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ターは、並外れて音楽的でありました。私は彼 が好きではありません。これは率直に申しあげ ます。純粋培養されたドイツ性、分離主義的反 ローマ的なるもの、反ヨーロッパ的なるものに、 私は嫌悪感と不安を感じるのです。たとえそれ が新教(プロテスタント)的自由や宗教的解放 として現れているにしても、です。そしてとり わけルター的なもの、つまり怒りっぽくて粗野 なところ、罵詈雑言、唾棄、激昂、恐ろしく逞 しいところ、しかもそれが繊細な心情の深さや、 悪霊(デーモン)や悪魔や畸形児に対するはな はだしい迷信と結び付いたものに、私は本能的 嫌悪感を覚えるのです。 つまり、トーマス・マンによると、ドイツ音楽に は反理性(悪魔)が潜んでいるということになりま す 「スピードボール」系[現代美術館]では、映像 とともに、[現代音楽]が流されていることも多い です。絵画・塑像、建築、音楽のあらゆる芸術と称 する分野で、マンの言葉を借りるなら、「スピード ボール」系現代芸術は「マイナス符号のついたキリ スト教的芸術」と読み換えられそうです。「マイナ

ス符号のついたキリスト教的芸術」は[悪魔の芸術] ということです。したがって、「スピードボール」 系現代芸術館を[新ゴシック大聖堂]と呼んでもい いでしょう。 [旧ゴシック大聖堂]では、外装(外面・外観) に悪魔(精霊・天使やグリーンマン)を配置しまし たが、[新ゴシック大聖堂]では、内装(内面・内 観)に悪魔(幻想・幻覚)を配置する違いがありま す。

( 6) 非「 スピードボール」 系美術論考 もちろん、20世紀、21世紀の美術・芸術は「ス ピードボール」系美術・芸術だけではありません。 西欧三派国 フランス、ドイツ、イギリス、とアメー バーオランダ には、魔薬と悪魔で切り開いてきた [シュバルツバルトメカニズム]をバックボーンに 精神と社会が構造化されていますから、「スピード ボール」系文化が花開くのは当然です。しかし、そ れが世界標準みたいなことをいわれて、そうでない と、遅れた文化とみなされ、[シュバルツバルトメ カニズム]とか、「強欲金融ユートピア」とかで介 入されガタガタにされます。

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サステナ第47号  

気候変動、持続可能な消費と生産、自然資本と生態系サービス

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