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オーベルジュ雲 南   ワークショップ

auberge unnan workshop

早稲 田大学 古谷誠章研究室


Auberge unnan

contents

01 03

はじめに

04

雲南市の紹介

05

雲南プロジェクト概要

06

オーベルジュ雲南改修計画 紹介              平面図/設計主旨

Prior

workshop 09.01.02 11

First workshop

09

湯村地区の将来を考えるワークショップ

09.06.28 15

13

着工前ワークショップ

Second workshop 『中山間地域で建築ができること。』 09.08.12

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企画概要/スケジュール

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作業場所/入間小学校

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参加者紹介

22

開会式

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01和紙すきワークショップ 入間小学校

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01和紙すきワークショップ 井谷伸次氏工房

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02建具ワークショップ 企画説明

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02建具ワークショップ Ateam

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02建具ワークショップ Bteam

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02建具ワークショップ Cteam

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03照明ワークショップ 様子/完成写真

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03照明ワークショップ エスキス/明るさ調整

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04レクチャー・座談会 山代悟

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04レクチャー・座談会 龜谷清

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04レクチャー・座談会 江角俊則

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04レクチャー・座談会 高増佳子

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04レクチャー・座談会 古谷誠章/雲南プロジェクト

55

04座談会

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アンケート

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しおり

Third workshop『雲南とつくるレストラン。』 09.12.12

12.13

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企画概要/スケジュール

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参加者紹介

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01照明シェードワークショップ

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02吹き抜け照明ワークショップ

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03座敷照明ワークショップ

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ワークショップ前後

Openning party『はじめまして。オーベルジュ雲南。』 10.04.02

Last

08.15

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81

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企画概要/スケジュール

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広告ハガキ

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早稲田大学古谷研究室から雲南へ向けて/編集後記 模型写真提供:丸山 傑 『ゆるやかな共同体の風景』2008年度修士計画

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オーベルジュ雲南ワークショップ contents


雲南市 紹介

雲南市は島根県の東部に位置し、大東町・加茂町・木次町・三 刀屋町・吉田村・掛合町の6町村が合併して平成16年11月1日

出雲大社

に誕生しました。雲南市の総人口は44,403人(平成17年国

雲南市

勢調査より)。 日本全国の中山間地域と同様、近年人口の減少 傾向が強まっています。雲南市では美しい農山村の風景・多様

島根県

な歴史遺産・新鮮で安全な食と農・世代がふれあう家族の暮ら し・笑顔あふれる地域の絆という 「ふるさとの五つの恵み」 を活

広島県

山口県

かした地域ブランドづくりが産業振興、人口増加、財政再建等 々の諸課題解決への道しるべになると考え、平成17年度より ブランド化プロジェクトを推進しています。

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(引用元:雲南市HP )

雲南市広域地図

旧加茂町 斐伊川

旧大東町 木次公民館

旧三刀屋町

夏 WS

シンボル農園「食の杜」

旧木次町

クラシック島根CC

湯村温泉

参加学生 宿泊場所・作業場所 龍頭が滝

旧掛合町 入間公民館

菅谷たたら 田辺家土蔵群

鉄の歴史博物館

オーベルジュ雲南 計画地

旧吉田町

旧入間小学校 吉田小学校民谷分校

雲南 MAP N

0

4

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雲南プロジェクト Unnnan

2.5

5

10

Km


雲南プロジェクト 概要 雲南の名所

雲南プロジェクト  島根県雲南市は平成16年11月に6町村が市町村合併し、東京23区と同規模の土地を持ちながらも 人口5万人程度にとどまる少子高齢化を向かえている典型的な中山間地域です。合併に際して一つの自 治体として一体感を高めてゆく機運が高まり、市としての魅力の底上げを図るためのブランディングプロ ジェクト※1が発足されました。早稲田大学古谷誠章研究室は建築的な側面からブランディングをバック アップするという形でプロジェクトへの参画が2007年度に決定し現在は3年目を向かえています。地域 へ滞在しながらの様々なフィールドワークや共同イベント企画、建築設計等の活動を通して 「中山間地 域でできること」の可能性を広げるための活動を幅広く展開しています。

龍頭ヶ滝

龍頭ヶ滝は中国地方で唯一の名瀑といわれ 、 日本の滝百選にも選定されています。滝の 裏側は「裏見の滝」 と呼ばれ百畳敷きの岩窟 があり、 自然の作り出す珍しい造形が見られ ます。

斐伊川

この川が八岐大蛇(やまたのおろち)伝説の 元になったという説もあります。

□全国都市再生モデル調査事業/雲南さくらまつり 2007.08∼2010.04         島根県雲南市と早稲田大学古谷研究室との関わりは、平成19年度内閣官房より共         同受託した 「全国都市再生モデル調査事業」の実施に端を発しています。        平成19年8月5日から20日にかけてのおよそ2週間、古谷研究室の学生20名が雲南         市に滞在し、地域の様々な方々の協力を得ながら、市内の遊休化している公共施設や        商店街等合計121箇所の現地調査、および地域住民との協議会に参加するなどのフィ ールドワークを行ってきました。地方中山間地域の公共施設が慢性的に疲弊・低迷してゆく課題を把握 すると同時に、地方都市に対しある一つの建築的指針を導きだすことを目的としました。  その建築的指針の一つである 「市全体でのイベント共有」 という提案は、市町村合併を機として共有さ れる財産を効果的に発揮できる場としてのイベントが必要であるという考えがベースとなっており、慢性 的に人口流出してゆく中で、人を隅々まで対流させるペースメーカーのような役割を期待したものです。 雲南市には元来、全国的にも有名なさくらまつりが毎年催されており、春先には桜並木の土手には多くの 人で賑わいますが、近接する商店街は依然として閑散としていました。私たちは商店街 の空き店舗を利用した仮設的な建築空間と豊な食文化をつなぐロングテーブルを企画 し、商店街を一時的にではありますが、活性化させることに成功しました。今年度は三度 目となるさくらまつりを向かえ、雲南市の方々の手による持続可能なイベントとしてゆく ことを目指しました。

□多根小学校オーベルジュ改修プロジェクト 2007.08∼

菅谷たたら

島根県奥出雲地方は、古来、玉ハガネを生産 する 「たたら操業」がさかんに行なわれていま した。西洋から日本に近代製鉄技術が導入さ れるまでの間、およそ500年間は、 日本にお ける和鉄生産地の中心でした。

旧入間小学校

明治7年創立の小学校で、平成19年度をもっ て統合のために閉校しました。 ワークショップ の作業場所および学生の宿泊場所としてお 借りし、また2010年現在 地域の交流施設 と して改修するため、古谷研究室で基本設計を 行いました。

        多根小学校は雲南市旧掛合町の北端に位置する多根地区という場所にある木造2        階建ての小学校で、川や山に囲まれた豊な環境を持つ小学校です。 この小学校も人口        減少の影響を受け、平成19年度に惜しまれながら閉校しました。        2007年夏期に実施した都市再生モデル調査で示した一つの建築的指針「廃校の用途        転用」は、少子高齢化が進行する中山間地域の生活基盤となる地域コミュニティの存続 の是非が問われることにおいて非常に大きな意味合いを持っています。私たちは多根小学校を、地元の 郷土料理が振る舞われるレストラン兼その場に宿泊ができるオーベルジュとして転用させる計画を考え 、里帰りした人を受け入れる際の受け皿として、 あるいは田舎を体験するグリーンツーリズムの受け皿と して、建築が人を対流させる潤滑油のような役割を期待し、ゆるやかに地域社会が存続してゆけるため の建築装置として進行させている計画です。 関連プロジェクト 月影小学校再生プロジェクト※2

□オーベルジュ雲南プロジェクト 2008.08∼  本計画の改修の対象となる築100年の古民家は、雲南市木次町市街地より車で20分程離れた場所の 吉田町にほど近い湯村地区という場所に位置します。湯村地区は広島と松江を繋ぐ幹線道路国道314 線上に位置しており、出雲風土記の時代より湯治ができる温泉宿場として栄えてきましたが、モータリゼ ーションの発達により次第に温泉宿場としての活気は失われてきました。現在は温泉宿の数は減り、古民 家に近接する湯乃上館は残っている貴重な温泉宿として、現在では全国的に有名な鄙びた温泉宿として の顔を持つと同時に地域のコミュニティの場としても重要な役割を持ち続けています。 しかし、周辺には 食事処も少なく、その効果に見合う施設を整備するために、近接する古民家を地域の郷土料理が振る舞 われるレストランに改修しようという計画が持ち上がりました。地域の方が利用する際に必要となるロー カリティと、市外から訪れる観光客が利用する際に必要となるグローバリティを兼ねそろ えた設計を目指し、効果的に人を対流させるための装置として完成を目指しています。今 年度は古民家を舞台に段階的にワークショップを行い、地域住民や運営者、大学生など 広く人を巻き込んでゆき、 オープン後の利用を活性化させる試みを行っています。  (文責=墓田) ※ 1 雲南ブランディングプロジェクト公式HP→http://www.co-unnan.jp/                                ※ 2 新潟県上越市浦川原区の閉校した月影小学校を、法政大学/日本女子大学/横浜国立大学/早稲田大学の4大学共同で体験交流    宿泊施設として改修した計画。

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雲南プロジェクト Unnan project


オーベルジュ雲南 紹介

水害から守るための石垣の上に木造二階建ての古民家がたたずむ

1階の食堂となる予定の部屋。開放的な雰囲気を持つ。

「山間の川のほとりにある小さな古民家」

温 泉 宿「 湯 之 上 館 」

斐伊川

計画予定地

 計画予定地となる湯村地区は、木次町の中心市街地と広島を結ぶ国道314号 線の途中にあり、古くは峠の温泉宿地として栄えていました。木次の中心市街地 から10km離れた山間にあり、山と斐伊川に挟まれた谷地に位置しています。斐 伊川のほとりに数戸の家が軒を連ねる中に計画予定地となる築100年の古民 家があります。気候の特徴として、夏場は日差しが強い一方で、山側から吹き下 ろす谷風で夏場は涼しく快適に過ごすことができ、冬場は積雪もあり冷え込みま す。斐伊川のほとりから湧き出る湯村温泉には湯治の効果があり、温泉宿 湯之 上館 を目的とした多くの人が県内外から訪れます。

元湯

国 民 宿 舎「 清 嵐 荘 」

国道 314 号

配置図

2階の宿泊部屋となる予定の部屋。右の連窓からは川が望める

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雲南プロジェクト design


オーベルジュ雲南 設計主旨

「人と食が出会うレストラン」

リネン室 宿泊室1

「 古さ と 新しさ が融合する宿泊空間」

 100年以上に渡って家屋を支え続けてきた小 屋組などは、伝統的要素として残し、壁などは白 い壁を用いることで古さと新しさが融合する落 ち着きのある宿泊空間を目指します。

宿泊室2

吹き抜け

二 階平面図 紫陽花

ナンテン

「人と人をつなぐ縁側空間」

 レストランの内側に向けられた縁側は、近くに 住んでいる人のだんらんの場所となります。 レス トランに遠方から訪れた人にとっては食を堪能 しながら雲南の魅力を伝え聞く格好の場所にな ります。

ヒバ

駐車場 厨房 管理人室

カウンター席

座敷席

「人の顔が見渡せる開放的な食堂空間」

 玄関を入ると奥まで見渡せる開放的な食堂空 間が広がります。土間に配置されたテーブルは 分節されているため、状況に応じた自由なレイア ウトが可能で、宴会などの席も設けることも可能 です。

土間席

テラス席

キンモクセイ

「風と川を感じる気持ちのよいテラス空間」

一 階平面図 0

1

2

 川に面したガラス戸は全面開放することが できます。夏場の暑い日には全てのガラス戸を 開け放つことで、涼しい谷風が山側から川側へ と流れ、風と川を感じる気持ちのよいテラス空 間になります。

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雲南プロジェクト design


企画内容

2009.01.02(金) 13:00∼  漆仁の里交流館

オーベルジュ雲南の計画にあたって、集落住民の地域計画への希望を把握す る為に行われたワークショップ。周辺のまちの楽しみ方を探り、マップを作成 しました。 これは、古谷研究室丸山傑の修士計画調査の一環として行われま した。

事前ワークショップ

テーマ: 「まちの使い方を発見する。 まちを楽しむ。」

スライドで古谷研究室が取り組んで きた活動の紹介 1)ワークショップの事例(アンパン マンミュージアム・中里) 2)建築の転用再生・まちの利活用 の事例(月影小学校・さくらまつり)

集落住民の地域計画への潜在的希望を把握するために、参加に応じて頂い た15名の地域住民とのワークショップを行った。 漆仁地区のみちや建物などの新しい使い方や楽しみ方を一緒に考える。 そ れを通して、参加者全員が地区の今後を考えるきっかけをつくる。

目的 地域に住んでいる方、地域の出身で帰省している方を対象に今後の地域づ くりを一緒に考える。地域住民自身の地域計画への潜在的希望を知る。 この 機会を通して住んでいる地域への関心を高める一助とする。

 具体的に漆仁地区の中の3つの 敷地ごとにチーム (5∼7人)に分か れ、それぞれのチームには一人ずつ 進行役(早稲田)がついた。敷地見 学を通して、チームごとにその敷地 の問題点や魅力を話し合った。大き な地図に付箋と写真を貼付けてい った。チームごとにその敷地の新し い使い方を発見し、その場所を楽し む提案を考えた。チームごとに提案 を模造紙1枚にまとめた。

成果 ・ローカルな連携への関心の高まり ワークショップを通して、地域住民と共同でいくつかの提案を考えた。 これら に共通するのは、集落単体だけのことを考���るのではなく、その集落を取り 巻く自然環境や近隣集落に目を向けて地域計画を考えようとしているという 点である。

提案 ・温泉を観光資源として活かし、それ以外の地域資源と組み合わせることで その魅力をさらに高める提案。 ・川を子供の遊び場にする提案。 ・河原や竹林を遊歩道として整備し、地域の回遊散策路やサイクリングコー スをつくる提案。 ・川を挟んだ海谷集落の耕作放棄地を市民農園化し日本版ダーチャをつく る提案。

 チームごとに全員の前で成果を 発表し、全員で共有し、その後で早 稲田が考えた農家レストランの案を プレゼンテーションを行った。全て の案を張り出し、 自由に意見交換を した。終了後、可能な場合は農家レ ストランの敷地見学。

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湯村地区の将来を考えるWS prior workshop


first workshop 09.06.28 着工前 ワークショップ


2nd design workshop 09.08.12-08.15 『中山間地域で建築ができること。 』 現場スタディ ワークショップ


写真提供 : 丸山傑 『ゆるやかな共同体の風景』2008年度修士計画


2009.08.12(水)∼08.15(土)

企画内容

スケジュール

地方地域と、建築の関わり方を考えるため、4つの企画構成から成るワークシ ョップを行います。地元の、高校生や大学生と一緒に3泊4日寝食を共にしな がら、建築家の方々との座談会や、 オーベルジュで使用する和紙や照明つくり を行いました。

企画 1 『中山間地域で、建築ができること。 』( 講師の方によるレクチャーと、地元住民や参加者との座談会 ) 企画 2 『和紙すきデザイン ワークショップ』( 斐伊川和紙職人 井谷伸仁氏による和紙すき指導 ) 企画 3 『現場建具デザイン ワークショップ』 企画 4 『照明デザイン ワークショップ』

和 紙 す き

和 紙 す き

雲 南 め ぐ り

レ 座ク 談チ 会 +

建 具 デ ザ イ ン

建 具 デ ザ イ ン 和 紙 す き

映 う 画 ん 上 、 映 何 ?

和 紙 す き

照 明 デ ザ イ ン

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『中山間地域で建築ができること。』 schedule


2009.08.12(水)∼08.15(土)   ワークショップ作業場所

現在、廃校になった旧入間小学校は、和紙すきや映画上映、夏祭り、懇親会、 そして宿泊場所として利用させていただきました。木造の校舎の趣が心地よ く、既存の小学校の教室配置を利用し、校舎全体を使うワークショプを開催し ました。現在、 この旧入間小学校を 地域の交流施設 への改修計画における、 基本設計を古谷研究室で担当しています。

入間小学校

5.6年教室

職員室

図書室

会議室

2F

1F ワ ークショップ で 使う部 屋 ワ ークショップ で 使 わ な い 部 屋

入 間

マ ッ プ

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『中山間地域で建築ができること。』 location

給食室


2009.08.12(水)∼08.15(土) 早稲田大学を含める、雲南市周辺の5つの学校、合計24人と5人の講師の 方にご協力を頂きワークショップを行いました。学年、学校の枠を越えた刺 激を受けながら 『中山間地域で建築ができること。 』 を考えるワークショップ となりました。

ワークショップ参加者

参加学生 近畿大学 ( 小川晋一研

島根県立短期大学

早稲田大学

究室 )

板持 由季

古谷誠章研究室

亀岡 果奈

小谷 至己

伊坂 春

高橋 翔太朗

伊藤 周平 稲垣 淳哉

呉工業高等専門学校 小田 耕司 黒川 智章 坂本 拓実

米子高等専門学校

梶田 知典

嶋田 恭平

小堀 祥仁

砂場 雄一朗

寺岡 純

角 隼人

西野 安香

寺本 哲郎

野海 彩樹

堀寛 太朗

墓田 京平

前田 沙央里

山本 航一

吉田 千紘

( 敬称略50音順 )

講師( 敬称略50音順 )

江角俊則 Esumi Toshinori

龜谷清 Kametani Kiyoshi

高増佳子 Takamasu Yoshiko

古谷誠章 Furuya Nobuaki

山代悟 Yamashiro Satoru

島根県立大学短期大学部非 常勤講師

米子高等工業専門学校非常 勤講師 広島工業大学非常勤講師

米子工業高等専門学校 建 築学科 准教授

早稲田大学教授 建築家・一級建築士 NASCA代表

東京大学大学院工学系研究 科建築学専攻 助教(2009年 8月時点)

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『中山間地域で建築ができること。』 member


企画内容

2009.08.14(金) 13:00∼15:00 オーベルジュ雲南建設現場

改修前のオーベルジュに残っていた古い建具や家具類の活用方法を考える ワークショップ。建設途中の現場に入り、出来上がる空間を想像しながら3チ ームに別れてスタディとプレゼンテーションを行いました。 また、耐力壁の実 物大モックアップに和紙を配置するスタディも行いました。

建具ワークショップ

Aチーム 黒川 智章(呉高専)   堀 寛太朗(米子高専) 吉田 千紘(米子高専) 高橋 翔太朗(近畿大学) 西野 安香(早稲田大学)

Bチーム 坂本 拓実(呉高専)     角 隼人 (米子高専) 寺本 哲郎 (米子高専) 小谷 至己(近畿大学) 野海 彩樹 (早稲田大学)

Cチーム

小田 耕司(呉高専)   前田 沙央里 (米子高専) 砂場 雄一朗 (米子高専) 山本 航一(早稲田大学)

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『中山間地域で建築ができること。』 building site workshop


X3

障子の和紙部分をランダムに抜く。 その障子を複数枚重ねることで、断面的に長さの違う 照明が仕込まれているのが見える。何も無い吹き抜け 部分に吊るされたシャンデリアのような照明にする。

何もない吹き値けに障子のフレームを仕込む。 壁紙の模様のようにも見え、小物を飾る棚としても使える。

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B team

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B team

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板をランダムに外し、反対側からつけかえる。2方向から貼 付けられた板により視線が通る隙間が出来ることで、2つ の空間を仕切る壁から、2つの空間をゆるやかにつなげる 壁になる。

Cteam A team

A team これを半分に分割して使用。2 枚を分割し4枚分を縁側の下に 入れる。 裏に照明などを入れる。格子の 間には色々な和紙や写真など をはめる。

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A team

B team

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このようにカットし、目隠しのように使用。 格子の間には色々な和紙や写真等をはめる。

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障子のフレームを残し、 ガラス板を載せたテーブル。

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C team

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『中山間地域で建築ができること。』 building site workshop


2009.08.14(金) オーベルジュ雲南 現場 建具ワークショップ

Cチーム提案 ■ Cteam presentation / discussion 人々のふれあいやコミュニケーションを大事にする方が 壁では隣の人の気配を感じにくいが、壁を障子にすることによって、隣の 人が何をしているかなど、光や音など人の気配を感じることが出来ると 考える。

割子そばの容器を利用した照明具を考えた。吹き抜け部に利用したり、 土間テラスで利用する。 連続して吊り下げて、一番下には小物を置いたり出来る。

障子戸を2枚平行して使って、その間に出来る空間を利用することを考 えた。 例えば、小窓にしたり、収納にしたり、照明を仕込む。

江角先生;底板は無い方が良いじゃないか。 フレームだけが良い。 ライト の照明とか。 龜谷先生;フレームで利用して、間隔を調整することで、縁が光って見え るんだけど、光源自体は見えない照明が出来る。 その方がオモシロい。

古谷先生;それはどこに置かれるのか? Cチーム;1つは吹き抜け部の二階部の壁際です。 この壁面は筋交いを 入れる必要が無いようなので大きめの開口を取れます。 また吹き抜け下 部には土間テラスがあり、宿泊者や地元住民の方々など多くの方が利 用出来る場所だからです。

マスを使った照明のアイデア。穴をあけて上から吊るしたり、 フットライト の様な間接照明として利用する。

古谷先生;引き戸と箱の案というのが共存しないように思うがそこはどう なっているのか? Cチーム;引き戸は障子戸の組み合わせの別パターンです。ずらし方を 変化させることで開口量を変化させます。

古谷先生;マスの上にアクリルみたいなものが貼られてて、マスの中にラ ンプが入ってて、それが充電池かなにかで充電出来て、マスで貰って持っ て歩ける。 マスに光が満たされている。宿泊者はマスをもらえる。 マスの底面に穿たれた溝には柄が差し込めて、柄杓のようにして使える から、なおのこと光で満たされたマスを持って歩き回るのにちょうど良さ そうだ。

江角先生;光源が下から見えては何の効果もない。壁の間接照明が良い かもしれない。

■ 提案 A. 割子照明 割子そばの容器を連ねて吹き抜けに吊るす照明 完成イメージ

B. 升ライト 大小様々な升を照明として利用して空間を演出 完成イメージ

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『中山間地域で建築ができること。』 Cteam workshop


C. 透棚 ワークショップでの提案

障子戸を2枚利用した棚。 障子戸のグリッドを利用した様々な棚の配置。 背面にはカラフルな和紙を張ったり、 扉をつけたり、照明を仕込んだり、、、。

完成イメージ

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『中山間地域で建築ができること。』 Cteam workshop


企画内容

2009.08.13(木) 9:30∼11:00、13:00∼14:00  入間小学校

民家レストランに置かれるスタンド照明のシェードのデザインを考えるワー クショップです。 自らのデザインしたシェードに実際に明かりを灯し、電球の 種類による光の発し方の違いを体感してもらい、明かりがどのように空間を 照らし出すかを考えるデザインワークショップです。

照明ワークショップ ■作業風景

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『中山間地域で建築ができること。』 lighting workshop


■完成

各々の形態で、紙を折り曲げたり、 切り刻んだりしてシェードをつくり ながらアイデアを出し合い、既成品 ではできないような独自の光空間 を目指します。

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『中山間地域で建築ができること。』 lighting workshop


2009.08.13(木) 9:30∼11:00、13:00∼14:00  入間小学校

照明ワークショップ エスキス

およそ40分で全員で照明のシェードデザインをブレインストーミング的に提 案し、実に30の案ができあがりました。古民家や土地の雰囲気に合わせる方 法、光の相対的な関係性から全体の照明空間を考える方法、新しく独特なシ ェードデザインを追求する方法など、多彩なアプローチから照明空間を考え ることができました。

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『中山間地域で建築ができること。』 lighting workshop


2009.08.13(木) 9:30∼11:00、13:00∼14:00  入間小学校

使用電球

クリア電球  透明なバルブで輝きの強い光を発する一般照明用の電球。光の強い 刺激を表現する能力に優れているため、 クリスタルカットなどのシェード を使用した、 シャンデリア・ブラケット・ペンダントなどに適する。

シリカ電球  シリカ粒子をバルブの内面に静電塗装した電球 。クリア電球などと比 べ、 まぶしさの少ないソフトな光を発する。住宅やスタンドなど使用範囲が 広い。

シルバー電球  バルブ内部の上部にアルミニウムの反射鏡を設けた電球。手軽に間接 照明による集中光や拡散光が得られるため、店舗などのスポット照明や、 住宅のペンダントなどに適している。

レフ電球  バルブ内面にアルミニウムを真空蒸着し、反射鏡とした電球。光の透過・ 拡散性に優れたシリカ粒子をバルブの内面に静電塗装したホワイトタイプ を今回は使用した。発光の様子としては、 シルバーボールに似ている。

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『中山間地域で建築ができること。』 lighting workshop


企画内容

2009.08.15(土) 漆仁の里交流館

『中山間地域で建築ができること。 』 と題して、5人の先生方のレクチャー、そ の後学生や住民の方々と座談会を行い、最後の締めくくりとしました。

『中山間地域で建築ができること。』

 目次(発表順・敬称略)

 01 山代

悟  

       

 02 龜谷

  ビルディングランドスケープ主宰

清  

       

 03 江角

東京大学大学院建築学専攻助教(2009年8月時点)

俊則

ナック建築事務所代表取締役 米子工業高等専門学校非常勤講師

 一級建築士事務所江角アトリエ

       

島根県立大学非常勤講師 米子工業高等専門学校非常勤講師

 04 高増

佳子

米子工業高等専門学校准教授

 05 古谷

誠章

早稲田大学教授 

       

一級建築士事務所NASCA代表

06 座談会      

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


2009.08.15(土) 漆仁の里交流館

山代悟レクチャー  山代悟と申します。今(09/8/15当時)は、東京大学で建築デザインの指 導に携わっております。私は島根県出雲市の出身で、高校まで出雲で育ち、 その後大学に入るために東京に出て以来、東京を中心に活動をしています。 いつかは出雲のまちづくりに関わりたいと考えていたのですが、 ようやく昨 年機会を得て 『City Switch 2008 出雲』 というまちづくりに関するワークシ ョップを開催することができました。今回講師として来られている江角先生、 龜谷先生には主催者として、 また講師としても参加して頂きました。高増先 生にもゲスト講師として参加いただきました。今回の雲南のワークショップ に参加しているメンバーでは、米子高専の堀君、角君、早稲田大学からはO Bの丸山君が参加してくれました。  普段は東大の方で建築デザイン教えたり、建築設計の実務をしているわ けですが、それ以外にもインスアレーション・アートやパフォーマンスを企 画制作したりしていて、そういったイベントをまちづくりに生かす方法論に ついて実践したり研究するということを、最近は意識的にすすめています。  これが先ほどご紹介した 『City Switch 2008 出雲』 です。 ちょうど1年前 に、約1週間の期間で実施しました。地元の建築家の皆さんにカウンターパ ートナーになっていただいて、私の師匠でもある大野秀敏先生(東京大学 大学院教授) 、同じく大野先生のところで勉強したジョアン・ジャコビッチ(シ

City Switch 2008 IZUMO 神迎の道

ドニー工科大学講師) 、 テレデザインの田島則行さん、成瀬猪熊建築設計事 務所の猪熊純(首都大学東京助教) さん、西澤高男(東北芸術工科大学准 教授) さんらで指導に当たりました。特定の大学の授業という形ではなく、 よ り広く呼びかけたところ、全国の12の大学・大学院・高専から手を挙げて 頂いて、定員の倍くらいの応募がありました。残念ながら色々な制約もあり、 最終的に25名の学生に参加して頂きました。  『City Switch 2008 出雲』 では稲佐の浜や出雲大社がある神迎の道地 域、平田町の木綿街道、出雲市役所等がある行政やもともとの商業の中心 であるサンロード中町+高瀬川地区の3つの地域を対象としました。 それ ぞれ古代神話の時代から続くまち、近世江戸の街並みを残すまち、高度成

City Switch 2008 IZUMO

船川より見る木綿街道の街並

長期に発展し現在課題を抱えているまちという異なる3つの特性を持って います。  神迎の道という出雲大社から稲佐の浜に折れていく古い通りがあり、浜 から神様が渡られると言われている道ですが、 この道は普段から花を飾っ たり、潮汲みという行事を保存しようとされたりと面白い活動をされている 地域です。 ワークショップでは、 シドニーからの学生は「八百万(やおよろず) の神って何だろう」 って言って辞書を引く訳です。 そうすると辞書には「eight million」 ってそのまま書いてあって、彼らはびっくりしてしまうわけです。 「八 百万人ってことは、 この通りに八百万人いて、それはどういう密度で・・・」 と、

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City Switch 2008 IZUMO サンロード中町

『中山間地域で建築ができること。』 lecture


とても悩んだようです。 それは後で誤解だとわかったのですが、 この時見つ けた たくさんの数 というテーマを、モビールがたくさんある状況で表現した デザインということを考えてくれました。具体的には、 フィルムにこの街の写 真を張り込んで、箱形にくみ上げてワイヤーで吊り下げたモビールをつくっ たものです。 この取り組みでは、 ある種のアート表現を使って新しいお祭りや 日常的な飾りに応用して、八百万の神様が通る道を表現しようとしました。  平田の木綿街道は、江戸の街並みを残した通りでその道に平行して水路 が残っていて、それらがまた魅力的な地域です。 このチームは猪熊純さんが 指導にあたってくれました。彼らはワークショップの初日に、 「4日後に実際

City Switch 2008 IZUMO モビール作成

に何かイベントをやろう、街の中で実際にお祭りをやろう」 と言い出して、学 生と一緒にがんばってくれました。 このチームは、近くにたくさんある醤油の 瓶と木のケースを使ってゲートを作ったり、 「かけだし」 と呼ばれる通りと後 ろの水路を結ぶ路地をギャラリーにしたり、 あるいは醤油瓶やしょうが糖と いうお菓子の銅製の鋳型を使ってキャンドルスタンドを作ったりしました。通 りにかけている木綿の暖簾を屋根型に組んでその中に照明を仕込み、それ を舟に載せてが夜間に川を航行するという楽しいこともありました。 これを たった4日間の準備でやるというとても強引な試みでしたが、4日間しかな いからこそ、そこに 「ある」 ものを使わざるをえません。街の倉庫の中に隠れ ているものを、色々引っ張り出してもらい、街の人を巻き込みながら、お祭り をやってみるという試みでした。水辺を楽しむ一晩を演出して、実際に街の 人にも夕涼みがてら見て頂きました。

City Switch 2008 IZUMO 木綿街道

 3つ目はいわゆるシャッター通り化してしまった商店街があり、それに平 行して高瀬川という出雲市を代表する水景がある地区です。 その2つの線 状の空間と、その間にひろがる中世から続く通りをうまく回遊できる仕組み を提案しようというものです。 ここではポスター風に提案をまとめ、提案が実 現したらこのようなお祭りやイベントができますよとプレゼンテーションをし てくれました。学生は、商店街がものを売り買いすることだけでは郊外の大 型店との競争が厳しいのではないかと考え、商うという機能以外に住む場 所として商店街をもっと楽しもうと考えました。加えて、 ものを見せるように商 店は出来ているので、 もの作りを取り込み、その様子を街の人に見てもらう ということも考えてくれました。つまり「作る」「住まう」 「商う」 を連動してやっ たらどうだろうかという提案です。 この写真はワークショップ期間中、 この地 区のグループの参加者が空き店舗を作業基地にしている様子です。彼らは 自主的に看板を掲げ、夜な夜な作業している様子を街の人に見てもらうこと をやっていました。学生が街の中をうろうろしながら夜中まで実際に作業し ている様子自体が、街が少し元気になった時の様子を見せてくれる、そんな 場所になっていたのではないかと、思います。  このように街を元気にするための道具立てをつくっていきたいと考えなが

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


ら活動しています。 その場所、その街が持っている可能性をプレゼンテーシ ョンする、つまり実際に目に見える形にしてみること。 あるいは場所を使って みる経験、通りで楽しんでみる経験、水際で気持ちいいなと感じる経験等、 理屈だけではなく、体験として楽しんでみようとすること、それらをサポート するための技術を作っていきたいと考えています。  続いてご紹介するのは、東京理科大学で2008年の秋に取り組んだもの です。東京の神田の柳橋の辺りには、水際の面白い地域なのですが、色々と うまくいっていない部分があります。建築家の日高仁さんといっしょにこの 地域に対し、建築的・都市計画的な提案を演習課題として取り組むと共に、 そのアイディアを見てもらうためのイベントを実際にやってみるということ を試みました。最初は個人個人がアイディアを出し合い、それらを3つぐら いに絞って、 グループごとに本当に有効にはたらくのかを実験をしながら確 かめていきました。最後は1つの案を25人の学生全員で取り組み、同時に 神田川沿いの景観をこうしていったらいいのではないかという長期的な提 案を模型やパネルでプレゼンテーションしました。同時にキャンドルをたく

Candle Night @KANDAGAWA, Responsive Environment Studio, 2008

さん使ったイベントを企画しました。 お金の制約上からペットボトルでスタ ンドをたくさん作って、火災にならないようなデザインを施し、 オペレーショ ンの練習を積み重ねイベント当日を迎えました。ペットボトルに水を入れて 重しにして、それにろうそくが浮かんでいるような構造です。重いので簡単 には倒れないですし、 もし倒れた時には水がこぼれて自動的に火が消える という仕組みで、万一火が消えなかった時にも隣のキャンドルを使って消 せばよいという仕組みです。巧妙にできていると思うので、広めていけたら と考えています。 ここでは光の状態をつくることで、それを楽しんでもらうこ と、街の人に地域に興味をもってもらうこと、ついでに僕達の提案を見ても らうことを実践しました。  この写真は出雲に設計した住宅です。木を積み重ねていって建築の壁を つくっていくものなのですが、僕自身この質感が気に入りまして、その後こ れを見た木材メーカーから仮設のモニュメントを依頼されました。 この写真 は会場の東京ビッグサイトでの様子です。 これも、 ものとしては先ほどのキャ

HOUSE H, Izumo, Japan, buildinglandscape

ンドルよりも重いですけれども、数時間で組み立て解体できるものです。 こう した仮設のものを上手く利用しながらまちづくりを考えていけたらと思って います。  最後に、今後の宣伝ですが、City Switchは都市間の相互交流プロジェク トでもあり、 カウンターパートナーのオーストラリアのシドニー北部の Newcastleという街で来年2月にイベントを行おうとしています。 また、来年 あたりにもう一度『City Switch 出雲』 をやりたいと考えています。今回は一 畑電鉄という鉄道と自転車を組み合わせた街づくりを提案できたらと考え ています。出雲市は平坦な地域ですから、電車と自転車で街を巡り歩きな

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LHW/ LVL Heavy Weight temporary structure

『中山間地域で建築ができること。』 lecture


がら、学生が考えるイベントを楽しむということができるのではないかと思 います。  そしてこれは呼びかけなのですが、高校に アーバンデザイン部 をつくっ たらどうかというものです。出雲市に限らず地方では建築系・建設系の学生 が少ないので、 まちづくりに高校時代から取り組み、他の都市でもいいと思 うのですが、大学や仕事を通じて色々なことを学んだ後に地元に帰ってき た時に、すんなりまちづくりに関わっていけるという仕組みを考えていけた らなと考えています。

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


2009.08.15(土) 漆仁の里交流館

龜谷清レクチャー  私は今回湯村で民家を改修してオーベルジュにするということを聞きま して、 リノベーションに関する仕事をいくつかご紹介したいと思います。私も リノベーションの仕事を前からやりたいと思っていましたが、なかなかチャ ンスがありませんでした。 しかし、5∼6年前からそういう話が来始めまして、 最近はリノベーションの仕事も増えています。    まずはじめは、 リノベーションの仕事で多い、水回りを直したいという依 頼でした。 これは雲南市加茂町の立派な家で、部屋数も結構ありますが、お 施主は年を取られた方でした。使いづらい台所と傷んでいる浴室回りの改 修、納戸のようになっていて居住空間として使われていない居間の改修と、 寝室として使える部屋を離れとして新築するという計画を依頼されました。 もともとの外観は比較的きれいだったため少しだけ手をかけただけです。 増築した主寝室の空間は部屋を増やすために、1960年代に吹き抜けだっ た空間に天井を張って小屋組みを隠していたものを、天井を剥がして、吹 き抜けに戻しました。食堂部分の二階を二部屋なくしてしまい、新鮮さを生 み出しています。 また、使われていなかった納戸と居間を一つの大きな部 屋にしました。北側の庭と借景の山を取り込んだ非常に良い部屋になった

加茂の家

のではないかと思います。以上これらが、初めてやったリノベーションの仕 事でした。    次に引き受けた物件は雲南市掛合町の茅葺がきれいに残っている住宅 でした。雲南市で茅葺が残っているのは稀なのですが、定期的に手入れを して維持しているお家から水回りを直したいという依頼がありました。母屋 のもともと土間だった空間に床を張って台所にした部分の改修と、隣の離 れの納屋を改修して若い人の住まいにするという事をやりました。母屋の ほうは対面型の台所にしまして食堂にし、小屋組みを見せる形でまとめま した。離れは玄関と食堂兼台所に改修しました。土間でも接客をしたいとい うことで、大工さんに作ってもらったテーブルを設えています。 ダイニングと キッチンは、対面式のカウンターを入れて小屋裏が見えるようになっていま

多根の家

す。 ここでは、 ロフトを作り、若いご主人が趣味のCDを聞けるような部屋に 改修しています。    そして、 もっと建物全体を改修したいという依頼が来ました。 もともとの母 屋は、かつては土間だった部分をリフォームして応接間と台所にしていまし た。 この民家も改修前は小屋組みが一切隠されていました。納屋は子供部 屋として使われていました。 まずは小屋組みを全体的に見せるようにし、小 屋裏の一部はロフトとして使いました。 きれいな北側にリビングダイニング を設け、縁側だったところは土間にしました。離れは、施主が町の中で経営 されているブティックの事務室としました。  続いて、大田の山の中の空き家の蔵を解体して出雲市の中心部に移築 改修して飲食店にするという計画を引き受けました。 もともとの農家の客殿

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東出雲の家

『中山間地域で建築ができること。』 lecture


続いて、大田の山の中の空き家の蔵を解体して出雲市の中心部に移築 改修して飲食店にするという計画を引き受けました。 もともとの農家の客殿 とよばれるいわゆるゲストハウスは、現在はフランスに解体移築されていま す。当初は、 この蔵も本当はフランスに行く予定でしたが、予算等の都合で 行かなくなったものを譲り受けて飲食店にするということになりました。蔵 は傷みも少なく雨漏りは一箇所ぐらいと、保存状態は良かったです。 そのた め蔵全体の架構はそのまま使っています。 ただし改修には必ずしも伝統的 な素材を使っているわけではありません。 ファサードの外壁は鉄板、上部は モルタルを使っています。 アプローチには蔵で使っていた石を使っています 。中に入ると、吹き抜けになっていて、空間は二階の客席へとつながってい

舟島屋

ます。 キッチンが見えますが、 これはオーナーがお客さんに対して挨拶をし たり声を掛けたりしたいということで、 オープンな形のキッチンを採用して います。 それから、一階には一部屋だけの個室を作っていて、小さな庭をこ しらえています。二階に上がると座敷の部屋があり、 この襖など内装材は井 谷さんのところの和紙を使っています。 この襖は一枚の紙の上にハーブ染 めの紙を使ってつくっています。  次も蔵のプロジェクトです。敷地は出雲市のサンロード中町と高瀬川とを 結ぶ中間地点に位置し、市が整備したポケットパークに面して立っています ��� この蔵を改修して喫茶店にするというものでした。 この蔵は先ほどの蔵と 異なり、内部は当初かなり傷んでいました。 そのため、既存の構造に加えて 補強をしています。実は僕が大学時代によくマージャンをやった部屋でもあ るんです(笑)。 このポケットパークと喫茶店ができて人の動きも変わってき たようで、特に40代以上のご婦人方を中心に人気で、 ランチタイムは予約 がないと入れない状態になっています。意外とこういうものは街の活性化に 役立つのではないかと僕は考えています。  古い民家などが特に中山間部にはたくさんあります。今回湯村でもオー

cafe naka蔵

ベルジュ計画をやられていますが、 こういった古い民家等をうまいこと活用 していくことは可能性があるのではないかと思っています。

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


2009.08.15(土) 漆仁の里交流館

江角俊則レクチャー  今回『中山間地域で建築ができること。 』 ということで、中山間地域の赤名 町というところで友人がセルフビルドで改修した家があり、先週そこを見学 させてもらったのでスライド中心で紹介したいと思います。    友人は40歳くらいの方で、妻と三歳と小学生の子供が二人います。手前 の畑も友人夫妻二人で作っています。建物は、それ以前空き家になってい たところを屋根や瓦がずれていたところを鉄板で葺き直しています。畑は 以前竹藪だったところに、重機を入れて竹を伐根して野菜やハーブなどを 育てています。暖房には薪ストーブを使っていて、家の周りにチェーンソー で切った薪が積んであります。   これはキッチンの写真ですが、土壁の上に野地板を張って板壁としてい ます。 キッチンも30mm合板をレッドのペイント仕上げ、業務用のシンクを 入れています。30坪くらいの床面積ですが工事金額はわずか100万円ほど です。 もし自分に設計を頼まれたら、1000万∼1100万くらいの費用がかか

友人の家

ったのではないかと思いますが、非常に満足しておられました。 お金のかか りそうなものは何もなく、野地板やポリカ波板、白布などが使われていまし た。  雪深いところですが、 ストーブ一台で家中の暖房がまかなわれています。 子供のための勉強机が二つあってキッチンはその奥にあります。6畳くら いの板の間があって、手前に和室の続き間があり、畳を取ってコンパネを 貼ってその上にピータイルを貼っています。押入れの壁もポリカ波板で作っ ています。  友人は建築の専門の方ではないので、初め解体をしているときにに見て いて、一人でできるかどうか半信半疑でしたが、棚いっぱいに建築雑誌が あり、いろいろ勉強したようでした。彼はエアガンでくぎ打ちをしていました が、エアガンを買わなかったら今でも工事をやっていただろうと言っていま した。丸のこも自分の場合ハンディタイプのものを使いますが、彼は据え置 きの丸のこで生産効率の高いものを使っていました。家賃は一万円くらい で暮らしています。  以上が中山間地域で今回取材した物件です。  次に自分のリノベーションした事例などを紹介したいと思います。 自分の 事務所は江戸時代の農家を7年前からセルフビルドや、 ワークショップを行 いながら改修しています。    はじめ東京の祖父の所有物でゲストハウスを設計する予定でしたが、退 職し、改修費の出所がなくなってしまいましたが、祖父がたまに来るような 遊び場を作ることにしました。2年前に蔵を設計事務所に改修しました。  農家部分には土間、囲炉裏、五右衛門風呂、かまどなどがあり、 「古民家 塾」 という名前でいろいろなイベントを行っています。 日本の伝統文化を遊 びながら学ぶ場です。大きな囲炉裏があったり、 ライブのできる板の間があ

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古民家塾

『中山間地域で建築ができること。』 lecture


ったりしますが、中にある椅子やテーブルは全て自分で作ったものです。家 が未だ汚い時、外にしか快適な環境がなかったので、最初に枕木広場を作 りました。 また耐火性のある来待石(きまちいし) でピザ窯を作ったり、皆の 集まる庭作りから始めました。後で話す、高増先生も参加してくださいまし た。  ピザ釜ではマルガリータピザなどを作ったり、春の山菜料理は毎年の定 番イベントとなりました。新聞広告などで一般公募するとかなりたくさんの 人が集まります。裏に小さな畑があって、農耕民族のルーツを探れそうなも のとして小麦畑を作っています。実際に収穫した小麦粉を打ってジャージャ ー麺などを作ったりしています。残されていたかまどが使えたので更に二口 のかまどを増設しました。  土壁塗りのワークショップを時々行っていて、解体現場から出る土壁が 新しい土壁の原材料に必要なので集めたりしています。解体土に現場で彫 った土を混ぜて攪拌し、むしろで濾した土のペーストに砂やスサを混ぜて 土壁の材料を作りました。午前中に壁塗りをして午後からビールやピザを

ワークショップの様子

頂くようなワークショップです。他にも竹箸をつくるワークショップをやった り、小学校の子供たちや保育園児たちの、親子活動の場にも使われていま す。  次に古い建物のリノベーションですが、岐阜県高山市宮川村から古民家 を移築して作った湯の川温泉の旅館のレストラン棟を紹介します。建物は 3層構造で2400・1500・1500という階高設定がとても面白く、その空間 構成を生かそうと思いました。 また宮川村の人たちが見た時に自分達の村 の建物だとわかるような骨格は残すべきだと思いました。2階や中二階を 作ってさまざまなレベルを作りました。一番上に行くと、天井に頭が当たる 階高しかありません。  話題性を作るために壁にはベンガラ漆喰を塗りましたが、色を落ち着か せるためにずいぶん苦労しました。 シャンデリアは友人の鉄鍛冶作家に作 ってもらいました。全体的に手仕事の暖かさ、人の手の跡が刻まれた空間 を作ろうと思いました。暖炉は来待石で作っています。  同じ旅館の宿泊棟を紹介します。前回岐阜県から古民家を移築したので 今回は島根県からの移築を試みました。 しかし今回移築した築250年の茅

湯の川温泉旅館 レストラン棟

葺き建物は傷んでいるところが外からは分からず解体してみて約半分の構 造材が傷んでいる事がわかりました。江戸時代の島根県の古民家の梁は マツですが、梁の交差部の内側が全滅でした。岐阜の古民家は全て栗材で ほとんど傷んでいませんでした。確認申請を出さなければいけないのでコ ンクリート基礎と土台を新設して筋違壁を設けています。  屋根は見せかけに萱を葺いて、上から板金の屋根を敷いています。 また 下から見える部分をオガラという北海道で栽培している麻の茎でできたも ので葺いています。5年前にお願いしていた萱葺き職人さんがすでに他界

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


していて、萱葺き職人が現在ほとんどいないので苦労しました。  実際に宿泊する部屋は墨漆喰の真っ黒な作りです。漆喰や土壁の明る い空間としたほうが健康的だとは思いますが、それでは当たり前すぎるの であえて真っ黒な壁にしています。一泊二日の滞在期間にどれだけ非日常 を演出できるかという辺りが生命線だと思います。  お風呂はレンガ造りで作っていますが吸水率が高く、 カビが生える可能 性があります。今後の様子を見ます。  住宅を店舗にする場合、昔の骨格を残すというよりも旅館としての面白さ を出すために平面をまったく変えてしまっています。天井が高いので大きな 空間に対して開口部は小さく抑えた構成にしています。

湯の川温泉旅館 宿泊棟

 最後に今年竣工した現場で、弥生時代をテーマにした旅館の事例を紹 介します。古代風呂が設計テーマでした。古代の宮殿がすでに建っていま すが、 これがフィクションなので古代風呂もフィクションでいいだろうと思い ました。周辺の建物が萱葺きだったので浴室も茅葺としています。 こだわっ た点は小さなスケールで作ること、地元の素材を人の手で加工することが 古代につながるのではないかと考え、半径30キロくらいで調達できる素 材ですべて作っています。茅屋根には斐伊川の葦(よし) を使いました。葦 は国交省に刈り取り許可を提出せば、伐採と運搬費しかかからないので、 通常の半額くらいで質の良い茅を集める事が出来ました。  お風呂は男っぽい風呂と女っぽい風呂の二つを作っていて、女性っぽい

旅館 外観

お風呂は洗い出し仕上げで形は勾玉になっています。左官仕事で作った小 さなドームから身をかがめて入ります。 『真っ暗な夜に広い水面に体を落と す』 イメージでお風呂を作りました。 ろうそくを設置して明かりが水面に写り こんでゆらゆら揺れている様を作りたいと思いました。

旅館 風呂

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


2009.08.15(土) 漆仁の里交流館

高増佳子レクチャー  私は普段米子高専で教員をしていて、米子をベースに仕事と生活をして いますが、米子市は鳥取県の西の端なので鳥取市よりも松江市や出雲市 のほうが近いくらいで山陰両県でいろいろな活動に参加しています。昨年、 山代先生の『CITY SWITCH 2008 IZUMO』のイベントにも学生ともども参 加させていただいて、そのとき参加したチームに丸山君がいたので雲南の プロジェクトを初めて聞いた次第でした。今回このような場に参加させてい ただくということも大変楽しみにしていました。  まず私の簡単なプロフィールですが、1996年から米子高専に勤務し ており、それまでは大阪で生まれ育ち、働いていました。はじめに、1998 年に初めて設計した自宅『考えごとの家』 を紹介しておきたいと思います。 また1999年におくやめぐみという者とT*O(ティー・オー) というユニッ

考えごとのための最大限の空間 + 生活のための最小限の空間

トを設立し、建築デザイン普及活動をはじめますが、 これは私の学校での教 育研究活動のひとつにもなっています。活動内容は、今は年に一回か二回 くらいのペースで、立体着せ替えハウスという建築模型キット等を使った子 供向けの建築ワークショップを継続的にやっています。後で紹介する中山 間地域の事例の中にも出てきます。  普段雲南市に出かけることがあまりないので意識していませんでしたが、 山陰地方の地図を見ますと、改めて雲南市と米子市は意外と近いと感じま す。 また米子市は半島になっているのでほとんどは砂地の平地で、私が住ん

大きな大きな机  +  机をやわらかく包む布 考えごとの家 模式図

でいるところも米子高専のすぐそばなので中山間地域という意識はなかっ たのですが俯瞰してみると山陰地方は山が多いということ、中山間地域と いうことを改めて意識させられます。  米子に来てから一人暮らしのための小さな土地を探していたのですが、 田舎だと需要がなくなかなか見つかりませんでした。最終的には17坪の 土地を見つけて、そこで計画しました。 コンセプトとしてはゆっくりと考え事 をしたいということで、それをどう建築化していくかという事と、20代で若 かったこともあり、安く簡単な方法で計画できないかという二点を軸に考え を進めていきました。

考えごとの家

 17坪の土地は台形になっていて、三方向が道路に囲まれたような場所 でその中で最大面積の三間四方の正方形を取ってワンルーム・二階建ての ものを計画しました。内部はゆっくりと考え事ができるように、二階全部を大 きなテーブルにしてしまおうと考え、6畳強のスペースをテーブルとして中 心に配置し、夜はその机の上を寝床にして寝るということにしました。 また 机の下の床をなくして上と下をつないでしまおうと考え、机の腰壁もなくし て空気が通るような構造になっています。 ファサードは南面がほぼ全面ポリ カーボネイトでやわらかい光を通すようになっていますが、夏は40度ぐら いまでに温度が上がってしまうこともあります。構造は木造で、 コストを抑え るためにいらないものを省くということで断熱材も仕上げもなく軸組みが全

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考えごとの家

『中山間地域で建築ができること。』 lecture


て見えた状態でまず住み始めました。冬になると米子は雪が降るので0度 以下にもなることもあります。 そこで布を張ってみたり発泡スチロールを使 ったり、実験的に空間をしつらえていくことにしました。 その後8年経って 結婚し、当初は別居だったのですが子供が産まれて一気に三人暮らしにな り、赤ちゃんにとって非常に危険な空間だと承知の上で、 ここでも赤ちゃん の成長に併せてつくろいながら住んでいってみようと考えました。当初は 一人暮らしの時のまま机の上で寝ていたのですが赤ちゃんがはいはいな ど動き回り始めるようになる前にベビーベッドにあるような柵を机の周りに 付けました。 また生活以外に主人が設計事務所をしているので奥側が事 務所スペースになっています。柵は将来必要がなくなったら一部取り外し ができるようにしました。現在荷物が飽和状態で、年末さらにもう1人子供 が増えるのでどうするかが今の課題です。 この家は住みながら、季節の変 化や家族の変化に応じてつくろいながら変化してきていますが、 まちづくり も同じように人々の変化や町の変化に応じてつくろっていくものだと思い ます。  今回のテーマ、中山間地域で建築ができることについて考えた時に、新 たに建築を建てて問題を解決するというよりは、すでにこの地域にあるも のをどう生かすのかというのが重要なのではないかと思いました。 そこで 次の3つを挙げたいと思いますが、ひとつは既存建築の活用です。廃校と なった小学校を改修して劇団の拠点施設、 または町の文化拠点としても機 能する場所として提案された「鳥の劇場」をひとつの事例として紹介します。 ふたつめに中山間地域はすごく自然が豊富なので、その美しい場所をい かに活用していくかということで、野外コンサートの会場づくりにゼミ学生

鳥取市鹿野町

  大山王国

 杉間伐材活用

と関わった事例を紹介します。最後に、 自然の恵みである木材資源の活用

演劇団体の拠点であり、 まちの文化拠点目指す

大山を中心としたまちづくり 大野池湖畔の野外コンサート

島根県過疎村の活性化 策として木材ブロック 工法開発

「鳥の劇場」

として、 スギの間伐材を利用して建築することを提案しているツミックとい

中山間地域にあるもの

う会社の取り組みを紹介させていただきます。  はじめに、美しい自然の場所をどう生かすかというテーマで、 『大山王国 』 というNPO団体が開催している夏至祭という野外コンサートの事例を 紹介します。米子は水辺が近くにあるのにもかかわらず水辺を意識した街 づくりがあまりされていないのですが、逆に大山を中心とした街づくりが昔 からされていて、大山王国というNPO団体も米子に限らずもう少し広い視 野でまちづくりに関わっています。ひとつはミュージックリゾート構想という 大山周辺の美しい場所で音楽を楽しむイベントをいくつか計画実施され ていますが、その一つに夏至祭があります。毎年夏至の頃に、大山の大野 池をバックに夕方から夜にかけてのコンサートを開催していますが、私は 5年ほど前からゼミ学生と一緒にキャンドルを使ってそこで空間演出に関 わっています。大野池の手前には大山レイクホテルがあるので、ホテルの 協力で受付や屋台も出ます。 またステージは池の手前にセットし、そこから ホテルまでの間に客席を設けています。 キャンドルは客席の後ろ側の林な

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夏至祭

『中山間地域で建築ができること。』 lecture

  「夏至祭」

 「つみっく」


どいろいろな場所に配置しています。  一昨年は右手にある白い布を張った家型のものをバラバラと配置して 暗くなってくると家々が光ってくるような演出をしました。昨年は当日偶然 雨だったのですが、 ビニール傘の中にキャンドルライトを仕込み、ホテルの 中であるコンサートの演出としてホテルへのアプローチの途中の道に傘キ ャンドルを配置しました。  昨年までは客席の背後の林に配置するばかりだったので今回は池の上 を演出することを考え、灯篭流しのようにキャンドルライトの船を作りたい と考えました。具体的には、ペットボトルをカットしたものに少し水を入れて 重石にし、4つを束ねてキャンドルを入れて流しました。客席背後の林にも ペットボトルを切って結んだものを隠すように周辺の草花でカモフラージ ュするというローコストですむようなものを作りました。

2009年は湖面ステージに灯籠流し

 毎年、少しずつデザイン手法を変えながら、美しいこの場所を生かす灯 りの演出を学生たちと一緒に考えています。  次は、既存建築の活用をするというテーマで、旧小学校の体育館と幼稚 園を利用して劇場を計画された 「鳥の劇場」 を紹介します。 この場所は小学 校と幼稚園がたまたま隣にあって両方とも廃校になっていた場所で、体育 館を劇場部分にして幼稚園側をスタジオや事務スペースとして使っていま す。 あまりお金はかけずに手作りながら丁寧にデザインされていて、 また意 識的に町の文化拠点づくりも目指されていて面白いと感じました。劇団の 代表であり演出家の中島氏が鳥取市出身ということで、地元に戻って活動 を開始するにあたって、 この場所を見つけ、 「鳥の劇場」 という名前で鳥取 県も何とか盛り上げることを意識しながら劇団活動されています。 ここには 劇団の人が自前で作った小さい屋台のカフェもあり、いろんな形で鳥の劇 遊戯室をスタジオ (兼ホワイエ)に ここでもミニ公演

場ブランド、鳥取ブランドを作り出そうと努力されています。  スタジオはホワイエのような場所で、小さい公演やアフタートークも行わ れています。体育館の中の劇場はとにかく真っ暗にして、空調、音響、照明 などの設備を導入されています。客席の椅子の下の階段スペースは、 自前 でセルフビルドされています。  私はT*Oとして鳥の劇場と少し関わりましたが、 まずは私たちT*Oで 以前ロジブロックという展示を行うのに製作した家具のような遊具のよう な箱状のものを、 スタジオでの舞台セットに使っていただきました。 これは 古谷研が以前作っていた 『どこでも家具』 と考え方が似ているものです。舞 台セットとは言ってもホワイエのような使い方をされている時は、来場者の 遊び場、休憩場所としても使っていただきました。    次にT*Oがこれまで行っている建築ワークショップを劇場の舞台でや らせていただきました。T*Oの活動の発端は一般の人でも建築をもっと 身近に楽しく考えてほしいということがあり、 「立体着せ替えハウス」 という 建築模型キットを開発し、子供向けにワークショップも多数開催してきまし

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


た。 これは着せ替え人形のように建築空間を簡単に作ることの出来る空間 イメージのための模型キットですが、最近は実物大で組み立てて、素材を 張替えたりしながら着せ替え体験できるような『実物大立体着せ替えワー クショップ』 をやっています。先月末に鳥の劇場でこのワークショップをして きました。鳥の劇場は演劇を公演するだけでなく、様々な分野の方のレク チャーやワークショップなどの活動も行いながら町の人に使ってもらおう、 ということを主体に活動しています。 このワークショップでは30人くらい の参加者が、3チームに分かれて一間角のフレームを組み上げ、内外の壁 面をいろいろな素材を組み合わせて張っていく、 という事を体験してもら いました。全体を一つの大きな家というテーマで子供のチームには子供部 屋を、他のチームは寝室や水回りなどを考えたりして、残った空間をリビン

骨組みを組み立てる

グルームにするなど部屋同士の関係も考えながら舞台上でデザインをしま した。実際の舞台空間の上でやっていたので客席から見ると即興で演劇を

子供部屋        寝室  水回り

しているようで面白いと感じました。  また劇場や舞台という場所が、建築空間のイメージ実験場所として可能 性があることを実感しました。  最後に中山間地域の自然の恵みをどう生かすかということですが、林業

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ということがまず挙げられます。中山間地域の木材を何とか生かすことで 建築につなげることができるのではないか、逆に生かせないとそこがどん どん過疎化して、高齢化していっていしまうという現状があります。 ツミック が作っているものはスギ間伐材を使用した合板でブロック状のものを製作

着せ替え完成

し、素人にも組み立てられ、セルフビルドできるものです。 より多くの人に、 自分の家作りを楽しみながら家を持ってもらうことを意識して作られたもの です。  合板を組み合わせたブロックを積み重ねるだけで壁ができますが、積み 重ねるだけでは弱いので鉄筋を入れて強度を高めています。実際の建築 構造として使うには、建築基準法上は問題があるので、今はちょっとした東 屋や自身の事務所を実験的に建築化されているようです。 その他にも間仕 切壁として中で使うことは可能で、被災地での小空間を作り出すツールと して使われています。  紹介したこれらの事例はたまたま私が関わったものですが、 どれも中山

つみっく 杉間伐材活用による過疎村活性化

間地域の何に価値を見いだし着目するか、それらをどうデザインし、活用し ていくかがよく考えられているのではないかと思いました。

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


2009.08.15(土) 漆仁の里交流館

古谷誠章レクチャー 雲南プロジェクト紹介  私が進行役ということで、4人の先生方がお話し下さったことを振り返り ながら意見交換をさせて頂きたいと思います。最初に古谷研究室が雲南で 関わってきたことを振り返らせていただこうと思います。    もともと島根県雲南市に関わりましたのは2007年に内閣府の全国都市 再生モデル調査を委託されまして、 この調査のテーマは、雲南市というのは 旧6町が合併してできあがった自治体ですが、合併したことで一つの市の 中に体育館が6つある、役所も6つもあるという状態になっており、様々な施 設が重複・遊休化しているという現状があります。 あるいは立派な施設があ っても上手く使われていないという施設が結構多くあるという現状がありま す。 これらの施設を、合併を機会に相互に融通しあって、色んな意味で積極 活用する手立てはないのだろうかというのがテーマでした。 それらの施設の 有効活用を考えながら、新しい地域社会の生活環境モデルを考えていこう という取り組みでした。  古谷研究室ではこれまでに類似の研究でどんなものに取組んで来たかと 言うと、 まずは2002年から2005年にかけて取り組んでいた沖縄県の備瀬と いう集落の調査を行いました。備瀬の集落はフクギとよばれる防風林が有 名な集落だったのですが、 どんどん住人がいなくなって空き屋敷が増えてい るという現状でして、そこでそのフクギ集落を有効活用しながら集落を活性 化する方法はないだろうかということを考えました。当時は、民家がそれぞ れ単独に借り出されて、 アーティストなどが別荘にしている状態で、秩序だっ

沖縄県 備瀬集落

た仕組みになっていない、一方フクギは手入れが大変なために手入れをさ れずにどんどん失われている。 そういう状態でした。  そのとき我々が提唱したのが 里帰り観光 という概念です。いくら隣に美 ら海水族館ができて、大量の観光客がやってきたといっても、それが縁もゆ かりもない備瀬の集落をいきなり訪れることはありえない。 よくそういった上 手い話を想像してしまいがちですが、いきなりあかの他人が大量にやってく るという観光は現実的にはありえない。むしろ那覇やあるいは本土などの中 心部に出て行っている元々の備瀬出身の方々がお嫁さんやお子さんなどを 連れて里帰りしたくなるような、それもお盆だけではなく春にも夏にも秋にも かえってきたくなるような仕組みを作らなければいけない。 そうでないと、将 来的により多くの人が来てくれるようなことには決して繋がらない。 まずは出 身だけれども都会へ出て行っている人をどうやって戻ってきてもらうかとい う 里帰り観光 という概念をつくったのが、 この時でした。  一方、今は上越市になりました新潟県旧浦川原村の廃校になった小学校 の鉄筋コンクリート造3階建ての校舎の改修のプロジェクトですが、 もともと は法政大学の渡辺真理教授のところに、廃校の校舎を住民の交流が出来る 施設、 あるいは体験宿泊が出来る施設に改修できないかという相談があり ました。 その時に渡辺先生の機転でこのプロジェクトを法政大学だけでやっ

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月影小学校 外装

『中山間地域で建築ができること。』 lecture


ていても広がりのある大きな取り組みにはならないだろうということで、早 稲田大学の古谷研究室と、横浜国立大学の北山恒教授の研究室に声が掛 けられて、三校でまずは学校の枠を越えて学生が共同する活動として位置 づけようとして始まりました。けれどもいざ始めてみると三校の対抗意識が 強くてどうも上手くいかない。 ここで北山さんの発案で日本女子大学にも加 わってもらって、 日本女子大学にこの三校を融和してもらおうということにな って、 これが功を奏してそれ以降四大学の共同事業として進んでいきまし た。最初は地元浦川原の方々がどういうふうに使いたいと思っているのか、 学生としてはどういう提案がしたいと考えているのか、隔たりも大きく盛ん

宿泊室

に意見交換を行いました。東京でも大学の枠を越えて早稲田に集まってき たりしながら、 日常的に方針を色々と検討しまして、最終的に2005年に第 1段階の改修が終わりました。  この写真は想像もつかないでしょうが、 ここはもともと教室だったところが 半分に割って宿泊室になっています。 もとの職員室だったところは食堂にし ています。 その時に、学校の気配を残したまま改修するということが一つの 方向性でした。 それは同時に改修費を安くすることにもつながるわけです。 もとの保健室だったところも先ほどの宿泊室とは別の交流の場になり、廊下 であったところに囲炉裏ができ、それまでの学校とはひと味違った感じにな

食堂

りました。 ここでも学生達によるセルフビルドが盛んに行われました。 それは コストを下げるという意味もありますし、学生達にとっても絵で描くだけでは なく、 自分たちが考えたことが実現することは勉強にもなるという意味もあ ります。  校舎の外装に雪囲いがあるのですが、冬には雪囲いを下げ、夏には雪囲 いを上げるという作業を口実に、年に2回ほど継続的に学生達が関わる仕 組みにしています。 ここにもOBの丸山君は出没していますね(笑) その後、 こ の施設をど���使っていくかという相談にも色々乗っておりまして、3階のとこ ろを地元の民具を展示する展示室にする計画がありまして先日その第1弾 が終わったところです。雪囲いのところに日除けとしてゴーヤを植えて、名物 にしたらどうだろうということも考えています。  続いて中里村という群馬県の小さな村の役場の新庁舎のコンペがありま して、それを作ろうとしたときに村役場として設計しますが、早晩(市町村合 併によって)役場でなくなってしまう可能性がありました。役場が役場でなく なった時にどういった使い道があるだろうということを、村で唯一の小学校 中学校の児童・生徒の諸君と一緒に、新しく建てる建築の将来像を探ると いうワークショップを行いました。  こうした経験がベースになって雲南に入ってきたわけですが、最初の段 階は全国都市再生モデル調査のために、学生達が入り込みまして、全ての 公共施設の現状調査を行いました。 そして2007年の冬には掛合で調査し

中里村 新庁舎

た内容を地元の皆さんに報告をしました。 その時に、現状報告だけでなく提

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


案としまして掛合地区の多根小学校のオーベルジュへの改修計画や、木次 駅前の閑散としてしまっている商店街を活性化するためのイベントの計画 等を提案いたしましたところ、善は急げ、 できるものからやってみよう!とい うことでイベントの企画に関わることになりました。当初学生達は空き店舗 を利用した色々な映像の上映や展示をすることから考え始めたのですが、 今では 名物 になった真っ赤なテーブルを並べる計画に至りました。実際、 去年のさくらまつりでは、 イベントの間は木次駅前の商店街を雲南全体の 商店街として、雲南全体からお店を出してもらうということにしました。空き 店舗を利用してそれらを改造することで『雲南商店街』 を作り上げました。 空いていた店舗が、 インフォメーションになったり、 シネマバーになったり致

木次商店街ロングテーブル

しました。 その中で目玉となったのがロングテーブルなのですが、 これも数 日前から学生が入り込んで準備していたことで、当日になると地元の皆さん が三々五々集まって手伝っていただいて、学生が全部やらなくてもよくなり まして、 できあがった時には皆さんに達成感を味わって頂けました。 こうして さくらまつりが旧6町全体の雲南の人が出会うきっかけとなりました。  一回目が成功したことで、2年目もやろうというふうに言って頂けました。 百聞は一見にしかずですね。1年目にやったロングテーブル等の企画は地 元の皆さんに主導してやって頂いて、早稲田の学生はもう少し違うことを考 えましょうということになりました。 そうして行ったのが、会場での家具や、暖 簾、照明等の様々なもののデザインをさせて頂いた。2年目もアーティスト のミヤザキケンスケさんをお呼びしてライブアートイベントをやっていただ いて、 これには多くの中学生が参加してくれました。

ミヤザキケンスケ氏ライブアート

 そして今回の民家の計画ですが、湯村の温泉街に残る空家を利用してこ の計画が始まりました。 まずは解体整理を行いました。次に、初期の提案を 地元の皆さんとどのようにしていきたいかを話し合っていきました。 だいぶ はしょりましたがこれが今までの足取りです。今後の展望としましては現在 改修している民家レストランを拠点として、最初は近くの人達が寄り合うた めに、同時に里帰りのためによく故郷を訪れてくれている人が訪れる場所と して、そして将来的により多くの人が訪れる場所として展開していきたいと 考えています。非常に駆け足でしたが、 これで雲南での古谷研の関わりの紹 介を終わらせて頂きます。 ありがとうございました。 オーベルジュ改修前

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『中山間地域で建築ができること。』 lecture


2009.08.15(土) 漆仁の里交流館

座談会 古谷: 先ほどの4人の先生方に大変興味深いご経験談やご提案をお話し頂きま したので、 ここからは意見交換をさせて頂きたいと思います。 まずは山代先 生に感想をお聞きしたいんですが、山代先生は出雲での活動など色々と経 験をされていて、 ワークショップの経験もかなり豊富です。率直に今回の私 たちの雲南での試みをどう感じられますか。 山代: 私自身は出雲市での活動はさほどまだ経験がないんですけれども、大学な どをベースにして色々なところでワークショップをやって参りました。大分 県蒲江町(現在は大分県佐伯市) という漁村の廃校の利用をテーマにした ワークショップにも関わりました。 ただ、今回伺って羨ましいなと思うことは、 (雲南の一連のプロジェクトが) イベントから始まって早いスピードで実際 の改修まで着手されている。我々が前回行ったワークショップは本当に提 案の初期段階を学生と地域の方と一緒に試しているという段階で、それと 比べるととても羨ましいと思いました。 それは逆にどうしてそんなことが可 能なのかなと? 古谷: ひとつには内閣府の全国都市再生モデル調査の委託を受けて、 まとまった 研究助成金が得られて、大量に学生が入り込んで調査ができたということ があります。 それとは別に、それ以前から雲南のブランド化をする施策が始 まっていて、様々なアクションが起こり始めていたということ、そのひとつに 映画『うん、何?』 も含まれますが、そういったいくつもの動きが相乗的に重 なった時期であったということがあります。 その意味では、国からくる地域を活性化するための資金はあるんだけれど も、ばらまいても成果が分かりづらいということで、政権が代わると真っ先 になくなりそうな助成金になりがちなんです。 (その助成金を使って行われ ていた試みの)全部がうまくいったとは思わないけれども、いくつかは次に 繋がる可能性を持った活動をされたケースもあると思うんですね。 でもそ の活動や成果が発表されて、それぞれの活動に関わった人同士が意見や 知恵を交換できるような機会がない。 ある資金が呼び水となってそういっ た地域活性化のための活動が起こったとしたら、それを次に繋げるための、 レビューしていく、 あるいはみんなが成果を分かるようにしていくという機 会が必要なのではないかなと感じています。 山代: 私も昨年8月にワークショップをやりまして、 自分のキャパシティもないの でやりっ放しになりがちなんですが、大学から研究機会をいただいたことも あり、出雲でワークショップをやった場所を訪ねて歩き、 インタビューをする ということを行いました。講師として関わって頂いた方にお話を伺ったり、 関わって頂いた地域の方を訪ねて歩いたり。 そこで感じたことは、 たった1 週間のイベントでもあり、意義深い活動ではあったと思うけれど、街の人み んなが知っているわけではない、街の人も知らない人が多いということを

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『中山間地域で建築ができること。』 talking


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『中山間地域で建築ができること。』 talking


なるか分からない。冗談はさておき、僕も広島の近畿大学の建築学科に8年 いたときに思ったのですけど、中国地方に建築学科は4つあって、所在地は全 部広島県ですよね。当時は中四国地方で4つしかなかった。 あとは高専しな い。米子高専は大学ではないけど、やはりこの地域をかなりカバーしていると 思いますよ。 高増: そういう意味ではもっと頑張らないといけないんですけれども。 逆に言うと、早稲田大学の様に外から来て言って頂けることで、地元の方が気 づけることもあるので 中にいる人間が言っても聞いてもらえないところを、外からの目線で言っても らったり、何か活動してもったりして、そこと一緒に活動できることはとても良 いことだと思います。 古谷: 学生諸君にとってみたら、社会の中にある問題をひとつの課題として取り組 む、いわゆるPBL(Project Based Learning) 、架空の課題じゃなくて現実に ある問題に答える課題という環境の中で勉強できるのはすごい重要なことだ と思います。 それから、今日こういうふうにできたネットワークを使って、学校 の枠を越えて学生達が共同して取り組むことができれば、今抱えてらっしゃる 課題に取り組む輪が広がりますから。 そういう意味では山代先生の高校にア ーバンデザイン部をつくるのというアイディアはすごいいいアイディアだと思 いますよ。 山代: 住み込める人がいるといいんですけれども、なかなかそうもいかない訳でし て、若い力というか、高専の皆さんがこうして活躍されているのを見ると 「高校 生大丈夫だ!」 と意を強くするわけです。例えば高校時代に一度そういう経験 をして、大学時代を経て、そのうちの何人かが戻ってきてくれて、 また先輩とし て高校の活動をサポートしてくれる。人生の早い時期に一度そういったまち づくりに関する経験をするということが重要なのではと思います。 古谷: さくらまつりの初年度にも地元の三刀屋高校の美術部の生徒が手伝ってくれ て、彼女たちは自分たちは高校を卒業した翌年のさくらまつりにも来てくれて、 継続していくことは重要ですよね 部活というのはまさに継続しているのが特徴なんですね。 あれは学年ごとに 集めてやっても、甲子園なんて到底行けないわけであって、大学がなくても高 校生がまちづくりに関わるのはとってもよいことだと思うんですね。 それに、絶 対三刀屋高校のアーバンデザイン部は強くなりますからね(笑) 山代: 強豪校になりますね(笑) 古谷: 出雲とか米子とかの他の高校にも声を掛けて、なまじ大学に建築学科がない からこそ、高校でできる可能性は高いですよね。

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『中山間地域で建築ができること。』 talking


ことはないですか? 龜谷: 僕は左官の技術者がいないとは必ずしも思っていない。いるにはいるんだけ れども、そんなにうまく使えていないだけだと思います。 そういうのは左官の 仕事を自分のプロジェクトの中に取り組んでいって、 そういう職人に積極的に声を掛けていって、ベテランを交えて一緒にやって いく。 そういうことを繰り返していかないと伝わっていかないと思います。 江角: 左官さんの技術はモルタルを扱うようになって衰退していったと思うんです が、簡単便利な方にシフトしていくと左官さん自体はますます職を失っていく と思います。 龜谷: 最近土壁指向を一般の人が持ち出したというのには、私は非常に可能性があ ると思うんですよ。 というのは、僕らがいくらこの素材が良いといっても、一般の人がそれを求め ていかないと普及していかない。 これからは一般の人に啓蒙を行っていくということも技術者として大切な責 務だと思います。 山代: 今の話に関連して、今回の早稲田で取り組まれている現場では、職人さんの ことはどのようにお考えですか? 例えば職人さんがいなくて困っているとか。 梶田: 和紙の工房の井谷さんも後継者がいらっしゃらないみたいです。 ワークショッ プで扱わせていただいくことで、興味を持ってもらえたらよいと思います。 古谷: 実験的に時間をかけてやるというのは予算的になかなか難しいんですが、 で も、一遍に全て作ってしまおうと思わない方がきっと良いんでしょうね。 まず最 初にできることからやって、そして使いながら新たなものに取り替えって言っ たり、 もっと良くしていったりと。 古谷: 最後に一言ずつお話と、可能であればこのプロジェクトに関するアドバイスを お願いできればと思います。 龜谷: 今回のプロジェクトも経営する母体があると思うんですが、 プロジェクトに地 元の若い人が一帯となってやっていく体制を作っていかないと、結局はある 程度のもの以上には続いていかないんじゃないかと思います。 そういった運営への若者の参加に関しては、実際にはこれまでのプロジェクト ではどういうふうにやってこられんですか? 古谷:

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『中山間地域で建築ができること。』 talking


新潟のプロジェクトでは、当初は東京の四大学だけが関わっていたんですが 、 ある時新潟で講演会があったときなどに月影のプロジェクトのことを話すと、 それを聞きに来てくれた新潟大学の学生とかが興味を持ってくれて、その後 の活動に参加してくれるといった、少しずつですけれど。 おっしゃる通り、地元 に近い学生が輪に入ってくれると活動に広がりが出る。 江角: やはりそこのところにアーバンデザイン部活動を絡めて、三刀屋高校や出雲 高校や米子高専などの学生に来年の春のさくらまつりまでに下準備しておい て、がつんといくと (笑) ただ高校だと何もないところですから、種まきから始 めないといけません。 古谷:じゃあやっぱり 『アーバンデザイン部を募る!』 というポスターを島根県 内、鳥取県内の高校に配りましょうよ。 山代: 早速、はい(笑) 高増: せっかく地元にいるので、今回参加した学生達から高専の他の子達に伝えっ てもらって、 オープン時に見に来たいと思っています。 山代: まずはアーバンデザイン部を (笑)。 「出雲」 という広い地域は、外からやってく る人から見たら、出雲大社があって、斐伊川があって、雲南があってというの は一連の体験だと思うのです。出雲市での活動と雲南市での活動がうまく協 力・連携できたらいいなと思います。 それから、 この民家レストランの経営に 関してです。私が経験した中ではホテルで、大人が経営するんだけれども学 生がフロン���のバイトをしていたり、若いアーティストに朝晩の忙しい時間は 働いてもらい、昼は創作活動に励むというような芸術家のサポートシステムと 組み合わせたものも見聞きしたことがあります。民家レストランを運営してい く中でも、働く人も含めて若い人を集めるアイディアというのを考えていかれ たら良いのではと思います。 西村: 私は旅館をやっている者で、早稲田大学の皆さんとも、 うちの前のお風呂を 設計する時にも設計士の方ともおつきあいあるんですけれども、設計士的な 視点 と 一般の視点 とは折り合いがつかないところがあると思うんです。商 売のことから日常の生活のことまで総合的に考えられるんだけれども、実際に 住む人間の勘所と違うなと思うことがたまにある。今回の事業を成功させて いくためにも、実際商売をやっている人間の視点でやっていかなければいけ ないなと思います。 古谷: その意味でも (西村さんは)良くおつきあい頂いて、意見を交換させて頂く機 会がたくさん作って頂いたので少しでも良くなったかと思います。 まだまだこ れからなので、 どうぞよろしくお願いします。是非この機会が一過的なもので はなくて、今日こうしてできましたネットワークが今後に生かされるように是非 よろしくお願いします。 ありがとうございました。 61 |

『中山間地域で建築ができること。』 talking


質問内容 1.どのワークショップが一番印象に残っていますか?その感想。 2.今回の「中山間地域で建築ができること。 」 レクチャー+座談会についての感想。 3.中山間地域に建築ができることは、 どのような事があると思いますか?

ワークショップを終えて

提案等があればお答え下さい。 4.最後に一言!

■前田沙央里 ( 米子高等専門学校 )

■堀 寛太朗 ( 米子高等専門学校 )

1 . 建具WS

1. 建具WS

初めて建築途中の現場に入らせて貰ってとても勉強になりました!

短い時間でした。 しかし、その短い時間でみんながアイデアを出し合って、絵な

古い建具を用いて新しいものを考え出すのはとても楽しかったです^^

どで表現してプレゼンして、 さらにそれぞれの先生方に講評を受けることがで

みなさんのアイディアを聞いて自分もまだまだだなぁーと思いました。

きたからです。

2. 講師の先生方の話しはとても面白かったです。特に山代先生の出雲で

2. それぞれの講師の方々の活動の一部がわかり、勉強になりました。 それぞ

のWSの話しは興味深かったです。

れの活動に興味を持ちました。

3. 地域の人達を中心とした色々な人々の交流の場となれば良いと思い

3.民家レストランはどこにでもあるようなチェーン店ではなく、土着的なとこ

ます。私がWSで交流した地元の方々はとても温かくて、 こうした場を通して

ろを利用して、雲南の色が出ることを期待しています。 またそこに訪れた人が

そういったものを色々な人に味わってもらいたいです。

心に残る場所であることを期待しています。

4. 四日間お世話になりました!私はまだ二年生でわからない事等も沢山

4.返信が遅くなり申し訳ありません。雲南ワークショップとてもお世話になり

あったのですがとても貴重な経験が出来たと思います。 ありがとうござい

ました。 よい経験ができました。 ありがとうございました。私は普段学校で学べ

ました。

ないことができるワークショップが大好きです。今回は早稲田大学、近畿大学、 島根短期大学、呉高専、の方々とワークショップが共にでき、建築の話やそれ

■吉田千紘 ( 米子高等専門学校 ) 1. 建具WS 建具現場が印象に残っています。いろんな人のアイディアが参考になりま した。 それに一番建築らしいWSでした。

以外の話などもできてよかったです。 また雲南の方々とも交流ができ楽しいひ と時を過ごせました。食事のときには古谷先生の話を聞いて勉強になりました 。 このような人と人との交流が今後の社会を助けると私は信じています。 このよ うな貴重な機会を与えていただき本当にありがとうございました。

2. 鳥取県にある中山間地域での活動が学校や部活、同好会で出来たら 今回のWSみたいに住民の方々やその地域の学校の人達と楽しい時間 を過ごしたりとその地域を賑やかに出来る活動がしたいと思いました。

■高橋翔太朗 ( 近畿大学 )

3. 中山間地域にはつぶれてしまったお店の建物が結構あるのでそれが その地域の特徴を生かしたものになればいいと思います。例えば温泉の

1. 建具WS

近くだったら足湯とかです。農作業が終わったときなどに入ってのんびり

みんなと初めて出会って3日目に、 グループごとに話し合って、その地域で用

話などしていってほしいです。

いられている建具を使用して、新たな建物に付加していくその工程はなかな

4. 民家レストランのオープンの時に行きたいです。 それにものすごく良い

か体験できないことでした。建築家の先生にもその作業から見ていただいて、 アドバイスも頂き色んな視点から建具を考えれたことがよかったです。 2. 中山間地域で建築ができることのレクチャーでは、その地域の人々も関心 があることであり。 それぞれの先生方が、 リノベーション、町おこしみたいなこと

■寺本哲郎 ( 米子高等専門学校 ) 1 . 現場WS 他大学の方々とワークショップをする機会が今までなかったので、いろい ろな案や意見を聞け良い経験になり、何より楽しかったです!!また古谷先 生や山代先生など、滅多にお話することのできない先生方に、 自分の案を 発表し講評して頂くことができとても勉強になりました。 2. それぞれの先生方の考え方や意見を聞くことができ勉強になりました。 3.入間小学校のように古くからある学校は、その周辺の人々にとっての「思 い出の場所」 だと思います。 そういった 「思い出の場所」が使われなくなっ

を考えており、活性化させようとしている熱意が伝わってくるいい会になったと 思います。 3. 遊休化することだけでは、人が来ることは少ないと思うのですが、 自分らが このWSで観光に行った場所はとてもいい場所だと思ったのでそこの、面白さ なども交えて、体験する場所としても提案できたら、田舎で遊ぶようなのんびり とした環境に行って見たい人だっていると思うので、いい効果になるのではな いかと思います。 4.WS本当にお世話になりました。地域の方とのコミュニケーションなどは、 ほとんどなくこの機会があったおかげだと思っています。 ありがとうございまし た。

た今でもその姿だけでも残しているだけで入間小学校祭のように人々は また集まってくるのではないかと僕は思います。なので、民間レストランや 入間小学校などは周辺の人々の生活を豊かにするだけでなく、外へ出て いってしまった人たちを呼び戻し、賑わいを取り戻すきっかけになるので はないかと思います。 4. 何から何まで楽しかったです!!また機会があるならば是非参加したいで す。早稲田大学の学生の皆様本当にお世話になりました!!

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『中山間地域で建築ができること。』 a questionnaire


■亀岡果奈 ( 島根県立短期大学 ) 1. 和紙すきWS 和紙すきしか参加できなかったのですが、和紙をすいたことがなかったの でとても良い経験になりました。和紙すきは簡単そうに見えて、力が必要 だったり、両手のバランスがとれてないと失敗したりと難しかったのです が、何とかできた時はうれしく思いました。 2.参加できなかったので回答することができません。 3. 4.今回のような大きなワークショップに参加することは初めてだったので すか、他の大学の方たちと交流することができて、 とても良い経験になりま した。閉校の学校を利用したり、民家をレストランにする計画はとても良い 提案だと感じます。民家レストランが完成するのを楽しみにしております。

■板持由季 ( 島根県立短期大学 ) 1.和紙すきWS 和紙すきが印象に残っています。力の加減が分からなかったり、薄さが均 一にならない等、実際に体験してみて強いけれど繊細な和紙を扱うことは とても難しいと感じました。 2. 3. 民家レストランが田舎のちょっとした名所になり、島根県に訪れた人に 興味を持ってもらえるような場所であったら良いと思います。 4. 島根県民でありながら、雲南市に存在する魅力ある場所を知りません でした。私がさせていただいたのは2日間でしたが、普段は体験できない ようなことが体験でき、貴重な2日間を過ごすことができました。本当にあ りがとうございました。

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『中山間地域で建築ができること。』 a questionnaire


島根県雲南市 民家レストラン改修計画 ワークショップ

﹃中山間地域で、建築ができること。﹄

開催期間 : 2009.8/12 ∼ 8/15

『中山間地域に建築ができること』レクチャー、座談会 開催日時 : 2009年8月15日(土) 10:00∼12:05 開催場所: 漆仁の里交流館

『和紙すき+照明デザイン』 開催日時 : 2009年8月13日(木)、14日(金) 10:00∼ 18:00

『 雲南 民家レストランワークショプ 』企画概要

はじめに

企画①:『中山間地域で、建築ができること。』( 講師の方々をお招きしたレクチャー、座談会 ) 企画②:『和紙すき+照明デザイン』( 斐伊川和紙職人 井谷伸仁氏による和紙すき指導 ) 早稲田大学古谷誠章研究室と島根県雲南市の共同は

企画③:『建具デザイン』

2007年度の国交省「都市再生モデル調査事業」から端

ワークショップ スケジュール

を発しています。これは中山間地域が複雑な歴史社会 背景により失ってしまっているものに対して何故その 現象が起こってしまっているのかを解明し、新しい建 築像を模索する試みでした。それから3年間、古谷研 究室では中山間地域が抱える課題に対して様々な形で の建築的試みを展開してきました。

和 紙 す き

今回の民家レストラン改修計画も都市再生モデル調査

和 紙 す き + 照 明

レ 座ク 談チ 会 +

を端緒とした私たちの活動展開の一環です。

本ワークショップでは、みなさんに雲南市の土地や建

雲 南 め ぐ り

物、風土、人などの透明な空気感をそのまま体感して もらえるような実践的な内容としました。みなさんが 感じ取った 何か が民家レストランを舞台にアイデアと

和 紙 す き + 照 明

建 具 デ ザ イ ン

建 具 デ ザ イ ン 和 紙 す き

して展開されてゆくことで、「中山間地域で、建築が できること」が何なのかを模索してゆきたいと考えて います。 中山間地域が持つ新たな可能性を押し広げてゆくこと が今回のワークショップの大きな目的であり開催に至 った経緯となっています。

雲南プロジェクトの紹介

雲南市の紹介 雲南の名所

治体として一体感を高めてゆく機運が高まり、市としての魅力の底上げを図るためのブランディングプ

ロジェクト※1が発足されました。早稲田大学古谷誠章研究室は建築的な側面からブランディングをバ

三刀屋町・吉田村・掛合町の 6 町村が合併して平成 16

ックアップするという形でプロジェクトへの参画が2007年度に決定し現在は3年目を向かえています。

年 11 月 1 日に誕生しました。雲南市の総人口は 44,

地域へ滞在しながらの様々なフィールドワークや共同イベント企画、建築設計等の活動を通して 「中山

403 人(平成17年国勢調査より)。日本全国の中山間

雲南市

 島根県雲南市は平成16年11月に6町村が市町村合併し、東京23区と同規模の土地を持ちながらも 人口5万人程度にとどまる少子高齢化を向かえている典型的な中山間地域です。合併に際して一つの自

雲南市は島根県の東部に位置し、大東町・加茂町・木次町・

出雲大社

雲南プロジェクト

間地域でできること」 の可能性を広げるための活動を幅広く展開しています。

地域と同様、近年人口の減少傾向が強まっています。雲 南市では美しい農山村の風景・多様な歴史遺産・新鮮で

島根県

安全な食と農・世代がふれあう家族の暮らし・笑顔あふ れる地域の絆という「ふるさとの五つの恵み」を活かし

広島県

山口県

た地域ブランドづくりが産業振興、人口増加、財政再建 等々の諸課題解決への道しるべになると考え、平成 17

N

□全国都市再生モデル調査事業/雲南さくらまつり 2007.08∼2009.04 龍頭ヶ滝

龍頭ヶ滝は中国地方で唯一の名瀑といわれ、 日

本の滝百選にも選定されています。 滝の裏側は 「

裏見の滝」 と呼ばれ百畳敷きの岩窟があり、 自然

の作り出す珍しい造形が見られます。

        島根県雲南市と早稲田大学古谷研究室との関わりは、平成19年度内閣官房より共        同受託した 「全国都市再生モデル調査事業」 の実施に端を発しています。

       平成19年8月5日から20日にかけてのおよそ2週間、古谷研究室の学生20名が雲南

       市に滞在し、地域の様々な方々の協力を得ながら、市内の遊休化している公共施設や

       商店街等合計121箇所の現地調査、 および地域住民との協議会に参加するなどのフ

ィールドワークを行ってきました。地方中山間地域の公共施設が慢性的に疲弊・低迷してゆく課題を把

年度よりブランド化プロジェクトを推進しています。

握すると同時に、地方都市に対しある一つの建築的指針を導きだすことを目的としました。

( 引用元:雲南市 HP )

される財産を効果的に発揮できる場としてのイベントが必要であるという考えがベースとなっており、慢

 その建築的指針の一つである 「市全体でのイベント共有」 という提案は、市町村合併を機として共有

雲南市広域地図

性的に人口流出してゆく中で、人を隅々まで対流させるペー���メーカーのような役割を期待したもので

す。雲南市には元来、全国的にも有名なさくらまつりが毎年催されており、春先には桜並木の土手には 多くの人で賑わいますが、近接する商店街は依然として閑散としていました。私たち

は商店街の空き店舗を利用した仮設的な建築空間と豊な食文化をつなぐロングテ

ーブルを企画し、商店街を一時的にではありますが、 活性化させることに成功しまし

旧加茂町

斐伊川

この川が八岐大蛇 (やまたのおろち) 伝説の元に なったという説もあります。

斐伊川

た。今年度は二度目となるさくらまつりを向かえ、 より仮設性の高さを持つ持続可能 なイベントとしてゆくことを目指しました。

□多根小学校オーベルジュ改修プロジェクト 2007.08∼

        多根小学校は雲南市旧掛合町の北端に位置する多根地区という場所にある木造2        階建ての小学校で、 川や山に囲まれた豊な環境を持つ小学校です。 この小学校も人口

旧大東町

       減少の影響を受け、平成19年度に惜しまれながら閉校しました。

       2007年夏期に実施した都市再生モデル調査で示した一つの建築的指針「廃校の用

       途転用」 は、少子高齢化が進行する中山間地域の生活基盤となる地域コミュニティの 木次公民館

存続の是非が問われることにおいて非常に大きな意味合いを持っています。私たちは多根小学校を、地

シンボル農園「食の杜」

元の郷土料理が振る舞われるレストラン兼その場に宿泊ができるオーベルジュとして転用させる計画

を考え、 里帰りした人を受け入れる際の受け皿として、 あるいは田舎を体験するグリーンツーリズムの受

旧三刀屋町

け皿として、建築が人を対流させる潤滑油のような役割を期待し、 ゆるやかに地域社会が存続してゆけ

旧木次町

るための建築装置として進行させている計画です。

菅谷たたら

島根県奥出雲地方は、古来、玉ハガネを生産する

参加学生 宿泊場所 

「たたら操業」 がさかんに行なわれていました。西

クラシック島根CC

洋から日本に近代製鉄技術が導入されるまでの

湯村温泉

間、 およそ500年間は、 日本における和鉄生産地

の中心でした。

作業場所 龍頭が滝

旧掛合町 入間公民館

鉄の歴史博物館

 本計画の改修の対象となる築100年の古民家は、雲南市木次町市街地より車で20分程離れた場所

の吉田町にほど近い湯村地区という場所に位置します。湯村地区は広島と松江を繋ぐ幹線道路国道 314線上に位置しており、 出雲風土記の時代より湯治ができる温泉宿場として栄えてきましたが、 モー

タリゼーションの発達により次第に温泉宿場としての活気は失われてきました。現在は温泉宿の数は減

り、古民家に近接する湯乃上館は残っている貴重な温泉宿として、現在では全国的に有名な鄙びた温

菅谷たたら 田辺家土蔵群

関連プロジェクト 月影小学校再生プロジェクト※2

□民家レストランプロジェクト 2008.08∼

泉宿としての顔を持つと同時に地域のコミュニティの場としても重要な役割を持ち続けています。 しかし 、 周辺には食事処も少なく、 その効果に見合う施設を整備するために、近接する古民家を地域の郷土料

民家レストラン 計画地

理が振る舞われるレストランに改修しようという計画が持ち上がりました。地域の方が利用する際に必 要となるローカリティと、市外から訪れる観光客が利用する際に必要となるグロー

旧吉田町

バリティを兼ねそろえた設計を目指し、効果的に人を対流させるための装置として

旧入間小学校

完成を目指しています。今年度は古民家を舞台に段階的にワークショップを行い、

吉田小学校民谷分校 N

地域住民や運営者、大学生など広く人を巻き込んでゆき、 オープン後の利用を活性

雲南 MAP 0m

2.5km

5km

旧入間小学校 10km

明治7年創立の小学校で、平成19年度をもって 統合のために閉校しました。本ワークショップの

化させる試みを行っています。 (文責=墓田)

※ 1 雲南ブランディングプロジェクト公式HP→http://www.co-unnan.jp/                                ※ 2 新潟県上越市浦川原区の閉校した月影小学校を、法政大学/日本女子大学/横浜国立大学/早稲田大学の4大学共同で体験交流    宿泊施設として改修した計画。

作業場所および学生の宿泊場所としてお借りし

ています。

64

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『中山間地域で建築ができること。』 a guide to 2ndWS

guide to 2nd workshop


湯村民家レストラン改修計画の紹介

平面図/設計主旨

「 山 間 の 川 の ほとりにある小さな 古 民 家 」

 計画予定地となる湯村地区は、木次町の中心市 街地と広島を結ぶ国道 314 号線の途中にあり、古 くは峠の温泉宿地として栄えていました。木次の 中心市街地から 10km 離れた山間にあり、山と斐

リネン室

伊川に挟まれた谷地に位置しています。斐伊川の

宿泊部屋 A

ほとりに数戸の家が軒を連ねる中に計画予定地と なる築 100 年の古民家があります。気候の特徴と して、夏場は日差しが強い一方で、山側から吹き

「 古さ と 新しさ が融合する宿泊空間」

吹抜

 100年以上に渡って家屋を支え続けてきた小屋組な どは、伝統的要素として残し、壁などは白い壁を用い ることで古さと新しさが融合する落ち着きのある宿泊 空間を 目 指 し ま す 。

宿泊部屋 B

下ろす谷風で夏場は涼しく快適に過ごすことがで き、冬場は積雪もあり冷え込みます。斐伊川のほ とりから湧き出る湯村温泉には湯治の効果があり、 温泉宿 湯之上館 を目的とした多くの人が県内

N

外から訪れます。

二階平面図

0

1

2

5

10

水害から守るための石垣の上に木造 2 階建ての古民家がたたずむ

「 人と人をつ なぐ縁 側 空 間 」

 レストランの内側に向けられた縁側は、近くに住ん でいる人のだんらんの場所となります。レストランに 遠方から訪れた人にとっては食を堪能しながら雲南の 魅力を 伝 え 聞 く 格 好 の 場 所 に な り ま す 。

デッキ 駐車場

1 階の食堂となる予定の部屋。開放的な雰囲気を持つ

予定では宿泊部屋となる 2 階。連窓からは川が望める

民家レストラン 3つのコンセプト 厨房

0 1   湯 村 の 茶屋

管理人室

湯村がもつ豊かな観光資源を繋

「人の顔が見渡せる開放的な食堂空間」

ぐ茶屋としての役割。

 玄関を入ると奥まで見渡せる開放的な食堂空間が広 がります。土間に配置されたテーブルは分節されてい るため、状況に応じた自由なレイアウトが可能で宴会 など の 席 も 設 け る こ と も 可 能 で す 。

カウンター

0 2   歴 史 を 残す

座敷

食堂

民 家 レ ストラン

民家が古くから受け継いできた

玄関

家具や建築の柱は、出来るだけ テラス

残す。

0 3   ま ち の あかり

湯乃上館

湯村というまちを賑わすあかり

「風と川を感じる気持ちのよいテラス空間」

N

のような存在として。

湯村にある観光資源を繋ぐ茶屋

歴史ある家具を保存する

コン セ プト 0 2 歴 史 を の こす

一階平面図

0

1

2

5

10

 川に面したガラス戸は全面開放できます。夏場の暑 い日には全てのガラス戸を開け放つことで、涼しい谷 風が山側から川側へと流れ、風と川を感じる気持ちの よい テ ラ ス 空 間 に な り ま す 。

企画:和紙すき+照明デザイン

参加者紹介 呉工業高等専門学校

早稲田大学(古谷誠章研究室)

島根県立短期大学

2009.08.13(木)、14(金) 10:00∼18:00 旧入間小学校

黒川 智章

稲垣 淳哉

亀岡 果奈

坂本 拓実

梶田 知典

板持 由季

この企画では和紙職人の井谷さんをお迎えして、 オーベルジュの耐力壁に貼る和紙を漉きます。 それと同時に井谷さんの職場へ伺い、障 子大の和紙漉きや和紙小物の工作などを予定しています。和紙を使った小物としてオーベルジュで実際に使われる照明のデザインをス タディする予定です。

小田 耕司

墓田 京平

高田 彩香

伊坂 春

米子高等専門学校 堀寛 太朗

小谷 至己

野海 彩樹

角 隼人 前田 沙央里 吉田 千紘 寺本 哲郎

02.枠を被せたまま和紙の原料を注いでいく。勢い良く注ぐ と穴ができるので注意。 一回で全体に行き渡らなければ、 2回、3回と注ぐ。

高橋 翔太朗

西野 安香

嶋田 恭平

和紙の漉き方

近畿大学 (小川晋一研究室)

伊藤 周平

山本 航一

講師の方々

小堀 祥仁

山代 悟

寺岡 純

江角 俊則

01 01.紙コップに和紙の原料(量:うずらの卵より少し大きめの 玉)を入れ水で溶く。 水はコップに一杯こぼれないように。

龜谷 清

砂場 雄一朗

02

高増 佳子

03

03.枠に、 まんべんなく原料が行き渡ったら、水が滴り落ちる のがなくなるまで待つ。(約1∼2分) 枠を外し、 網をひっくり返してタオルの上にのせる。 タオルに押し付けて、少々脱水してから網を外す。 04.和紙を上からもタオルで押し付けて、 ある程度脱水した ら、慎重に手でタオルからはがして、 ガラス等の平滑な面に張 りつけて乾かす。 *トロロアオイを混ぜておくと流れやすいので揺すって均質 にすく事が出来る。

古谷 誠章

持ち物リスト

出雲大社拝観マナー

1. 参加費2000円+食費・現地までの交通費別途

8月15日レクチャー終了後、現在改修工事が進められている出雲大社大屋

布団代、イベント保険、最終日の食費込み、宿泊費は無料です

根の見学を予定しています。 服装制限が非常に厳しいので、服装徹底のほどよろしくお願いします。

2. WS時の作業着 

*漉く途中で失敗したら、 またコップに戻して水で溶けばもう一度漉き直せます。

和紙の使われ方イメージ

■服装について

汚れても良い服装をご持参下さい

御本殿は信仰上、特別な場所であります。服装は下記を厳守して下さい。

3. 出雲大社拝観時の衣服 ■拝観可能な服装

出雲大社拝観マナーを御参照ください

襟付・袖付シャツ(半袖可)・長ズボン・長スカート・靴

4. 洗面セット一式 ■拝観不可な服装

石けん、シャンプー等が備えられていない入浴施設もあります

Tシャツ・トレーナー・ジーンズ・ジャージ・カーゴパンツ・短パン・短

5. その他 (タオル、軍手、はさみ)

いスカート・スパッツ・作業着・サンダルミュール・ハイヒール・素足な

WS作業時に使用します

ど軽装もしくは足下が危険と判断される服装

参加学生宿泊場所:旧入間小学校 住所:島根県雲南市掛合町入間 499-1 講師宿泊場所:島田旅館 住所:雲南市掛合町掛合1084-2 TEL:0854-62-0007 連絡先:ワークショップ代表者 伊坂 春   TEL:090-3530-9106/E-MAIL: isakaspring@yahoo.co.jp 早稲田大学助手 稲垣 淳哉  TEL:090-2949-3251/E-MAIL:j-i-3565@wb4.so-net.ne.jp 主催:早稲田大学理工学術院 創造理工学研究科 建築学専攻 古谷誠章研究室 協賛:NASCA 協力:雲南市役所・雲南市木次町漆仁自治会・雲南市の方々・ 有限会社 伊達建設  入間地区コミュニティの方々・農業法人らくらく会・井谷 伸次 編集:國分 足人・墓田 京平・山本 航一・小堀 祥仁 編集協力:伊藤 周平・金光 宏泰・野海 彩樹

65

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『中山間地域で建築ができること。』 a guide to 2ndWS

(上) 民家レストランの壁紙に実際に張りつけられた和紙のイメージ (左) 照明デザイナーによる和紙のランプシェード(参考イメージ)

04


third workshop 09.12.12-12.13 『雲南とつくるレストラン。 』 現場施行中ワークショップ


09.09.19オーベルジュ雲南 工事中

09.04.04

09.06.29

09.08.14

09.04.04

09.08.13

08.04.16

模型写真 : オーベルジュ雲南 計画予定地 旧木次町 湯村温泉付近と斐伊川

09.06.29

09.08.12

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09.06.29

09.11.04オーベルジュ雲南 工事中

09.04.04

08.04.17

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08.04.17

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09.08.13

09.08.13

09.09.08

09.04.05

09.06.29

企画①『お茶会』 オープンに先駆けてオーベルジュ雲 南の中で簡単なお茶 会を催します。店内の土間に腰かけて、お 島根県雲南市木次町湯村地区 築百年古民家改修プロジェクト 開催場所:オーベルジュ雲南(島根県雲南市木次町湯村1336 湯乃上館隣) 参加費 : 無料 早 稲 田大 学 建 築 学 科 古 谷 誠 章 研 究 室では2 0 0 7 年 以 来 、都 市 再 生プロジェクト※1を始まりとして雲 南 市と関って参り

茶を飲みながら他の企 画と、完 成に向かっていくオーベルジュの姿を間 近でご覧ください。会 期中はいつでも参 加できま すので、ご家族と、お知り合いの方と、お気軽にお越しください。飲食物の持ち込みも歓迎しております。

企画②『絵はがき作り』オーベルジュの好きな所をデジタルカメラで撮 影 、その場で印 刷して絵はがきを作り、ま だオーベルジュのことを知らない方たちにご紹 介して頂きたいと思います。この機 会にお知り合いにお手 紙を送ってみて はいかがでしょうか?

ました。その一 環として市内旧木 次 町に現 存する築 百 年の古 民 家を改 修し、オーベルジュ( 宿 泊 設 備 付きレストラン)へと

企画③『まちのあかり』1 2日の1 7 : 0 0 ∼ 1 9 : 0 0にかけて、学 生が作 成した照 明の笠を使ったあかりをオーベルジ

再 生させる計 画を実 施しており、3月上 旬のオープンに向けて工 事を行っております。その完 成を間 近に控えた本ワーク

ュへ導く道しるべとして点々と灯していきます。オーベルジュが 湯 村のまちを、より一 層 賑わすきっかけになってほしいと

ショップでは、セルフビルド※2などの参 加 型ワークショップを通じて住 民の皆さまをはじめとた方々と一 緒に、地 域に根

いう思いを込めるのと同時に、みなさまにオーベルジュの夜 景も楽しんで頂きたいと思います。その他にも、学 生による和

付いたオーベルジュ作りをしたいと考えています。

紙を使った照明の笠や、古い建 具を利用した家 具の作成も行っています。お気軽にお越し下さ���。

※1 国 土 交通省より委 託された都 市 再 生モデル調 査を雲 南 市と共同で行ったプロジェクト。市内で遊休化した公有施設を巡り調 査を行った。 ※2 業 者 等に発 注せず、使い手自身で建 築すること

主催:早稲田大学古谷誠章研究室+NASCA 協力:雲南市/楽々会/照明デザイン事務所 S.L.D.A お問い合わせ:早稲田大学古谷研究室 t el : 03-5286-3133 m ai l : unnan.p j@gm ai l .com ワークショップや古谷研究室都市再生プロジェクトに関する詳しい情 報は、ブログにて随時更新しております。 是 非一度ご覧下さい→


2009.12.12(土)∼12.13(日)

企画内容

スケジュール

地方地域と、建築の関わり方を考えるため、4つの企画構成から成るワークシ ョップを行います。地元の、高校生や大学生と一緒に3泊4日寝食を共にしな がら、建築家の方々との座談会や、 オーベルジュで使用する和紙や照明つくり を行いました。

12日WS内容 : 吹き抜け照明設置        照明シェード作成 まちのあかり

絵はがき作成

お茶会

13日WS内容 : 照明シェード設置        耐力壁和紙貼り

厨房 管理人室 スタッフルーム

オーベルジュU nna n

絵はがき作 成

土間席 座敷席 座敷照明設置

シェード作 成 吹き抜け照 明 設 置          

耐力壁 和 紙 貼り

テラス席 お茶会

キンモクセイ

シャワールーム 宿泊室1 2 階 客 室目隠し

2 階 客 室目隠し 宿泊室2

吹き抜け

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『雲南とつくるレストラン。』 schedule


2009.12.12(土) 10:00∼16:00 オーベルジュ雲南

企画内容 セルフビルドの一環として、オーベルジュ開店後に実際に利用される照明 の、特にシェードを作成する企画です。基本となる型枠や材料などを用意し て、ペンダントライト・スタンドなどの4種類のシェードを作成し、取り付けま で行いました。 また、 シェードを利用したインスタレーションも行いました。

照明シェード作り ■シェード作成手順

薄く均 等 に

フレ ー ム( φ 1 5 0 )× 2

キャッチ( φ 1 0 0 ) ロック × 2

ス テンレ ス ワイ ヤ ー

フック

針金

ポリプ ロピレ ン

和紙

0 .材 料 の 確 認

1 .材 料 の 切り出 し

シェ ード を 作 る に あ た って 上 記 の も の が 必 要 に なりま す 。材 料 に は 限 りが あ る の で で き る だ け 無 駄 遣 い し な い ようにしましょ う。

型 紙 に 合 わ せ て 下 地 の ポ リプ ロ ピ レ ン と 、和 紙 を カ ットし ま す 。下 地 は 扇 型 × 3 、帯 × 1 。和 紙 はド ー ナ ツ 型 と 帯 が 1 つ ず つ 必 要 に なりま す 。切り出 し たら 、フレ ー ムと キャッ チ の 縁 に 接 着 剤 を ぬり、ま ず 扇 型 の 下 地 を 1 枚 だ け 接 着 しま す。

ロックを 通 す

ペン チで 潰 す

5 . 下 部 フレ ー ム の 固 定と 和 紙 貼り

4 . 落 下 防 止 ワイ ヤ ー の 作 成と 固 定

円 筒 に は め るようにしてもう一 つ の フレ ー ム も 接 着 剤 で 固 定 し た あと 、今 度 は 和 紙 を 貼 って い き ま す 。先 に 帯 の 長 手 方 向 に 細 い 両 面 テ ー プ を 貼 って お き ま す 。そ の 後 、上 下 少 し ず つ 紙 が 余 る ように 下 地 に ス プ レ ー の りで 貼 り 付 け て い き ま す 。余 っ た 部 分 は 折り込 んで フレ ー ム に 接 着 しま す。

ス テ ン レ ス ワイ ヤ ー 、ロック、フックを 使 って 落 下 防 止 ワイ ヤ ー を 作 りま す 。ワ イ ヤ ー を ロック に 2 重 に 通 し 、ペ ン チ など で 潰 し て 固 定 しま す( ※ 潰 し 方 が 弱 い とワ イ ヤ ー が 抜 け てしまうの で 注 意!)。片 方 は フ レ ー ム に 、他 方 は フック に 固 定 し ま す 。照 明 の 種 類 に よ っ て 固 定 す る 位 置 が 違 うの で 担 当 に 確 認 し てくだ さい 。

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『雲南とつくるレストラン。』 lighting shade workshop


3.側面の接着

2 . 上 部 フレ ー ムと キャッ チ の 固 定

扇 型 を 目 安 とし て 、フ レ ー ム と キ ャッ チ を 針 金 で 固 定 し て い き ま す 。最 終 的 に テ ン ション が 効 か なくて は い け な い の で 、少 し だ け 遊 び を 残 し て お き ま す 。同 様 に 3 枚 の 下 地 と 3 本 の 針 金 を 使 っ て 固 定 し ま す 。上 の 写 真 の 状 態 に な っ た ら 、針 金 を 適 度 に 捻 って テン ション を 効 か せ てくだ さい 。

つ づ い て 、帯 の 下 地 を 接 着 剤 で 接 着 し ま す 。傾 か な い ように 気 を 付 け てくだ さ い 。円 筒 状 に 出 来 た ら 、重 な る 部 分 に も 接 着 剤 を 塗りし ばらく押 さえつ け てしっ かりと 固 定 しま す。

6 .仕 上 げ

7 . 完 成!

最 後 に 扇 型 の 下 地 の 上 に 、ド ー ナ ツ 型 の 和 紙 を 貼りま す。これ も 内 側 に のりしろ が あ る の で 、こちら は 接 着 剤 で 折り込 ん で 固 定 してくだ さい 。あと は 毛 羽 立 った 部 分 を 糊 など で 整 えま す。

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見 た 目 を き れ い に 整 え た ら 照 明 シェ ード の 完 成 で す 。お 疲 れ 様 でし た! ( 照 明 の 種 類 によって は この 後 にも 処 理 が 残 って い ま す )こ の シェ ード は 1 2 日 の イ ベ ント『 ま ち の あ か り』に 使 わ れ 、そ の 後 は 実 際 に オ ー ベ ル ジュで 使 用 され ま す。

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『雲南とつくるレストラン。』 lighting shade workshop


ワークショップ 開催前 [外観]

[より以前の様子] 3.民家としての状態 4.2009年9月 5.2009年11月

[内観]

3

4

[細部] 1座敷照明  設置前 2吹き抜け照明  設置前

2

5

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『雲南とつくるレストラン。』 before


ワークショップ 開催後 [外観]

[その他] 3.夜の外観 4.座敷からの様子 5.吹き抜けを見上げた様子

[内観]

3

4

[細部] 1座敷照明  設置後 2吹き抜け照明  設置後

2

5

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『雲南とつくるレストラン。』 after


preview party 10.04.02 『はじめまして。 オーベルジュ雲南。 』 内覧会


2010.02.15

2009.09.11

09.08.13

2009.06.01

オーベルジュ雲南

2010年4月中旬 open予定

さくらまつり 2010

4.3(sat)∼4.4(sun)

『 はじめまして。オーベルジュ雲南。』〜オープン直前内覧会〜

2010.4.2(fri) 15:00〜 島根県雲南市木次町湯村地区 築百年古民家改修プロジェクト 開催場所:オーベルジュ雲南 ( 雲南市木次町湯村1318-1 出雲湯村温泉 ) 早稲田大学建築学科古谷誠章研究室では2007年度以来、都市再生プロジェクト※1を始まりとして雲 南市と関わって参りました。その一環として出雲湯村温泉に現存する築百年の古民家を改修し、オー ベルジュ(宿泊設備付きレストラン)へと再生させる計画を実施しており、4月中旬のオープンに向け て準備しております。そのオープンを間近に控えた本内覧会では、セルフビルド※2などの参加型ワ ークショップを通じて、完成まで関わって頂いた先生方、学生のみなさまなどと一緒に、オーベルジ ュを見学して頂ければと思います。同時に、完成に至るまでの過程やワークショップを振り返り、地 域に根付いたオーベルジュにしたいと考えています。

企画① 『内覧会』 15:00〜 オープン直前のオーベルジュ内、1階レストランや土間席、2階の宿泊場所等を見学して頂ければと 思います。みなさまとつくったオーベルジュ雲南が完成しております。お気軽にお立ち寄り下さい。

企画② 『設計説明』 16:00〜 みなさまにより深くオーベルジュを知って頂ければと思い、設計説明と完成に至るまでの過程やワー クショップを振り返ります。 またオープンを記念して、店内で立食会を催します(*会費制)。オーベルジュ雲南で、風土・食の 幸を一足早くご堪能下さい。 ※1 国土交通省より委託された都市再生モデル調査を雲南市と共同で行ったプロジェクト。市内で遊休化した公有施設を巡り調査 を行った。

※2 業者等に発注せず、自ら建築すること 主催:早稲田大学古谷誠章研究室+NASCA 協力:雲南市/楽々会/株式会社 LAUT お問い合わせ:早稲田大学古谷研究室 tel : 03-5286-3133 mail : unnan.pj@gmail.com ワークショップや古谷研究室都市再生プロジェクトに関する詳しい情報は、ブログにて随時更新しております。 是非一度ご覧下さい→


2010.04.02(金)

企画内容

内覧会

オープン直前のオーベルジュが完成に至るまで関わってきて頂いた、先生方 や地元の学生、早稲田学生を対象に、内覧会を行いました。当日は、今までの ワークショップを振り返り、 オーベルジュの設計について古谷から説明、その 後立食会を催し、一足早くレストランの味を堪能しました。

完成直前のオーベルジュ外観

2階吹き抜けから土間席を見る

縁側

立食会

2階宿泊室

土間席

テラス席

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『はじめまして。オーベルジュ雲南。』 a preview party


完成

箱階段は、玄関の棚と2階の宿泊室への階段として機能する

手前のテラス

2階客室

橋から全体を見る

客室から斐伊川を眺める

玄関の箱階段

座敷

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オーベルジュ雲南完成 perfection of orberju unnan


企画内容 内覧会と同時期に行われた、 さくらまつり2010。 さくらまつり会場内で発売し た、 ミヤザキケンスケさん作成のポストカードと一緒に同封したはがき広告。

広告はがき

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完成前ポスター advertising postcard


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雲南市へのメッセージ message


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雲南市へのメッセージ message


編集後記  主に2009年度中に行われたオーベルジュ雲南にま つわるワークショップの経過をまとめ、 このように一つ の区切りとして皆様に報告書を上梓出来ることを大変 喜ばしく思います。

 2007年度から始まった古谷研究室と雲南市との関 わりですが、 このオーベルジュ雲南を以て初めて両者 が結実し、 また様々な方々のご協力も賜りながらカタ チあるものを生み出すことができたと感慨に浸ってお ります。古谷研究室としては、単なる一つの建物のデザ インにとどまるのではなく、 この建築に地域としてどの ような意味を付与してゆけるか、今後どのような活動 の礎となるか、 という事を模索しながら一連のワーク ショップを計画してきました。

 当冊子の編集に携わりワークショップの内容を振り 返ることで、我々の活動客観的に捉え直す機会を得る ことができました。今後も古谷研究室が雲南市とお付 き合いをさせて頂く上で、後世にとっても手がかりとな る資料となることを切に望みます。 また、 これを以て全 てが完成というわけではなく、竣工後の現在も裏庭の 整備計画等が進行中です。建築を学ぶ我々に貴重な 機会を与えて下さっていることに感謝致します。

 繰り返しにはなりますが、当ワークショップに関わり 尽力してくださった多くの方々に、心からのお礼を申し 上げて結びの言葉としたいと思います。本当にありが とうございました。

伊藤 周平 早稲田大学大学院 創造理工学研究科 建築学専攻 古谷誠章研究室 オーベルジュ雲南設計・監理担当

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編集後記 epilogue


参加講師 江角 俊則  [一級建築士事務所江角アトリエ/島根県立大学非常勤講師 米子工業高等専門学校非常勤講師] 龜谷 清   [ナック建築事務所代表取締役 /米子工業高等専門学校非常勤講師] 高増 佳子 [米子工業高等専門学校准教授] 古谷 誠章 [早稲田大学教授/一級建築士事務所NASCA代表] 山代 悟   [東京大学大学院建築学専攻助教(2009年8月時点) /ビルディングランドスケープ主宰] (*敬称略/50音順) 

協力 井谷 伸次  [斐伊川和紙] 澤田 隆一 永沢 美紀 [SLDA ( Sawada Lighting Design and Analysis )] 利島 芙貴 [東広島市役所] 中村 勝己  [広島女学院大学・大学院 非常勤講師/近畿大学工学部建築学科非常勤講師/中村勝己建築設計事務所] 西宮 善幸  [国立呉工業高等専門学校 建築学科 教授/西宮善幸建築設計事務所] (*敬称略/50音順) 雲南市役所/楽々会/株式会社 LAUT/NASCA/雲南市の方々/ 有限会社 伊達建設/雲南市木次町漆仁自治会/入間地区コミュニティの方々

参加学校 呉工業高等専門学校 国立米子工業高等専門学校 島根県立短期大学 近畿大学 小川晋一研究室  早稲田大学 古谷誠章研究室

編集 早稲田大学大学院建築学専攻古谷誠章研究室 伊坂 春 伊藤 周平 國分 足人 小林 玲子 小堀 祥仁 寺岡 純 矢尻 貴久

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クレジット credit


オーベルジュ雲南ワークショップに関する報告書