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人口減少や少子高齢化が進む中、月面基地設立、ヒューマノイドロボット実用化 などの技術開発の話題で盛り上がる2030年。 我が国は、前世紀において戦後復興、高度成長を経験し、 その後も効率的に物を生み出すことに知恵、資金、そして労力を注いでいた。 今世紀に入り、その傾向にも変化が起こり始め、2010年からの20年間においては、 技術革新の成果は、ものがもたらす豊かさではなく、 ヒトの心を満たす豊かさに活用されるようになってきている。 「ハモニカ」12 月号は、そのような変化の延長線上に 2030年の生活をとらえて特徴を描く特集を組んだ。 特に、昔も今も変わらない人間の暮らしにとって大切なものを守りつつ、 日常がよりプレイフルなものになっていく新たな生活像をお伝えする。


本マガジンのタイトル ハモニカ は、 ハーモニーのチカラ(ハモニ力) を意味する 言葉として名付けられているが、これからの社会では、様々なヒトの力で、 たくさんのモノやコトのハーモニーが奏でられてほしいと願っている。

① 効率性、利便性、親しみのある駅 ② 家事を楽しく演出する技術とサービス ③ グローバルな異文化理解を育む旅学校 ④ 没入体験カタログ ⑤ 編集後記


人や環境と共に生きる鉄道駅が誕生した。広い公園内に立地する駅は、公園と一体化 しており、地域住民の憩いの場となっている。公園と同じ平面上に位置する地上階と プラットフォームのある地下の2階建てだ。 駅の形は幸せの象徴であるクローバー型。 そのクローバー状プラットフォームの周りを電車が優雅に、ゆっくりと走る。


駅の地上階は、広大な公園と接続し、どこからでも出入りできる。クロー

地下のプラットフォームは緑にあふれ、常に心落ち着く BGM が流れている。

バー型の屋根は公園の景観を崩さない全面ガラス張りとなっている。この

また、そこには人の存在、外の気温、湿度を感じて形、色、材質が変化する、

駅に改札はなく、電車に乗るときは、クローバーの3つのリーフの部分に

生き物のようなベンチがある。例えば、冬の寒い日は、綿のような材質に変

ついているエスカレーターを通り、そこから地下のプラットフォームに降

化し、暖かく人を包み込むような形になる。そこに座りながら、時間の経過

り、そのまま電車に乗る。このような改札レスを実現したのは、近年開発

も忘れて読書を楽しむ人もいる。さらに、ホームから地上へ上がるエスカレー

が進んでいた新認証チップシステムだ。カード、時計、洋服など自由に埋

ターは「世論調査エスカレーター」になっている。YES/NO/ どちらでもない、

め込み可能なその認証チップは、全電車と連動し、乗降駅の情報が記録さ

の3本のエスカレーターのそれぞれを通った人の数で意識調査が行われ、そ

れる。これにより、人々はまるで散歩するかのように電車を利用し目的地

の結果はリアルタイムにプラットフォームに設置された大型ディスプレイに

にたどり着くことができる。地上階の3つのリーフの中心には、保母さん

映し出される。

とロボットが協力して運営する「託児所」のほか、「ロボット制作ラボ」、 「アーティストのアトリエ」、「エキナカスクール」もあり、常にそこでの 作業や授業の様子を駅利用者が覗き込んでいる。

また、エスカレーターのある3つのリーフの中心は吹き抜けで、太陽光が 地下にまで差し込む。そこは、地元の芸術家によりキュレーションされた「パ ブリックアート空間」。デジタルサイネージ、AR 技術を利用した作品の展示 がされ、人々に驚きや感動、時には問いを投げかけることもある。


えていますか?家事は、女性のシゴトと認識されていた 50 年前。祖 母から引き継いだ知恵をさらに工夫しながら、日々の家事をこなす母 の後ろ姿を見て育った。それからの年月、祖母の知恵袋は生き続けながら女性 の社会進出、高齢化による単身世帯の増加、テクノロジーの進化という社会変 化に伴い、家事は進化し続ける。本来なら家事は、家の中で黙々とやるもの。 しかし 2030 年の今、家事は決してそういうものではない。

部屋の中は音楽で満ちている。掃除機や 洗濯機の雑音などは存在しない。家電ロ ボットや家事で繋がる人々とのコミュニ ケーションに溢れている。家電ロボット や家事ネットワークからのアドバイス、 コメント、評価は、家事を なんだかや らざるおえない事 から、 楽しくてもっ とやりたくなっちゃう事 へと変化させ ている。一人でただ淡々と、黙々に…で はなく、音楽、会話で溢れ、自然とウキ ウキした気持ちになるようなほほえまし い光景。それが 2030 年の家事のスタイ ル。

毎日欠かさず行う家事。家事を通して、 自 分 自 身 の 成 長 も 実 感 し た い。『 家 事 2030』は、その自分自身の成長や頑張 りが家事ポイントとなって視覚化されて いる。これらは家事の中に、一種のゲー ム感覚を生み出し、人々の成長意欲をか き立てる。家事は 家族への貢献 であ るだけでなく、自身を磨くものであるの だ。


2030 年の住宅は、 コレクティブハウス が主流。そこではスペースの共有に加 え、家電製品も共有される。例えば冷蔵 庫。買い物を住民同士協力しあい、買っ た素材も共有する。そこでは、昔よく見 られた おすそわけ文化 が復活。住民 の生活情報は、リアルタイムにモニタリ ングされ、料理を作りすぎた人と忙しく て作れない人をマッチング。 おすそわ け から新たな交流が生まれている。繋 がるのはご近所同士だけではない。家の 中では、キッチンの前に設置されている 特大パネルを介して、世界の有名シェフ から料理を学ぶ。また進化したソーシャ ルメディアにより、世界中の人々と家事 のノウハウをシェアするのが人々の間で 流行。


今も昔も変わらず毎日行われる家事。 その家事をもっと楽しく、快適に、スムーズに行えようにするための最新トレンドをご紹介。


イギリスでは、企業のインターン生として金融業界の第 一線を経験する。経済や金融についての入門知識は企業 の担当者と高校の教師が共同で担当する。また金融取引 のシミュレーションはグローバルオンラインゲーム世界 で実施する。

インドの各地域をフィールドワークしながら異文化に触 れ、様々な風習や価値観の違いを体験する。自国文化と の比較をモバイルレポート送信にて提出。また、普段の 生活でも学びは行われている。インドでは食事でカレー を食べることが多く、食文化も学ぶことが出来る。その 味や風味は五感百科事典に記録。旅を振り返ったり、友 人に伝える時、もしくはその味や風味を再現しようとす 世界遺産になっているフィレンツェ歴史地区にて、建造 物、絵画、芸術品について学ぶ。それぞれどういう背景 があるのかについて歴史ARメガネで情報を得て理解を 深める。そして歴史を刻む写真、テキストアーカイブ、 自分で撮影した映像などを利用して、自分なりの歴史文 化年表を作成。その結果を、旅学校のオンラインカンファ レンスにて英語で発表する。

井戸掘りプロジェクトに参画。そのためには、地域環境や 地質、井戸掘り技術についてのモバイル試験をパスしてお く必要がある。日本に帰国後、小さい子どもたちに自らの 経験を語るワークショップも開催する。

る時に使われる。


現地の様々な分野を専門とする学生とチームを組み、韓 国にあった公共サービスやゲームサービスを一緒に作り あげる。コミュニケーションの際必要となるハングルの 習得は、始めは翻訳イヤホン&メガネを使い学習しなが ら、プロジェクト進行と同時に次第に習得していく。必 要なメンバーや協力者は、自分たちでヘッドハンティン グしながら、様々な価値観を持つ生徒と切磋琢磨しなが ら、サービスのプロトタイプを制作し、政府や地域の自 治体にプレゼンテーションを行う。

2015 年に授業のオンライン化が制度化されて以降、日本の高校教育は現場経験を重視する傾向 が一層強くなっている。なかでも 2025 年の開校から注目を集めているのが 世界中の生徒たちが 通う校舎のない “ 旅学校 ” だ。この学校では世界各国を旅することで、経験を通じて様々な知を 主体的に獲得することが重視され、その代わりに教科書的知識は全てモバイルメディアで補完的 に習得されるようになっている。旅学校ではどのような “ 経験 ” ができるのか。その様々な国で の学びの様子を紹介する。

ブラジルではサッカーを通じて現地の生徒と交流し、身 体を鍛えつつ、地域のスポーツ文化を学ぶ。


このメガネをかけて歴史建造物、美術品をみると、それらにちなんだ 歴史情報が表示される。日本と世界の関係性をダイナミックにリアル に学ぶ事が可能である。世界各国の仲間と過去の写真のアーカイブを その場で見ながら、議論しつつ歴史への理解を深めていく。同時に、 自分の見ている映像をライブ中継することも可能であり、リアルタイ ムに他の地域に住む仲間の意見や感想を共有することもできる。

生徒は、各国滞在時には荷物をクラウドポスト※荷物保管配送ワール ドサービスに保管しているが、国から国、都市から都市への移動時に は、誰も知人がいない状況でトイレに行く場合など、自分の荷物を預 けたくなることもある。そんな時は、このツール。布製で、荷物にか ぶせると重りがかかり、その持ち主以外は布をはずせない仕組み。こ れは、旅学校の生徒が製品開発コンテストで開発したものだ。

常に異文化の中に身を置き生活する旅学校では、体調管理はかかせな い。このドリンクを1本飲んで1時間寝ると、その国の時間に対応で きる体になる。移動時間は、昔に比べはるかに短くなったが、時差で 起こる身体のリズムを調整するのはなかなか難しいもの。この1本と 1時間の睡眠で、すぐに元気に活動できる。世界を飛び回るビジネス パーソンや旅人にも、必須のドリンクだ。


旅学校での生活は、常に新しい体験の連続である。マナー警告ケータ イは、その国でのマナー違反やタブーをおかしそうになると、その直 前にブザーで教えてくれるケータイである。それが、その国の法律や 文化、習慣について学ぶきっかけとなる。自分が無意識に行った行為 が実はマナーを守っていたということも、教えてくれる。自分の体験 は、旅学校の仲間と共有し、世界各地にいる仲間の体験も学べる。

翻訳イヤホンは、どんな国の言語でも相手がしゃべった言葉を母国語 に翻訳してくれる。また翻訳メガネをかけると、標識やレストランの メニューなど、その国の文字が母国語になって見える。これらのツー ルは、その人の語学能力レベルを脳波から読み取り、翻訳される範囲 が狭められるようになっている。言語習得が進む滞在期間の後半に入 ると、徐々に利用できなくなる仕掛けが組み込まれている。

既存の情報の上に、自分が見た光景や学んだ知識、料理やその場の匂 いなどを自分で記録しておけるのが、「五感百科事典」である。古い 情報は勝手に更新してくれる。また各国で遭遇する珍しい風習や建造 物が、日本の風習と関連付けられたり、対比されたりして表示される。 各国での経験を通じて自分なりにカスタマイズしたオリジナル五感百 科事典を作ることが卒業の資格となる。


の夏、 新時代の体感型エンターテイメント として発売 された DIVE。様々な映像の中にユーザーが入り込むこと が出来る技術を用いた、ヘルメット型のアイテムで、これを使えば、 様々な映像の中に入ったかのような感覚を得られるというものだ。 夏に発売されたころは値段も高く、手が届かない人も多かったが、 この秋に価格が下がり始め、3 万円前後と、多くの人が手を伸ばせ ば買える価格になった。10 月に行われた CETEC JAPAN でも、DIVE のブースには多くの人でひしめいていたし、今後のビジネスの潮流 を作ることになりそうだ。更に、DIVE が一家に一台の時代が一気 に近づいたと見るや、多くの企業が DIVE を用いた個人向けサービ スを始め、DIVE 向けのアプリが急激に増加した。早くも今後、熾 烈なコンテンツの戦争が起きそうな予感がしている。 また、家電量販店では、パソコンの売り場に DIVE を展示する店舗 が増えてきた。「今後はテレビやインターネットのコンテンツとの 連動が DIVE 普及のカギだろう」 (オオハシカメラ新宿店)。実際に、 テレビ映像に入り込むことによって、番組に参加しているような感 覚が味わえるようにするなど、テレビ局側も DIVE に向けたサービ スを次々に展開している。バラエティーやワイドショーでは観覧席 に座っているような感覚を、旅番組では、出演者と一緒に観光名所 を回っているような感覚を味わうことができる。これらが、お取り 寄せの商品などの売り上げに影響するということで、観光名所と旅 番組と DIVE とが協力して人気商品を売るような動きも見せている という。 今回は、時間を越えた旅行が人気を博している個人向けのサービ スや、教育やバーチャルイベントなど、新しい萌芽が期待される DIVE について特集する。業界のトレンド紹介や DIVE の未来につい ての NFC 生活総研の研究員へのインタビューも交えて、はたして DIVE がこれからのビジネスや人の生活の習慣を変える力を持って いるのかを問う。


IVE 発売からおおよそ 5 ヶ月。新しいサー ビスが展開され、DIVE を取り巻くアプ リの環境は先が読めない状況だ。ここでは、数 多ある DIVE のアプリケーションの中でも一際盛 り上がっている個人向けのサービスや面白い使 い方を紹介する。DIVE の���用法で最も人気があ るのは、世界各地の観光名所などの映像 (go0gle street view との提携が半年後に迫っている ) を 使って「旅行気分を味わう」ものだが、最近では ユーザーの好みに合わせて様々な利用法が登場し てきた。例えば、「世界の車窓」さながらの雰囲 気を味わいながら、世界中の鉄道を制覇しようと するような人もいれば、東部百貨店の「全国駅弁 フェア」でも、映像の中でご当地で食べている気 分を味わえるようにしたキャンペーンが話題を呼 んでいる。 その他、少し変わったところでは、保存されてい る過去の映像を使って、時空を超えた旅行ができ るサービスも生まれたようだ。記録された過去の 映像が必要なので、遡れる時間は限られているも のの、現在でも 50 年前ぐらいまでは遡れること が可能になっている。特に「自分の親が子供だっ たころの町を探検してみませんか?」というコン セプトがヒットし、大人気のサービスとなってい る。ただし、このサービスの利用には地域ごとの 映像資料が必要になるため、該当する地域の映像 資料がない場合は、映像資料を取り寄せるため、 現在では 1 週間∼ 1 ヶ月ほど予約で待たなけれ ばならないとのことだ。

DIVE ならではの臨場感を活かした「超リアルな スポーツ観戦」によってサッカーや野球などのス ポーツ中継も大きく生まれ変わろうとしている。 選手の真横に入り込んだような感覚でスポーツを 観戦できるということで、20 代の男性を中心に 人気が集まっている。仕事から帰って後、録画し ておいたスポーツ中継を見る。サービスを提供 しているナワンコによると、22 時ごろからの深 夜帯にこのサービスの利用者数はピークを迎える という。生中継でなくても録画が可能だというの が魅力的なポイントだ。また、同じく臨場感を売 りにしていながら、リラックスや癒しを求めるた めの DIVE の使い方も広がってきている。筆者の 知り合いで、DIVE を使った快眠サービスを利用 している方がいるのだが、海底や宇宙などの映像 の中で寝ることができるというものらしい。また 最近では、品川や大崎などのオフィス街のカフェ やレストランで、DIVE を使って、新感覚の空間 を提供するようなコラボレーション企画が密かに ブームを呼んでいる。夜のアジアのビーチの雰囲 気を味わいながらにしてイタリアンを味わうと いった状況も思いのままに演出することができ、 ビジネスパーソン達の仕事帰りの楽しみになって いるようだ。そんなテーマ映像のカフェやレスト ランは今後も増えていきそうだ。


IVE の登場で間違いなくビジネスの勢力

また、昨年度より国がプロジェクトとして動き出

図が変わるでしょうね」。NFC 生活総研

したのが、高度技術継承に DIVE を使うというも

の研究員である角尾誠さんはこう語る。「現在、

のだ。日本の伝統芸能や伝統工芸の後継者の確保

DIVE の登場によって、旅行業界は大きな変革を

が至急命題となっている現在、より多くの人にこ

迫られようとしています。普及率が高まっていけ

れらの伝統技術に興味を持ってもらい、その疑似

ばビジネスモデルを変えざるを得ないでしょう」

体験を通じて後継者を獲得し、育成するという目

DIVE の登場によって打撃を受ける業界もあるが、

的に対して DIVE が活躍している。実際に輪島塗

その一方で、新しいビジネスも生まれているのも

や伊万里焼、西陣織などの技術者の協力を得て、

事実だ。

DIVE を使ったプロモーションの実験が行なわれ

旅行業界以外にも、DIVE の活用が新たなビジネ

ている。

スモデルを生み出している業界は他にもある。そ の中でも、近年になって急速に規模を拡大してい るのがバーチャルイベント業界で、企業の説明会

DIVE には教育界からも熱い視線が送られている。

や勉強会など、に利用されている。今後さらに

昆虫型などの小型のカメラを利用して、小さく

DIVE を活用するイベント分野は拡大の傾向にあ

なった自分を体験したり、危険などの理由でなか

るが、特に音楽のライブやコンサートなどといっ

なか行くことの出来ない場所を体験するという授

た分野にも、バーチャルイベントが開かれる可能

業も始まっている。例えば、アマゾンの生態観察

性が出てきた。実際にこの冬にバーチャルイベン

や、過去に起こった戦争の戦場を知る疑似体験の

トでライブを行うことを宣言しているアーティス

ほか、先進的な宇宙技術の紹介として、昨年に完

トが現れ、今年の年末の恒例のコンサートの勢力

成した月面宇宙ステーションの体験も可能だ。現

図は大きく変わりそうだ。

在、多くの大学が様々な企業と提携し、その実用

また、実用的な側面で DIVE に真っ先に目をつけ

化と普及に向けて開発を行っている最中だ。DIVE

たのは、モデルルームなどを取り扱う住宅業界

を使った授業の実用化への道が開ければ、高校や

だ。わざわざ遠く離れたモデルルームに行かな

大学の授業の教材として利用されるだけではな

くても、近場や家にいながらにしてモデルルーム

く、義務教育課程の児童たちの家庭学習の様相を

の中に入れるというサービスはたちまち脚光を浴

一変させる可能性がある。それだけに、政府や教

び、まとまった時間が取りづらい共働きの若い世

育機関だけでなく、多くの関連企業もその動向に

代のカップルに大人気のサービスとなっている。

DIVE 注目している。


IVE の出現によって、個人のライフスタ

界が現実に近づいていくことによって『続きは

イルや、ビジネス全体に影響が出始めて

real で』といった広告プロモーションも生まれて

いる中、未来予測の専門家が集まる NFC 未来研

くると考えています」とのお話。一昔前に流行し

究所に訪問し、技術的な側面からみた DIVE の未

た『続きは web で』という言葉をもじったものだ。

来の可能性について研究員の柴田大輔さんに尋ね

DIVE の発展によって、今後も様々な「経験」を

た。柴田さんは、将来的には、映像による臨場感

売るサービスが生まれることが予想されるが、そ

を超えて、感覚までもが伝わるようなシステムや

れは必ずしもリアルの価値を落とすということで

インターフェイスが出現するのではないかと予測

はないのだろう。バーチャル体験のクオリティの

する。DIVE など、映像による臨場感は、視覚と

向上は、リアルな世界に新しい意味や価値を与え、

聴覚で支えられているが、他の五感も伝えること

ひいてはリアルな世界の価値を向上させることに

ができるようになるのではないか、ということだ。

つながる可能性すらある。手軽に楽しめるバー

例えば、試食。料理を見るだけではなく、その匂

チャル世界、お金を払ってでも楽しむためのリア

いや味まで伝えることができれば、バーチャルな

ル世界。消費者が日常生活のなかでそれらを巧み

空間で「試食」をすることが可能となる。

に選択するようになる日もそれほど遠くないのか

またこの技術を応用すれば、他にも様々なサービ

もしれない。

スが生まれる可能性があるという。今まで知り得 なかった感覚を疑似体験するという点では、男性 の出産体験を薦められた。「妻の痛みを知ること ができますよと言われても、未婚の筆者にはそ こすら分かりかねるのですが…。」と答えたとこ ろ、「そうしたら、バーチャル同棲とかどうです かね?」との新たな提案が飛び出すことに。なる ほど、カップルが同じ場所に住む感覚を擬似的に 実現することも将来的には可能になるらしい。さ らに、刑務所の体験もオススメされた。「逮捕さ れたときの怖さとかを事前に経験するなども犯罪 防止に役立つのでは」と考えているとのことだ。 さらに DIVE というツールが出てきて、架空の世


20年前のあなたは、 2030年はどんな世界になるだろうと想像していただろうか? そして、いくつの期待や願望が実現しただろう? この特集号に掲載した生活像にも表れているように、 2015年以降の傾向として、 メディア、公共サービス、企業のサービス・プロダクトには、 一般の生活者の知やアイデアが取り入れられて創られるようになってきた。 今日の生活者はみな利用するヒトであると同時に生み出すヒトである。 ヒトにより優しく、楽しい都市インフラ、サービス、プロダクトが整備され、 それらがネットワークを介して接合されることにより、 ヒト、モノ、情報が融合されたユビキタスな時代の実感は増している。 今後、このような生活基盤の上でさらにどんなサービスが展開されていくのか。 今以上に多くの人が生活にわくわく感を感じる社会になっていくことを期待したい。


表紙・裏表紙イラスト/ CCIL 発行人/ Kensuke Shibata 編集委員/ Hotaru Koyanagi ,Shogo Sawada, ②◯③◯ , Satoru Oga,Taku Konishi デザイン/ Naoki Mitani イラスト/ CCIL、agoera 発行/ Mirai Tweet Company 〒 108-8345 東京都港区三田 takeyama lab.

「ハモニカ」  2030 年 12 月号 通巻 333 定価 120yen ( 本体 100yen)


「ハモニカ」 

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0203012 19880524

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ISBM2010-2030-33-12

2030 年 12 月号 通巻 333

C2030

定価 120yen ( 本体 100yen)

¥100E


『ハモニカ』2030年12月号