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産 業遺産の保存・活用に関する考察 −三池炭鉱専用鉄道跡を対象として−

柏 木 一 紘 / Kazuhiro Kashiwagi

Miike Coalmine Research


Contents

「産業遺産とは、歴史的・技術的・社会的・建築学的   あるいは科学的価値のある産業文化の遺物からなる」

ニジニータギル憲章 / 国際産業遺産保存委員会(TICCIH)

01 02 03 04

RESERCH

文献調査 1878 ∼ 1997

RESERCH

現況調査 1997 ∼ 2009

MASTER PLAN BLOCK PLAN BP-1 Energy BP-2 Green Filter BP-3 Blue Filter BP-4 Gate BP-5 Community

※日本では、1998 年からは文化庁で産業遺産の全国調査が行われ、重要文化財指定や登録文化財指定などによって保存されている。2007 年には経済産業省で 33 件の「近代化産業遺産群」と 575 件の個々の認定 遺産の公表が行われ、2009 年には新たに 33 件の「近代化産業遺産群」と 540 件の個々の認定遺産が公表された。この他にも地域で保存しているものや、放置されているものも多く存在している。


Ir.D.F.ウォーダヘマール (D.F.ウォーダ蒸気揚水ポンプ場) Ir.D.F.Woudagemaal (D.F.Wouda Steam Pumping Station)

アムステルダムの防塞 Defence Line of Amsterdam ドローフマカライ・デ・ベームステル (ベームスター干拓地) Droogmakerij de Beemster (Beemster Polder)

フェルクリンゲン製鉄所 Vklingen Ironworks ハンザ同盟の都市リューベック Hanseatic City of Lubeck 鉱山の町ローロス Roros エンゲルスベルクの製鉄所 Engelsberg Ironworks エーランド島南部の農業景観 Agricultural Landscape of Southern Oland

キンデルダイク-エルスハウトの風車群 Mill Network at Kinderdijk-Elshout

ターリンの歴史地区(旧市街) Historic Centre(Old Town)of Tallinn ヴェルラ製材製紙工場 Verla Groundwood and Board Mill

アイアンブリッジ峡谷 Ironbridge Gorge

リガの歴史地区 Historic Centre of Riga

ブレナヴォンの産業景観 Blaenavon Industrial Landscape

サン・テミリオン管轄区 Jurisdiction of Saint-Emilion ラス・メドゥラス Las Medulas 古都セゴビアとローマ水道 Old Town of Segovia and its Aqueduct バレンシアのラ・ロンハ・デ・ラ・セダ La Lonja de la Seda de Valencia ミディ運河 Canal du Midi

ヴィエリチカ塩坑 Wieliczka Salt Mine バンスカー・シュティアヴニッツア Banska Stiavnica クトナ・ホラ 聖バーバラ教会とセドリックの聖母マリア聖堂を含む歴史地区 Kutna Hora:Historical Town Centre with the Church of St .Barbara and the Cathedral of Our Lady at Sedlec センメリング鉄道 Semmering Railway ザルツカン・マーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観 Hallstatt-Dachstein/Salzkammergut Cultural Landscape ランメルスベルク旧鉱山と古都ゴスラー Mines of Rammelsberg and Historic Town of Goslar クレスピ・ダッダ Crespi d'Adda

青城山と都江堰の灌漑施設 Mount Qincheng and the Dujiangyan Irrigation System

ダージリン・ヒマラヤ鉄道 Darjeeling Himalayan Railway

乳香フランキンセンスの軌跡 The Frankincense Trail

フィリピン コルディリェラ山脈の棚田 Rice Terraces of the Philippine Cordilleras

サカテカスの歴史地区 Historic Centre of Zacatecas ヴィニャーレス渓谷 Vinales Valley

キューバ南東部の最初のコーヒー農園の考古学的景観 Archaeological Landscape of the First Coffee Plantations in the South-East of Cuba 古都グアナファトと近隣の鉱山群 Historic Town of Guanajuato and Adjacent Mines

アルケスナンの王立製塩所 Royal Saltworks of Arc-et-Senans ルヴィエールとルルー(エノー州)にあるサントル運河の4つの閘門と周辺環境 The Four Lifts on the Canal du Centre and their Environs, La Louviere and Le Roeulx(Hainault) ポン・デュ・ガール(ローマ水道) Pont du Gard(Roman Aqueduct) ディアマンティナの歴史地区 Historic Centre of the Town of Diamantina ポトシ市街 City of Potosi オウロ・プレートの歴史都市 Historic Town of Ouro Preto

『世界遺産に登録されている産業・技術関連遺産』 「世界遺産ガイド-産業・技術編- / シンクタンク総合研究機構 / 2001」より作成


三池炭鉱 384 年の歴史 1997 年閉山 関連施設のその後

解体

放置

活用の可能性?

文化財指定 保存 施設の点在

・福岡県大牟田市と熊本県荒尾市北部

Why ?  福岡県大牟田市とみやま市、熊本県荒尾市にまたがる三池炭鉱は江戸時代の採掘開始から 300 年近くま ちと共に歩んできた。しかし 1997 年の閉山を機に、まちから炭鉱が消えた今、人口流出や跡地利用施設の 失敗など大牟田市として次の一歩を踏み出せずにいる。そんな今だからこそ、三池炭鉱の産業遺産をまち のシンボルとして計画する事で市民のまちに対するシビックプライドを取り戻せるのではないかと考えた。


01. RESERCH 1878 ∼ 1997

伝治左衛門「燃ゆる石」発見絵図

02. RESERCH

1997 ∼ 2009


三池炭鉱

■ 専用鉄道の拡大は三池炭鉱の規模拡大と比例する。

1931年

1934年

1939年

1940年

三池鉄道本線

勝立線 (東谷線)

銀水線

緑ヶ丘線 (平井線)

万田線

四山港線

三池刑務所閉庁  宮原坑閉坑

宮浦坑と四山坑でベルトコンベアーが 使用される

朝鮮人労働者の移入開始

三川坑操業

1942年? 1943年?

銀水線 横須浜駅∼三井金属鉱業(株) 旧三池製錬所銀水工場 開通 ・三池製錬所銀水工場の北端に戦前に 東洋軽金属(株)の軍需工場があったた め、石炭輸送用路線があった。

1943年10月

1943年

国鉄荒尾駅連絡線を敷設

三川坑で戦時捕虜(欧米人) を使役

1944年 強制連行の中国人、朝鮮人を使役 (三川、四山、万田、宮浦各坑)

1945年

旅客輸送期

大牟田で空襲、ほとんどの家が焼ける

三池炭鉱

三池鉄道本線

勝立線 (東谷線)

銀水線

緑ヶ丘線 (平井線)

万田線

1946年07月

四山港線

・宮浦∼勝立間旅客輸送 開始

1469年

室 町

三池郡稲荷山にて伝冶左衛門が燃える石 を発見

1721年頃 1790年

江 戸

1853年 1857年

1871年 1873年 1876年

昭 和 ︵ 1 9 2 6 ∼ 1 9 8 9 ︶

平野山で石炭を掘り始める 三池藩石炭法度を布告 三池藩、生山を開坑 大浦坑 開坑

1878年

1883年

設置

大谷∼平井 開通

・旅客輸送を開始

1951年 1953年

『建設期(1871 年∼) 』

人工島(初島)ができる

第二人工島(港沖人工島)ができる

1954年01月

大牟田市で産業科学大博覧会が開催

三池鉱山が1278人の指名解雇を発表

旅客輸送期

10ヶ月の三池争議

1963年

・廃線

地方鉄道営業期 1964年08月

七浦坑∼横須浜駅 開通

1967年 1968年 勝立線(東谷線)

CO中毒患者の救済を訴え、家族が144 時間の坑底座り込み 労使間の「CO協定」調印

第3人工島(三池島)ができる 三池炭鉱の出炭、年間657万トンの 最高記録

1969年01月

宮原坑操業

1984年

宮原坑∼万田抗(末広∼万田)開通

1908年

地方鉄道営業終了、炭鉱専用鉄道に戻る

『衰退期(1973 年∼)』

宮原坑∼万田抗(七浦∼末広)開通

1984年06月 有明坑で坑内火災。死者83名、CO中 毒者16名

山陽鉄道 神戸∼下関 開通

1902年

三井東圧化学(株)横須工場全線 廃線

1984年10月 ・玉名線 通勤列車廃止 ・通勤列車廃止

万田第一坑操業

1905年10月 三池港開港

三池港より万田坑 開通 ・現在の規模がほとんど完成

『最盛期(1908 年∼) 』

1985年 軌道撤去

1987年11月 電気化学(株)大牟田工場線 廃線

大 正 ︵ 1 9 1 2 ∼ 1 9 2 6 ︶

1913年 1918年 1923年

三井ガス発電所が運転開始

四山港線

1908年∼1925年?

三池港∼四山坑 開通 ・石炭輸送

三池焦煤工場染料工場竣工

1923年01月 四山坑操業

1924年 三池で大争議。 1500人が3割の賃上げ要求でストライキ

・一般市民は西原停車場ま で ・三川鉱勤務員は三池港駅 まで

1973年 1978年10月

1900年11月 1900年12月

1901年05月

廃線 (宮浦鉱・三川鉱一本化)

三池港駅∼平井停車場 地方鉄道三池線として 営業開始

万田駅∼宮浦駅 単線となる

国鉄荒尾駅連絡線を廃止

1898年

東谷∼宮浦駅 地方鉄道三池線として 営業開始

・東谷方面の炭鉱住宅から 宮浦鉱への通勤

1970年09月

1970年

七浦坑∼勝立(東谷)開通 ・約2Kmに三池専用鉄道敷設 ・旅客輸送を開始 ・東谷、勝立人事前、横須浜の 4停車場

三池港駅∼桜町停車場 地方鉄道三池線として 営業開始

1963年? 1964年? 三川坑で炭じん爆発事故。 死者458人、839人がCO中毒に

・蒸気機関車により石炭輸送開始 ・1500トン/日 ・軌間はJRと同じ1067mm ・横須浜駅を0点(起点) とした

1897年02月

三池港∼平井 開通

・旅客輸送を開始

・三井金属鉱業(株)旧三池製錬所銀 水工場操業開始 ・同工場への石炭輸送路線として使 用される。

1891年12月

1894年03月

1951年09月

万田線

・馬車軌道による石炭輸送開始 ・300トン/日 ・大牟田港から長崎県口之津港に運び、 海外船で東南アジアへ輸出

九州鉄道(後の旧国鉄鹿児島本線) と旭町駅で接続 ・三池炭を陸路で大牟田外へ輸送するルートの確 立

西原∼三池港 開通

・旅客輸送を開始

1949年02月

1960年 大浦坑∼大牟田川河口の横須浜駅 開通

七浦坑操業。三池集治監が設置 明 治 1888年 ︵ 宮浦坑操業 1 1889年 8 官営三池炭鉱を三井に払い下げ、三 6 井三池炭鉱となる 8 ∼ 1891年04月 九州鉄道 門司∼大牟田 開通 1 9 1 1894年 2 勝立坑 開坑。七浦に火力発電所を ︶

・旅客輸送を開始

1959年

三池炭鉱が明治政府の官営炭鉱となる。 初めて囚人を使役

旅客輸送期 緑ヶ丘線(平井線) 大谷∼西原 開通

1948年11月

1957年

三池藩士族石炭採掘を願い出る。三 池藩は三池県となる

三山立坑操業

1948年05月

本線全区間(横須浜駅∼三池港駅) 電化完了

平 成 ︵ 1 9 8 9 ∼ ︶

1989年 1997年

三川坑が閉鎖、有明坑へ統合

三池炭鉱閉山

1997年

三井化学専用鉄道 仮屋川操車場∼早鐘踏切

・三井化学(株)が三井鉱山(株)から宮浦駅周辺 から旭町駅までの鉄道線路と一部施設、及び一 部の土地を購入

専用鉄道廃止(1997 年)


■ 旅客鉄道として通勤・通学・買物など 市民にも愛されていた。 ■ 路線の種類 (1) 基幹部である「本線」 (2) 三池港と四山坑周辺の資材運搬に使用された「側線」 (3) 労働者家族が暮らす炭鉱社宅や関連工場と連結していた「支線」

昭和 59 年撮影の通勤電車

昭和 54 年撮影 石炭を満載した貨車の入れ替え

昭和 59 年撮影の通勤電車


■ 専用鉄道の馬蹄形状は、 直線状が多い他の産業系専用鉄道跡と比べ特異。

 全国の鉱業系産業遺産の専用鉄道跡はほとんどが 直線状に形成されている。  これは輸送のため、工場と JR 線を最短距離で繋い でいるために形成されていると考えられる。  これらに比べ、三池炭鉱専用鉄道跡の馬蹄形状は 特異であり、この形成要因は地勢と深く関わっている。  

三池炭鉱専用鉄道  (3万分の1)

3 万分の1の路線図

 全国には鉱業・産業系の遺産が多く存在し、専用鉄道跡の築堤が残っている箇所もある。

三菱鉱業芦別鉱業所専用鉄道 油谷鉱業専用線 羽幌炭礦鉄道

横浜水道工事軌道(2)

天塩炭礦鉄道 三菱鉱業美唄鉄道 王子製紙江別工場専用鉄道

明延鉱山 神新軌道

雄別炭礦鉄道 北海道拓殖鉄道 三菱鉱業大夕張鉄道

住友別子鉱山鉄道2

北海道炭礦汽船真谷地炭鉱専用鉄道

日本鉱業佐賀関鉄道

日本硫黄沼尻鉄道

北海道炭礦汽船夕張鉱業所福住人車 王子製紙苫小牧工場専用鉄道「山線」

松尾鉱業

釜石鉱山鉄道

横浜水道工事軌道 日本硫黄沼尻鉄道

住友セメント四倉工場専用線 青梅の石炭石鉄道

好間炭鉱専用鉄道 住友セメント四倉工場専用線

若狭湾のニッケル鉱山専用線 若狭湾のニッケル鉱山専用線 明延鉱山神新軌道

日鉄鉱業羽鶴専用鉄道 秩父鉱業専用線

明延鉱山専用鉄道

日本煉瓦専用線

吉岡鉱山用軌道

品鶴線下丸子三菱重工引込線 貝島炭鉱大之浦専用鉄道

三菱鉱業大夕張鉄道2

日鉄鉱業羽鶴専用鉄道

三菱鉱業芦別鉱業所専用鉄道 油谷鉱業専用線

横浜水道工事軌道 青梅の石炭石鉄道

三池炭鉱専用鉄道

東京電力早川発電工事用軌道

貝島炭鉱大之浦専用鉄道

紀州鉱山鉄道 住友別子鉱山鉄道

日本鉱業佐賀関鉄道

三菱鉱業大夕張鉄道2

三池炭鉱専用鉄道と全国の主な鉱業・産業系遺産の専用鉄道分布図

品鶴線下丸子三菱重工引込線

日本煉瓦専用線

明延鉱山専用鉄道

紀州鉱山鉄道

好間炭鉱専用鉄道

秩父鉱業専用線

若狭湾のニッケル鉱山専用線1

三菱鉱業大夕張鉄道1


<要因 1> 干満差 5.5m の有明海  三池炭鉱専用鉄道の特徴的な馬蹄形状の成立は、市内に点在している坑口や関連施 設の多くを繋いでいる事も理由のひとつだと考えられるが、その他の理由として、海 に面した地形と深く関わっていると考えられる。   ● 要因のひとつは干満の差が 5.5m という日本有数の干潟が形成される地形と輸送

<要因 2> 海底炭層 ● もうひとつの要因は海底に広がる炭田にあるといえる。三池炭田は大牟田市東部 の山で地上に露頭を出し、炭層は西へ 5 度の傾斜で大牟田市の地下から有明海の海底 を長崎県島原半島の方まで延びている。大牟田市の地下は明治から大正にかけて掘り 尽くされ、昭和になってから有明海の海底にむけて坑道を掘り進めた。戦後の昭和 26 年には海底坑道の換気用に人工島初島が、29 年には人工島三池島が完成した。馬 蹄状に広がる専用鉄道は山から海に向けて坑口や坑道を広げていった形状でもある。

の問題だといえる。藩営時代は坑口から大八車と小舟で河口まで運び帆船に積み替え ていた。官営になって出炭量が増加したため大牟田川河口と東部の山を繋ぐ大牟田川 沿いに馬車鉄道が敷かれた。その後汽車鉄道になり、坑口が増えるにつれて大牟田川 河口から東部、南部へと右回りに半円を描くように延びていった。しかし大牟田川河 口からの積み出しは干満の時間的制約が大きく、満潮時にだけ積み込むというものだ った。三井経営になり、出炭量の増加とともに天候や潮汐のいかんに拘らず、大量か つ経済的に直接積み出しのできる人工港を築港する必要が生じた。そのため、地形的 に最も適した諏訪川河口近くに潮汐に拘らず大型船が入港できる三池港が建設された。 そのため東南部に延びた鉄道経路が三池港にまで繋がり馬蹄状の経路が完成した。

320m 坑道 420m 坑道

有明海

みやま市

220m 坑道

有明海

有明坑

320m 坑道

520m 坑道

(1976-1996)

220m 坑道

大牟田川 240m 坑道

350m 坑道

諏訪川

180m 坑道 380m 坑道

1

大牟田市

初島立坑

4

350m 坑道

横須立坑

180m 坑道

南新開立坑

三池島立坑

■ 赤線が軌道、青線が河川、 白塗りが新規干拓地

大浦坑

大谷坑

(1888-1996)

500m 坑道

港立坑 新港立坑

380m 坑道

三川坑

三ツ山立坑 早鐘立坑

(1940-1996)

七浦坑

(1883-1931)

670m 坑道

2

(1878-1926) (1946-1956)

宮浦坑

520m 坑道

勝立坑

宮原坑

(1895-1928)

(1898-1931)

5

旧四山坑

四山坑

(1923-1965)

(1965-1987)

1 享保 6 年 (1722) ∼明治 5 年 (1871)

400m 坑道

万田坑

(1902-1951)

2 明治 6 年 (1872) ∼明治 21 年 (1868) 3 大正 6 年 (1917) ∼昭和 3 年 (1928) 4 昭和 4 年 (1929) ∼昭和 15 年 (1940) 5 昭和 16 年 (1941) ∼昭和 20 年 (1945)

3

6 鉄道軌道及び干拓地抽出図

6 昭和 21 年 (1946) ∼昭和 53 年 (1978)

720m 坑道 三池炭鉱の坑口と坑道 「三池炭鉱概要」、「みやのうら」、「三池炭鉱案内」などにより作成

600m 坑道

荒尾市

勝立坑 ・・・揚炭や人員の昇降が行われていた坑口

(1895-1928)

新港立坑 ・・・主に通気などのために使われていた坑口 380m 坑道 ・・・坑内をほぼ水平に走る。深度を示す名称がつけられる


01. RESERCH 1878 ∼ 1997

伝治左衛門「燃ゆる石」発見絵図

02. RESERCH

1997 ∼ 2009


■自然発生的な利用と障壁

<側壁と配管による保存> ・レールや枕木等、軌道の保存状態は良くないが、側壁によって線路跡と確認できる 箇所が多かった。この築堤や谷状の側壁と、本線上にガス管があることで簡単には 壊されず、現在もこのような状態で残っているといえる。

<宅地に発生する側壁利用> ・宅地の多いエリアには側壁の利用も多く、住民による自然発生的な利用であった。 【 側壁が築堤の場合 】 花壇や物干し場、簡易的なイス等、自宅の向かいにある築堤を個別に利用している 私的な利用だと推測される。 【 側壁が谷の場合 】 下り斜面で簡易的な利用が難しいためか、宅地の前面をそれぞれ利用するというよ りは一部を段々畑にしたり、谷底にあたる軌道面は周囲との高低差がフラットな箇 所から入ると静かなあぜ道になるため犬の散歩等の光景がみられ、公的な利用が多 いと推測される。

<道路の上を通る専用鉄道> ・工場地帯以外は専用鉄道の大部分が宅地の間を通っており、宅地の間で断片的に出 会うことが多い。そして約 9km の間に 34 箇所も道路や線路と交差しているにも関 わらず、大部分の 22 箇所が軌道下をトンネル状に交差するため生活のなかで専用鉄 道がひと繋がりの線的な空間として意識されることは少ない。


03. MASTER PLAN

■ まちと共生する遺産

■ 馬蹄状のメガインフラストラクチャー

・まちには炭鉱で働く人々やその家族の社宅が立ち並び、専用鉄道は

三池炭鉱専用鉄道跡において、保存・活用すべきは炭鉱とまちの歴史の表れである

住民の足として炭鉱とまちを繋いでいた。現在はパイプラインとして

馬蹄形状であり、その関係を再び取り戻すことにある。

の利用が見られたり、側壁を住民が自主的に菜園などに利用するとい った活用の可能性も発見できた。

  <計画の指針> ・点的な住民の側壁利用拡大

・馬蹄状の専用鉄道跡に設置されているパイプラインを集約するスペースを

これまでまちと共生してきた産業の遺産を活用する上で、 住民のための利用を促し、再びまちと共存する計画が必要だと考える。

設ける。 ・地方都市の生活で現在の大牟田市に不足していると考えられる用途や施設 として活用

新たなまちのシンボルをつくり、      住民のシビックプライドを復活させる。

貸しスタジオ

Program Diagram

VISIONS OF THE CITY ゲート

「地方都市にシンボルをつくること」は目的である。 「メガインフラのための5つの考え」は手段である。

浄水施設 図書館

「メガインフラのための 5 つの考え」 Community

01 Energy 02 Green Filter 03 Blue Filter 04 Gate 05 Community

Gate Blue Filter Green Filter Energy 専用鉄道跡

ゲート

取水・導水施設


■ まちと共生する遺産

■ 馬蹄状のメガインフラストラクチャー

・まちには炭鉱で働く人々やその家族の社宅が立ち並び、専用鉄道は

三池炭鉱専用鉄道跡において、保存・活用すべきは炭鉱とまちの歴史の表れである

住民の足として炭鉱とまちを繋いでいた。現在はパイプラインとして

馬蹄形状であり、その関係を再び取り戻すことにある。

の利用が見られたり、側壁を住民が自主的に菜園などに利用するとい った活用の可能性も発見できた。

  <計画の指針> ・点的な住民の側壁利用拡大

  これまでまちと共生してきた産業の遺産を活用する上で、 住民のための利用を促し、再びまちと共存する計画が必要だと考える。

・馬蹄状の専用鉄道跡に設置されているパイプラインを集約するスペースを 設ける。 ・地方都市の生活で現在の大牟田市に不足していると考えられる用途や施設 として活用

新たなまちのシンボルをつくり、      住民のシビックプライドを復活させる。


貸しスタジオ

Program Diagram

VISIONS OF THE CITY ゲート

「地方都市にシンボルをつくること」は目的である。 「メガインフラのための5つの考え」は手段である。

浄水施設 図書館

「メガインフラのための 5 つの考え」 Community

01 Energy 02 Green Filter 03 Blue Filter 04 Gate 05 Community

Gate Blue Filter Green Filter Energy 専用鉄道跡

ゲート

取水・導水施設


04窶ィP-1 Energy


Energy

水道管

ガス管

工場専用管

新設用

・専用鉄道跡

・トレンチ(共同溝)

・トレンチ利用施設


■ トレンチ断面図  トレンチ(共同溝)は専用鉄道跡の築

堤内部に埋まるように設置することで、 上部の軌道面をフリーにする。  また、側壁利用のある専用鉄道跡の側 壁は元の形状を残す。 450

2900

200

Air

350

1200

5500

2800

3950

800

350 200

1000

Sun light


■ 採光・換気壁が地表面にあらわれる。  


■ トレンチに移設されるパイプラインの種類・管径

Φ150mm×1782m Φ300mm×495m

<水道管>

1782m 169m 1041m

293m

Φ400mm×1910m

169m 293m

1277m

236m

有明海

284m

有明海

284m

飲料水 Φ200∼Φ500mm 2本∼3本

325m

325m

有明海 Φ250mm×963m

Φ500mm×639m

308m

308m

963m 355m

飲料水 Φ400mm 1本

355m

971m

Φ600mm×1296m

971m

310m

Φ300mm×310m 310m

104m 806m

384m

325m

325m 67m

222m

390m

533m 173m

266m

源水管 Φ600∼Φ700mm 2本

Φ400mm×1196m

Φ450mm×325m

204m 93m

217m 322m

133m 281m 133m

518m

294m 407m 132m

飲料水 Φ200∼Φ600mm 3本

飲料用水

県工業用水

Φ350mm×4485m

自社工業用水

・飲料用水、自社工業用水、県工業用水の水路図及び各管直径、本数

<工場専用管>

<ガス管> 排水管 Φ1000mm 1本

有明海

工業用水管 Φ300mm 1本

有明海 液化石油ガス輸送管 Φ100mm 1本

休止管 Φ100mm 数本

三池港

化学工場

化学工場

工場専用管

ガス管 ・工場専用管、ガス管経路図及び各管直径、本数


県工業用水 Φ300mm

県工業用水 Φ150mm

県工業用水 Φ400mm

有明海

飲料水 排水管 Φ200∼Φ500mm Φ1000mm 工業用水管 2本∼3本 Φ300mm 1本 休止管 1本 Φ100mm 数本

K

L

J

I

必要断面 1000×2700mm

3500mm

必要断面 1000×2850mm

液化石油ガス輸送管 Φ100mm 1本 県工業用水 Φ500mm

H

必要断面 1000×2950mm 必要断面 500×2950mm

必要断面 500×1650mm

A

必要断面 400×800mm

B 飲料水 Φ400mm 1本

自社工業用水 Φ300mm

必要断面 600×1700mm

2950mm

2000 県工業用水 Φ600mm

1500

C

源水管 Φ600∼Φ700mm 2本

E

0

A

D

1750mm

750mm 800mm

自社工業用水 Φ450mm

F

B

1700mm

C

飲料水 Φ200∼Φ600mm 3本 自社工業用水 Φ350mm

3050mm

E D

パイプライン経路図

■ トレンチ(共同溝)の幅はパイプラインの本数や管径によって決まる。  

G

1650mm

1650mm 自社工業用水 Φ400mm

H

1000 500

必要断面 600×1650mm

I

2950mm

2500

F

必要断面 700×3050mm

J

2850mm 2700mm

3000

G

必要断面 600×1750mm

必要断面 400×750mm

自社工業用水 Φ250mm

K

L

・トレンチ必要断面長さ


04窶ィP-2 Green Filter


Green Filter

食料としての公園

都市公園

歩道・空地の確保

生態回廊

・食料としての公園

・都市公園 グリーンフィルターは生活圏に緑地を確保し、大気浄化能力によって工 場が多く立地している市の中央地域の空気浄化にも貢献する。 ・歩道・空地の確保

・生態回廊

・専用鉄道跡


<食料としての公園>

軌道斜面に菜園がある地点  

・フィールド調査で確認できた側壁上の菜園


・谷状の専用鉄道跡の側壁を菜園地帯とした「食料としての公園」


■ 大牟田市の一人当たりの都市公園面積 9.5 ㎡(市街化区域では 5.61 ㎡)  

<都市公園>  大牟田市は北部と東部を山に囲まれているが、日常生活圏の 緑地である都市公園は十分であるとはいえない。 

・大牟田市の都市公園の推移 150 大 牟 田 市 100 の 都 市 公 50 園 総 面 積 0

20 121.98

9.5

15 10 5

1965

1975

1985

1995

2005

2009

0

市 民 1 人 当 り の 都 市 公 園 面 積

■ 既存都市公園との関係 複数の街区公園の母体として 機能させる。

■水と繋がる公園 計画地

◎河川沿いの都市公園

都市公園

◎港沿いの都市公園

専用鉄道跡 ・都市公園とのネットワーク


三池港

■ 分断されていた海と住宅地を繋ぐ view

専用鉄道跡

・港沿いの都市公園


・空中デッキの下から鉄道跡を見る 


■ 専用鉄道跡と河川を歩道や広場で繋ぐ親水公園

・河川沿いの都市公園


・河川沿いの都市公園

<歩道・空地の確保>

■ 歩道が少ない密集市街地 ・5.5m 未満の道路で71.6%が歩道を確 保できていない。

JR

・また、市街化区域内の建築年齢 30 年以上の建築物は 3 割。

国道 208 号線

・市街化区域内の建築物の約 8 割が木造である。

新栄町駅

  大牟田川

専用鉄道跡

大牟田駅 諏訪川

緑地公園

国道 389 号線

三池港

福岡県 大牟田市

熊本県 荒尾市

N 0

500

1000

荒尾駅

・市東部の密集市街地


<生態回廊>

■海と陸を繋ぐ  既成市街地は接道部に十分な緑地スペースがなく、個別に緑化され JR

た場所はあっても並木などの連続した緑地は少ない。

国道 208 号線

新栄町駅

 「生態回廊」として連続的な緑道をつくる。臨海部の工場地帯によ って分断されていた生態系を回復し、市民にとっても生活圏から遠ざ かっていた海へと繋がる回廊になる。

大牟田川

大牟田駅 諏訪川

緑地公園

国道 389 号線

三池港

福岡県 大牟田市

熊本県 荒尾市

N 0

500

1000

荒尾駅

工場地帯

生活圏 ・生活圏と海を分断している工場地帯


■トレンチが地表部に現れる生態回廊

・断面図


04窶ィP-3 Blue Filter


浄水施設

Brue Filter 取水・導水施設

浄水施設

取水・導水施設

・計画施設

・専用鉄道跡

・河川と有明海

ブルーフィルターは専用鉄道跡と市内を流れる 2 つの河川との交差箇所に設置する。


<浄水施設> ・市の中心部をながれている大牟田川と専用鉄道跡の交点に設置する。 ・生物化学的酸素要求量(BOD)の環境基準適合率が 10 年間、11 ∼ 14%という低いレベル

check point B 五月橋

■干潟と河川の密接な関係

初島

check point A 七浦橋

大牟田川

三池島

諏訪川

mg/L 40

・ 『 check point A 』での BOD 値 馬場町取水場

有明海

30 20 10

環境基準値 臼井橋

0

三池炭鉱専用鉄道跡

H5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 年度

□ 干潟の役割 mg/L 40

・ 『 check point B 』での BOD 値

30 20 10 0

H5

環境基準値

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17 年度

 干潟の役割(機能)には 大きく分けて、「生物生息 機能」「生物生産機能」「渡 り鳥中継地」「親水機能・ 景観形成機能」「水質浄化 機能」などがあげられ、有 明海は東京湾の干潟面積の 約 10 倍という広大な干潟 をもち、生物多様性の宝庫 である。

□ 三池島の環境  準絶滅危惧種に指定され ているベニアジサシは、三 池炭鉱の海底坑道の換気用 に造られた人工島の三池島 を北限の繁殖地として、主 に奄美諸島、沖縄諸島、宮 古諸島、八重山諸島で繁殖 する。  地元の野鳥の会では、三 池島をベニアジサシの島に しようという声もある。


N 専用鉄道跡

歩行者動線

浄水施設 地中埋設パイプライン

Traffic

取水ポンプ

サンクンガーデン

駐車場

■ 周辺環境との関係

■ 浄化の流れ 『浄水施設』

『サンクンガーデン』

① ポンプアップ

③ 礫間接触酸化による浄化

④ 植生浄化 ② 初期沈殿

大牟田川


・大牟田川越しに見る敷地

・北側から見る敷地

・大牟田川

・浄水施設へのアプローチ

・サンクンガーデンから浄水施設を見る

・浄水施設へのアプローチ


<取水・導水施設> 市の南部をながれている市内で唯一の水源河川で、創設 80 年以上の老朽化した取送導水施設にかわる施設が必要。

・敷地写真


現在の取水施設位置

諏訪川

Parking

■取水・導水施設を 築堤内に移設

取水・導水施設

1:800

・トレンチの通過範囲

N

■トレンチを広げた空間

・施設範囲


バックヤード

3000

地下取水口 ポンプ室

4600

4000

m 沈砂池 25×2×3.7

粉末炭素注入施設 3×2×3 m 

倉庫

換気室

3000

導水施設

資料室

オフィス

休憩所

エントランス ホール

3000

■ 1階平面図 9000

9000

9000

9000

9000

9000

9000

11600

8000

63000

9000

バックヤード

3000

3000

1000 1500 2400

2600

9000

9000

6000

12000

1000

5000

3000

4000

3200

1500

3900

エントランス

2800

1650

4900

5850

2650 1650

1650

1150

10001500 2000

■ 屋根伏せ図 N 1:450


■ 断面図  1:450

72000

9000

パイプライン

1200

トレンチ

トレンチ

300

500 500

パイプライン

3400

800

2400

9000

5800

9000

2700

9000

4700

9000

3700

2200

9000

3200

1200

9000

1700

9000


田園地帯に換気・採光ボックスが現れる


橋へ上るアプローチになる


住民が集う広場になる


04窶ィP-4 Gate


Gate ゲート

象徴

エントランス

駐車場

緊急車両入口

非常用具倉庫

ゲート

・計画施設

専用鉄道跡は大きく馬蹄状に市内に広がっているため、南北にの びる国道と直交する形で互いが交差している。 そのような場所に複数の用途をもたせた「ゲート」を計画するこ とで、よりまちと密接な関係をたもてるのではないかと考えた。

・専用鉄道跡

・既存道路との交差箇所

・国道


<象徴>  車や歩行者がゲートを通過する事で、まちに対して「出る」「入る」といった感覚を生み、まちとしての共同性を高める。

<エントランス>  まちへの入口であるとともに、専用鉄道跡に計画された緑地やコミュニティ施設、昔の軌道面へ上る入口になっている。

<駐車場>  専用鉄道跡に沿う道路は狭い道路などが多いため、車でのアクセスでは大通りとの交点のゲートから駐車場に入れるようにする。

<緊急車両入口>  有明海に面する大牟田市は、台風とともに高潮・洪水の危険性がある場所である。専用鉄道跡の築堤は浸水想定区域内で高所となるため、避難所や避難経路として利用できる。

<非常用具倉庫>  ゲートは道路上に見えるため、遠くからでも非常時の目印になりやすく、非常用具倉庫としても利用できる。


34 33

JR

32

■ 既存道路と専用鉄道跡の交差箇所

国道 208 号線

31 新栄町駅 30 29 28 27 26 25

大牟田川

24

・専用鉄道跡が既存道路や JR 線と 34 箇所交差しているに

23

もかかわらず、22 箇所が軌道下をトンネル状に交差する事 が原因で生活のなかで専用鉄道跡が意識される事が少ない。 有明海

諏訪川

大牟田駅

22 緑地公園

21

20 19 18 01

17

三池港

既存道路と専用鉄道跡の交差形態

16 15 14

既存道路の上を通る

02

既存道路の下を通る

13

既存道路とフラット

12 福岡県 大牟田市

03

04

05 06 07

08 09 10

熊本県 荒尾市

11

N

荒尾駅

0

500

1000


1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

22

24

25

26

28

29

30

31

・・・三池炭鉱専用鉄道跡 ・・・既存道路・JR 線 32

33

34

・既存道路・JR 線との交差箇所


専用鉄道跡

TRAFFIC


N

■「North Gate」と「South Gate」   North Gate

4000

5000

7000 2000

3000

6000 3600 8000

1200

2400

3000 4000

国道 208 号線

軸線

専用鉄道跡

■ フレームでつくられる空間   

South Gate

7000

N ・フレームによる上屋

・パイプ支持フレーム

†?S

■ 視認性を確保する


「North Gate」 と 「South Gate」 を繋ぐ軸線

■ 屋根伏せ図 N

1:450

国道,208号線

H:4000

H:5000

パイプ支持溝A H:2000

H:3000

H:7000

H:6000

パイプ支持溝B パイプ支持溝C H:3600

パイプ支持溝D

H:8000

H:1200 H:4000

H:2400

スロープ

H:3000

トレンチ入口

築堤内: 「トレンチ 兼 非常用具倉庫」


トレンチからパイプラインが外部に現れる


フレームが重なり風景が変化する


トレンチからパイプラインが外部に現れる

フレームが重なり風景が変化する

屋根や壁となる


■ 時間を共有するコミュニティ  高度に情報化した現代において地方都市生活の地域コミュニティは薄れているよ うに感じる。都会であれば、一歩まちに出れば生活圏内に様々な用途に応じた場所 があり、特定の密な繋がりは無くても、まちの中で生活しているような匿名の広い 共同性を得られる。しかし、地域コミュニティが薄れ、家族コミュニティも担保で きなくなった地方都市において、一歩まちに出たところで生活圏にまちとしての共 同性を得られるような場所はあるのだろうか?大型ショッピングモールのようなま ちを凝縮したような場所はあっても、それはあくまでも量産的につくられたもので 「自分のまち」と感じることはないだろう。  現代の地方都市にとって必要なものは「時間コミュニティ」ともいえる共同性だ と考える。  特定の用途をもち、ある時間を一緒に共有する場が必要なのではないだろうか。 それは英会話スクールや料理教室、ウォーキング仲間や草野球、サークルなどの趣 味をモチベーションとしたものや個人のスキルアップのためのもの、美術館や図書 館、音楽堂、博物館など文化的な体験を得られるものだといえる。大都市のような 匿名の多様な場は無くても、特定の目的のために人が集まれる場所を地方都市はつ くるべきである。これらはショッピングモールのような匿名性の高い場所とは正反 対で、そこに行くということは「好き」とか「見たい」といった条件をクリアして いる人が集まる。つまり、そこにいるということが一定の共同性を担保していると いうことである。  家族コミュニティや地域コミュニティに加えて「時間コミュニティ」を加えるこ とでよりよい地方都市生活が過ごせるのではないかと考えている。  本計画で計画するコミュニティ施設も、このような考えを前提にしている。  既存の文化施設や地区公民館などとの住み分けを考慮した提案を行う。

地方都市に何が必要?

04 BP-5 Community


Community 貸しスタジオ

貸しスタジオ

図書館+学習施設

美術館

野菜の直売所

美術館

野菜の直売所

図書館

・計画施設

500m m

1000 m

1500

・専用鉄道跡 500m 00m m 10 1000 00m m 15 1500

500m

・地区公民館 (生涯学習センター)エリア

m

1000

m

1500

・主な文化施設エリア 500m m

m

1500 500m m

1000

1500

m

1000

500m m 1500 0m 50

m

1000

500m

m

1000

500m

m

1000

m

1500

m

1000

m

1500

m

1500

m

1500

500m m

1000 m

1500

500m m

1000 m

1500

500m m

1000

m

500m

m

m

1500

1500 m

1000

1500

m

1500

500m m 1500 0mm 50 1000 m 00m 10 1500 m

1500


■ 7エリアの地区公民館  大牟田市には町の公民館とは別に、地区公民館が

7 つのエリアに

分かれて点在している。  これらは生涯学習センターとしても機能しており、地域のイベン トや展示会などに利用されている。必要に応じてフレキシブルな場 になる公民館は、用途の決まった文化施設が少ない大牟田市にとっ て重要な役割を担っている。 ・7 つの地区公民館 中央地区公民館 勝立地区公民館 手鎌地区公民館 三池地区公民館 吉野地区公民館 三川地区公民館 駛馬地区公民館

■ 地区公民館から離れた貸しスタジオ  地区公民館は短期間の利用であり、中長期の継続利用などは行わ れない。「時間コミュニティ」の考えから、ある一定の期間で特定 の用途として継続的に利用できる場をつくるため、「貸しスタジオ」 として中長期利用できる場をつくる

地区公民館 文化施設 炭鉱関連遺産 小学校・中学校・高校・大学 1500m 1000m 500m

市役所 消防署・消防団 病院 工場地帯 ・地区公民館エリア図


■ 文化施設  大牟田市とその南部に位置する荒尾市にはホールをはじめ、 いくつかの文化施設があるが一部に固まって位置することが多 い。    エリア図から専用鉄道跡の東部から南部にかけて文化施設が 少ない地域だとわかる。

■ 図書館  大牟田市図書館と、荒尾市図書館の中間に位置しており、 近くに住宅街や学校なども多くある地域。

地区公民館 文化施設 炭鉱関連遺産 小学校・中学校・高校・大学 1500m 1000m 500m

市役所 消防署・消防団 病院 工場地帯 ・文化施設エリア図


<貸しスタジオ>  北部の商業地域では、専用鉄道跡の築堤が人の流れを妨げているという問題がある。

そこで、軌道と直交方向への通行を確保する事で新たな人の流れを生み出し、そこ に貸しスタジオを設置する事でジムや料理教室などの趣味やスキルアップのための 場をつくる。

■ 連続する横穴をあける

†?S

N

 商業地域を通る専用鉄道跡に横穴をあけることで、トレンチと交差する空間をつく

る。  こうすることで、商業地域において南北通過を妨げていた専用鉄道跡の築堤のな かに通過できるトンネルや、貸しスタジオとしての場所を確保することができる。  また、挿入する建物高さを GL プラス 6800mmで一定に揃え、GL プラス 6000mm から 5000mm まで下る軌道面を歩道として残すことで、専用鉄道跡の地 形の変化を強く感じさせることを狙っている。

5000

6800 6000

0


■ 平面図 N 1:450

スタジオG

00

30

スタジオF

至 最寄駅

90

00

b´ スタジオE

トレンチ

15

00

0

30

00

スタジオD

parking

75

00

スタジオC

30

45

00

a

40

00

00

00

20

00

65

10

60

スタジオB

60

00

00

b

通過動線

90

00

12

00

0 スタジオA

管理室

15

00

0

22

00

0

60

00


トレンチはスタジオ内での換気・採光室となり、 各スタジオ間では緩衝空間となる。 Sun Light

6050

400 1000

400

a-a´ スタジオ断面図

300

450 950

400

3000

5900

2500

Air

b-b´ 通路断面図

5900

4600

5000

900

1600 600 2850

5900

2900

3000

2600

5350


軌道跡の西端 H:5000mm

全スタジオ H:6800mm

軌道跡の東端 H:6000mm


大きくカーブする専用鉄道跡


スタジオの表と裏のリズムでファサードをつくる


短手方向への通過が可能


N

<図書館>  専用鉄道跡の南部は大牟田市図書館と荒尾市図書館のちょうど中間に位置し、この エリアに文化施設や自主学習施設が少ないので、学習施設を含んだ図書館を計画する。

・東西にのびる空間を統合し、 トイレやオフィス等の諸機能を 納める。

切り欠く

・南側の住宅街に背をむけるよ うに順光の学習空間を確保する。

・築堤内に中庭を設け、地中の 静かで落ち着いた空間をつくる

切り欠く

Sun light


■ 平面図 N 1:800

13

12

15850

Parking 7

entrance

5 6

2600 4395

1 3 4

2

97180

9

6030

15

8143

4200

トレンチ

9200

14

8 11

10

48864

264242

42174 49157 7977

10111

1  ホール 2  オフィス 3  休憩室 4  機械室 5  トイレ 6  ロッカー 7  書庫・閲覧・学習室1 8  書庫・閲覧・学習室2 9  中庭 10  倉庫 11  バックヤード 12  トイレ 13  書庫 14  バックヤード 15  トレンチ


築堤からホールだけが立ち現れる


壁がつくるヴォリュームの緩衝空間


トレンチが貫通する図書館ホール


「図書館」ホール


壁の隙間のエントランス


築堤内部に入る感覚の書庫


<結> ・まちのシンボルとして再生 ・観光資源としてだけではない市民生活のための産業遺産の活用 ・線的形状を生かしたインフラストラクチャーとしての活用 ・他地域の専用鉄道跡への汎用性

Miike Coalmine Research  

《 keyword 》 産業遺産 / 活用 / 提案 / 三池炭鉱 / 300年 / 都市 / 建築 / コミュニティ / 環境共生 / インフラ / シンボル / シビックプライド / 歴史 / 回復 / 記憶 / 大牟田 / 修士研究