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木造設計研究 ―計画要素及び問題点における相関と相違― Wooden building research -Correlation among planning and problems-

卒論発表 : 木質ゼミ 2011/11/07 1X08A076-8 進藤 正人 shindo-m@fuji.waseda.jp 080-5676-5972

目次 第 1 章  研究概要

第 5 章  設計事務所調査 - 調査結果(ヒアリング)

1-1 はじめに

5-1 ヒアリング結果

1-2 研究背景

 01 株式会社松田平田設計

 1-2-1 研究背景 - 木質化への追い風

 02 エーシーエ設計

 1-2-2 研究背景 - 木質化への問題

 03 株式会社ニコム

1-3 研究目的

 04 アーキヴィジョン広谷スタジオ

1-4 仮説

 05 H 設計

1-5 論文構成

 06 内藤廣建築設計事務所  07 黒川哲郎+デザインリーグ  08 S 設計  09 隈研吾建築都市設計事務所

第2章  研究方法

 10 山本成一郎設計室  11 香山壽夫建築研究所

2-1 調査内容 2-2 調査対象選定 2-3 調査項目 2-4 事例基本データ 2-5 アンケート調査 ( 建築事例調査 )

第 6 章  分析・考察・結論

2-6 ヒアリング調査 ( 設計事務所調査 )

6-1 結果分析

2-7 考察方法

 6-1-1 木造木質 - 相関図  6-1-2 相関図 - 補強資料 6-2 考察  01.木造実現と施主への配慮について

第 3 章  建築事例調査 - 調査結果(アンケート)

 02.木造設計経験と問題の変化について  03.公共事業と木造建築について

3-1 アンケート結果

 04.民間事業と木造建築について

3-2 アンケート結果 - 設問別回答表

 05.内装木材利用と求める空間性について

3-3 アンケート結果 - 設問別グラフ

 06.防火上の法規が設計意図に与える影響について

3-4 データシート

 07.木材料の種類とその利用方法、目的について  08.設計者の木造建築に対するスタンスについて 6-3 まとめ 6-4 結論

第 4 章  建築事例調査 - 分析 4-1 結果分析  4-1-1 結果分析 - 延床面積別

第 7 章  終章

 4-1-2 結果分析 - 用途別  4-1-3 結果分析 - コスト別

7-1 展望

 4-1-4 結果分析 - 施主別

7-2 参考文献

4-2 小結

7-3 謝辞

※本研究における木造建築は以下の条件全てを満たすものを扱う。 条件1.「新建築」とウェブサイト「木造建築設計情報プラット」に掲載の作品 条件2.個人住宅を除く、混構造を含む木造建築 条件3.2000 年 6 月以降に確認申請が提出された作品 条件4.延床面積が 500 ㎡を超える作品 条件5.所在地が日本国内の作品 条件6.改修、増築、仮設ではない作品


大林組東北支店

木工事

-

敷地面積

2041.9

建築面積

940.6

延床面積

980.9

地上階数

-

地下階数

1

最高高さ

8000

mm

軒高

2000

mm

㎡ ㎡ ㎡

(m3/m2) 木材使用量を延床面積で割った値

1. 木造公共建築の設計経験 ある

1. 木材は流通材か特注品か 柱:/ 梁:特注品

3. 木材産地 柱:/ 梁:アメリカ

2-1.実現できなかった件数 1

4. 木材産地に関する提案 なし

2-2.実現できなかった理由 耐久性の問題

5. 木材の種類 柱:/ 梁:その他 ,LSL

□調査対象建築物の設計に関する質問 1. 木造の提案者 設計者

6. 5の材料を用いた理由 材料寸法、強度、色味

3. 木造・木質化のメリット 構造体がそのまま仕上げ材となった

内壁

外壁

天井 架構

架構露出 外壁

×

×

60%

1. 総工費 4.5 億

 アンケートの回答が得られた 101 件の設計事務所のうち、過去の木造設計経験をもとに、下の6つ のいづれかを満たす事務所 11 件に対し、事務所を直接訪問してのヒアリングを行った。ヒアリング内 容はアンケート分析の結果、対立する意見があったものや、特出していた項目を中心とした。ヒアリ ング時間は 40∼100 分程度。回答者は木造設計経験者1人∼2人。 ◇ヒアリング対象条件

01 株式会社松田平田設計 02 エーシーエ設計 03 株式会社ニコム 04 アーキヴィジョン広谷スタジオ 05 株式会社日比野設計 06 内藤廣建築設計事務所 07 黒川哲郎+デザインリーグ 08 坂倉建築研究所 09 隈研吾建築都市設計事務所 10 山本成一郎設計室 11 香山壽夫建築研究所

1.延床面積 10000 ㎡以上の木造の設計経験がある 2.木造の設計経験の数が多い (15 以上 ) 3.木造の設計経験の数が多く (10 以上 )、そのうち全てが純木造である 4.木造の設計経験の数が多く (10 以上 )、そのうちの半分以上が混構造である 5.アンケート対象に建築事例が 3 つ選ばれている 6.アンケートの設問にて公共建築の木質木造化に対し積極的な態度を示した。

25%

11%

3%

し な

他 の

他 そ

性 音

達 調

問 の

ス コ

他 の

な し

監 理 そ の 他

教 育 く コマ 効 も 果 ー シ 温り ャ か ル み 効 等 果 の 精 調 神 湿 的 等 効 の 果 室 内 環 境 木 効 が 果 つ く る 空 間 性 木 の 香 り

用 利

系列3 延床面積 2000 ㎡∼3000 ㎡

中断面集成材 湾曲集成材 LVL

12% 8% 4%

その他

系列4 延床面積 3000 ㎡∼

規模が大きいほど、地場産材利用をは じめ、木造への目的意識は高い。また アンケート、ヒアリング結果から、ス パンを飛ばす=集成材という傾向が出 た。 コストが上がった事例と下がった事例 での、無垢材、大断面集成材の選択傾 向が似ている。

下がった

−プロセスにおける木造の意義−

公共建築における木質化の意義 21%

建築単体ではなく、プロセスや波及効果を 意義として捉えているが、これらの意義は 施主への直接的なメリットにつながらない。

21%

8%

流通材 32%

30%

8% 8% 8% 7%

4% 3% 3%

0%

66%

50%

6%

5%

73%

33%

13% 13%

10%

柱の木材は流通材か特注品か

特注品

・設計者は木造の意義を施主側のメリッ  トと一致させていく必要。

□結論

20%

公共

民間

−木が適する空間と木の強い表現−

7% 0%

55%

50%

46%

・施主の木造に対する負のイメージと木造の性能との間には相違が存在。 ・運用時の問題でイメージが形成されるため、提案時の問題以上に配慮をする必要。

他 の

の ら

意 見

性 /デ

0%

0% 0% 0% 0% 0% 0%0%

ザ イ ン

工 性 施

料 材

調 達

ト ス

題 問

定 上 の

法 規

規 規

25% 20% 16% 13% 11% 8% 7%

10% 4% 3% 0% 0% 0% 0% 0%0% 0% 0%0% 0%0% 0% 0%

0%

25%

10%11% 11%

0%

0%

13%13% 11%

30%32%

主 か

22%

14% 13% 8%

10%

25% 21%

施主の意見で木造が実現しないことが多く、施主はメンテナンス性 や木の空間性を重要視するという意見がヒアリング結果にあった。 一方で事例の 5 割以上がメンテナンスを必要としている。特に外部 に木を用いた事例は定期的にメンテナンスが必要。

33% 25% 22% 22% 20%

20%

42%

39%

40%

防火上の法規制限は木 質化への障害となって いると同時に、木の表 現は強いので、デザイ ン上の理由で敢えて木 質化しない場合もあ る。またヒアリングに ても、老人や子供の施 設は木質空間が望まし いとされていたが、法 規に阻まれ木質化でき てない場合が多い。

50%

60%

メンテナンスあり

60%

常 通

70%

の そ

/保

ナ ン ス

な 要

ン テ

78%

児童福祉施設 / 病院 / 旅館 / 共同住宅 etc

80%

メンテナンスしていない

内装を木質化していない理由 ( 用途別 )

90%

展望

29%

15%

民間

0%

第7章

変らない

25%

2%

5%

0%

0% 0%

1% 1% 1%

対象 101+11 件

19% 15%

3% 3%

上がった

集成材 大断面集成材

14% 4% 4% 4%

30%

18%

10%

10%

3%

19% 11%12%

20%

上 の

考察 / まとめ

アンケート結果をヒアリング結果で補足するかたちで、計画要素及び問題点における関係性に ついて考察を行う。

18% 14%

35%

31%

30%

12%

11%

3% 0%

35%

35%

33% 31% 25%25%

外国

50%

0%

15%

7% 3%

湿

調

無垢材

40%

60%

40%

20%

14%

14% 10%

5%

50%

国内

内装を木質化していない理由

30%

第6章

公共

70%

05 内装木質化と求める空間性

25%

10%

り 等 も み く か ぬ 温

20%

0%

40%

ーシ

50%

5%

5%

80%

梁の木材料の種類 ( コスト変動別 )

都道府県内

18% 16%

10%

公共

系列2 延床面積 1000 ㎡∼2000 ㎡

7%

市町村内

15%

民間

・ヒアリングは事務所を直接訪問して行う。 ・質問項目は、アンケート調査を分析した結果、対立する意見が確認された項目が中心。

25% 19% 17%

19% 17%

15% 13%

08 設計者の木質化へのスタンス

28%

25%

0%

34%

30%

15%

31%

30%

48%

系列1 延床面積 500 ㎡∼1000 ㎡

36%

36% 31%

20%

29% 19%

50% 44%

35% 24%

防 火 構 上の 造 法 そ 上の 規 の 法 制 他 規 限 の 制 法 限 規 制 コ 限 ス 材 防 料 ト 水 調 耐 上の 達 久 問 性 題 の 問 材 題 料 の 工 バ 期 ラ つ 遮 き 木 音性 の 経 物性 施 験不 主 足 の 意 施 見 工 そ 性 の 他 な し

101 事例の設計事務所のうち、木造設計経験が多い 11 件に対しヒアリング調査を行う。

29%

31%

30%

0%

対象 11 件

40%

42% 35%

60%

40%

20%

ヒアリング調査(設計事務所調査)

50%

メンテナンスについて

34%

25%

第5章

55%

60%

−木造のメリットの一致とイメージについて−

35%

アンケート回答を得た 101 事例に対して一度分析を行い。ヒアリング時の質問項目を決定。

35%

58% 56%

33%

・無垢材と大断面集成材は使い方次第でコストアップにもダウンにもなる。 ・無垢材を組むことで大空間を作る可能性を念頭に置くべき。

・促進法の地場産材利用の目標と施主の木造へ期待との間に相違が存在。 ・設計者は流通材に乗っている材で効率的に木造を設計していく必要。

・回答方法は FAX とメールでの回答の 2 種類を用意。 ・電話にて設計担当者とコンタクトを取り、回答者が希望する方法でアンケートを行う。

10%

柱の木材産地

40%

69%

70%

28%

10%

40% 38%38%

対象 101 件

79%

80%

民間建築は地場産材利用を目標とせずに、内部空間を重 視しており、実際にも地場産材ではなく、流通に乗って いる外国材や、主流の国産材を使用している。

木造が実現しなかった原因

研究対象の建築事例 161 件の設計担当者に対してアンケートを行い、101 件から回答を得た。

アンケート分析

木造の目的

22% 20% 19% 14%

57%

60%

20%

−木造の内部空間とコスト低減への期待−

0%

01 木造実現と施主

0%

10%

□考察

第4章

0%

・行政の知識が不足している場合にコストや工期を中心に問題が発生。 ・地場産材を使う場合、設計者は早めに行政と打合せを行う必要。

90%

47% 28% 22% 20% 17%

0%

30%

20%

木造の問題は項目間の相違であることが見えてきたため、対立する意見のある8項目を考察とした。

対象 101 件

0%

30%

◇ヒアリング対象一覧

公共建築では、民間建築と比較して、「コ スト」「材料調達」「耐久性」「工期」「材料 のバラつき」が2倍以上問題となっている。 ヒアリングでは、「公共事業の場合、工期 やコストなど全てが年度ごとに決まってい るため、やりづらいが、木造への理解があ る施主の場合は材料の調達などが楽」とい う意見があった。

20%

04 民間と木造

第 6 章 分析・考察・結論

アンケート調査(建築事例調査)

6%

0%

−明確な木造目的と無垢材利用−

59% 58% 56% 53%

28% 27% 22% 22% 17% 9%7%11%

20%

10%

 アンケートの回答が得られた 101 件 の表や図といった、数値としての結果を 補強 数値としての結果 個別事例の回答文 個別事例の回答文で補強するかたちで分 図やグラフ 析を行う。また、全体での分析に加え、 事例を「延床面積別」「用途別」「コスト 変動別」「施主別」の 4 つのパターンに分け、集計、分析、比較も行う。自由記述で回答する設問に関 しては、回答に含まれるキーワードを分類して集計を行う。  この分析結果をもとに、ヒアリングの質問内容を決める。

28% 28%

30%

16% 16% 13% 12% 10% 9% 8% 9% 8% 9% 8% 7% 7% 7% 7% 6% 4% 4% 4% 4% 4%

15%

13. 木材使用量 (m3) 20

条件1.個人住宅を除く、混構造を含む木造建築 条件2.2000 年 6 月以降に確認申請が提出された作品 条件3.延床面積が 500 ㎡を超える作品 条件4.所在地が日本国内の作品 条件5.改修、増築、仮設ではない作品

20%

12. 防火上の地域区分 22 条区域

24% 22%

22%

2. 今後の公共建築の木造・木質化について ヨーロッパでは木造の高層アパートなどもできているの で、木造で大半の建物は技術的に実現可能だと思うが、防 火制限などの法規制が変わらないと公共建築の木質化は推 進できないと思う。

11. 建物の防火上の分類 その他

33%

10%

30%

・混構造によって、コスト、部材断面を適切なも  のにすることができる。 ・ルート C の制度は木造設計経験者にとっても未  だハードルが高い。

67% 66% 58% 56%

61% 60%

56%

40%

民間

10. 一番クリアが難しかった問題の解決方法 材料実験、接合部実験や実大実験を行い、強度を確認した。

67%

70%

40%

□木造・木質公共建築の意識に関する質問 1. 公共建築物の木質化の意義 CO2 削減よりも、木の持つ雰囲気は施設の開放性につな がるのではないかと思う

9. 一番クリアが難しかった問題 構造上の問題

85. 高齢者専用賃貸住 87. 高知駅 宅うきうき館 大臣認定工法。一時 ルート C 間耐火。

木造の目的

89%

80%

公共

木造建築設計プラットに掲載の事例

100%

43%

4. 業社選定への意見 なし

構造:材料実験、接合部実験や実大実験を行い、強度を確認した。

8. 法規制限により実現できなかった設計内容 なし

63. やよいのもり

50%

7. 法規制限のクリア手法 防火:なし

61.M クリニック

メンブレン型耐火構 大臣認定工法。一時 造 間耐火。

07 木材の種類と適材適所の選択

47%

50%

3. 施工 ( 木工事 ) に地元業社の使用 採用してない

体育館で天井高が必要であったが、周囲は住宅街であったため半地下にし、 屋根だけが地上に出るようにし周辺にあったボリュームとした。

76. 姶良総合運動公園 77. 愛媛県武道館 体育館 ルート C ルート C

60%

2. 木造での総工費の変化 下がった

6. 設計意図

67. 水の町屋 七日町 72. 木材会館 御殿堰 ルート C ルート C

耐火被覆等では構造体=仕上材となる木の 空間が実現できず、木造のコストメリット が生かせない上に、木造であることが認識 できない。一方ルート C を用いるとそのよ うな建築基準法の制限から外れられる。

クリアが難しかった問題

5. メンテナンス状況 外部に露出していないので、特にしていない

構 造

新建築に掲載の事例

認定の種類

−行政の知識の差と単年度発注−

57%

◇研究対象事例の所在地

制限 なし 51%

制限 なし 29%

23. 特別養護老人ホー 37. 所沢市民体育館 ム夢 大臣認定工法。一時 ルート C 間耐火。

90%

□調査対象建築物のコスト / 施工者に関する質問

「新建築」と木を活かす建築推進協議会が運営するウェブサイト「木造建築設計情報プラット」 から、以下の 5 つの条件全てに当てはまる 161 事例を研究対象とした。

経験によって、発生する問題 が減っている。特に法規に阻 まれた設計内容の減少は顕著。 問題の多くは、打合せ等、ソ フトの部分で解決している。

制限 あり 28%

施工:材料の認定されている使い方と違ったため、接合部実験や実大実験を 行い、大臣認定を取得する必要があった 運用:-

対象 161 件

無回 答 21%

制限 あり 42%

4. 一 戸 町 コ ミ ュ ニ 6. 浦佐認定こども園 ティセンター ルート B 大臣認定工法。一時 間耐火。

写真

事例名 無回 答 29%

03 公共と木造

研究方法 / 文献資料調査

問題 なし 38%

1-1.全てを木質化していない理由 コスト

4. 木造・木質化によって生じた問題

第 5 章 設計事務所調査 - 調査結果 ( ヒアリング )

第2章 研究方法

問題 なし 43%

事例名 認定の種類

術 / 雰 産業 囲 気 活 育 /温 用 施 設 かさ /こ 精 ど 神 も 的 効 環 資源 果 境 効 活用 環 果(c 境 o 効 2) 果 (緑 周 文化 ) 辺 調 継承 和 /景 持 観 続 可 能

1. 木質化部位 床 ○

1%

・設計経験や技術と、木造空間による表現の可能性との間に相違がある。 ・法規そのものに問題はなく、打合せや等によって経験の差をカバーできる。

□調査対象建築物の木質化に関する質問

2, 木造の目的 精神的効果 , 空間的効果

第4章 建築事例調査 - 分析

無回 問題 答 あり 26% 36%

問題 あり 43%

2. 樹種 柱:/ 梁:ポプラ

2. 木造公共建築を実現できなかった件数 ある

5%

200208

4%

200109

竣工年数

5%

S,W

着工年数

4%

構造体

4%

P 空 R 間 い 性 可 能 性 そ の 他

坂茂建築設計

施工者

□調査対象建築物の構造部材に関する質問

1-2.それぞれの構造形式 梁 2, 平面混構造 1

3.竣工後の成果 / 問題について

5%

9%

8%

医療法人和成会

設計者

□木造公共建築の設計経験に関する質問

1-1.木造公共建築の設計件数 3

2.問題の解決方法について

10%

体育館 , プール

発注者

設計内容

 複数の木造設計経験者に対しアンケート・ヒアリングを行い、様々な木造の問題点に ついて調査・整理することで、木造木質空間の手法やメリットを明らかにすることがで きるのではないか。  また、木造をめぐる問題は多岐に渡るが、問題にはヒエラルキーがあり、因果関係の 元を辿るとコスト・防火上の法規制限に集約されるのではないか。

秋田県大館市

建物用途

無回 答 14%

法規に阻まれた

□仮説

Plywood Structure-04 今井篤記念体育館

建物所在

木材使用量 0.0204

5.建築物、設計事務所のデータについて

 木造の問題に対する解決手法は設計者によって様々であり、体系化されていない。設 計者は何を問題と感じ、どのような手法を用いて解決し、設計を進めているのか、それ らの関係性を整理し、空間性の選択肢としての木造を評価することを目標とする。

作品名称

主なスパン 27386 × 20580

4.設計意図 / 木造への態度について

□研究目的

003 101 3

番号

1.発生した問題について

9%

コ ス ト 見 直 し /計 算 実 験 /測 定 流 通 特 産 材 殊 地 な 変 技 更 話 術 合 /開 い /打 発 合 せ 準耐 /理 火 解 /説 得 シ ス テ 協力 ム づ く り

003 Plywood Structure 04- 今井篤記念体育館

アンケート項目は以下の 5 つの項目に大別できる

写真

15%

問題 あり 54%

−部材断面の増加と耐火被覆−

19%

20%

問題 なし 34%

問題 あり 67%

0%

データシート 一例

 161 事例中 101 事例 ( 設計事務所の件数は 82 件 ) からアンケートの回答を得た。  この章ではアンケート結果を元に表、グラフを作成 する。また事例ごとの比較のためにデータシートの作 成も行う。  アンケート内容は設計全体に対して満遍なく設定を し、どのような問題が起き、どのような手法を用いて 解決したのかを俯瞰できるように調査した。

25%

5%

運用時問題

 公共建築物等における木材の大量使用は、森林整備、地元産業への経済波及、CO2 の ストックや、教育効果、精神効果などといった、林業・環境問題に対して様々な利点が 存在する。現在は木造・木質による耐震・耐火技術向上や、性能規定の導入、公共建築 物木材利用促進法の制定により、木材を積極的に使っていく体制が整備され始め、木造 建築に対して追い風が吹いていると言える。  一方で、公共建築物の木造化を阻む問題は依然として存在しており、建築基準法や、 コスト、流通システムの未整備や、木造の安全性 / 耐久性 / 管理等が問題として上げら れる。   公共建築物木材利用促進法には具体的な手法については記述されておらず、このよう な対立項目もあり、大中規模建築では設計手法が確立していない。中には木造に対して 誤解を抱だき、木造の特性や可能性を十分に理解しきれていない設計者も存在する。そ のような設計者の間では木造が空間性の選択肢にもあがらない状態にあることもある。  設計者は「木材利用の促進 / 利点」と「木材利用の障害 / 問題」の相違の中で設計を 行い、発生する木造・木質化への問題を自らの設計手法によって解決していかなければ ならない現状である。

第3章

問題 なし 21%

第3章 建築事例調査 - 調査結果 ( アンケート )

□研究背景

第2章

無回 答 12%

06 防火上の法規と設計意図 耐火建築物一覧

31%

30%

火 構 上の 造 法 上 規 の 規 防 法規 定 水 規 上 定 の 問 耐 題 久 コ 性 材 スト 料 調 達 空 間 工 性 期 /デ 施 ザ 工性 イ 施 経 ン 主 験 上 か 不 ら 足 の 意 そ 見 の 他

第1章 研究概要

問題への解決手法

35%

無回 答 12%

Wooden building research -Correlation among planning and problems-

−法規制限のソフト的解決による木造実現−

経験あり

経験なし

木造設計研究 ―計画要素及び問題点における相関と相違―

02 木造設計経験と問題数の減少 施工時問題

卒論発表 : 木質ゼミ 2011/11/07 1X08A076-8 進藤 正人 shindo-m@fuji.waseda.jp 080-5676-5972

・老人や児童の施設は法規制限が難しく、施主の要求と法規の間に相違が存在。 ・無理に木材を使わず、設計意図によっては木の使用量を抑える必要。

 問題の元を辿ると、コストは法規制限に行き着くが、木造を実現する際に根本的に問 題になっているのは、建築基準法や木材の性質そのものではなく、様々な項目間の相違 である。 明らかになった相違  研究の成果として計画 要素及び問題点における ・「建築基準法」と「公共建築木材利用促進法」との相違 相関図を作成することが ・「実際の木造の性能」と「施主の木造へのイメージ」との相違 ・「木造表現の可能性」と「設計 / 施工者の経験」との相違 できた。設計者はこの相 ・「地場産材利用の目標」と「行政の木造への知識 / 制度」との相違 関図の要素のうち、どれ ・「木材利用の効果」と「施主が得るメリット」との相違 かを取捨選択にすること ・「求める木の空間」と「法規制限」との相違 で、その要素周辺の問題 を解決し、木造を成立さ せていることが図式的に確認でき、様々な問題がネットワーク状に絡まっていた。しか し逆に言えば、木造を阻む絶対的な問題は存在していないため、設計者は木造の可能性 を考えていく価値がある。

第7章 終章 □展望

施主

施主の意見

公共事業

民間事業

法規制限 健康

流通

木造イメージ

メンテナンス

検証法

 作成した相関図が木造設計時における一種の 設計ツールとしての役割を果たし、木造を選択 肢として捉え直すことに寄与できることを期待 する。  またこの相関図によって、木造建築における 設計手法の選択肢が図式化された。設計者はこ れらの要素同士の関係性の中で、設計意図や問 題点に対する適切な解決手法を、俯瞰的に選択 することができるようになるのではないか。同 時にこの相関図を用いることによって、実際に 建築がどのような項目間の取捨選択によって成 り立っているのかを図式的に追うことができる。

工期 内装制限

材料調達

地場産材利用

コスト

各種法規

建物用途

乾燥

集成材

PR 効果

外部木材

混構造

割れ

強度 建物規模

大断面

経年劣化 遮音 / 音響

求める内部空間

施工者の経験不足 設計者の経験不足

建築空間 設計

施工

075 真下慶治記念美術館における設計手法

木の物性


木造建築 - 計画要素及び問題点における相関図

施主 コスト至上主義の部分がある

D-2-3,D-3-1,D-3-2,03 ヒアリング コストと内部空間が重要であり、 他の項目の重要度は低い

D-2-3,D-4-1-1

06,09

施主の意見

表面的に木造を要求しているだけで、 木造 / 木材についての知識不足の施主が多い

民間事業 コストと意見のバランス

02

法規制限

公共事業 2-3,03.06

021,053,070,11

090,091,01,04,05,06,10,11

木の空間は健康に良い

健康

木造イメージ

資料 2,2-2,6-1

木の空間は健康に良い

流通

年度ごとに予算を割く必要

木に対する誤解、関心

メンテナンス

2-4,080,02,06,

メンテナンスによってイメージが形成 汚れ、カビ等への心配

自明 ,D-2-4

単年度発注、スケジュールが決まっている 地場産材利用に伴う、乾燥、流通期間の知識不足

自明

検証法

04,06,09,10,11

単年度発注、予算で決まっている

01,06,09,10,11 検証 / 実験に時間がかかる

037,101,08,

木造では不安になる規模が存在する

D-2-2,04,06,07,09,10

01,03,05,10

地場産材の利用を求められる

検証に費用がかかる 検証を自費で行う

023,045

確認申請に時間がかかる

内装制限

076,07

工期

03,10,11

接着剤が健康に悪い

2-3,078,02,05,06,07,09,11 プラスイメージ、知識

D-4-1,D-4-1-1

地場産材を十分に活用できない

06

2-3,072,02,04,07,09,10,11

2-3,003,047,04,06,10

検証法は基準法から外れられるので、求めた空間を実現できる

構造体=仕上材のメリットが使えない 不燃材料などは高価

地場産材利用の施主の利益のギャップ

維持管理費

施工者の技術によっては時間がかかる

純木造が一番工期が短い 他業種が関わる 確認申請に時間がかかる

D-2-2,03,04,10

自明 ,06

リンク

018

036,03,04,10

周辺への波及効果、PR を目標としている

自明 ,06 調達に遅れると工期に影響

材料調達 06,07,10

2-8,4-1-1,027,01,

02,07,10,11

各種法規

006,013,029,033,039,

割れを嫌がる人が多い

PR 効果はそのままイメージを形成

手続きが複雑なため手が出しづらい 技術者とのコネが大事になってくる

流通経路の未整備 材の確保

資料 1

雨や紫外線による変化

コスト

01,02,06,10

法規を満たすためにコストがかかる

04,

乾燥と場所の確保の費用

B-2-9,043,064,065,

007,02,06,07,11

2-3,005,01,02,10

適切に使うことでコスト削減 重要増加で、基礎にコスト

乾燥場所と時間の確保、管理

地場産材では強度が足りないことがある

乾燥 ソフト面の項目

材積、強度が足りない

PR 効果

集成材

01,04,06,09,10

036,02,10,

規模が大きい場合システム化の必要性

混構造は確認申請が複雑 法規制限によって純木造が 成り立たない場合がある

2-4,017,024,07

2-4,2-5

十分に乾燥させないと割れが生じる 乾燥させても割れを必ずしも防げるわけではない

塗装や取り替え等

013,014,038,045,070,081 015,017,066,070,097

2-7,071

外部から木部が見えることでの PR

混構造

二次集計 1 4

材積が足りない

木造特有の法規問題を解決するには ある程度の経験が必要 経験により問題数減少

単調なテクスチャ スパンの確保

01,07,09,

経験が少ないと採用されない、地元技術の衰退

051,02,10

紫外線などによる接着材の劣化

割れ

09,10,11

面積確保に無垢材は難しい

規模によっては純木造では成り立たない

D-2-1,092,07

3-6,09,11

3-6,040,054,08,09,10

自明

大断面材は高い

2-7,013,021,028,052,09

01,09,10

建物規模

自明

大断面

現行制度の項目

経年劣化

施主の要求項目

022,072,076,10 変色、変形など

太い柱と梁の表現

経験が少ないと問題が発生する

040,041,055,093,02,10

求める内部空間

木以外の材料の使用

遮音 / 音響

2-4,5-4,05,07,SE 工法 ,KSE 工法

項目同士の関係性、

施工者の技術力によって空間の質が変わる。

2-10

設計

建築空間

矢印は関係性の方向

木の物性

二次集計 1 経験が少ないと材料のバラつきや施工性に問題が発生する

原因、理由を表す。

施工者の経験不足

技術者がいない。特殊工法

打合せ、情報共有で差を埋める

設計者の経験不足

設計手法の項目

大断面により強度が上がる

4-1-1

コストと表現のバランス

092, 二次集計 2

07

強度

業社の技術が足りないこともある

05,11

規模の大きいものは手が出しづらい

絶対的な問題項目

地元業社を要望するが、

2-7,2-8,4-1-1,031,02,07,11

法規のよる制限 ( 区画 / 隔壁 / 別棟など ) 現代建築の空間性に合わなくなっている

6-1,01,03,04,07,10

資料 3 ヤング係数が高いほど割れやすい ( 表面割れなど )

D-2-3,04,07,10

法規を満たすために断面積が必要になる場合がある ( 強度 / 燃え代 )

木のプロポーションがよくなる

ハード面の項目

バラつきの安定

法規で強度を要求される

外部木材

用途によっては手が出しづらい ( 公会堂や集会所 )

参考資料の番号を表す。

031,076,11

B-2-2,B-2-3,072,04

B-1-1,04

数字が二桁のもの 対応するヒアリング事務所番号を表す。

ex. 資料 1

031,076,11

037,073,094,01,06,

高価だが大量生産で安くなる

店舗や事務所などは PR 効果を期待

・ヒアリング結果から

・別の資料から

他業種が絡むことでコスト増加

建物用途

数字が三桁のもの 対応する事例番号を表す。

021,048,04,06,07,10

集成材に向かない木がある 地元に集成材工場がない

用途によっては法規制限が厳しい ( 老人児童施設など )

・個別のアンケート結果から ex.007 096

ex.07 11

地場産材利用

096,05,06,10,11

流通に乗っていない

数字がハイフンで繋がっているもの 対応する設問番号を表す。

乾燥に時間がかかる

2-4,005,048,070,075,02,04,06,10

2-5

内部の木の表現が阻まれる

・アンケートの集計結果から ex.2-2 4-1-1

始点は終点の要素を

施工

含んでいる。終点は 始点の一部である。

木造設計研究 ―計画要素及び問題点における相関と相違―  

木造の問題に対する解決手法は設計者によって様々であり、体系化されていない。設計者は何を問題と感じ、どのような手法を用いて解決し、設計を進めているのか、それらの関係性を整理し、空間性の選択肢としての木造を評価することを目標とする。

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