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その本当のところは分かりにくいです ね。 (貢献)というより、 Contribution (抱負)と言った方 むしろ Ambition がいいかのかもしれません。自分でこ れをすると宣言できるかわりに、必ず 達成しなければならない、厳しく取り 組むことが求められているのだと思い ます。一種の社会的コミットメントで 責任を伴いますが、一方で法的な達成 義務のあるターゲットとは少し違うと ころがあります。努力目標のような性 格があります。言い換えると、アンビ シャスな目標値設定だけではダメで、 実績が伴っていかないことには話にな りません。実績をどうやって伴わせる のかというのが、パリ協定が成功する かどうかの一番のキーポイントです。 それでは、実績を伴わせるための道 具立てとして、パリ協定にはどういう ものが入っているかというと、それが 2年ごとに行ういわゆるトランスペア レンシーフレームワーク(透明性枠組

み)です。2年ごとにNDC達成に向 けての各国の進捗状況の報告とチェッ クを行います。いまの気候変動枠組条 約のなかでも似たようなプロセスはあ り、 私も20年以上関与していますが、 実効性に乏しく、もっと強めていかな いといけません。そのためにどういう 制度を作っていけばよいか、これが課 題です。 そこをうまくデザインすることがで きれば、パリ協定はそれなりに実効性 のあるものできるでしょう。逆に言う と、そこがいい加減なものになってし まうと、ボランタリーな目標を達成で きない国がたくさん出てきて、そのう ちにパリ協定の実効性がなくなってし まいます。それならまた新しい条約を 作るしかないみたいなことになって、 その交渉プロセスにまた10年ぐらい 掛けて……のようなことになったら、 一体何をやっているのかということに なってしまいます。ですから、いま重

要なのは、NDCのトランスペアレン シーフレームワーク関係をいかにうま く実効性のある制度としてデザインで きるかということであると私は思って います。 皆さんも現実世界で経験されている と思いますが、理想と現実のギャップ が大きかったり、経済合理性にはほど 遠い意思決定が行われていたり、いろ いろなことがあります。 政策担当者が、 自分の国の排出量が過去から将来に掛 けてどうなっているのかということさ え、なかなか理解していなかったりと か、計画や政策のパフォーマンスが上 がらなかったりとか、気候変動問題自 体の認識が薄かったりとか、経験や教 訓がシェアできていなかったりとか、 そういったことがたくさんあります。 そうした現実の状況を踏まえた上で、 パリ協定はすべての国がある意味で同 じ土俵に立ってやっていくプロセスに なったので、すべての国がきちんと付

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サステナ第47号  

気候変動、持続可能な消費と生産、自然資本と生態系サービス

サステナ第47号  

気候変動、持続可能な消費と生産、自然資本と生態系サービス

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