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IT エンジニアのためのキリスト 教入門 (下) 岡


IT エンジニアのためのキリスト教入門

目次 第5章

信仰の更なる理解のために

#DEFINE = 言葉の定義

文字化け=聖書のデコード

契約=神の約束

エージェント=聖霊

FREE=恵み

「恵みによる救い」への疑問

第6章

教会の礼拝を知ろう

フレームワーク=礼拝

再起動=バプテスマ(洗礼)

シェアウェア=献金

SNS=聖餐

第7章

クリスチャン-この不思議なる生き方

OS=人生の土台

ID=自分は何者か

クラウド=天の宝

パスワード=JESUS

テスト=試練

信仰の状態

不正コピー=偶像

サポート=神の助け

上巻「キリスト教とは何か」目次 第1章 神と聖書 第2章 聖書のいう罪 第3章 神はいかに人を救うのか 第4章 応答としての信仰

※ 本書における聖書の引用は新改訳聖書(第 2 版および第 3 版)によります。 ※ 本書中のハイパーリンクは外部サイトです。リンク先を表示するにはインターネット 接続環境が必要です。またリンク先がなくなっていたり、内容が改変されている場合 2


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もあることをご了承ください。

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下巻

第5章 1

信仰にある生き方

信仰の更なる理解のために #define = 言葉の定義

ここからは、キリスト教信仰について少し掘り下げて取り上げます。教会の礼拝に出席す ると目にするであろういくつかのトピックについても解説していきます。 #define MaxNumber 1000 char mystring[100]; dim phase as Integer 上記はそれぞれ C や VisualBasic での定数や変数の定義です。プログラミングで、定義 は重要です。定数や変数を定義せずに使用すると、暴走やフリーズなど致命的な障害を引 き起こしかねません。そのため現在の開発環境では通常、未定義の変数はビルド時に警告 してくれるようになっています。 未定義の変数が障害を引き起こすのは、コンピュータがそれらを正しく解釈できないから です。正しくというより、正しいかどうかは人間が決めることで、コンピュータは定めら れたデフォルトの形で処理しようとします。そのためしばしば、プログラマの意図とは違 った動きをしてしまう、ということです。 さて、言葉の定義をしっかりしないといけないというのは、何もプログラミングの世界だ けのことではありません。日常生活でも同じです。でも私たちがいつも厳密に言葉を定義 して使っているかというと、これはかなり怪しいですよね。特に新聞やテレビなどのマス コミを賑わしたり流行している言葉は、意味がよくわからなくてもそれを使っていれば通 じたような気になります。「今さら聞けない××」というタイトルの本が売れるのも、そん な定義をしっかり考えなかった穴埋めをしたい人がたくさんいるということなのでしょう。 信仰の話をする上では、言葉の定義はさらに重要です。 学生の頃、違う宗派のクリスチャンと「天国」の話をしていたときのことです。どうも話 がかみ合いません。そのうち相手が、急に合点がいったようにこう言ったのです。 「なんだ、君は天国が本当にあると思ってるんだね!?」 これにはお互いに本当にびっくりしたものです。その人は天国を実際の天の国ではなく、 人が心の中に持つ平和な状態と捉えていたのです。道理でかみ合わないわけです。同じ「ク リスチャン」で同じ「聖書」を読んでいるのに、天国の理解はまるで違いました。「同じ」 4


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ではなかったのです。愕然としました。自分にとって当たり前に思っていたことが、そう ではないと気づかされたのです。言葉の定義を合わせてからでないと、通じる話ができな いと強く思った出来事でした。 また、会社で別の部署の人と話をしていたときのことです。相手が DSP について説明し ていました。 「この DSP はメモリが少ないので・・・」 「この DSP は USB 出力も備えていて・・・」 私は不思議に思いました。DSP は Digital Signal Processor(デジタル信号処理装置)の ことですが、演算性能のことならともかく、メモリや入出力は DSP の機能とは関係ないの では、そう疑問に思いながら説明を聞いていると、どうやら「DSP 付き RISC」のことを 言っているのだ、とわかりました。それで話が通じました。同じ会社なのに部署間で、と いうより製品分野で用語の使い方が違っていたわけです。これでもし値段の話にでもなっ たら、「なんでDSPがそんなに高いの?」ということになるはずです。 信仰の話の場合ではどうでしょう。そもそも「神」という言葉からして、十人いれば十通 りの定義が返ってくるのではないでしょうか。ですから、 「あなたは神を信じていますか?」 「ええ、信じています。 」 と言ったところで、両者が同じことを意味しているとは限りません。いえ、同じ可能性は ほとんどないと言えるでしょう。 言葉は、サンタクロースが背中に背負っている大きな袋の中身を要約して言うようなもの です。 「ここにはおもちゃが入っているんだ。」 それを聞いた人が、「おもちゃ」という言葉から袋の中身を正確に再現することはできま せん。一番確実なのは一つ一つ挙げていくことですが、日常会話の中でそんなこともして いられませんし、する必要もないでしょう。言葉はうまく使えば便利なものです。私たち は言葉の便利さと限界の両方をよく認識した上で使う必要があります。 もしお互いの間に、ある程度の共通認識があるなら、話は効率的に進みます。先ほどの「神」 にしても、同じ教会の人同士ならほとんど同じことを意味していると考えられます。でも、 例えばネットの質問掲示板でなら、まず同じことはありません。これがネット上での信仰 についてのやり取りで難しいところです。まず、土台となる言葉の意味を合わせるところ からしなければなりません。慎重に進める必要があります。 本書を SE やプログラマといった IT エンジニア向けに書いているのは、そういう人たち 同士で通じる言葉があるでしょうから、それを土台にして未知のキリスト信仰について理 解してもらいたいからに他なりません。 (もちろんエンジニアでない方を排除しているわけ ではないのですが)

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著者紹介

岡崎

道成(おかざき

みちなり)

1966 年、仙台市にてクリスチャン家庭に生まれる。名前はヨハネによる福音書 14 章 6 節の文語訳「我は道なり」にちなんだもの。1982 年練馬バプテスト教会(練馬区、日本 バプテスト教会連合)で受洗、1991 年九州芸術工科大学(現・九州大学芸術工学部)音 響設計学科卒業。東京都在住。家族は妻と 1 男 2 女。都内のメーカーに勤務しソフトウエ ア開発やプロジェクトマネジメントに従事、現職。2000 年まで短波ラジオ KTWR のキリ スト教番組「この指とまれ」でラジオドラマシナリオを手掛ける。趣味は自転車通勤、読 書、物書き。現在、東京聖書教会(目黒区、単立)に所属。 筆者のブログ「SEによるキリスト教入門」 (http://nery.cocolog-nifty.com/christforse/)では、本書 の元となった連載記事や、聖書の章要約、映画評、オリジナル作品などを掲載しています。 またツイッターアカウント @okazakineriman も展開中です。

この書籍には著作権があります。無断で複製・配布を行わないでください。 発行日

2011 年 6 月 1 日

著作権者:

岡崎

発行社

ホープ・イーブックス

道成 http://ebible.jp/books/

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for IT engineer to know bible