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症例

症例

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資料

画像診断 変異型を除き,他のクロイツフェルト-ヤコブ症(CJD)の画像所見は同一である. 進行性の尾状核,被

前部,視床,大脳皮質の高信号領域を拡散強調画像,FLAIR 画像,T 2強調

画像で認める.拡散強調画像が最も明瞭である. 両側視床枕に T 2強調画像で被

に比べてより高信号を認める.特に変異型により明瞭に認められ

る. 拡散強調画像では皮質は脳回様に高信号を示すが,進行すると高信号が消失する.大脳基底核も同様 である. T 1強調画像で孤発性の CJD,淡蒼球に一次的に高信号を認めることがある. 進行するにつれて大脳萎縮が著明になる.全脳型 CJD では大脳白質に高信号を認める.CJD による 一次的な白質変性によると えられる. 小脳症状で発症する CJD では,拡散強調画像で小脳に高信号を認めることは少ない.原因は不明で ある. 病理所見では淡蒼球,アンモン角,海馬の歯状核,脳幹と脊髄は免れると言われている(文献 6).拡 散強調画像でも海馬が侵されることはなく,無酸素性脳症などとの鑑別に有用な所見である.

鑑別診断 線条体に高信号領域を FLAIR 画像で認める疾患

Box

1.クロイツフェルト-ヤコブ病:前部に強 い.

6.クリプトコッカス症:円型あるいは楕円

2.ウイルソン病:前部に強い例もある.視 床,赤核周囲,橋被蓋にも高信号を認め る.大脳基底核の信号強度は T 2強調画 像では様々である. 3.HIV 脳症:被

に同様な病変を認めるこ

とがある.病歴 4.トキソプラズマ症:造影効果

症例 A

5.神経梅毒 形 7.浸透圧性脱髄症候群:被

は全体が侵さ

れる. 8.低血糖 9.ハンチントン舞踏病:被

と尾状核に萎

縮を認める.被 前部に強い所見はなく, 後部も侵される.

歳,男性 クロイツフェルト-ヤコブ病(CJD),認知症がある

2000年 2月頃より疲れやすく仕事がうまくいかない.3月より気力低下.6月降格人事.8月に精神 科受診.認知症と言われた.9月 28日に最初の MRI.ミオクローヌス,脳波上,周期性同期性放電は なく,症状の進行が早くないので,臨床診断はアルツハイマー病の疑いである. 画像所見:両側の側頭葉,特に左前部に萎縮を認める.拡散強調画像にて明瞭に,左優位に側頭葉外 側の皮質に異常な高信号領域を認める(図 1の矢印).FLAIR 画像でも程度が軽いが,皮質に高信号領 域を認める(図 2の矢印).一方,基底核には拡散強調画像,FLAIR 画像ともに,異常を認めない(図 3∼4).大脳基底核前部に所見がない,非典型的な所見であったが CJD と 年半後に死亡し,剖検にて CJD が確認された.

えられる所見であり,約 1


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