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対する信頼の回復、探求と批判への積極的参 加、社会改革への関心、世俗主義の増大、あ えて危険に立ち向かおうとする意志の増大 を 特 徴 と す る 世 紀 で あ っ た 。 (中川久定ほか訳) 「神経の衰弱」という[ダウナー系文化]の衰退 を、17、8世紀の西欧の啓蒙主義が回復するとい っても、啓蒙主義自体が[ダウナー系文化]のなか に棲息しているのですから、これは、論理学的にい うと「自己撞着」以外の何物でもないでしょう。

3[ ダウナー系文化] の進歩主義 「文明」が啓蒙主義に、「文化」がロマン主義に 結びつけられてきたこと、またそうされつづけてい ることは内在的要因と歴史的要因の両面から理解さ れます(松宮秀治)。「文明」が進歩主義、科学、 技術主義、現実主義と結び付くのに対して、「文化」 が保守主義、芸術・内面主義、歴史主義に結び付く のは両概念の内包領域と観念体系(連合)の差異に

由来するものです。 西欧の「文明」「文化」を、[ダウナー系文化] として考えると、内に対してはたえず衰退と廃退を もたらし(悪魔の衝動)、外に対しては「進歩」と 称して打って出る理性や自由意志の吐露 (神の使命、 人倫)で、極端な二律背反的思想と行動をもたらす 文化(文明)のようです。

4「 ミュージアム」 という複合神殿装置

西欧近代は前近代の神に代わる新しい神々を創出 しました(松宮秀治)。 前近代の一神教が近代の多神教に変貌した だけで、近代社会も神々を必要としたのである。 西欧近代の神々のなかで最大級の権威をもっ たのが、「科学」「芸術」「歴史」という神々 であり、同じように神格的威力を発揮し、さら に神話的観念体系として近代人の価値観を支 配してきたのが、「進歩」「文明」「文化」と いう概念群である。いうなれば西欧近代の神学 は科学、芸術、歴史という神格を中心に教義が

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サステナ第47号  

気候変動、持続可能な消費と生産、自然資本と生態系サービス

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