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ィックでナイフのようにシャープな暗いモノクロの世 界であることが多い。そのビジョンの体現を紹介する のに重要な役割を果たすのが、フィンランドの二大フ ァッション誌『SSAW』と『 Revs』だ。この二誌は専 らフィンランドのデザインを特集するだけでなく、進 歩的な考え方で、あの荒涼のヘルシンキ美学を世界 に発信している。ちなみに、SSAWはトゥオマス・ライ ティネンが共同創刊者の一人になっている。彼はヘ ルシンキのダークで洗練されたファッションシーン の看板男なのだ。 ヘルシンキのファッション界のもう一つの極め て重要な側面は、もちろん店舗だ。この都市にも 高級ブティックがそれなりにある。My O My や Beam、Nina’s、Helsinki 10 の各店はいずれも、国 際レーベルと比較的規模の小さいインディブランド を販売している。アン・ドゥムルメステール、リック・ オウエンス、ラフ・シモンズが「高級ゴス」の最高峰 だが、全て容易に手に入る。ただ、ライティネンやサ ロネンの次の世代を築く地元の若手クリエイターの

彼の最近のコレクションは、いかにも意外性に欠ける 黒ではなく、青と白のデニムを使用。ほつれ感のある 素材や、オーバーサイズとタイトを対照させたシルエ ットで、寒々とした鋭さと興味深いバランスを同時に 実現した。 「僕がめざすのは、サブカルチャー現象を インスピレーションとしてディテールにこだわった高 級スポーツウェア」だとカウピはいう。 フィンランドのスタイル全般についての彼の解釈 は、身も蓋もないほど正直だ。 「大方は、 『地味で機 能的』と『どうでもいい』の中間の装いです。ただし、 前衛性は強調しすぎると退屈になりかねないと感じ てはいます。」カウピは最後に、まだ日の浅いアンダ ーグラウンドシーンならどこにでも当てはまる警告を くれた。 「調子に乗りすぎると、痛い目にあうことも ある。」とはいえ、ヘルシンキは今のところ上り調子 で、ストリート文化を抜け目なく捉えたクールな魅力 で邁進中だ。 sasukauppi.com、myomy.fi、 hel-looks.com、laitinencollection.com

56: Second Skin 実用からスタイルへ トナカイ革のハンドバッグから明るい色彩の財布ま で、伝統的な素材「革」の斬新な使い方を知るフィン ランドのデザイナーを、カレン・ムニスが発見した。

発掘に本腰を入れている店舗はない。 セントラル・セントマーチンズ出身で同校卒業後 に故郷へ戻って来たカウピのようなデザイナーが、フ ィンランドのストリート文化とファッションの都会的 な解釈を見事に体現している。フィンランドの有名な ブラックメタルのバンドをインスピレーションとした globalblue.com

5月になっても雪が残るフィンランドでは、洋服が実 用第一になるのも無理はない。革は世界のキャット ウォークで四季を通じて好まれる素材だが、この国 では昔からファッション性より機能性で重宝されて きた。ところが今、ヘルシンキのデザイナーたちがス タイリッシュな作品の材料としてこの伝統素材に目を 向けるようになっている。 サンナ・カントラはファッション編集者から転 じてラルフ・ローレンのハンドバッグデザイナーとな り、2000年にブルーノ・ボーグランと共同でヘルシン キを拠点とするバッグブランド「ルミ」を立ち上げた。 ミニマリスト的なハンドバッグを専門とするこのレー ベルは、フィンランド国内に2店舗を構える他、世界 20か国以上に販売網がある。女優のスカーレット・ ヨハンソンもファンの一人だ。 カントラが、ベストセラーとなったスーパーマー ケットバッグの素材として革を使うようになったの は、この素材の自然な不完全さに魅かれてのこと。 「 革の全てが好きなんです。あのしなやかさといい、匂 いといい。革は生きた素材です。革の美しさはその不 完全さにあります。そして、その美しさが使い込むこ とで磨かれ、熟成していきます」というカントラ。 「私 たちがデザインするバッグやアクセサリーは、すっき

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