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2006 年前期 課題レポート

未来代表と現在代表の議論 今回レポートの作成にあたり、その形式を決めるのに苦しみましたが、最終的に「座 談会形式」にしようと決めました。 「議論」というからには、文語調よりも肉声を感じ 取れる口語調の方がいい、そう思ったからです。さらにその議論はできるだけ前向きな ものにしようと決めました。以下に設定を記して早速議論を始めます。 【登場人物】 現在代表

J (現在の当研究科

M1)

未来代表

S

司会役

A (現在の新聞記者)

(50 年後の当研究科

M1)

A:現在代表の J さんと未来代表の S さんに来ていただきました。早速議論を始めたい と思いますが、議論においては、できるだけ理性的かつ建設的な議論をしていただ くよう、お願いいたします。ではまず「資源の枯渇」の問題について S さんから主 張をお願いいたします。 S:はい、よろしくお願いします。50 年後の未来で一番深刻な資源の枯渇問題といえば、 森林資源の枯渇です。残念ながら、現在の方々の努力はあまり実りません。という のは、新エネルギー等の研究はしっかり従事されていたようなのですが、森林資源 の問題は力の入れようが少し足りなかったのです。途上国において人口が爆発すれ ば自然に食糧も必要になり、当然土地も必要になる。そして、木々はどんどんなく なっていったのです。森林資源などは一度失われるとその再生に気の遠くなるよう な時間がかかりますし、種は絶滅すると全くもって取り返しがつきません。なぜ、 このように重要な問題について棚上げをし続けていたのか。われわれには不思議で 仕方ないのです。 J:なるほど、確かに現在我々の研究は新エネルギーに傾いているところがあります。 おそらく産業界がバックアップしやすく、予算もつきやすく、さらに現在のわれわ れの資源の枯渇問題といえば、化石資源を指すからです。原油が高騰し、石油の可 採年数が 41 年になってきた現在では、新エネルギーの研究がもっとも大事なので す。途上国の人口爆発、森林資源問題について棚上げを続けているとおっしゃいま したが、ではどのような具体的な策があるというのでしょうか。S さんのおっしゃ ることは正論かもしれませんが、現在の社会のしくみを考えれば、打つ手がほとん どないことは推測できるはずです。また、化石資源の枯渇はどうなったのでしょう


か。われわれが努力して得た新エネルギーがあるからこそ化石資源に多少頼らない 生活をおくっているのではないのですか? S:まず、 「打つ手がない」という言葉に驚きを隠せません。未来から見ているからかも しれませんが、打つ手はいくらでもあります。できない理由を「社会のしくみ」に 還元するのは無責任極まりない。打つ手としては、途上国からの不法伐採材の監視 体制の世界的強化。また、現在の ODA の額は、途上国の抱えている問題に比べて 少なすぎます。もっと多くし、人口抑制への策を少しでもするべきです。次に、化 石資源の枯渇の問題ですが、50 年経った今でも石油は採掘され続けていますが、そ の用途は主に材料系に特化されています。現在の可採年数は 41 年とおっしゃいま したが、未来においても 30 年ほどあると見積もられています。というのも、高度 な探索技術によって新たな油田が発見されるのに加え、国際的に石油を発電に用い ることを制限するようになったからです。石油を発電に使わなくてもよくなった背 景には、石油資源枯渇に加え、天然ガスの埋蔵量の増加や、メタンハイドレートの 利用技術の向上、アジア諸国への原子力発電所の乱立などがあります。このように、 化石資源は枯渇していませんが、石油の時代は終わり、未来では天然ガスの時代だ といえるでしょう。しかし、この天然ガスも有限であり、今後天然ガスの代替燃料 の研究が進むものと考えられます。最後に「われわれが努力して得た新エネルギー があるからこそ化石資源に多少頼らない生活をおくっているのではないのです か?」に対してお答えします。まず、新エネルギーは飛躍的な発展を遂げています。 今では、電力供給エネルギーの 10%を占めるほどになりました。EU などでは 30% のところもあります。確実に、石油資源への依存率は下がっていることでしょう。 その点は認めます。 J:まず、 「打つ手がない」といったのは失言でした。S さんのおっしゃるとおり、現在 は、打つ手があるにもかかわらず、言い訳をして対処していないのかもしれません。 私も、今後できるだけそのような活動に関わっていきたいと考えています。ただ、 人口問題をはじめとして、多くも問題は日本一国ではどうしようもないことも事実 です。つまり、他国と共同で、また他国に働きかけて活動していく必要があるわけ ですが、今の日本の外交力ではどこまで他国に働きかけることができるのか疑問で す。援助をもっと実行力のあるものにするためにも外交力の強化、具体的には、経 済力、また時には自衛隊による支援等も含めて考えていく必要も感じました。一方、 新エネルギーですが、着実に根付いているようで嬉しく感じました。ただ、未来で も天然ガスの代替燃料の開発を行っていること考えると、現在の研究は本当に資源 制約のないエネルギー、太陽電池や風力発電、バイオマス発電などの研究をもっと 推し進める必要もあると感じました。人間は便利さを求める生き物でから、この新 エネルギーをどれだけこの流れにのせることができるかがポイントな気がします。


A:少しまとまったところで、現在大きく取りざたされている地球温暖化問題について S さんに伺いたいと思います。特に、2005 年に発行された京都議定書はその後どう なっているのか、大変興味深いところであります。 S:はい、地球温暖化問題ですが、現在から 50 年しか経過していないこともあり、劇 的に変化しているというわけではありません。しかしながら、大気中の二酸化炭素 濃度は増加し続けております。気になる温度上昇も除々にですが増加しているよう です。ただ、気温の上昇に関してはあまり実感することはありません。というのは、 異常気象が頻繁におこるようになり、猛暑の夏もあれば冷夏もあるといった具合だ からです。ただ、二酸化炭素濃度の上昇は二酸化炭素の排出量が 90 年レベルであ ったとしても伸び続けるので、簡単には抑制できないことは自明でした。そこで、 未来では二酸化炭素の海底貯蔵が行われ始めています。具体的にはメタンハイドレ ートの埋蔵地に二酸化炭素ハイドレートとして貯蔵するというものです。もはや、 発展途上国の人口増加、経済成長や、先進国の減ることのないエネルギー消費を考 えるとこの方法に出るしかないという結論に国際会議においてなったのです。もち ろん反対論も多くありましたし、棚上げ論であることは百も承知ですが、まずは二 酸化炭素濃度の増加を少しでも食い止めることが最優先との判断からです。その際、 貯蔵という抜け道により排出抑制の流れが弱まってしまう対策として、二酸化炭素 の貯蔵は有料となっています。このことによりメタンハイドレートの値段を下げる ことも狙っていたようです。最後に、問題の京都議定書ですが、残念ながら日本は 議長国ながら約束を達成できませんでした。国内の削減がうまくいかないのに加え、 原発の新設も住民の反対もあって進まないこと、森林の吸収分も見積もったよりも 少なかったこと、CDM や共同実施への動きが遅かったことなどが原因として挙げ られています。何より日本政府の杜撰な計画が問題といわれています。現在のみな さんに訴えることは、約束を達成できなかった時の国際的世論の厳しさを早くから 気づいていただき、京都議定書が採択された議長国としての誇りと責任感をもって、 約束を果たすことに全力を尽くしていただきたい、ということです。 J:まず、二酸化炭素貯蔵が国際会議で認証されたという話が大変驚きです。現在では、 棚上げ論の最たるものとして忌避されているこの方策が実行に移さざるをえない状 況になったというのは不幸なことですね。そして、京都議定書の約束をわが国が達 成できずに、50 年後に国際的に信頼を落としていることについて、大変残念に思い ます。しかし、これに関して特段驚きはあまりありません。 「やっぱり・・・」とい う気持ちの方が大きいですね。2003 年現在で 90 年比 8.3%増加しているという危 機的状況にもかかわらず、政府の削減計画が「国民、産業界の努力」に頼ってばか りいる気がするからです。S さんは「京都議定書が採択された議長国としての誇り と責任をもって」とおっしゃいました。では、どのようにすれば約束は達成できた


と振り返られているのでしょうか。現在議論が行われているのは、 炭素税 (環境税) 、 ガソリンへのバイオエタノールの添加、新エネルギーの積極的導入、これには売電 とも絡んできますが、あと森林の整備などもあります。具体的にどのようになるの か教えていただけますでしょうか。 S:はい、知っている範囲で答えさせていただきます。まず、炭素税については導入さ れません。やはり産業界からの強い反対と、既に石油等に掛けられている税金等と の折り合いがつかなかったようです。他方、ガソリンへのバイオエタノールの添加 は導入され始めています。10%の添加が義務となっており、わが国の温室効果ガス 削減に大きな役割を果たしました。これに関してはバイオエタノールだけでなく、 バイオディーゼルの導入の方がすすんでいます。京都市で先駆的に導入がすすめら れたバイオディーゼル燃料ですが、その後他の自治体でも積極的な導入が進み、廃 油に関してはほとんどバイオディーゼルに置き換わっています。現在ではむしろ廃 油の供給が少なくなっているくらいです。新エネルギーに関してはもちろん導入は どんどん進みますが、風力発電は頭打ちです。立地条件が一番大きいですね。それ に対して進むのが太陽電池です。幸いにも日本はこの分野でおおきなイニシアチブ を持ち続けることができています。技術革新がすすみ、さらにシリコンに関しても 枯渇の心配がほとんどないことからも低価格化がすすみました。今では、国民一人 当たりの車の所有台数と並ぶほどです。最後に森林の整備ですが、多少整備は進み ましたが、未だに荒れた森林は多くあります。やはり森林などの時間のかかる問題 にこそ早くから取り組まないことにはどんどん解決の道が遠のいていきます。現在 環境省が進めている天然林の伐採などは平成最大の悪政とされています。少なくと もこれだけは是正していただきたいですね。 A:議論も深まってまいりましたが、本日はこのへんでお開きにしたいと思います。主 張と主張のぶつかり合いというよりは、お互いの主張をよく聞き入れ、建設的な議 論ができたのではないかと思います。現在の我々はけっしてニヒリズムに陥らず、 努力し続けなければならないことは確かなようです。本日はどうもありがとうござ いました。

議論部分の字数→4159 文字


未来と現代の議論