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この雑誌は、 2021年に現在スペインで活躍するサッカー選手、 千葉望愛選手を中心に海外で活躍するサッカー選手たちに よって結成されたPROTAGONISTA(プロタゴニスタ)に まつわる雑誌です。 まずは、みのりさんがなぜPROTAGONISTAを 結成しようと思ったのかについての インタビューです。 次に、今回PROTAGONISTAメンバーとして 7月29日に石巻で開催した試合に出場してくれた スペインで活躍する2選手がスペインの魅力について たっぷり紹介してくれます。 そして、最後を飾るのは、 今回試合には出場することはできませんでしたが、 スペインでお子さんを出産された堂園彩乃選手に 「プロサッカー選手の妊娠と出産」をテーマに インタビューを実施しました。 ・・・本屋さんでスポーツコーナーに立ち寄ったとき、 女性アスリートが表紙を飾ったり、 女性スポーツの情報があたりまえに掲載されている 雑誌があるといいな、とおもい作ってみました。 正直スポーツに触れてる部分はほぼありません。 それでもこの雑誌が、サッカーを続けている 中学生や高校生にとって、 なにかしらの希望になると嬉しいです。



1年に1回、虹色に輝くチーム

「人生の主役は自分」だ Writer:

仮谷真歩

海外でプレーする日本人サッカー選手が集結したチーム『プロタゴニスタ』が、 スペインの女子サッカー2部リーグ C.D. Femarguín SPAR Gran Canariaでプレーする千葉望愛さんの声かけによって結成された。 スペインやクロアチア、アメリカから選手が集結し、2021年7月に石巻にてチャリティーマッチを実施。 過去に例を見ない取り組みだが、一体どのようなチームなのか、なぜ立ち上げられたのか。

プロタゴニスタに込めた想い、そして千葉望愛さんの活動についてお話を伺った。

『PROTAGONISTA JAPAN』 ーープロタゴニスタを立ち上げた想いについて聞かせてください。 自分たちを日本から応援してくれる人がたくさんいる中で、なかなか試合を観る機会を作れていなくて。 見せる場を作りたいという想いが最初にありました。 もともとは「海外でプレーしている選手を集めて試合をしないか」とお話を頂いたのがきっかけで、面白そうだなと思っていたのです がコロナの影響でなくなってしまって。 Twitterなどでもファンの方の「試合を観に行きたいけど遠いな」という声を見かけたり、時間帯の都合でネット配信が見られないこと もあったようなので。そういう方たちに向けて何かできないかなと思い、プロタゴニスタを立ち上げました。 ーー実際に試合を開催してみてどうでしたか? 初めてのことが多くて色々と課題もありましたが、とにかく開催できて良かったです。 本当は観客もしっかりと入れたかったのですが、コロナの影響もあったので次に活かしたいと思います。


ーーユニフォームスポンサーについてもお聞きしたいです。 全部で3社の企業さんに協賛して頂いたのですが、株式会社SOCOKARAさんの代表はもともと女子サッカーを応援してくれている方で、 女子のサッカー選手のマネジメントをしている会社です。スペインにも来てくださったこともあって、実際にスペインのサッカーにも触 れていて、私の想いに共感していただき協賛していただきました。 の方々は実際スペインでお会いしたこともありますし、これまでお互いに協力しあっていたこともあるの で、経緯を話して今回もご協力いただきました。 もう1社のKAITOさんは、2社のご紹介で決めていただきました。3社とも柔軟に対応していただき本当にありがたかったです。 Malaga CF Japan Academy

続けてきた発信から見えた可能性

ーー T w i t t e r をはじめとして I n s t a g r a m や Y o u T u b e 、 n o t e などさまざまな S N S を通じて発信されているのを拝見 しました。なぜ、発信するのでしょうか? S N S がとても好きで、暇さえあれば見ちゃうほどなんです。なので「やらなきゃ」と思って発信している訳ではないで すね。あとは、もともと目立つのが好きで。 S N S を通じて知らない人から見てもらうのも好きだったのはあります。 「マイノリティ」という言葉がありますが、私はマイノリティになりたい!という変な人でした(笑) スペインに行く時も、日本人がいないところが良いなと思っていて。今ではたくさんいますが、とにかく「唯一」とか 「日本人初!」に憧れていましたね。

ーーーSNSでの発信は誰をターゲットにしているのですか はっきりとしたターゲットはいませんが、私と同世代から下の年代などですね。 また、ターゲットに合わせてプラットフォームを自然と使い分けている気がします。 Twitterは日本へ幅広く、Instagramは世界に向けて、Facebookは私より上の世代の方へ、noteはサッカー好きな方、などのように。 私と同世代の親御さんがTwitterとかInstagramとかを見てくれていて、それが親を通じて子どもに伝わるのかもしれないと今回の試合 を通して思いました。 かっこいいと言ってくれたり、親御さんからメッセージまで頂いたりもしたんです。 ーー間接的に影響を与えられるかもしれない、というのもひとつの気付きなのですね。 スペインでも、子どもは親に連れられてサッカーを週末に観るのがあたりまえになっていて。 なので子どもだけでなく親も一緒に巻き込むのはとても良いなと感じましたね。



決めるのは、主役である自分

ーー「人生の主役は自分」という言葉は、どのような想いで決めたのでしょうか。 PROTAGONISTAにはスペイン語で「主役」や「主人公」という意味があります。周りから色々言われることも多いけど、 結局決めるのは自分。色々な場面で「なんだかんだ自分だよね」って思うことが多くあったので。 あとは、先ほども言いましたが自分が一番目立ちたいという想いもあります...!(笑)

ーースペインと日本を比較すると、日本人のほうが「主役は自分」と思うことができていない人が多いのでしょうか? そんな気がします。「自分は全然まだまだだ」とか「もっと練習しなきゃ」みたいな考えをしている人は多いのかなってすごく思い ます。私もそうでしたが、試合に出られていない時のファンサービスなどは「試合に出てないのに」って考えてしまう人が多いかも しれないですね。

大好きなサッカーだから、 楽しく終わりたい

ーー「もう日本に戻ってプレーする気はない」と以前のYouTubeで拝見しました。今後についてどのようにお考えですか?

私は、なでしこリーグで自分の日本でのレベルを目の当たりにしたので、日本に戻っても上手くできる気が しないのはあって。年齢的にも、ベテラン感を出して帰るのは嫌なので。そもそもスペインに来たのは 「めちゃくちゃプロとしてやるぞ!」という感じではなく、 「サッカーを楽しむため」というのが大きかったんです。 今、すごく楽しくサッカーができているし、せっかく長く続けてきたサッカーを楽しく終わりたいっていう 想いが私の中にありますね。引退はまだ考えていませんが!(笑) ーー「楽しく終わりたい」という言葉がとても印象的です。 「せっかくスペインに行ったんだから還元するために日本に 戻ってきてよ」といったニュアンスの言葉をよく言われます が、日本に帰ると日本人になってしまう自分がいて、それが すごく嫌なんです。実際にやってみたら上手くいくかもしれ ませんが、自分が日本人に戻ってしまってまたあのレベルで プレーできるイメージがわかないので、もう日本でプレーで きないなって思いますね . . . 。今が充実していますし、選手で はなく違う形で還元していきたいです! ーー周囲の環境が与える影響は大きいのですね。 とても大きいです。 2 0 年以上日本に住んでいたのでどうし ても「日本人」が染みついているというか . . . 。それが自分 にとっては窮屈に感じられるんです。 日本に戻ったら日本人に戻っちゃう、と思いながら日本人 やっているのですが(笑) このような私の在り方も、ひとつの多様性としてありなの かなって思っています。



ーー改めてプロタゴニスタとは何か、お伺いしてもよろしいでしょうか? サッカーをしている、していないに関わらず、日本から一歩外に出たらみんな日本代表だと思うんです。 もしも初めて会った日本人が私なら「日本人=千葉望愛」のイメージになる訳で。そう考えると、みんな無意識に、 日本を背負っているんですよね。なので、プロタゴニスタは”影のサッカー日本代表“という感じですかね。 ーー最後に、プロタゴニスタを応援しているファンの方、これからプロタゴニスタのファンになる方へメッセージ をお願いします。 プロタゴニスタには日本を代表して世界でプレーしている選手が所属していて、みんながそれぞれの地で戦ってい ます。年に1回の開催ですが、選手の輝きをぜひ見てほしいです。 そして、これから国内サッカーの試合はもちろん海外サッカーを観られるのがあたりまえになって、日本や世界の プロサッカー選手に憧れたり、海外行ってみたいなと思うようなきっかけになってくれたら嬉しく思います。 終始フレンドリーに話してくれた千葉望愛さん。一言では表せない魅力を言葉の端々から感じ、インタビューが終 わる頃には筆者も「試合を観に行きたいけど遠いな」と思う中の一人になっていた。 プロタゴニスタに込められた「人生の主役は自分」という言葉から、WEリーグを連想した方も多いのではないだろ うか。WEリーガークレドの一文である「みんなが主人公になるためにプレーする」。

それぞれのチームが独自の目標を掲げているが、サッカー選手が体現すべき方向性の一つが 『プロタゴニスタ』なのかもしれない。




Midoがすすめる カタルーニャのおすすめスポット ベスト4


素敵なところは バルセロナだけじゃない! バルセロナといえばサグラダファミリア。 街の至る所にあるガウディが手がけた 建造物はどれもが繊細かつ斬新な作品です。 その中でも、私はグエル公園のタイルと自然が作り出す世界観の虜です…♡ そんな大好きと素敵が詰まったバルセロナを紹介したいのは山々ですが、 バルセロナの魅力はちょっとググればたくさん出てきちゃいます。 実はバルセロナ近郊には電車で30分~1時間半と日帰りで行くことができる 素敵な場所もたくさんあるんです。 そこで今回は実際に私が魅了されたバルセロナが位置する カタルーニャのおすすめスポットを紹介しちゃおうと思います!


ザ ・リゾートな雰囲気を味わえるおしゃれな街 「シッチェス」(Sitges) シッチェスはスペイン有数のリゾート地でありながら、バルセロナから電車で わずか40分ほどとかなり手軽に訪れることができます。電車を降りて 海へと続く通りを歩いていくと、花で彩られた白が基調の家々、 壁に埋め込まれたおしゃれなタイル、アートのように飾られた建物、チラ チラと見え始めるコバルトブルー…。 なんでもない建物や通りでさえも思わず立ち止まってはシャッターを切って しまう、そんな街並みが広がっています。ビーチに着くとやっぱり圧巻の 美しさ。 そして見えてくるのはシッチェスの大聖堂。海辺にたたずむその姿は 堂々としていてかっこよく、そこへ続く階段も海を背景に“映える“写 真が撮れる素敵なロケーション! どこを撮っても絵になります。大聖堂を通り過ぎていくと見えてくる湾 曲のビーチで多くの人が海水浴を楽しみます。海辺の道も白が基 調の建物が並び、海を眺めながら食事ができるレストランがたくさんあ り、まさにリゾートに来たぁ!って感じです。 せっかく来たのでたまには贅沢。

海の美しさがあいまって美味しさ100倍です!実は夏と冬と2回訪 れましたが冬は人も少なく、より落ち着いた雰囲気と変わらぬ海の 美しさを味わえるので季節問わずに楽しめるのがシッチェスの良いところで す♫

古代ローマへタイムスリップ?!遺跡が残る 街「タラゴナ」(Tarragona) シッチェスよりも南に位置し電車で1時間半ほど行ったところにあるのがこの 街。ここで必ず見て欲しいのが「円形闘技場」と「ラスファレラス水 道橋」どちらも世界遺産に登録されています。 円形闘技場は海からほど近いところにあり、2000年以上前に作 られていながら今もなお形を残し醸し出すその雰囲気と、背景に望む 近くには家族で経営してるバル(食事ができるところ)もあり自然を 海の青さと輝きに思わず息を呑むほどの絶景です。 感じながらゆったりと過ごすこともできます。 もう一つのおすすめ「ラスファレラス水道橋」は街の外れにあるためタク シー、またはバスで行くことをお勧めします。 こちらは先程とは打って変わって緑に囲まれた自然の中。水道橋は登 って歩く事ができますが想像以上の高さと人が頑張ってすれ違う事ができ るほどの狭さ。上空には風が吹き、下を覗くと吸い込まれてしまいそう で、別名「悪魔の橋」と呼ばれているのも頷けます。 (悪魔の橋と呼ばれた理由は全く別の由来のようですが。)そんな上 空でも怖いもの知らずの私はパシャリパシャリと写真大会。(笑)

タラゴナをおすすめする理由はこのような世界遺産を見学できることもも ちろんですが、その街をゆったりと流れる時間にあります。街の至る所 に古代の遺跡が残っていて、まるでタイムスリップしたかのよう。自然と 足並みはゆっくりと…バルセロナに戻り、足取りがいつも通り早く戻っ ているのに気づいた時、タラゴナを流れるゆったりとした時間がいかに心 をリラックスさせていたかを感じました。 是非一度、世界遺産を望みながらゆったりとタラゴナの街を散策し てみてください。


神秘の山「モンセラット」Montserrat 人々を魅了してやまないその不思議な形。電車を降りてすぐのとこ ろにあるケーブルカーで上まで登ります。 段々と大きく迫るモンセラットと小さくなる木々に家々、全てを見渡 せる空の旅に初っ端から大興奮!モンセラットの見所はなんと言って もその岩山そのもの。

その迫力と大自然のパワーはまさに神秘。不思議な雰囲気を感 じずにはいれません。どこまででも見渡せる壮大な景色とモンセラットのパ ワーに、それだけで大満足と感じさせます。地元の産品を売る売店 なども並んでおり、そこで買って食べたチーズケーキも絶品。チーズなども たくさんあるのでお土産にするも良し、大自然を眺めながらその味わい を楽しむもよし。 また、ここモンセラットにも大聖堂が。

中庭や礼拝堂、修道院の中で演奏する合唱団や先へ進むと 修道院を上から眺める事ができる場所へとつながっているなど、無料 で雰囲気を味わう事ができます。 ここで終わりかと思いきやさらに頂上まで登る事ができるケーブルカー が! 私が行った日は時間がなかったのでまた次来た時のお楽しみにとってま す。歩いて山を登ったり、大聖堂から歩いて行ける展望台があった りなど私も知らなかった自然をもっと感じれるコースも色々とある模 様。 また来たいと思える神秘の山モンセラットで大自然のパワーを皆さんにも 感じて欲しいです!

プチ贅沢旅にオススメ「トッサデマル」 Tossa de Mar 「コスタブラバ」って聞いたことありますか?バルセロナより北に位置 し、フランス国境まで続くその海岸一帯の名称で地中海のリゾート 地です。 このコスタブラバ、どこの海もめちゃくちゃ綺麗!北に行けば行くほど綺 麗と言われていますが、今回はバルセロナからそれほど遠くないトッサデマ ルを紹介します。

私たちはホテルを取り 1 泊 2 日のプランでプチ旅 行。時期もまだシーズン本番ではなかったこと もありますが 1 人 3 0 0 0 円ほどでプール付き朝食 付きは破格の値段!貧乏旅行でもしっかり贅沢 気分を味わえます。 トッサデマルの象徴である石造の城砦には誰もが登る事ができ、そ こから続く旧市街の石畳みの道も古き良き静かで風情のある素敵 な空間です。小さい街なので見るところは少ないですが、散歩したり アイスを食べたり、ビーチでのんびり過ごしたり。まさに何もしない贅沢を 味わうにはもってこいの旅先です。 なんと言ってもコスタブラバの魅力は美しすぎる海。せっかくなので船 に乗ってトッサデマル周辺のビーチや洞窟を回れるツアーに参加。

NANAE MORI 船の上からも魚が見える圧巻の透明度。エメラルドグリーンの海に 感動、一緒に乗っていた子ども連れの家族にほっこりで癒しも100 大好き! 倍。ライトアップされた夜の城砦も綺麗で時間を気にせず過ごせたの 泊まりで来てよかったなと。 ゆったりのんびりぼーっと過ごし、海の碧さとその街の雰囲気、地中 海の美味しい料理に心も体も全力でリフレッシュできるコスタブラバの 旅に癒されてみませんか?


旅の終わりはいつも寂しいですが、 また頑張ろうと心にエネルギーを与えてくれます。 余談ですが、PROTAGONISTAのエンブレムもシッチェスの旅の帰り道、 いつもの何気ない日常の中に隠れた風景が ヒントになりインスピレーションが湧き上がりました。 いい気分の時には些細な日常にも幸せやアイディアを見出す事ができる。 だから頑張るだけじゃなく、いつも頑張る自分にご褒美を。 ただ、その旅にはいつも気の知れた仲間がいました。 その仲間と幸せを共有することで何100倍も楽しい旅になっていたことに 気づく今日この頃です。 贅沢な時間でなくてもいい、友達や家族と笑って過ごす時間が「幸せ」と気づけば、 目の前の日常が違って見える。 見失っていた大事なことをスペインに来て気づく事ができています。 暗いニュースが多い中でこのコラムを通じて誰かの心に ほっこり温かな「幸せ」を届けられますように。

Mido


吉村碧 ( 2 8 ) ポジション : D F 前チーム : 伊賀フットボールクラブくノ一 岡山湯郷 B E L L E CE SEAGULL BADALONA 現チーム : C A C E R E Ñ O 所属




の ン イ ペ ス ト ッ ポ ス れ 隠 め す す お

田中ひとみ ( 2 8 ) ポジション : D F 前チーム : スフィーダ世田谷 F C 大和シルフィード ALBACETE CÓRDOBA :SANTA TERESA BADAJOZ

現チーム


ALBACETE

BADOJOZ

CORDABA


「復帰が当たり前になればいい」 堂園彩乃選手が語る プロサッカー選手の妊娠・出産のリアル Writer:Yuk

「今思えば、当時は視野が狭かったですね。海外でプレーする のは、日本代表の限られた選手のイメージが強くて、自分にと っては高い壁だったんです。でも、 2 度引退して、サッカーか ら離れ、自分が本当にやりたいことを探してみると、海外で生 活してみたかった。自分にはサッカーしかないから、トライア ウトで受かろうが受からないだろうが、挑戦してみたいなと思 ったのがスペインにいくきっかけでした」 スペインから生まれたばかりの我が子を抱えながら取材に応じ てくださったのは、 Real Unión T. S. C. Femenino (以下、 レアル・ウニオン)で MF を務める堂園彩乃選手。 2021 年 8 月に第 1 子を出産。プロサッカー選手として周りにほぼ 前例のない妊娠・出産を経験した。日本では引退してから出産 をする雰囲気がある中で、堂園選手は妊娠期間中にレアル・ウ ニオンとの契約を更新。アスリートとしての妊娠・出産、そし て復帰について、リアルな思いを取材した。

「本当にこのチームで良かった」

異例の現役選手としての妊娠・出産。復帰を決めている堂 園選手だが、母になりたいという想いが若いころからあっ たわけではない。「子どもが欲しいな」と思いはじめたの はスペインでプレーをはじめた 20 代後半にはいってか ら。「日本でプレーをしていたころは、夢はもっぱらサッ カーについて。オフのときでも練習や試合でのコンディシ ョンを強く意識してガツガツしていました。サッカーでお 金を稼げたことはないけれど、サッカーが生活のほとんど を占めてしまって疲れてしまったこともありましたね。ス ペインでは、オンオフがしっかり分けられていて、良い悪 いはおいておいて、オフの日にはお酒を飲んだりしっかり 遊ぶんです。日本でもそんな風にできていたらもう少し違 っていたかもしれません」


日本との価値観の違いを強く感じたスペインである が、チームには、妊娠・出産した選手はおらず、スペ インのサッカー界を見ても、出産後復帰をした選手は ほかにいない。やはり妊娠をチームに伝えるのは怖か ったという。「チームには話さないといけないのはわ かっていたけどその緊張感はすごかった。 “ 妊娠した の? ” って冷たくされるんじゃないかって。でも最初 に監督に妊娠を伝えたとき “ 本当に心からおめでと う ” と 100% の祝福を伝えてくれたんです。子どもを 持つことは本当に素晴らしいことだと。今でも思い出 すと鳥肌が立つくらい …… 」 監督のみならず、スタッフも一生懸命サポートしてく れ、出産 2 週間前までフィジカルコーチと無理のない 範囲でトレーニングを続けた。本当にこのチームで良 かった。そう感じたのはチームのサポート体制だけで はなかった。「今まで契約したチームや声をかけてく れたチームのなかには、シーズンの途中で妊娠したら 罰金が課せられる条件を設定している契約もあったん です。そういう意味では、運が良かったなと」レア ル・ウニオンでは、妊娠中に契約を更新。 2021 年 1 月 にはチームの練習に戻ることを目指している。

復帰は正直不安。 産後の復帰に向けて情報はほぼなし 妊娠期ももちろん身体の変化は大きかったが、 正直、出産後の不安のほうが大きい。「身体を戻 していくことは、フィジカルコーチに引き続きサ ポートしてもらいながら不安ではありつつも、自 分次第かなと思っています。ただ、今はもう独り 身ではないので、練習や自分の時間をとることが 難しいだろうなと」子どもはまだ 2 時間ごとに授乳 が必要。サッカー界に子育てサポートもほぼない ため、これからの生活はパートナーと時間を調整 しながらやってみるしかない。 また、不安は前例がほとんどないこと。助産師か ら基本的な産後 40 日は絶対安静と聞いているが、 正直いつ何からトレーニングをしていいのかわか らない。

「助産師によると絶対安静の期間はウォーキング や腹筋などのトレーニングはダメ。腹筋がダメな らほとんどのトレーニングができないです(笑) 人によって産後の状態は違うので、これが良くて これがダメということは一概にいえないでしょう が、復帰に向けたトレーニングについては自分で 試して発信していきたいです」産後のアスリート に向けた情報はほぼ皆無だという。「例えば今だ ったら 2 時間くらい授乳をしないと母乳が自然と出 てきてしまう。練習に戻ったとき、母乳が出てき てウェアから染みちゃったらどうしようとか、そ ういう不安もありますね」


「出産しても復帰できる」 出産を望む選手を勇気づける存在になりたい 日本では 9 月 12 日に WE リーグが開幕。日本での女子サッカーも徐々に盛り上がりつつある。し かし、日本で岩清水梓選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)のような前例はありながら も、アスリートは引退してからを子どもを産むのが当たり前という思考はまだまだ強い。「自 分もそう考えていたけど、当たり前のように子どもを産んでも復帰して試合に出て活躍して …… そんな選手が増えたら、産後も活躍することが当たり前になって、もっとサッカーが面白くな っていくのかなと思います。自分の姿を見せることで出産後もサッカーをしていいと思っても らえたらうれしいです」出産をしても自分が好きなサッカーを続けていい、自分の夢を追い続 けていい。日本でもスペインでもまだ “ 異例 ” である堂園選手の “ 挑戦 ” は、当たり前の権利なの だ。 しかし、日本のスポーツ界では昨今女性蔑視が散見される。 2021 年 8 月 8 日、毎週日曜日の朝 に TBS 系列で放送されている「サンデーモーニング」のスポーツコーナーで野球評論家・張本 勲氏のが女子ボクシング選手への侮辱的な発言に批判が殺到。今夏開催された東京五輪 2020 ひとつとっても、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を辞任した森喜 朗元総理の女性蔑視発言や河村たかし名古屋市長が女性アスリートの金メダルへ噛みついた問 題などは記憶に新しい。 正直なところ “ ヘルジャパン ” と揶揄されるほど性差別がはびこる日本では、女性アスリートが 出産を経ても当たり前に活躍できるような体制になるまではまだ長い道のりがあるだろう。し かしながら堂園選手のような意志をもった “ 挑戦 ” を応援するとともに、出産を望むアスリート が選手人生を諦めることなくプレーできるチームの環境整備、サポート体制、スポーツ界の価 値観のアップデートは早急に進めていくべきだろう。 「私はスペインにきて本当に良かった。少しでも海外でプレーしてみたいという夢があるな ら、挑戦してほしい。コロナ禍だけど飛行機は飛んでいるから!」そんな言葉の向こうには、 やってみたいことには前向きに挑戦する堂園選手の強さがあった。 “ 子どもを持つことは素晴らしい ” でもだからといって、その代わりに夢への挑戦を諦めなけれ ばならないことはあってはならないのだ。





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