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 深海生物が人気を集めているこの夏。ダイオウイカをはじめ、ダイオウグソクムシや深海ザメなど、いろいろと盛りあがって いるようですが、深海生物のなかでもっとも「重要」な発見のひとつが1977年におけるガラパゴス沖の「化学合成生物群集」 です。 【関連動画】チューブワームやシロウリガイをはじめて発見した海域での超貴重映像  化学合成生物群集は、チューブワームとかシロウリガイのように、光合成に頼ることなく、「熱水噴出孔(要は温泉)」の硫 化水素などの化学物質をエネルギー源とする生きものたち。つまり、それ以前には知られていなかった「まったく新しい生態系 」であり、深海生物の本格的な研究はここから始まったといっても過言ではありません。  熱水噴出孔を発見したのはロバート・バラードというナショナル ジオグラフィック協会付きの探検家でした。厳密に言えば、 チームによる調査なので発見者は彼1人ではないとはいえ、主要な人物であることは間違いありません。バラードはのちにタイ タニック号も発見していて、そのほうが有名かもしれませんが、そもそもは地質学者として深海の研究に関わりました。彼が中 央海嶺の調査に参加したのは1975年。33歳のときです。  生物学者ではないのかって? 違います。最初は化学合成生物群集ではなく、熱水噴出孔を探していたのです。つまり、化学 合成生物群集はおまけみたいなもので、ホントにホントに予想外の発見であり、完全な偶然だったのです。ちなみに、1979年の 2度目からは生物学者も参加しました。  彼がガラパゴス沖を調査していた70年代はプレートテクトニクスの黎明期。当時、ヒマラヤに貝殻の化石があるように、プレ ートが押し合いへし合い隆起して山になる証拠は見つかっていたものの、プレートが生まれる証拠は得られていませんでした。  その有力な候補として、研究者たちが目をつけたのが「中央海嶺」でした。これは総延長約7万キロにもなる海底の山脈で、 総面積では全地球の表面の約4分の1を占めます。活火山が1万以上もあり、プレートが生まれると考えられていた海底で盛んに 活動しているので、どうやらここがアヤシイとにらんだわけです。  そこで、地質学者たちは中央海嶺から枝分かれしている水深約3000メートルのガラパゴス沖の地溝帯に潜り、熱量を測定して みたところ、どう計算しても帳尻が合いません。これは熱がどこかから漏れているに違いない。いちばん理にかなうのは「温泉 」だろうということで、熱水噴出孔探しが始まります。  しかし、バラードがはじめて参加した1975年のプロジェクトでは見つかりませんでした。水深3000メートルの海底はまった く光の届かない暗闇の世界で、生命はほとんど存在しないが、海底火山はたくさん観察できた、と彼はこのときのことを説明し ています。深海には生きものがほとんどいない、いるわけがない、と考えられていたことがわかります ニューバランスメンズ 574。  有人潜水艇「アルビン」が熱水噴出孔を発見したのはその2年後。1977年2月17日でした。実はこのときバラードはアルビン に乗っていませんでしたが、チームの1人として『ナショナル ジオグラフィック』1977年10月号にレポートを寄せ、こう締めく くりました。 「4万マイルもの海嶺にいったいどれだけ熱水噴出孔があるんだろう? ワクワクせずにはいられない。そのどれだけが生命を 支えているのか? そして、その存在は暗黒の淵に息づく生命に関する知識を進化させるのだろうか?」  このバラードの疑問こそ、その後の本格的な深海生物研究の出発点となったのです。

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