Page 293

「むかしむかし、あるところにおじいさんとお ばあさんがおりました。おじいさんは山へ芝刈 りに」 養老孟司のこの用例に定冠詞、不定冠詞、助詞の関 係を補ってみると、このようになります。 「[ : a不特定]おじいさんとおばあさんがお :特定]おじいさんは山へ芝刈 りました。[ the りに」 と書けます。 ところで、大野晋『日本語練習帳』(岩波新書) によりますと、 ハの使い方は、1)話の場の設定(答えが来る と予約)、2)対比、3)限度、4)再審です。 この四つにある共通点は、ハは、すぐ上にある ことを「他と区別して確定したこと(もの)と して問題とする」ということ。 ガの使い方は、1)名詞と名詞をくっつける(ハ は分離させておいて下と結ぶ。ガは、すぐ上と 下をくっつける。)、現象文をつくる。 で(傍線はドンコロ)、文法的にいうと、ハとガの 使い方はもっと広いうようですが、ドンコロ解釈で

もそれほど大きくは違ってはいないようです。大野 晋の用例を読むとその都度、納得するのですが、で も、 たった六つの定義でも、 すぐ忘れてしまいます。

] 、 ドンコロのドングリ頭では、 養老孟司の定冠詞 [ the 不定冠詞[ ] aと助詞(ハとガ)の対応程度で十分 なのですが。

と「は」、 と the a 「が」の対応があるので、西 洋でも日本でも同様の抽象と具象の明確な概念的区

別があるのがわかります。でも、 the と は a 単語を 修飾するだけですが、「は」と「が」は文章全体の 抽象と具象に係わります。 たとえば、芭蕉の句「古池や蛙飛こむ水のおと」

目の前にある wa

を the 、 と )、「が」( ) a 「は」( wa gaを補って 詠んでみます。 [ the ]古池 や

わたしの心に広がる ga

わたしの心に滲み wa

心に浮かぶ ga

[ ]a蛙飛こむ水のおと あるいは、 [ ]a悠久の古池 や

[ the ]蛙飛こむ水のおと 入る

290

サステナ第47号  

気候変動、持続可能な消費と生産、自然資本と生態系サービス

サステナ第47号  

気候変動、持続可能な消費と生産、自然資本と生態系サービス

Profile for ir3s