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Portfolio


坂 涼平(おおさか りょうへい) 〈Profile〉 1997 年

大阪府に生まれる

2013 年

大阪府立大学工業高等専門学校          入学

2015 年

大阪府立大学工業高等専門学校 都市環境コース  配属

2018 年

大阪府立大学工業高等専門学校 都市環境コース  卒業

2018 年

関西大学 環境都市工学部 建築学科    2年次編入

2020 年

建築環境デザイン研究室(江川直樹教授)      所属

〈Skills〉

〈Work Experience〉

illustrator

★★★★☆

2016 年

Ms 建築設計事務所(三澤文子主宰) インターンシップ

Photoshop

★★★☆☆

2018 年∼

Ms 建築設計事務所 アルバイト(模型製作・図面補助)

Auto CAD

★★★★☆

Archi CAD

★★★★☆

〈Qualifications〉 2016 年

測量士補  合格

2019 年

2級建築士 取得


〈Contents〉 p3 14

01 子どもは風の子、元気な子

p15 26

02 出会いは偶然

p27 38

03 ゆるく つなぐ

p39 40

others 設計製図Ⅴ アトリエ課題

p41 44

others NEXTA 19 出展作品

p45 46

others 八木ラボ

p47 50

others 卒業論文


01 子どもは風の子、元気な子 現在の子どもたちは昔の子どもたちと違い 外で遊ぶ機会が少なくなっている.そこで, 「子どもは風の子,元気な子」というように 外で遊び回ることができ,こどもたちが風を 感じることができるこども園を提案する.

設計製図Ⅳ こども園課題 三回前期(2019/4 6)



▪ S i te

敷地は大阪府北部に位置する吹田市。また、敷地は千里ニュータウンに

敷地ははぎのき公園の一角に位置する。池が公園の大部分を占め、

位置する。そのため周辺には住宅街が広がる静かな場所である。

高い木が公園の周りを囲んでいる場所である。

敷地周辺はマンションなどが建ち並ぶ

高い木がや草花が公園の周りを囲んでいる

公園には池があり日がよく当たる


▪ S i t e S u r ve y

3

25

日 射 量

20 2

15

北西

10

1

北東

5

0

35

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3月

0

100

30

4

5

6

7

8

9

湿

10

11

12

1

2

3月

80

南西

60

15

南東 南

40

カーム 24.2%

10 20

5 0

25 20

西

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3月

0

4

5

6

7

8

9

10

11

12

1

2

3月

吹田市北消防署局 線種

項目

単位

平均風速

0.1m/s

風向頻度

敷地ははぎのき公園の一角に位置する。池が公園の大部分を占め、

この気象データは 2017 年度の敷地近くの吹田市北消防署局のデータである。

高い木が公園の周りを囲んでいる場所である。

風速は平均して 1 2m/s 程度の風が吹く地域であり、春夏は北東、秋冬は西から風が吹く地域である。 この地域では心地の良い風が一年を通して吹くため、この風を用いた設計を行う。

%


▪ C on c e p t ▪1

近年、外で遊ぶ子どもが減り、家の中で遊ぶ子どもが増えている。

▪3

外で思いっきり走り回れる環境を整え、雨でも遊べるような空間を形成する。

▪2

外で遊ぼうとしても様々なことが禁止された公園が増え、遊具も少ない公園が多い。

▪4

壁柱を用いて教室を区切り、また物陰に隠れることができるような空間を作る。 そして、風は吹き抜けるようにすることで半屋外空間を作り出す。


▪ C on c e p t

▪1

敷地に吹く 2 方向の風(春夏・秋冬)

▪2

春夏に吹く風を取り入れるよう壁を 配置

▪3

▪4

▪5

壁にそって風が間を流れていく

秋冬の寒い風を受け流すよう建具を

教室には寒い風は入らないが風は

入れる

吹き抜けていく


▪ Pl a n

C A

B

A

B

C

1F 平面図 S=1:400


▪ Pl a n

2F 平面図 S=1:400


▪ Pl a n

A-A 断面図 S=1:200

B-B 断面図 S=1:200


▪ Pl a n

C-C 断面図 S=1:200

南側立面図 S=1:200


▪ Pe r s p e c ti ve

天井が高い遊戯室は半屋外で 子どもたちが遊びまわる

屋根の

間から見える空

そこから風が入り、木々を揺らす 各教室は開放でき、他学年と 遊ぶことができる



02 出会いは偶然 美術館はアート作品との「出会いの場」である。 そのためどのように作品と出会うかが重要である。 そこで提案する美術館は道に迷いながら作品を探す ことで作品との偶然の出会いを創る. この美術館は探していた作品を見つけたときや思いがけない ところで見つけたとき,今までの美術館では味わうことが なかった驚きや感動を感じる. さらに,迷わせ,探させることで作品に対して常に 新鮮な気持ちで見ることができる.

設計製図Ⅳ 美術館課題 三回前期(2019/6 2020/7)



▪ S i te

敷地は大阪府大阪市中央区に位置する。大阪市の中でも

敷地は三角州の先であり、南には大阪城および城公園がある。

ビルが多く、ビジネス街にほど近い場所である。

東側にはクリスタルタワーなどの高層ビルが多く建っている。

敷地は京橋駅近くのビジネス街に位置する。午後などはサラリーマンたちが休憩をしに座ったりしているが観光客などの人はほとんどいない。 人がいないことが幸か不幸かビジネス街にも関わらず静かな場所で三角州の先端ということもあり、見晴らしがよく日の光もよく当たる。さらに、大阪城も直ぐ近くに 見える場所である。


▪ C on c e p t ・出会い

・偶然

人と作品

作品を探して見つけたり, ふとしたところで見つける

人と人 美術館で迷う人と出会い, 美術館の上を歩く人と出会う

展示室に入るまではそこにどんな展示物があるかわからない

人と街 作品を探しながら階段を上ると いきなり街が見え敷地の景色の 良さを実感する

以上のような出会いが起こることによってほかの美術館と違う体験ができ、 美術作品に対して印象が残る場所となる

展示物があると思い登ってみると街と出会う


▪ V o l u m e   D i a g r am

狭 広 狭

狭 広

広 広

三角州の先に位置する敷地は広く均質である。

その中に広いスペースと狭いスペースを

広いスペースと狭いスペースを作り出すように

ランダムに配置していくことで均質な空間に

ボリュームを作る。

変化を生み出す。

大小さまざまな場所ができ迷う空間ができる。


▪ S e c ti o n   D i ag r am

展示スペースとしては大きい

上部をカットし、ズラす

スラブを加えることで、ある場所からは

地面を掘り込み、場所による見える角度

見えるがそのほかの場所では見えない

が異なり、同じものでも違う視点から 見ることができる


▪ Pl a n

1F 平面図 S=1:1000


▪ Pl a n

地下 1F 平面図

地下 2F 平面図

S=1:1000

S=1:1000

地下 3F 平面図 S=1:1000


▪ Pl a n

A-A 断面図 S=1:300

B-B 断面図 S=1:300


▪ Pl a n

階段を上ると出会う

日が差し込み外と出会う

覗き込まなければ出会えない


▪ Pl a n

絵画だけでなく大阪城とも出会う

外からは中が見える場所と見えない場所が入り混じる

階段を上らなければ出会えない


▪ Pl a n

絵画に当たる日の光

見上げると四角に切り取られた空が

見上げると大きい絵画


03 ゆるく つなぐ 多くの集合住宅は、廊下は廊下、住居部は住居部と それぞれを別個に分けて考えているものが多い。 そのため、住人同士の付き合いやコミュニケーション がほとんどなく、隣に住んでいる人がどんな人かも わからないことが増えてきている。 そこでパブリックな部分とプライベートな部分を ゆるく

つなぐ ことで住人同士のつながり、

さらに住人とまちをつなぐ提案をする。

設計製図Ⅴ 集合住宅課題 三回後期(2019/11 2020/1) グループ設計(小森・櫻井) 学内講評会 2 位



▪ S i te

敷地は大阪府中部に位置する堺市の中心部である。近くには

敷地の南側には高さ 11m の高架道路があり、東には 4 車線の道路が

大仙古墳があり、西に行くと大阪湾に行くことができる場所である。

走る交通量の多い場所である。南側には南海の堺東駅がある。

敷地は堺東駅に近く、商店街などがある場所である。敷地の南側には高層のマンションが立ち並び、さらに高架道路があるため日の光が差し込んでくることが少ない。 さらに、港のほうへトラックなどの自動車の交通量が多いため静かではない。しかし、周辺には新築のマンションが多くあるため若い家族が多く、商店街には老人の方も いて、さらに学校も付近にいくつかあるため様々な年齢層の人が住んでいる地域である。


▪ C on c e p t

それぞれの住戸は分断されそれぞれのつながりはほとんどない。

それぞれを分断していたものをあいまいにしてつなぐことで新たな

そのため、住人同士のコミュニケーションがない集合住宅に

コミュニケーションが生まれ、にぎやかな空間を生み出すことが

なってしまう。

できる。


▪ S e c ti o n   D i a g r am

ゆるりと配置された踊り場や階段からは個性があふれ出し、

6 階の共用スペースは周辺環境の道路の上という都市の余白空間を利用し、

となり合う住戸をつなぐだけでなく、上下階の住戸をもつなぐ。

2 階より外に開いたつくりになっている

2 階、6 階を中心として中庭に面してぐるりと住戸をつなぐように 廊下、踊り場、階段が設置され、それが上下階にゆるやかに続いて いることで、ヨコのようにタテのつながりがあることが強調されている。

3 5 階は 2 階 6 階の廊下、踊り場、階段から緩やかに続き、すべてが繋がって いるように感じられる 中庭と踊り場や各住戸の前庭が繋がる


▪ S ys te m   T h roug h  Flow e r

入居時に 1 階のフラワーショップで、老若男女問わず 1 人 1 つ植木を預かり、店主から知識を得る。 住居人は毎日水やりをし、育てる。 そしてそれらを各住居の前庭やバルコニー、内庭に置く。 そのことにより、前庭などに花や植木、ガーデニングなどが

れ、内庭に広がり、豊かな空間となる。

植木が共通の話題となり、住民同士をつなぐツールとなる。


▪ V o l u m e   D i a g r am

ボリュームを立ち上げる

中心のボリュームを抜き、ボイド空間とすることで

ボリュームの間を抜くことで内庭を光や風が通り抜け、

上から光や風を取り込む

視線が通る空間となる


UP

▪ Pl a n

DN

UP

UP UP

UP

UP

UP UP

DN

UP

UP

1F 平面図 S=1:500

2F 平面図 S=1:500


UP

UP

▪ Pl a n

UP

UP

UP

UP

DN DN

DN UP

UP

UP

DN DN UP

UP

UP

3F 平面図 S=1:500

4F 平面図 S=1:500


UP

▪ Pl a n

UP

UP DN

DN

UP

UP DN

DN

UP

UP

UP

5F 平面図 S=1:500

6F 平面図 S=1:500


▪ Pl a n

断面図 S=1:200

立面図 S=1:200


▪ Pl a n

道路からの視界は限定されており、中に何があるのか気になる

中庭では住人と地域の人が立ち話をして交流を図る

バルコニーがでこぼこしており、外側に開いている部分や 内側に開いている部分があるため視界が抜けている


Other 『交』 ふらっと人の行動が目に入り、たまたますれ違った人 と意見を交換ができ、いろいろな情報を吸収できる。 人と人が繋がり、意見が飛び交う。 そんなたくさんのふとした出

いが生まれる

木造アトリエを提案する。

設計製図Ⅴ アトリエ課題 三回後期(2019/9 11) グループ設計(古川) 学内講評会 2 位


▪ Pr e s e n ta ti on  Sh e e t


Other 『+ と−

まちの変化は駅の変化

駅前広場はまちの拠点となる場所である。 そのため、まちに合った広場でなければならない。 しかし、一度建設されるとそのまま残り続けるため まちに合っていない広場ができてしまう。 また、広場はまちの人々のニーズに応えなければならない。 そこで、現在の形跡を残しつつ新たなものを作り、 その後まちに合うように変化する駅前広場を提案する。

設計製図Ⅲ 構造デザイン(屋根)課題 NEXTA 19 出展作品 二回後期(2019/9 11) スタジオ優秀作品 学内選抜講評会 選出


UP

UP

UP

UP

UP

UP

UP

UP


真北



Other 八木ラボ 奈良県橿原市の大和八木で行われている愛宕まつりに

▪Sit e

立山(その年の流行や地域の景色を模ったもの)をつ くることでまちに学生が入り、まちづくりやまちその ものについて地域の人々に考えてもらうようにする活動

敷地は奈良県の中部付近に位置する橿原市大和八木である。 近くには伝統建築物保存地区に指定されている今井町があり、 敷地付近にも多くの町屋なども残っている。 縦に走っている道は下ツ道という道で平城京から熊野への道と なっており、西国三十三所名所図にも記されている。

▪愛宕祭り 愛宕祭りは全国各地で開催されているが八木では 300 年の歴史がある。 火神を祀るために始められ、立山(流行や地域の景色などを模ったもの) を神へ供えるものとして作られていた。 現在では、8 月 22 25 日の 3 日間開催され,約 1km にも屋台が建ち並び 賑わいがある。

▪問題 祭りで神様に奉納する立山の数は全盛期からかなり減り、全盛期は 15 個

課外活動 4 8月 1 3 回生有志+ 住環境デザイン研究室学生

ほどあったが現在は 3 個だけとなっている。 立山作りは自治会での持ち回りでされていたそうだが、生活環境の変化や 構想から作るまでに 1 年間かかる点が負担となり有志の立山 2 個と関大の ものに減ってしまった。 そこで、学生が立山を作ることでこの伝統をもう一度確認してもらい立山 の数が増えていくようにすることが目標である。


▪活動

立山コンペ

制作

参加学生を募り、

ブラッシュアップさせ、

住環境デザイン研究室

祭りの 1 週間前に毎年

の学生を含めたメンバ

使用している場所で

ーでその年のテーマを

制作を始める。

決める。

基本は捨ててしまうもの

そして 3 ∼ 4 人グループ

を地域の人からもらい

で案を出し、8 月初旬に

作る。

地域の方々にプレゼンを

1 週間の間は近くの長屋

行い作る立山を決める。

などに泊まりながら作成

4 月に 1 3 回生の

コンペで決まった案を

していく。

2018 年

2019 年

多かったため、雨の印象

立って 50 年、ドラえもん

が良くないものになって

も 50 年といった年であっ

いた。

たためこの 2 つを使った

そこで、雨は楽しいとい

立山とした。

うイメージを持ってもら

また、地域の人から自分

うため傘でインスタレー

たちも作りたいという

ション作品を作り、さら

要望があったため古墳を

に的当てを作成した。

学生が作り、埴輪を地域

この年は雨による災害が

昨年は、人類が月に降り

の人が作る立山を作成 した。


Other 卒業研究 『間伐材を有効利用した伝統軸組構法によるブースの提案』 ▪目的 現在、日本各地で森林の保全が行われている。保全の 1 つ として行われているのが間伐である。 間伐材の有効活用として

現在、森林の保全活動として間伐を行っているが間伐材の使用が なかなか難しく間伐した後そのまま放置していることが多い。 間伐材は成長の途中で行うため構造材にも使用できず、

などに

やしおりなどがあるが小物が多く、 使われている。

十分に活用されているとはいえない。 そこで、本研究では間伐材を有効活用してブースを製作する ことを提案する。

そこで、屋外スペースでの休憩所を間伐材を使用して作る。 さらに、持ち運びができるよう解体などができるよう伝統軸組構法を 用いて製作する。

▪里山

卒業研究 2017/4 2018/2 共同研究(樫澤秀太)

使用する間伐材は大阪府

木市の山間部で取れるものとする。

ここでは里山として、管理されている山がありそこで実際に間伐を 行い、そこから製材を里山センターで行う。 木市の中心部から離れた場所に位置し、安威川の近くに位置している。


▪活動

間伐&製材

加工

行った。長さを 2.5m ほど

った。OB で大工の方に

に切りそろえ、乾燥を

来てもらい木材の見方(

しやすくするために皮を

背と腹や末と元など)と

剥いだ。

ノミなどの道具の使用方

その後乾燥させ、6 月に

法を教わった。

75 角に製材を行った。

加工には 1 5 年生の有志

製材は地元の方が以前

学生にも手伝ってもらい

製材所で働いていたため

ながら進めていった。

3 月に山に入り間伐を

学校に持ち帰り加工を行

機械などを使って行った。

製作したブースを

木市

実験&解析

研究室は構造(木造)の

の祭りや高専祭(文化祭)

専攻であったため製作し

で展示し、実際に使用し

たブースで使用した接合

てもらった。その際にア

部の強度の構造解析を行

ンケートを行い使い心地

った。

など聞いた。

実験結果として安全側の

屋外での催しではこのよ

結果が得られたためこの

うに座る場所が少ないた

ブースは安全であること

めあると嬉しいなどの声

が証明された。

があった。

また、学校の設備ではできなかった

また、畳を敷くのも好評

がブース全体での強度実験なども

であった。

できればなおよかったのではないか と思われる。

800 600

モーメント( kN・mm)

展示

-0.25

400 200 0 -0.2

-0.15

-0.1

-0.05

0

0.05

-200 -400 -600

接合部回転角(rad)

0.1

0.15 実験結果 めりこみMe まさつMf めりこみ+まさつM

0.2

0.25


間伐材を有効利用した伝統軸組構法によるブースの提案 PROPOSAL OF MODULAR BOOTH MADE OF THINNED WOOD BASED ON THE JAPANESE TRADITIONAL WOODEN FRAME 逢坂涼平

樫澤秀太

一般用変位計

Conservation of forests has been requested in Japan. Thinning is needed for the conservation of forests. Currently, thinned wood is left and not being utilized. The booth which is based on the Japanese traditional wooden frame was made last year. According to the survey questionnaire of Aigawa festival, the people feel it small. So, the booth sould be expanded for the space. However thinned wood is not usually long enough. Therefore the connected booth is suggested. Then the joint of the booth was experimented to examine safety.According to experimental result, the restoring force characteristics was appraised and examined safety of the modular booth. Key Words : modular booth, traditional wooden frame, thinned wood, restoring force characteristics

1.はじめに

巻込型変位計 500 梁部材 柱部材 図-2 完成ブース

図-4 試験体と実験装置

ともに1800mm,である.ブースに高低差をつけた理由

現在,日本各地で森林の保全が行われている.保全

は,同じ高さで作ってしまうと2つのブースの接合部が

の 1 つとして行われているのが間伐である.間伐材の有

三方差しになり,母材の欠損が大きくなることで強度が

効活用として箸やしおりなどがあるが小物が多く,十分

下がるため高低差をつけた.

4. 実験結果 各試験体について接合部回転角に対する抵抗モーメン トの実験値と解析値をそれぞれ図-5~7に示す.縦軸の

に活用されているとはいえない.そこで,本研究では間

昨年度の接合部は平ほぞ鼻栓打ちであった.そのため

モーメントはロードセルによって計測した荷重にほぞの

伐材を有効活用してブースを製作することを提案する.

ブースとブースをつなげるときに飛び出している部分が

中心から力の作用点までの距離である500mmを乗じた値

また,現在建設されている木造住宅の多くは接合部に

邪魔になりつなぐことができない.よって今年度は飛び

であり,横軸の接合部回転角は巻込型変位計の変位をほ

金物を使用していたり,ツーバイフォーなどの壁式構法

出している部分を無くしたかったため込栓を用いる予定

ぞの中心から力の作用点までの距離である500mmで除し

を採用しているものなどが多く,日本古来の伝統軸組構

であったが,組立時に栓をしなくても安定していたため

た値である.引抜け量をそれぞれ図-8~10に示す.縦軸

法の技術を用いたものは少ない.これから先,伝統軸組

栓を用いずに製作することにした.昨年度と今年度の接

の引抜け量は一般用変位計2つから得られた変位の平均 とした.また,実験後のほぞの変形を図-11に示す.

の技術をなくさないために伝統軸組構法を利用したブー

合部の写真を図-1に示す.継手をして材を伸ばすことも

スを製作し学生や一般の方にも触れてもらう.さらに,

できるがアンケートに「休憩所の強度が心配」という声

伝統軸組構法は金物を使用せずに柱と梁を接合し,住宅

があったため,今回は継がないことにした.しかし,柱

の壁では土壁を使用するなど最終的には自然に帰る環境

材が2000mmでは低いため人が床面に座れるようにする

1)

にも良い点がある .

図-3 環境フェアでの展示の様子

ことで窮屈に感じないようにした.屋根部分について昨

今年度は 2000mm,75mm 角の間伐材(ヒノキ)を用

年度はよしずを使用していたが今年度は屋根部分も間伐

いてブースを製作する.そして,そのブースの接合部の

材を使用するためにルーバーを製作することにした.床

今回製作したブースは,壁や筋かいなどが無く軸組の

復元力特性の評価を行うことでブースの安全性の検討を

については畳を敷くことで座るだけでなく寝転がること

みで構成されており,接合部のモーメント抵抗が重要な

ができてくつろげるようにした.完成したブースは図-2

耐震要素となる.そこで,接合部の復元力特性を把握す

に示す.

るため,要素実験を行った.

行う.

そして,完成したブースは高専祭と茨木市で開催され

2. 今年度製作したブース

た環境フェアにて展示を行った(図-3).

3. 接合部要素実験

実験器具として,ロードセル,一般用変位計,巻込型 変位計,スイッチボックス,加力装置としてオイルジャ

昨年度の茨木市の安威川フェスティバルで実際に製作

図-5 試験体①の接合部復元力特性(実験結果及び解析値)

ッキ(手動)を用いた.試験体には,間伐材(ヒノキ)

した間伐材による休憩所の展示を行った.休憩所に関す

を用いた.試験体は試験体①~③の 3 体用意した.

るアンケートによると圧倒的に「狭い」という声が多か

実験は次のような方法で行った.

った.また,実際に間伐材を入手する際に一番大変だっ

(1)試験体を実験装置に図-4 に示すようにセットした.

たのは2400mmの材を探すことだった.間伐材は間伐し

(2)オイルジャッキにより手動で加力していき,変位を

た後約2000mm程度で切られ放置されていることが多い

巻込型変位計で計測し,左右に 1/50.00rad 変形させた.

からである.以上から,1本の材では長さが取れないが

(3) (2)の手順を 3 回繰り返した.

スペースを広げる必要があることがわかった.それを踏

(4)接合部回転角を 1/16.67rad,1/10.00rad,1/6.67rad,

まえて今年度卒業研究で製作するブースは高低差のある

1/5.00rad にして同様の手順を行った.

2つのブースつなぎ合わせたブースにすることに決めた. 低い方のブースは屋根までの高さが1800mm,座面まで

(a)

(b)

図-1 (a)昨年度と(b)今年度の接合部

(5)(1)~(4)を 3 体分繰り返す. 図-6 試験体②の接合部復元力特性(実験結果及び解析値)

が260mm,高い方のブースは屋根までの高さが2000mm, 座面までが460mmであり,それぞれのブースの幅,奥行 H29-逢坂涼平

樫澤秀太―(1)

H29-逢坂涼平 樫澤秀太―(2)


い.以上のことから試験体③はほぞ穴の左右でしまりが 違うことがわかった.図-5~7より,一度めりこんでし

応力分布状態

応力分布状態

y

したブースのほぞは,試験体のほぞのような形のものと

y

まうとその部分では抵抗力が出ないということがわかっ

試験体のほぞを半分にして交差させている部分があるた

(x)

(x)

た.今回の接合部は初期の遊びやめりこみ時の変形によ

め,それぞれの復元力特性を算出してそのほぞの数だけ

ke y

ke x

り,変位が小さいときの抵抗力が小さいのではないかと 予想される.図-8~10より接合部回転角が大きくなるほ

それぞれの復元力特性を評価した.その際に,今回製作

ke2

x

Xy

めりこみ状態

足し合わせた.そして,長手方向と短手方向それぞれの 復元力特性を図-14に示す.

めりこみ状態

ど引抜け量も増加していくことが分かった.また,図10より試験体③は接合部回転角が0radのとき引抜け量が 0mmになっていることから抜けたものが再びささってい

elastic area (ke)

ることが読み取れる.図-5と図-8からモーメントが大き

(a) < y

y elastic area (ke) plastic area (ke2) (b)

く出ている接合部回転角が正の値のときは引抜け量が小 図-7 試験体③の接合部復元力特性(実験結果及び解析値)

さく,モーメントが小さく出ている負の値のときは引抜

𝑀� = � 𝑏𝑘� 𝜃𝑥 � 𝑑𝑥

5.モデル化による接合部復元力特性の算出

��

𝑀� = � 𝑏𝑘� 𝜃𝑥 � 𝑑𝑥 �

��

部内部の接触面でのめりこみ及び摩擦による抵抗がある.

𝑀� = � 𝑏𝜇𝑘� 𝜃𝑥ℎ𝑑𝑥

釣り合うようにA点に反力RAを生じ,これら3つの力に よって接合部のモーメント抵抗が生じる.接合部に生じ る力のモデルと仮定したA点を図-12に示す.

��

𝑀� = � 𝑏𝜇𝑘� 𝜃𝑥ℎ𝑑𝑥 �

(2)

+ � 𝑏𝜇 ��1 − ��

図-14 ブースの復元力特性

これより,0.1radで約4kNの水平耐力があることがわか (3)

ーメント抵抗について考える.この場合の回転中心をA

る.接合部内部では,左面のめりこみ力Reと摩擦力Rfに

𝑘�� � 𝜎 + 𝑘�� 𝜃𝑥}𝑥𝑑𝑥 𝑘� �

まず,ほぞが右に傾く向きを負加力としてこの場合のモ

穴の接触部分は貫構造になっている部分の左面のみであ

+ � 𝑏{�1 −

ブースの接合部におけるモーメント抵抗因子は,接合

点と仮定する.A点を中心に回転した場合,ほぞとほぞ

(1)

モーメントが現れることでほぞが抜け出さないように抵 抗していることが予想される.

y≦

図-13 応力分布

け量が大きくなっていることが読み取れる.したがって,

図-8 試験体①の引抜け量

y

る.図-5より解析値を上回っている事がわかるため今回 制作したブースは図-14解析値を上回る抵抗力があるの ではないかと予想される.

𝑘�� � 𝜎 + 𝑘�� 𝜃𝑥� ℎ𝑑𝑥 𝑘� �

M = 𝑀� + 𝑀�

(4)

7.まとめ 今回の研究では昨年度の休憩所の問題点である「狭い」 (5)

ということを改善し,間伐材で入手しやすい長さの材を 用いたブースを提案,製作した.そして,接合部要素実

Me:めりこみ抵抗モーメント,c:ほぞ長,b:ほぞ幅,

験を行い,接合部復元力特性を明らかにした.また,モ

ke:めりこみ一次剛性,θ:接合部回転角,

デル化によって接合部復元力特性を算出し,これを元に

x:めりこみ距離,Xy:弾性域長さ,ke2:めりこみ二次剛性, ブース全体の復元力特性の評価を行った. Mf:摩擦抵抗モーメント,h:摩擦面までの距離,

図-9 試験体②の引抜け量

μ:摩擦係数,σy:降伏応力,M:抵抗モーメント

謝辞:間伐材の入手,製材などにおきまして,大阪府安

RA :反力,Re:めりこみ力,Rf:摩擦力

威川ダム建設事務所,安威川ダムファンづくり会,NPO 法人茨木ふるさとの森林つくり隊に,また環境フェアに

図-5~7より, |θ|>0.07radの範囲では実験値を解析値 が上回り安全側の評価となった. |θ|<0.07radでは実験 図-12 モデル化した接合部

だきました.記して謝意を表します.

値が解析値を下回る結果となった.これは,解析におい て接合部の初期の遊びは考慮されていないためである.

参考文献 1)

図-13より,接触面が弾性域内にある間はめりこみ剛 図-10 試験体③の引抜け量

おきまして,茨木市環境政策課に多大なるご協力をいた

性keを用いて式(1),(3)のようにして解析値を求め,接触 面の一部が塑性域に入ると弾性域の部分ではめりこみ剛

6. ブース全体の復元力特性の評価

試験体①は実験途中で巻込型変位計のストロークが足

性keを使い,塑性域の部分ではめりこみ二次剛性ke2を使

ブースの実大実験をしてブース全体の復元力特性を求

らなくなり,それ以降のデータが取れなくなってしまっ

って式(2),(4)のようにして解析値を求めた.そして求

めるのは難しいため,今回は解析値を用いて復元力特性

たため,図-5,8に示しているようになった.図-7の試

めためりこみ抵抗モーメントMeと摩擦抵抗モーメントMf

を算出した.その方法として限界耐力計算では耐力は架

験体③の結果より,接合部回転角が正の値のときは負の

を足し合わせて抵抗モーメントMとして接合部復元力特

構に含まれるほぞの数に比例する2)ため,接合部の復元

ときに比べモーメントが現れるのが遅く,最大値が大き

性を算出した.

力をほぞの数だけ足し合わせる事で長手方向と短手方向

H29-逢坂涼平

樫澤秀太―(3)

2)

仲井彩 山下友基:平成 28 年度卒業論文 伝統軸組構法 に基づく間伐材利用の休憩所の設計・製作および構造解析, 大阪府立大学工業高等専門学校 木造軸組構法建築物の耐震設計マニュアル編集委員会:伝 統構法を生かす木造耐震設計マニュアル―限界耐力計算に やる耐震設計・耐震補強設計法,株式会社学芸出版社, 2004.3

H29-逢坂涼平 樫澤秀太―(4)



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