がんの補完代替医療ガイドブック

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資料編 がんの補完代替医療の問題点 次に、この調査で問題点として挙げられた点についてです。 今回の調査では、患者さんの多くは自分が使っている補完代替医療の 効果や副作用について十分な情報を得ることなく、また医師や看護師、 薬剤師、栄養士にも相談することなく、健康食品などの補完代替医療を 利用していることが明らかになりました(表8)。 つまり、患者さんと医師など 表8;補完代替医療を利用している の医療従事者との間で補完代替 がん患者さんの背景(2) 医療に関するコミュニケーショ 補完代替医療に関する十分な情報 ンが取られていない点が最大の 42.7% 問題点といえるかもしれません。 得られた 得られなかった 57.3% 実は過去に行われた諸外国に おける調査でも、同様の問題点 補完代替医療の利用に関して が指摘されています。しかし、 医師などからの問診 そのような調査結果を受けた諸 あり 15.5% 外国の大学医学部や医学校の教 なし 84.5% 育機関では、補完代替医療を教 補完代替医療の利用に関して 育カリキュラムに系統的に組み 医師(主治医)に相談 込んで学生に教育を行い始めて した 39.3% います。さらに国の機関や医師 しなかった 60.7% 会などが現役の医師や患者さん に向けて情報の発信も行ってい ます。そのため最近では、医療現場で補完代替医療に関するコミュニ ケーションが、患者さんと医師との間で積極的に取られています。 一方日本では、補完代替医療を専門としている医学部の講座は、現時 点で金沢大学と大阪大学にしかありません。また、大学附属病院におい て補完代替医療の相談を専門に受け付けている外来もまだ少ないのが現 状で(表9)、今後の対策が求められます。 表9;補完代替医療の相談外来を設けている大学病院

大阪大学医学部附属病院 http://www.cam.med.osaka-u.ac.jp/ 徳島大学病院 http://plaza.umin.ac.jp/awahokan/index.htm 金沢大学附属病院 http://web.kanazawa-u.ac.jp/~med67/ 16


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