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他 人と自 分 を比 べることなく、自 分らしい 生 活 を 楽しんで! OB/OG no.6

石原 愛美

2011

 新しい環境で一番苦労したのは英語での コミュニケーションでした。新たな進学先 の大学院、留学先ともに外国人の先生に師

  2 011年 学 部 卒 / 佐 藤 光 彦 研 究室

事しているので、もちろん全てを英語で話

→東京藝術大学大学院

すことが求められます。言語の難しさもそ うですが、日本語を使わずに自分の建築的

→リヒテンシュタイン 大 学 留 学

思考を表現しようとする時、今までいかに 建築学生の中だけで使っていたような、曖

    究室を選ぶ時、設計系の研究室に

学 部 4 年 生 で 行っ た 研 究 室 旅 行 に て。中 央 が 石 原 さ ん 。

    行きたいとは思っていましたが、

昧な日本語の表現に頼っていたのかという ことに気づきました。彼らにはそのような

どこにしようかとても迷いました。研究室

 今までは建築設計という分野で共に学ぶ

日 本 語 独 特 の ニ ュ ア ンス が 通用 し な い の

の先輩や同期の顔ぶれも気になりました

友人や先生との議論が中心でしたが、最近

で、自分の思考をいかに明確かつ的確な英

が、最後は自分がどの研究室で何を学びた

は他領域の分野で活動する方々との議論な

語の言葉に整理して伝えるのかということ

いか、そのためにはどの先生に師事するこ

どに以前よりも時間を多くとるように心が

が、自分自身の良いトレーニングになって

とが最適なのかを考え続けました。そして

けています。なぜなら今までの建築学科で

います。

何よりも先生自身の作品に興味を感じ、そ

の生活において、同じ建築畑の人たちの中

の創作の起点にある感性を身近に感じてみ

でなされてきた議論がしばしば社会の需要

 皆さんと同じように将来に疑問を持って

たい。そういう気持ちから佐藤光彦研究室

から乖離してしまったり、それらがある種

いる一上級生として、今の学生生活や研究

を選びました。

の神話性を帯びてしまうことに疑問を感じ

室選びなどに迷いを感じている学生のみな

た か ら で す。他 分 野 の 方 と の 交 流 を 介 し

さんに伝えられることがあるとすれば、他

 私は学部を卒業後、東京藝術大学の大学

て、一歩離れて建築を客観視することで、

人と自分を比較することを一切止めること

院へ入学しました。そして、今は大学院の

これから日本で社会に出る上での自分の役

だと思います。私自身、学部生だった当時

卒業を控え、これから社会へ出て行くこと

割を考えるきっかけになりました。

は、相当な負けず嫌いだったこともあり、

について、不安を持っています。なぜなら、

  

特に設計課題の際には常に周囲の友人と自

これからの建築家がどのようにふるまい、

 今、私はスイスの隣国、リヒテンシュタ

分を比べてしまうクセがありました。日大

社会に貢献できるのか、従来のような「建

インという国で交換留学生として1年間勉

理工の建築学科は学生数も多く、常に友人

築家」としての身の振り方、働き方が、震

強しています。国際色豊かな環境で建築を

や先輩後輩と切磋琢磨し合える、素晴らし

災以後、今後も大きく変わっていく社会の

学ぶことで、現在の日本を客観視すること

い環境だと思いますが、常に他人と比較し

仕組みに適合し得るものなのか、というこ

ができるのではないかと考え決断しまし

てしまいがちだった私にとっては、その状

とに疑問を持ち始めたからです。そして次

た。一方で、日本を離れ、日本の社会と切

況が自分自身にプレッシャーをかけていた

世代を担う私たちが「建築家」として要求

り離されることでブランクができるので

ことも事実です。多くの学生がいるからこ

される本当の職能は何か、ということを常

は、と不安もありましたが、自分自身の思

そ、多様な建築的思考や将来の展望などが

に意識するようになりました。

考の整理や設計技術の進歩のためには、学

生まれます。そのことを今、皆さんが置か

生生活の1年間を留学生として海外で過ご

れている環境の最大の利点だということを

すことは良いのではないかと思いました。

認識して、人と比べず確固とした自分自身

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を持つことが、これからの社会や異なる環 境に身を置いていく上で重要になっていく のではないかと感じています。自分らしさ を常に忘れず、今しかできない生活をのび のびと楽しんでください。

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2014 生 徒 の 8 割 は 他 国 か ら の 留 学 生 。み ん な で 集 合 写 真 を 。前 列 、左 か ら 2 番 目 が 石 原 さ ん 。

years

since I graduated.

4

日本大学理工学部建築学科学内誌「駿建」2014年4月号  

「駿建」2014年4月号 特集:あれから○年 卒業生たちの今

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