評価 <創部が治癒傾向にあるサイン> 壊死組織と健常組織の境界が明瞭となる

「Demarcationがついた」と表 現 この部分よりも近位部には治癒する能力がある  と評価することが出来る  この段階まで待機して安全な領域で  デブリや切断術を施行する


神経障害が主体の創傷 <運動神経の麻痺> 筋萎縮が起こる 足部の骨変形や関節拘縮が進行 

歩行時に発生する足底の圧力の異常分布を引き起こす

アキレス腱拘縮があり 前足部荷重の典型


神経障害が主体の創傷 <足底圧の異常分布> 骨の突出部に胼胝・鶏眼 感覚障害のため痛みが消失  同部位に潰瘍を形成する 

キズの局所治療と平行して 除圧治療を行って行くことが肝心 


神経障害が主体の創傷 <具体的な除圧の方法①>

フェルトによる除圧 患部を浮かすことによって保護す る 


神経障害が主体の創傷 <具体的な除圧の方法②>

治療用サンダルによる除圧 歪まない素材のため足の湾曲が抑


神経障害が主体の創傷 <具体的な除圧の方法③>

Total Contact Cast (TCC)による除圧  免荷した状態でキャストを巻き  動きによるズレまで取り除く手法 

海外では有用性が多数報告


神経障害が主体の創傷 <創部が治癒した後の保護>

足底の形状に合わせたインソールを作成 ロッカーソールの靴型装具と合わせて保護


まとめ 糖尿病性足病変の局所治療法の選択においては <感染・血流・神経障害>の程度を適切に評価  <感染の管理>  適切な洗浄法を選択する  感染の程度に応じた外用剤や被覆材を選択する  <血流の評価>  創局所を観察し、虚血のサインを見逃さない  治癒の遷延を認める場合には血行再建を  <神経障害に対する足部保護>  適切な免荷法を用いて創部を保護する  治癒後にも装具を作成して再発予防を継続する 


ご清聴ありがとうございました

2 education session 5 dr kinoshita  
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