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 こうした陶俑をはじめとする出土陶器群を主軸に据えた世界最初の展覧会 が、1910 年(明治 43)にイギリスで開催されている。この『Early Chinese

Pottery and Porcelain(中国古代陶磁展)』は、当時の出土品受容の活況を如実 に伝えている。この展覧会の実に約 4 割にあたる 176 点を出品した高名な中国 陶磁蒐集家ジョージ・ユーモルフォプロス氏(George Eumorfopoulos)は、こ の時の模様を次のように回顧している。「開催当初、漢、唐代の俑の類はいく つか陳列されていたが、現在知られる唐を代表する駱駝、馬、騎馬人物などは まだ見たことがなかった。しかし、2 ~ 3 週間後、これらのタイプが初めてイ ギリスに入り展覧会に加えられた。(挿図 1)そしてすぐに高い関心を持って 大いに受け容れられ評判となった。」ユーモルフォプロス氏によると、俑など の墳墓出土品を初めてロンドン市場で見たのが 1906 年(明治 39)であるという。 展覧会の最中に新たに出土した俑群が新規参入し蒐集されていった様子は、当 挿図1 「CASE M」として会期中に新たに加えられた作品 『中国古代陶磁展(Early Chinese Pottery and Porcelain)』図録 1911年

時の愛好家たちの陶俑への関心の高まりと積極的な受容状況をよくあらわして いる。  陶俑への注目は、西欧のみならず中国でも早い時点でなされている。清末民 国の学者・羅振玉氏は、陶俑の重要性に逸早く着目した人物である。1916 年(大 (挿図 2)によると、氏は 1907 年(明治 40)冬、 正 5)に刊行した『古明器図録』 じんかん

あらわ

北京の瑠璃廠で陶俑2体を入手しており、「此れ古明器の人間に見るるの始め なり」と記している。氏は、この俑を入手した 2 年後の 1909 年(明治 42)に『俑 盧日札』を出版しており、 「この近年、陝西、河南あたりで古明器が多様に出る」 と記述している。また同年、金石学や甲骨学研究で知られる王襄氏が『簠室古俑』 を出版している。これは、自ら蒐集 した漢から唐時代の俑などの明器類

64 点を集成したもので、陶俑を掲載 した図録の嚆矢となっている。中国 国内では、1908 年(明治 41)11 月、 上 海 で『Old Chinese Porcelain and

works of Ancient Art in China(中国 古代瓷器と芸術展)』が開催された が、そのなかに唐時代の加彩駱駝が 出品されている。これはおそらくイ ギリスに先立ち陶俑が陳列された世 界初の展覧会であったと思われる。

挿図2 羅振玉『古明器図録』

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YONG 2015 110th ANNIVERSARY EXHIBITION  

Catalogue of Chinese YONG art works, published for exhibition at Tobi Art Fair 2015 and MAYUYAMA & CO., LTD., in Tokyo.

YONG 2015 110th ANNIVERSARY EXHIBITION  

Catalogue of Chinese YONG art works, published for exhibition at Tobi Art Fair 2015 and MAYUYAMA & CO., LTD., in Tokyo.