Page 1

異なる事態が同所的同時的に展開すること、 それらが連関しているように思われること、 もしくはそれらすべてが全く関係ない事態に思われること 網目状に組み合わされる事態

状況と装置

 それぞれの事態における要素は、状況を読み取って応答的にふるまいます。要素のふるま

 それぞれの事態における要素は、何らかのインプットに対してアウトプットを以って反応

いは、その場の状況を生み出す要因となり、他の、または自身の応答の対象となります。

するインタラクティブな装置であると言えます。これらの装置は、介入者(鑑賞者や他の装

[pic1]

置)に反応して、何かしらのふるまいを起こすことによって、別の装置に対して介入者とな

 各々の要素が状況を共有しながら自走することによって、複数の分断された事態が、状況

ります。こうしたプロセスが繰り返されることによって、できごとが連鎖していく状況が作

という基盤を介して、ズレを孕みながら接続されます。

られます。  こうした状況のなかで、各々のできごとは、繰り返されたり、他のできごとと連関しあう ことによって、全体へと波及していきます。

アウトプット

インプット

インプット

アウトプット

インプット

アウトプット

i saw a girl with a telescope 私は望遠鏡で少女を見た、もしくは、私は望遠鏡を携えた少女を見た。 * 統語論における例文


事態1:組み上げられつつ解体される構築物 変容する場

 各々の形状はすべて自由ですが、幾何学的に組み上げられ る形態のルールが規定されているため、自由度は許しつつも

 会場に散乱しているラワン合板及び土

一定の形態的特徴を保ちながら、かたちが展開していきます。

木用フエルトピースは、誰でも自由に触

上面図

ることができます。各々ピースには切り 欠きが設けられていて、それぞれの切り 欠き同士を嵌め合わせることによって構

切り欠き ピース

3cm

築物を組み上げていきます。構築物は、 介入者によって組み上げられたり、分解、

5cm

移動されることによってかたちを変化さ せていきます。

立面図

 会期を通して、構築物は一切解体されたり、ある程度の大きさの構築物へと組み上がるな どしつつ、その場の状況や介入者のふるまいを変容させます。

側面図

ズレあるいは綻び  前述の通り、各々のピースは全て接合性が設計されているため、三次元グリッドに則って展開し ていきます。しかし、土木用フエルトのように柔軟なピースが含まれることによって、そのような 規則性は部分的に崩されます。そのため、組み上げられるピースは、規則性と不規則性の間を揺れ 動きながら構築されていきます。  また、フエルト製ピースが用いられることによって、構築物自体が不安定になり、倒壊すること があるかもしれません。

規則  ラワン合板およびフェルトピースは全て異 なった形状をしていますが、ピースに施された 接合点(切り欠き)はすべてグリッドシステム (直交軸)に則って設計されています。そのため、 組み上げられる形態には幾何学的な整合性が担 保されます。↗

i saw a girl with a telescope 私は望遠鏡で少女を見た、もしくは、私は望遠鏡を携えた少女を見た。 * 統語論における例文


事態 2:ヴァーチャルな雑踏 群れ

部分を見ていることになります。鑑賞者は、 それぞれの視点を追体験することによって、

 展示空間内に配された 12 個の測距センサによっ て、展示空間内の鑑賞者や物体のふるまいは常に観 測されています。センシングされたこれらの値は、 スワームとよばれる群れのシミュレーションプログ ラムにおける群れのふるまいを定義する変数に用い られます。つまり、展示空間内での人や物のふるま いが、スワームのふるまいを定義づけることとなり ます。  群れは個々の意識とは関係なく、全体としてふる まいます。前述の 12 個の変数は、その行動原理を

群れの全貌でもなく、どれか単一の視点でもない、全体の様子は想像できるけれども 全体を一望することはできないような形で、状況を把握します。

聞かれた音  スワーム空間内には、複数の音声ファイルが配置されていて、そこへ一定の距離近づ くことによって音源が聞こえるようになっています。モニタ下に設置されたスピーカか らは、A および B によって聞かれた音が再生されています。これらはモニタと同様に、 各々の聴覚を追体験するものです。  音源へより近づけば音量は大きくなり、離れていけば音量は小さくもしくは聞こえな くなります。

定義するものです。

音源 動き

B

距離

超音波測距センサ

1: speed

7: alignment distance

2: turn

8: separation distance

3: force

9: cohesion distance

4: alignment

10: attraction force

5: separation

11: auditory perception range A

6: cohesion

12: auditory perception range B

視線

音源

間視点

A

 群れのうち 2 つの個体 (それぞれ A、B とする) から見た視点がモニタに

A AはBを見ている

映し出されています。A は B を見ていて、B は A を見ています。そのため、 A の視点は B の、B の視

BはAを見ている B

点は A の見えていない↗

i saw a girl with a telescope 私は望遠鏡で少女を見た、もしくは、私は望遠鏡を携えた少女を見た。 * 統語論における例文


事態 3:痕跡として造形する 状況への応答あるいはその痕跡

タイムラグ

 この機械はある瞬間の状況における音を検知し、その結果として発泡スチロール塊を切削

 音声が計測されてから移動が完了するまで 10 秒ほどの間

していきます。状況における様々なふるまいは、一旦音声というフィルターを通して、この

れません。そのため、痕跡として残るのは分節された時間的断面における計測値になります。

機械に認識されます。

時間的な隔たりによって計測値の前後関係は失われ、値の大きさだけが痕跡として記録され

 認識されたデータを元に、機械に取り付けられたはんだごてが移動し、その輻射熱によっ

ていきます。

て発泡スチロールを変形させます。このプロセスは、展示期間中繰り返され、ゆっくりと総 長 4500mmの発泡スチロールを造形していきます。

があり、その間音声は計測さ

計測点 タイムラグ

ステレオマイク

ゲイン

はんだごて 発泡スチロール

変換  ステレオマイクによって検知され た音声は L-ch と R-ch に分けて処 理されます [pic2]。L-ch のゲイン

Lch ゲイン

は X 軸方向の移動量、R-ch のゲイ ンは Z 軸方向の移動量に変換され、

Y 軸方向の移動量

はんだごての軌跡を決定づけます。 移動が完了した後、再度音声を計測 しこのプロセスを繰り返します。

Rch ゲイン

X 軸方向の移動量

i saw a girl with a telescope 私は望遠鏡で少女を見た、もしくは、私は望遠鏡を携えた少女を見た。 * 統語論における例文

i saw a girl with a telescope  
Read more
Read more
Similar to
Popular now
Just for you