Issuu on Google+

2010年 7月

 大学図書館および情報コミュニティにOUPが配信するニュースと特集記事

E-BOOKS:

その将来は いかに?

INTERVIEW:

学術ジャーナル 20年もの試行錯誤と 挑戦の日々

DESIGNING

THE FUTURE 新しいニーズに対応する場の提供

| EDITORIAL

CONTENTS

3 E-books: その将来性はいかに? Chris Bennett OUP、 ヘッド・オブ・オンラインセールス

4&5 Designing the future 新しいニーズに対応する場の提供

6 ニュース

Martin Richardson氏 7 インタビュー 学術ジャーナル、 20年もの 試行錯誤と挑戦の日々

8 デジタル情報 オックスフォード大学出版局にて ヘッド・オブ・オンラインセールスを 務めるCHRIS BENNETT氏はコメンタリー 「E-BOOKS:将来はいかに?」にて次の ように述べています。 「E -BOOKSは生活 消費アイテムとして主役になりつつある」

回のIllumineaは、デジタル書籍がこれまでになく注目されてきている 今、出版社、図書館、そして学術コミュニティにとってどのような意味 があるのかを考えてみたいと思います。E-bookを有効活用する   読者が増え、日常生活アイテムとして取り入れられてきていますが、未だ印刷物を  ベースとしたビジネスモデルにすがる出版社、そして図書館にこのe-bookはどのよう な影響をもたらすのでしょうか。 また、図書館を建築物と捉えた時、その未来の姿はどのように変化するのでしょ うか。いくつかの実存する図書館を例として紹介しながら、最新の図書館の機能、 図書館で行われる活動について、知識を求める人々の避難場所としての役目とは、 そして蔵書を保管する建物ではなく、情報を繋ぐ場・学びの場・コミュニケーション の場としての図書館を見て行きます。 テクノロジーの伝道師、Richard Wallis氏はLinked data/smart dataについて語り ます。セマンティックウェブはどのように図書館を変えるのでしょうか。そして、ロンドン LSE大学の情報サービスマネージャ、Nicola Wright氏は未来の図書館プロジェクト がどのようなものか、またなぜ未来を楽観的に見ることができるのか、その考えを  述べます。 アルゼンチン出身の著者、ホルヘ・ルイス・ボルヘスは著書「バベルの図書館」 で、このバベルの図書館には、表現可能な文字や記号全ての組合せの、無限大と もいえる蔵書が納められていると想像しました。著者はインターネットが普及する前 から、無意味な文字や記号の羅列にしか見えない、意味を為さない膨大なデータ に押しつぶされそうになりながら取り組む図書館員を描き、情報過多という問題を 提示していたのです。ならば、図書館員に求められるのは、一見無意味なデータか ら意味を見つけ、図書館利用者には情報の迷路のガイドとなり、過去のデータを  整理・保存し続けることではないでしょうか。

2

その保存の目的と今後の対応 OUPの情報保存の取り組みと 図書館の情報保存への意識に ついての調査結果

9 未来図書館プロジェクト: コップの水は     まだ半分もある

Nicola Wright、ロンドンLSE大学 情報サービスマネージャ

10&11 ディレクトリ

参加学会一覧とOUP連絡先

12 セマンティックウェブは 変革をもたらすか? Richard Wallis、 Talis

編集: Catarina Walsh 編集助手: Lizzie Shannon-Little 編集チーム: Damian Bird, Alison Bowker, Claire Dowbekin, Richard Gedye, Amanda Hirko, Patricia Hudson, Colin Meddings, Margaret Love, and Aviva Weinstein. デザイン: Sequel Group Ltd (www.sequelgroup.co.uk) Illumineaへの皆さまの貴重なご意見・ご感想を   お待ちしています。 今後の号へのご提案またはご寄稿などについて は、lizzie.shannonlittle@oup.com まで、メールにて ご連絡ください。 表紙写真とデザイン © ボードリアン図書館

COMMENT |

E-BOOKS:

その将来は いかに?

Chris Bennett、ヘッド・オブ・オンラインプロダクツセールス、OUP

E

-booksはここ一年半の間に、 こぞってメディアに取り上げられ 注目されてきています。最近に なってこれだけ脚光を浴びているのにはいく つかの理由があります。一つは、今まで市場が 成熟していないために出版社はこれまで e-booksを真剣に検討してこなかったのです が、Kindle、Sony Reader、そしてつい最近、鳴 り物入りで登場したApple iPadというe-books 専用の端末によって、e-booksは生活消費アイ テムとして主役になりつつあり、出版社として もe-booksがこれまでの印刷物を単にデジタル 化したものではなく、それ以上に重要なビジネ スになりうるものだということを認めざるを得 なくなってきたということです。 ところが、これほどメディアに取り上げられ ている書籍のデジタル化ですが、今後の利用 者になると思われる学生、学者や図書館員な どのユーザののニーズについては全くと言って いいほど議論されてきていません。E-bookは 過度な種類のフォーマットや端末がそのまま の状態で世の中に出回っており、ユーザにとっ ては非常に利用しにくい状況になっています。 そのため、出版社によっては、書籍をデジタル 化する本来の意味、研究成果や文献をより  グローバルに流通させることで誰もがアクセス できるようにする、ということを忘れてしまうと ころもあるくらいです。情報がとかく氾濫し  状況の全体像が不透明な今、必要とされる  コンテンツをタイミングよく届けることができ るシステム・技術はこれまで以上に重要視され ています。 デジタル化によって得られる最大の結果は、 コンテンツの生産者と消費者をより身近につ なぐ、サプライ・チェーンの構築なのです。著者 イコール読者ということを、多くの出版社が見 落としがちです。 デジタル化で問題とされる多数の異なるフ ォーマットについては、私は、プロプライエタリ システム、つまり汎用性がなく融通がきかない ものについてはその価値を低く考えます。 (SonyとAppleは、プロプライエタリ利用を 

あきらめました)また、私はe-book ではPDFが定番フォーマット、とい う説を否定したいと思います。PDF というフォーマットは確かに当初に 比べて改善されていますが、最終的 には紙への印刷を目的として考えら れたフォーマットであり、オンライン 上での利用を最終目的としたXML 言語の台頭によって徐々に消滅して いくものと考えています。もちろん、 現時点ではPDFがe-bookの定番  フォーマットかもしれません。です が、次世代では、PDFのように非常 に限られた使い方しかできない   フォーマットはその価値を認められ ないでしょう。ePubなど、XML言語 のオープンソース・フォーマットのほ うが、出版社や図書館が今後投資 すべきフォーマットであるといえる と思います。

重要ポイント: 発見性の高さと、 フレキシ ブルなビジネスモデル

過度な種類の フォーマットや 端末が出回り、 ユーザにとって 非常に 利用しにくい 状況です

E-bookビジネスもまた、非常に残 念なことながら、過去のしがらみで ある印刷物という考え方の枠にとら われています。学術ジャーナルが印 刷からオンラインへ移行したときに 経験したことを教訓としなければな りません。印刷物のときに適切だっ たビジネスモデルをそのままデジタ ル出版に当てはめても成功しないで しょう。仮に成功しても、長期 にわたって有効ではありませ ん。 (ただし、書籍よりもより デジタル化が進んでいるジャ ーナルビジネスでも紙ベース のビジネスモデルから完全に 離れることができていないよ うです。) 最近特に注目されてきてい るe-bookビジネスモデルとし ては、Patron-Driven Acquisition(PDA モデル)と 呼ばれる利用ベースのモデル があります。基本的には、  図書館は予め大体の予算を 設定しておき、ユーザが一定 の回数以上e-bookにアクセス した場合はそれに合わせて図 書館が出版社やエージェント から課金がなされる、という

システムです。どのe-bookをPDA モデルで購入するかは、図書館が  設定できます。ところが、数々の試 行錯誤の結果、このモデルは図書 館が従来のビジネスモデルで購入す るより高い料金を払うケースがある ことが明らかになってきています。 特に人気があるe-bookについては この傾向が見られます。また、問題 はこのPDAモデルを含む他の利用 ベースのモデルでも、売上イコール 一冊分の冊子体としてとらえている ことです。これでは都度内容を更新 できる、オンラインコンテンツの  フレキシブルな良さがビジネスモデ ルに全く反映されないことになりま す。この問題は出版社だけの問題で はありません。図書館の予算も往々 にして買い切りである印刷物に対す る予算の立て方であって、常に更新 されるe-bookを購読する、という予 算の立て方ではなく、よってユーザ 側の利益を一番に考えたものとは いえないのです。 デジタル出版とそれに伴う図書館 サービスで何が最も重要であるの か、今やっとそれが見え始めた段階 にあります。それは発見性の高さ、 利用しやすさ、互換性の高さやニー ズに合わせてフレキシブルに購入す ることができるビジネスモデルなど であり、実現されれば将来、より存 続性が高く活発なe-bookビジネス が発展していくことでしょう。

The Apple iPad

アップル社協力

3

| FEATURE

Philological Library ベルリン自由大学 Reinhard Corner

DESIGNING THE FUTURE: 新しいニーズに 対応する場の提供

図書館は「知識を持つ人々の コミュニティにとって憩いの 場です」 (ボードリアン図書館 のディレクター、SARAH THOMAS氏(ILLUMINEA, 2010年4月号コメント) 、 「教える場と情報整理用の  スペースとして図書館は大き く変わろうとしてきている」 4

Catarina Walsh、 シニアコミュニケーションマネージャ、 OUP

い間、図書館とは、教え・学ぶ場所と、  書籍や学術ジャーナルを借り、個人の勉強 用にコピーを取ったり出来るサービスを役割 としてきました。それが、デジタル化という変化の波にのみ こまれ、今やその従来の役割を大きく問われています。 もし書籍や学術ジャーナルを備えておく場所でないとした ら、将来の図書館はどういう用途のために使用されるので しょうか。それでもやはり、情報の収集、整理、保管はされ なければならないでしょう。一部の人は、図書館が人々の 情報交流やネットワーキングの場として情報を共有するよ うな場所になるのではないか、と予測しています。 この考えを踏まえて、図書館という物理的な場所は現 在、その姿やコンセプトに大きな変更を求められていま す。学術図書館の多くはすでに一般公開を求められてい て、オックスフォード大学の新しいボードリアン図書館、 ウェストン図書館もすでにそのように一般公開を予定して います。図書館のユーザが仲間とリラックスして学び、集 いやすいようなスペース-カフェやグループで打ち合わせ が出来るような施設-を計画しています。このような新し いスペースでは、 「おしゃべり」も積極的に行うように進め られることが考えられます。情報のプロによる協力を得な がら行われるこのような会話による情報共有は、今後の情 報過多時代にはより必要とされると思われています。 現在の図書館のトレンドは、書籍などを置くための事務 的で簡素でオフィスのようなスペースから、より感覚的に 心地よい、インスピレーションが湧き、リラックスが出来、 研究者や学生が楽しんで使用できる社交場としてに移っ てきています。学ぶためのツールとして、インターネットや ワイヤレス、 マルチメディアの利用エリアも更に取り入れら れ、エコにも気を使った環境づくりが推進されることとで しょう。自然光を取り入れたり、冷暖房を極力さけるため の技術、より省エネルギー消費を目指した図書館の設計 が推奨されるでしょう。

アメリカ合衆国ワシントン州 のシアトルには道路に面した公共 の図書館、The Ballard Libraryと サービスセンターである、 Neighbourhood Service Centre

こちらは2004年に建てら てたオランダのユトレヒト大学の 図書館です。この図書館の責任者 である建築家は、建物のことを  「新しい、巨大な立方図書館」と

述べています。この6階建てのコン クリートの立方体には蔵書がぎっ しりと詰め込まれて保管されてお り、一部のコンクリート部分には  読書が出来たり、図書を手にとっ て見ることが出来るオープンエリ アが作られています。建物の内部 は黒色に塗られており、巨大なオ ープンスペースの中でもじっくり落 ちついて勉強できるように配慮さ れています。

最後にここ、英国Glasgow Caledonian UniversityのThe Saltire Centreは様々なニーズを持 つ人が図書館をフレキシブルに使え るように、社交場のスペースから勉 強に専念出来る静かなエリアまで 多様なスペースを設けています。 大学の理念が、対話、討論、異なる 勉強方針の自由というとおり、この 図書館は、キャンパスの他の建物と 比べてもその理念をよく表した建 物だと言えます。

写真提供: David Barbour

左の写真は、2005年にドイツ・ ベルリンの自由大学に新たに設立 された図書館、The Philological Libraryです。建築家Norman Foster氏によってデザインされたこ の建物は、屋根と壁の部分が組み 合わさって人間の脳を象ったデザ インとなっています。デザインの一 部を使って陰の部分を作り、また 換気が行えるように設計しました。 日中の光の加減で気温も調節でき るようになっています。この図書館 は自由大学のダーレムキャンパス にとってのシンボルであり、ベルリ ンのランドマーク的存在でもあり ます。現在、700,000冊の蔵書を 保有しています。

があり、建物は未来型のエコフレ ンドリーな図書館のモデルとされ ています。なだらかに丸みを帯び た緑の屋根はある種類の草で作ら れており、吸水性、保温性に優れて います。取り付けられ���太陽電池 パネルとリサイクル材料は省エネ ルギー、省資源使用を目標として います。デザインは、ナチュラルな 資源を利用し、エコ建築に感心を 持ってもらうために採用されたもの です。

写真提供: Jan Bitter

写真提供: © Bohlin Cywinski Jackson

美しく先進的な建築の数々

新ボードリアン: “本の要塞から 自由で、ひらめきの 溢れる場所へ”

オックスフォード大学のボードリア ン図書館は、 大規模改修の工事許可を 得て2015年に新・ボードリアン図書館、 「ウェストン図書館」 に生まれ変わる 予定です。 オックスフォード大学出版局 はこの新しい図書館の改修工事のた め、 Garfield Weston Foundationと同額 の 2千500万ポンドを寄贈しました。 ボドレー図書館員のSarah Thomas 氏は、 「改修工事によりボードリアン図 書館は本の要塞からユーザを引き付け る、 自由と魅力とひらめきの溢れる場所 となるでしょう」 とコメントしています。 このプロジェクトで、 建物はより広く 明るいガラス張りのエントランスホー ル、 そして新しい展示ギャラリーを   オックスフォード市内でも大きなブロー ド通り沿いに設けることになります。 一 般市民もよりアクセスしやすくなるでし ょう。 展示ギャラリーは今でも年間10万 人に訪問されていて、 改修で更にスペ ースを拡大するギャラリーにはこれまで 以上の訪問者数が見込まれています。 ボードリアン図書館の特別コレクショ ンのアソシエイトディレクター、 Richard Ovenden氏は、 「Wilkinson Eyre Architects建築会社は目を見張るデザ インを提案してきていて、 そのデザイン はこれまでの建物の歴史を損なうもの ではなく、 かつ、 研究者や学生にとって は使いやすいモダンで便利なインフラ を提供できる内容になっている」 とコメ ントしています。 「またこのデザインは  今後増えるであろう一般ユーザにも満 足してもらえると思います。 」

“コレクションからコネクションへ” ハンブルグ大学の図書館社会学者、 Olaf Eigenbrodt氏が本誌Illuminea に、図書館建築物とその機能の最新 トレンドについて語りました。 貴方の言う「リビングルーム図書館」 というコンセプトについて説明いた だけますか。 つまり、安らぐことが出来る、安全で 一体感を得られる場所ということで す。ドイツ語でWohnzimmer、応接室 という意味を持つリビングルームとい う言葉ですが、これは普通、家庭にと って家の中では訪問客をもてなす場 です。そして同時に、家族のための憩 いの場でもあるわけです。この両方 の、gemütlich-居心地の良いプライ ベートな居間、という意味でのスペー ス、そして訪問客をもてなす公共の場 としてのスペース、この両方を合わせ

て超越したところに未来の図書館像 というものがあるのです。 デジタル時代の図書館は、リソースと して、そして物理的なスペースとして、 どのような役割を担っていくものと思 われますか。 情報のリソースとしては、図書館はも はや多くの情報機関の一つ、となって いくでしょう。情報の保存、それを引 き出す場として図書館は今後も重要 視され続けるとは思いますが、それよ りも知識を生産できる、ということが より重視されるようになります。これ からは、情報のコレクションよりも  それをいかに繋ぐか、というコネクシ ョンへ注目がシフトしていくと思われ ます。また、コネクションの次にはい かにコミュニケーションを取るか、と いう、ことに注目が移っていくと思わ

れます。コミュニケーションとなると、 これは複数の人、その人たちの活動や 個々人の情報へのインターフェース、 ネットワーク、知的アクセスへのニー ズが関わってきます。図書館は、場と して、人々がそれぞれ自分のペースで 生涯、一人でも、学び続けることが出 来るようなインフラと環境を整えて提 供することが必要となってきます。 個人や複数の人々が何かしらの知識 を生み出すには、色々な目的をもった 複数の種類の場を必要とします。人々 が様々な情報に意図しなくても出会 えるような場をつくりだすことができ る、というのが望ましいと思います。 同時に、図書館は、多様な情報が飛 び交い、目まぐるしい変化を遂げるこ の時代には、落ち着いてゆっくり考え 事が出来る場でもなければなりませ ん。人がひと時立ち止り、振り返って

考えることが出来るスペースがあれ ば、と思います。 図書館建築物の最近のトレンドを教 えてください。 過去20年~30年、図書館はどこも似 たような、機能的で開放的なスペース を提供し続けてきました。建築家達 も図書館員も、90年代より、図書館 の新しい形、というものを考え続け てきています。現在のトレンドとして は、まず建築物としてシンボル的な、 驚きのある、 マルチ機能やマルチ メディア環境を整えたデザイン性の 高いインテリア(応接ラウンジを中 心とした)をもつ建物です。学術図書 館に、より公共性とサステナビリティ を持たせたものが、これからの主要と 言えます。

5

| NEWS

新規移管ジャーナル… そして新コレクション オックスフォード大学出版局は、 The Journal of American History 及び OAH Magazine of History の出版社として Organization of American Historians (OAH)に選ばれたこと を今年5月に発表しました。  OAH代表のDavid A. Hollinger 氏は、 「OUPとのパートナーシップ を大変喜ばしく思っています。こ れでジャーナルの出版・販売の継 続が保証されるだろう」と述べま した。出版が完全に移行されるの は2011年からになります。 OUPではその他の新規・移管タ イトルの出版にも力を注力してい て、2010年の移管タイトルで医学 系では米国感染症学会の Clinical Infectious Diseases と The Journal of Infectious Diseases が 追加され、そして人文系では The Quarterly Journal of

Economics と The Review of Economic Studies が増えることに なりました。 人文系では非常に評価の高い ジャーナルであるこの2つのタイト ルが来年から追加になることによ って、分野別コレクションにも新た に経済・金融分野が増えることに なりました。このコレクションに は、経済・金融全体をカバーする ジャーナルだけではなく、金融 学、開発経済学、農業経済学、環 境経済学、そして法と経済などを 専門的に取り扱ったジャーナルも 含みます。

OXFORD HISTORY OF WESTERN MUSIC オンライン掲載中

Captain America Comics表紙画像 #1号 (1941 3月), Marvel Entertainment, LLC協力.

ジャーナルのご購読、無料オンラ イン体験版、その他情報をご希望 の方はこちらのメールアドレスへ お問い合わせください。 hannah.dernie@oxfordjournals.org.

オックスフォード大学出版局、インドの大学にジャーナルを提供 オックスフォード大学出版局は Information and Library Network (INFLIBNET) Centreと提携し、今後 3年間をかけて6,000以上ものイン ドの大学に206タイトルのジャーナ ルを提供します。 INFLIBNETはインド政府により確 立されたインフラシステムで、今後、 国内の図書館や情報機関が情報を 共有できるようになります。 INFLIBNETの責任者である

Jagdish Arora氏は、 「この計画は非 常に好意的に受け止められていて、 計画に賛同しシステムに参加する  大学は後を絶たない。我々はOxford Scholarship Online や E-book の  コレクションを含め、更に提供出来 る情報を増やしていくつもり」と述べ ています。 オックスフォード大学出版局では 検討の結果、医学、歴史学、法学、 経済・政治学他、多岐分野に渡る

200以上のジャーナルを選び、コレ クションに加えることとしました。 これらの中には、非常に高いインパ クト・ファクターを持つ Journal of the National Cancer Institute、 Political Analysis や European Heart Journal などのタイトルも含ま れています。

当初6巻セットとして2004年に初版 印刷された Oxford History of Western Music は他に類を見ない 詳細なクラシック音楽の歴史を掲載 した書籍です。 著者であるRichard Taruskin氏は 現代の音楽研究者として最も有名な 一人として知られています。素晴らし い観察や音楽分析、そして音楽のみ ならず、歴史・文化・政治・芸術・  文学・宗教と音楽を組み合わせて  パノラミックに分析した内容は「我 々の文化の理解に概念的な思想を もたらした」 (Times Literary Supplementコメント)、OUPの編集 者であるNancy Toff氏も、 「これは 非常に深い知識を得られるだけで はなく、ところどころに驚きや発見 を見つけることが出来る、非常にチ ャーミングで興味深い書籍」と評価 しています。 オンライン版は2004年の改定版 で、テキスト部分の見直しもされて おり、また2009年用にそれぞれの 巻のために新しく書かれたイントロ ダクションも含みます。また、テキス トだけではなく、多くの画像や楽曲 のサンプルも含み、全69章の参考 文献リストや著者Taruskinのオリジ ナルコメントもあります。 更に、オンライン版の特徴とし て、Oxford Music Onlineを契約して いる読者には、Grove Music Online へのリンクも含みます。

OXFORD MEDICAL HANDBOOKS オンラインコンテンツを掲載 医学を研究する学生や医師、看護 師、医学研究者にとっては今年夏、 Oxford Medical Handbooks Online プロジェクトの第2弾の発表に伴い、 他に類を見ない膨大なメディカルハ ンドブックシリーズがオンラインにて アクセス可能となります。第2弾の発 表で、Oxford Medical Handbooks、 Oxford Handbooks in Nursing と Emergencies から新しいタイトルが リリースされます。これらのタイトル の追加によって、シリーズ最高の78 タイトルもの膨大なコレクションに アクセスが可能となります。 昨年、パイロット的に行ったオン

6

ライン出版の結果、市場のニーズが 高いことが明らかになり、特に様々 な分野のコンテンツが必要とされる ことがわかりました。このニーズに答 えたのが今回の第2弾のリリースで あり、この秋から、各図書館がそれぞ れのニーズに応じてタイトルを選ん で独自のコレクションを作ることが 出来る販売モデルを採用していま す。7月から秋の本格始動までは、 要望に応じて無料トライアルを実施 いたします。 また、コンテンツのオンライン掲 載以外にも、独自のポータルも用意 し、メディカルハンドブックが一つの

ポータルから見られるようにします。 このポータルから、メディカル系の ジャーナルや他のオンライン書籍、 そしてOxford Scholarship Onlineに もリンク設定を行います。 このプログラムへのご意見・感想、 より詳しい情報をご希望の方はメデ ィカル系マーケティング担当の Alison Bowkerまでメールをお送りく ださい。alison.bowker@oup.com より詳しい情報はこちらのメールアド レスへお問い合わせください。アメリ カ大陸以外:onlineproducts@oup. com アメリカ:oxford.reference@

oup.com

INTERVIEW | するシステムが使われていますが、 この査読システムは審査を遅らせ る、欠陥の多いシステムだという批 判もあります。これについてはどう思 われますか。 確かにこのシステムには問題もあり ますが、インパクト・ファクターのよ うに、査読はすでに十分確立された システムです。編集者がジャーナル に相応しい論文を選考するため、ま た、著者にとっては更に良い論文を 書き続けるための評価コメントを得 られるシステムとして、良いものだと 考えます。これまでに他のシステム も検討されてきましたが、現在のと ころ、査読システムを超えるものは ないようです。

INTERVIEW

学術ジャーナル 20年もの試行錯誤と 挑戦の日々 学術書籍とジャーナル部門のディレ クター、Martin Richardson氏が  今年6月、退職しました。 Richardson氏は21年間に渡ってOUP で書籍や学術ジャーナルの出版に  携わり、その間、初めてジャーナルを オンライン出版させ、新しいビジネス モデルの試みやジャーナルの流通  開拓など様々なことに挑戦し続けて きました。 以下はRichardson氏が、OUP所 属20年のうち、主に携わってきた学 術ジャーナル出版の経験、印刷物か らデジタルへの移行やオープンアク セスについて、出版の新技術、そして 図書館の将来についてIllumineaに 語ったインタビュー内容を掲載して います。 OUPがオンライン化をスタートした のは90年代の初期のことです。冊子 体印刷出版からデジタル出版に移行 した当時はいかがでしたか。 私は非常に恵まれており、時代が大 きく変動する、まさにそのときにOUP で働いていました。インターネットの 普及によって、500年間続いた我々、 印刷・出版業界に、デジタル出版社と しての新たなチャンスが与えられたの です。始めのころは色々な間違いも おかしました。出版のプロセスも最初 から見直さないといけませんでした。 最初は問題の大部分が技術的なこと でしたが、それ以外にも多くのスキル を学びなおさなければならず、それは 出版プロセス自体にも反映されまし た。現在では、240以上もの多岐に渡 る分野のオンラインジャーナルが出 版されています。 貴方は常にジャーナルの流通という 点でも試行錯誤されていたと思いま す。2005年にスタートしたオープン アクセスという、著者が出版費用を 負担することで論文をネット上で無

料公開するモデル「オックスフォー ド・オープン」についてお話いただけ ますか。 オンライン出版は、従来では考えら れなかった、世界へジャーナルを流 通させる上で全く新しいビジネスモ デルの可能性を提示してくれました。 オープンアクセスはその一つのモデ ルにすぎません。我々は、それまで、 読者が対価を支払って論文を読むと いう購読システムをとっていたジャー ナルを、全オープンアクセスという形 態で世に提供した最初の出版社の一 つです。それだけではなく、90以上 のタイトルで、著者にオープンアクセ スを選択できるオプショ���を提示し ました。このオープンアクセスモデル が、比較的裕福なスポンサーがつい ている自然科学系のジャーナル以外 でも有効な、汎用性の高いビジネス モデルとなるかどうか、まだ結果は出 ていません。 では、ジャーナルの平均的な論文の 被引用回数を用いて、その品質を図 るとされている指標、インパクト・  ファクターについてはどのように思わ れますか。他に品質を見定める有効 な指標はあると思いますか。 インパクト・ファクターはジャーナル の品質を図るために開発され、定評 を得ている一つの指標です。その方 法には色々と問題もあるとされてい ますが、これまで代わりとなる指標 が出てきていないのも事実です。  利用回数をベースとした指標(利用 ファクター)であれば、多岐に渡る分 野を同時に評価する、インパクト・ ファクターを補助する指標になりう るかもしれません。その他にも様々 な指標が現在、検討されています。 OUPジャーナルは査読(ピア・レビュ ー)という、投稿された論文をその 分野のエキスパートが匿名で審査を

学術研究論文の出版にとって、携帯 からのネットアクセスなど、新しい技 術はどのような影響があると思われ ますか。 これからの10年、新技術はますます 論文の流通・浸透にとってインパクト を与えるものと思われます。どの技 術が出版ビジネスに大きな影響を与 えるか、それを予測するのは難しい ですが、ユビキタス技術を持つ携帯 ビジネスが論文の流通に大きな影 響を持っても不思議ではないと思い ます。

インターネットは 500年以上の間 冊子体印刷を続 けてきた我々に、 デジタル出版社 として新たにスタ ートする大きな チャンスを与えて くれた

学術図書館は今後、どうなるでしょ うか。今後、更にデジタル化が進む うえで、出版社、特に大学出版は  どのように図書館と協力し、明るい 将来を築いていくことが出来るでし ょうか。 出版社がデジタル化に対応しようと しているように、また、図書館も新し い時代の彼らの役割、デジタル情報 のプロバイダとしての役割を受け入 れなければなりません。最近USで 行われたIthakaによるアンケート調 査によると、図書館の、 「資料の門 番」としての役割は徐々に薄れてお り、それ以上に「資料の購入者」とし ての役割が強くなってきているよう です。我々大学出版は、研究論文を 選ばれた少数の読者だけではなく、 広く多くの人に読んでもらえるように 努力してきました。また、アドバイザ リー・グループという活動を通して、 図書館と図書館員の変化するニーズ に対応できるようにしています。

7

| FEATURE と回答した43%は出版社に頼ると回 答していて、また、情報保存のプログ ラムに参加しない理由として41%は 費用の問題と答えています。

OUPの情報保存取り組みと 図書館の情報保存への 意識についての調査結果

デジタル情報 その保存の 目的と今後の対応 Colin Meddings、 シニアライブラリマーケティングマネージャ、OUP

よって我々自身がデジタル情報保存 について見直すことから始まったプ ロジェクトですが、OUPの社内の取 り組み方やその戦略を考え直すに当 たって浮かび上がった疑問が「そも そも我々のデジタル情報保存戦略 は、顧客である図書館のニーズや  期待に沿うものであるだろうか」と いうことです。 図書館のニーズや期待をより詳しく 知るため、我々はALPSPレポートを 再度読み返し、現在のデジタル情報 保存についての意見をまとめるため 今回のアンケート調査を企画した次 第です。

年前半、OUPでは、デジタ ル情報保存についての  ウェブアンケート調査を 行い、475名分の回答を得ることが 出来ました。回答者の国籍は主に  北アメリカ及び欧州が多かったもの の、世界各地から回答をも得ること が出来ました。図書館の種類では、 大部分が大学図書館、一部、医学・ 薬学図書館、企業図書館、政府図 書館からの回答もありました。  オックスフォード・ジャーナルでは 以前よりKoninklijke Bibliotheek、 Portico、LOCKSS、などとの契約に よってデジタル情報保存に取り組ん できました。これは2008年に Association of Learned and Society Publishers (ALPSP)から出版された デジタル情報保存戦略レポートに

8

 アンケートの結果、回答者の85% がデジタル情報保存の問題は図書 館にとって「とても重要」もしくは  「重要」と認識していることがわか りました。これはALPSPが行ったア ンケートの結果の91%という数値と 非常に良く似た回答傾向と思われま す。なお「デジタル情報の長期保存 に関して何か手立てを検討している か」については、46%と半分以下が 何も手段を検討していないことが明 らかになりました。ただし、アンケー ト結果内容をさらに詳しく分析する と、デジタル情報保存がどういうこ とか、またどのような手段が保存と いえるのか、図書館によっては理解 が曖昧であることもわかりました。

誰がデジタル情報保存の 責任者となるべきだと  考えますか? このアンケート調査では、長期デ ジタル情報保存の意味を「アカデミ ックな文献・情報を、将来の学者・ 研究者や学生がアクセスできるよう に保存することを目的とする」に限っ ており、購読キャンセル後のアクセ スについての問題は省いたつもりで したが、回答を読むと質問の意図が 上手く伝わらなかったように思われ ます。これは通常、デジタル情報保 存の問題を検討するとき、この、購 読キャンセル後のアクセスの問題も 含むからだと思われます。 質問の意図が十分に伝わらなか ったことによる回答の分析の難しさ もありましたが、それでもアンケート によって明らかになったこともいくつ かありました。例えば、オックスフォ ード・ジャーナルが取り組んできた これまでの情報保存については、 図書館も賛同していることがわかり ました。特にPortico(44%)、そして LOCKSS(35%)、CLOCKSS(13%) の取り組みは評価されていることが わかりました。我々にとって予想外 だったのは、図書館がそれぞれ独自 のサーバにデータをダウンロードし ているケースが非常に多くみられた ことです(44%)。うち、特にPortico などのプログラムに参加していない

長期情報保存について誰が責任 を負うべきか、については、図書館と 出版社が協力し合うことが望ましい との回答が多く、またその場合は 国会図書館がより大きな役割を担う べきと考えていることも明らかになり ました。さらに、このアンケート調査 では誰がデジタル情報保存のため の費用を負担すべきかという難しい 質問も問いかけてみましたが、これ についても図書館と出版社の協力に よって行うべきとの回答が最も多く 見られました。 アンケート調査の結果分析を終え て、我々は、これまでのOUPの戦略 を変えるべきではなく、むしろ、状況 が不透明である以上、現在は引き続 きこれまで通りの戦略を続行するこ とが良いという結果にたどりつきま した。OUPの現在の取り組みは、  図書館もサポートしている戦略であ るということが明らかになったので す。そして、調査を行うことで我々 は、デジタル情報保存についてはこ れまで以上の知識が必要であり、 図書館やその先の学者・研究者にも この問題をより理解してもらうため に自ら活動しなければならないこ と、解決策を見出すにはより注意  深く、より深く検討しなければならな いことがわかりました。このアンケー トの結果は今後の活動に重要なディ スカッションの材料として、 UKSG、NASIGにて報告を行いまし た。年内には報告書のウェブ掲載を 予定しています。

85% の回答者は、 デジタル情報保存の 問題が図書館にとって 「とても重要」 もしくは 「重要」 と考えている

INSIGHT | Nicola Wright、情報サービスマネージャ、London School of Economics and Political Science(ロンドンLSE大学)

来の学術図書館プロジ ェクトに関わる図書館 そして図書館員達は、教 えること、学ぶこと、研究すること が将来どのように変化しているか 想像し、そしてこれらの新しい環境 が図書館や所属機関にどのような 影響をもたらすのかを考える、とい うことに挑戦・取り組んでいます。 図書館は常に3年~5年というスパ ンで将来の計画を立てることに慣 れていますが、このプロジェクトは さらにずっと先の2050年までを見 据えて考える良いチャンスを与えて くれます。 このプロジェクトはBritish Library, JISC, Research Information Network, Research Libraries UK, and SCONULの協力 によって成り立っていて、 Curtis+Cartwright Consulting Ltd(SAMI Consultingとの共同で) は2010~2011年にシリーズでワー クショップを開き、高等教育に携わ る幅広い関係者からアイディアを 収集しています。このワークショッ プシリーズのうちいくつかはすでに 今年の2月と3月に行われ、私も参

加しましたが、この我々の遠い未来 を考えるワークショップは非常に興 味深いものであると同時に少し気 がかりな点もあり、とても考えさせ られました。初回のワークショップ では、将来の高等教育を考えるに あたってマクロ的でグローバルな要 因を検討しました。例えば、経済、 金融、富、グローバリゼーションや 温暖化が与える影響についても検 討しました。小グループに分かれた ディスカッションで目立ったのは  楽観的な見方と悲観的な見方をす る人に分かれたことです。2回目の ワークショップではより具体的な内 容に移り、実際に考えられるシナリ オにそって検討しました。 ワークショップで特にポイントとな った質問は: • 高等教育の価値観は自由、  もしくは固定されたもの? • 重視するのは生徒の数(量)、 もしくは質? • 高等教育をリードするのは 国、もしくは市場? この質問の答えをそれぞれ組み 合わせることによって、いくつかの シナリオを検討しました。結局シナ リオは6つあがり、これを小グルー プで検討しました。そのうちの一つ が 「ユーティリティモデル」です。 多様な価値観、国の費用負担、生 徒数重視、という設定だと高等教 育は将来どのようになっているのだ ろうか。どうやって最終的このモデ ルに到達し、このモデルの環境の

未来の 図書館プロジェクト:

コップの水は

まだ半分もある

私は楽観主義者で、 コップの水はまだ半分もある、 と 考えています。人間は社会的・組織的な生き物で、  それは今後も変わらないと思うから。 中で学んだり研究したり、仕事をす るということはどういうことであろ うか。国ではなくて市場がリードす るニッチモデルで自由な価値観を もち、量より質を重視した場合は違 う結果になるだろうか。 これから夏にかけて、更にいくつ かのワークショップが開催される予 定で、そこではこれらのシナリオを より具体的に検討していく予定で す。 私は、この非常に自由でクリエイ ティブで、考えられないほど遠い未 来について考える発想にとても感 銘をうけました。近い将来について はある程度予想をすることが可能 で、的確さを求められたりもします が、途方もない将来のことについて 考えることは当たる予想をしなけれ ばならないというプレッシャーがな く、自信をもって自由に想像するこ とができました。

私は楽観主義者です  シナリオによっては図書館や図 書館員にとってはあまり明るくない 未来を想像せざるを得ません。退 廃していくシステムや機関の真った だ中にいることも想像できますし、 我々がいる図書館・機関の規模も

非常に小さくなって巨大な中央政 権的な教育機関のほんの一部に縮 小していることも考えられます。情 報テクノロジーの発達によって、中 央から教え・学ぶのに必要なシステ ムが非常に画一的に配信されるこ ともあるかもしれません。これによ って、それぞれの図書館の特性が消 されてしまうおそれもあります。物 理的に図書館、という場所を提供 することも必要なくなるかしれませ ん。技術の更なる発展によって、図 書館員が培ってきた資料や教材を 収集したり、整理したり、教授や学 生が様々な資料を使いこなすため の知識も価値がなくなるかもしれ ません。 ただ、私は事態を非常に楽観的 に考えていて、今回のことも「コップ の水はまだ半分もある」というくら いに考えています。人間は社会的・ 組織的な生き物であり、そのこと自 体は今後も変わらないと考えてい るからです。 我々は他の人間と関わっていた いし、そういう場所-考えたり、話 し合ったり、討論したり、一緒に楽 しむことが出来る場所、というのが 必要だと思っています。だから図書 館員は、そのニーズに答えるため に、更にユーザの考えをくみ取り、 彼らが必要とするサービスを必要と されるときに提供する、それもユー ザ個人個人に合わせたサービスを 提供することが求められるのだと 思います。将来は、更に情報の生産 も消費も激しくなり、それを整理す る術も必要とされると思います。た だし、今までとはおそらく違う方法 や違うツールを使うことになると思 われます。よって、情報を検索す る、評価する、それらを学び・教 え・研究に使うことはこれまで以上 に重要になり、それが出来ることが 今後の図書館員に求められること だと考えています。 このプロジェクトに関する より詳細な情報はこちらから: http://www.futurelibraries.info/

9

| DIRECTORY

学会・会議

当出版局が2010年7月~10月前半に参加出席する主要な学会・会議一覧です。 一覧に掲載されている学会・会議に出席される場合は、ぜひ当局ブースにお越しください。 なお、当日詳細な打ち合わせをご希望の場合、学会・会議出席���当者まで事前にメールにてお申し込みください。 アフリカ

オーストラリア

BIS 9月1~4日 ローザンヌ(スイス)

10th Southern African Online Information Meeting

IMPACT NSW

8月4~5日 プレトリア、南アフリカ

担当:Marika Whitfield、オンライン部門 marika.whitfield@oup.com

担当:Graham Grant、オンライン部門 graham.grant@oup.com アジア

7月13~16日 オルバリー、NSW

ODOK ALIA

9月21~24日 レオーベン(オーストリア)

9月1~3日 ブリスベン

担当:Katharina Baier、オンライン部門 katharina.baier@oup.com 担当:Wolfgang Steinmetz、ジャーナル部門 wolfgang.steinmetz@oxfordjournals.org

担当:Marika Whitfield、オンライン部門 marika.whitfield@oup.com

Academic Solution Seminar 7月2日 東京(日本)

担当:Kazunori Oike、ジャーナル部門 kazunori.oike@oxfordjournals.org 2010 International Caring Seminar

Australian Law Libraries Association Conference

Frankfurt Book Fair

9月29日~10月1日 メルボルン

10月6~10日 フランクフルト(ドイツ)

担当:Marika Whitfield、オンライン部門 marika.whitfield@oup.com

担当:Wolfgang Steinmetz、ジャーナル部門 wolfgang.steinmetz@oxfordjournals.org 担当:Katharina Baier、オンライン部門 katharina.baier@oup.com

7月15~16日 台北(台湾)

担当:Liu Liping、ジャーナル部門 liu.liping@oxfordjournals.org

欧州

BIBF 2010

The 2010 CILIP Health Libraries Group Conference

8月30日~9月3日 北京(中国)

担当:Liu Liping、ジャーナル部門 liu.liping@oxfordjournals.org

担当:Katharina Baier、オンライン部門 katharina.baier@oup.com 担当:Wolfgang Steinmetz、ジャーナル部門 wolfgang.steinmetz@oxfordjournals.org

北アメリカ

7月19~20日 マンチェスター(英国)

American Association of Law Libraries 7月10~13日 デンバー、コロラド

9月2~3日 台北(台湾)

担当:Mary Robson、オンライン部門 mary.robson@oup.com 担当:Hannah Dernie、ジャーナル部門 hannah.dernie@oxfordjournals.org

担当:Ivy Yu、ジャーナル部門 ivy.yu@oxfordjournals.org

EIFL General Assembly

LARMLC 2010

8月6~8日 ルンド(スウェーデン)

PULC Publishers day 9月15日 大阪(日本) 9月17日 東京(日本)

担当:Kazunori Oike、ジャーナル部門 kazunori.oike@oxfordjournals.org

担当:Adina Teusan、オンライン部門 adina.teusan@oup.com 担当:Wolfgang Steinmetz、ジャーナル部門 wolfgang.steinmetz@oxfordjournals.org IFLA

JMLA/JPLA Publishers day

8月10~15日 ゴテンバーグ(スウェーデン)

9月

担当:Adina Teusan、オンライン部門 adina.teusan@oup.com 担当:Matthew Howells、ジャーナル部門 matthew.howells@oxfordjournals.org

東京・大阪(日本)

担当:Kazunori Oike、ジャーナル部門 kazunori.oike@oxfordjournals.org

担当:Chloe Hennin、ジャーナル部門 chloe.hennin@oxfordjournals.org 担当:Alexandra Mele、書籍&雑誌・法部門 alexandra.mele@oup.com Illinois Library Association 9月29~30日 シカゴ、イリノイ

担当:Nancy Roy, 学術&レファレンス  ライブラリーセールス部門 nancy.roy@oup.com 担当:Belinda Hayes、ジャーナル部門 belinda.hayes@oxfordjournals.org Mid-Atlantic Chapter of the Medical Library Association Conference 10月13~15日 チャペル・ヒル、ノースカロライナ

担当:Chloe Hennin、ジャーナル部門 chloe.hennin@oxfordjournals.org

打ち合わせの予約、その他のお問い合わせは学会・会議出席担当者までメールにてご連絡ください。

10

DIRECTORY |

オックスフォード大学出版局の 主要連絡先 オックスフォード大学出版局の、出版物・サービスに関するご質問や お問い合わせは下記連絡先へメールまたはお電話にてご連絡ください。

ジャーナル連絡先 OUPは、図書館(単独または複数施設)やコンソ ーシアムがパッケージ(オックスフォードジャーナ ルコレクション)として、または図書館利用者の ニーズに合わせて選択的にカスタマイズしてご 利用いただける、220 誌以上の学術ジャーナル を出版しています。過去にさかのぼるバックファ イルも、Oxford Journals Archiveからご利用い ただけます。

販売 製品情報、無料体験版のリクエストおよび見積 は、library.sales@oxfordjournals.orgまでメー ルをお送りください。販売担当者に個別に連絡 するには、www.oxfordjournals.org/for_librarians/quote.html サイトよりご連絡ください。

マーケティング

その他の地域 コンソーシアムのお客様 jnls.consortia@oxfordjournals.org +44 (0)1865 354949 コンソーシアム以外のお客様 jnls.cust.serv@oxfordjournals.org +44 (0)1865 353907

オンラインプロダクツ 連絡先 オックスフォード大学出版局では、多くのオンラ インプロダクツを提供しています。当局の評価 の高いものには、Oxford English Dictionary、Oxford Dictionary of National Biography、Oxford Reference Onlineおよび Oxford Scholarship Online などがあります。

販売

図書館利用者への販促に関する宣伝用資料  およびお問い合わせは、library.marketing@ oxfordjournals.org までメールでお問い合せく ださい。

製品情報、体験版のリクエスト、および見積は、 メールで営業チームへお問い合わせください。

カスタマーサービス

全世界(アメリカ大陸以外) onlineproducts@oup.com +44 (0) 1865 353705

オンラインアクセスや印刷物についてのお問い 合わせ、技術的なサポート、また、支払・請求書 についてのお問い合わせを含む、カスタマーサ ービス宛てのお問い合わせは、当出版局のサポ ートチームにご連絡ください。 アメリカ大陸 jnlorders@oxfordjournals.org +1 800 852 7323 (米国・カナダからのフリーダイヤル番号) 日本・韓国 custserv.jp@oxfordjournals.org +81 3 5444 5858

アメリカ大陸 library.sales@oup.com +1 800 624 0153

マーケティング 図書館利用者への販促に関する宣伝用資料  およびお問い合わせは、 下記メールアドレスへ  お問い合せください。 全世界(アメリカ大陸以外) onlinemarketing@oup.com アメリカ大陸 oxford.reference@oup.com

オンラインサポート

オンラインアクセスへのお問い合わせ、技術的 なサポート、また、支払・請求書についてのカス タマーサービスへのお問い合わせは、 下記メー ルアドレスへお問い合わせください。 全世界(アメリカ大陸以外) onlinesubscriptions@oup.com +44 (0) 1865 353705 アメリカ大陸 oxfordonline@oup.com +1 800 334 4249 (ext 6484)

トレーニング オンライン製品のご利用方法に関するトレーニ ングのご希望は、オンライン製品スペシャリスト にお問い合わせください。 全世界(アメリカ大陸以外) Mark Turner mark.turner@oup.com アメリカ大陸 Taylor Stang online.training@oup.com

11

| INSIGHT

セマンティックウェブは 変革をもたらすか? Richard Wallis氏、独創的な企業として知られるTalis社のリーダー

書館は、図書館として存 在を始めたときからテク ノロジーの最先端に位置 し、それを利用してきました。印刷さ れた冊子体と紙のカード目録作りか ら、コンピュータの導入など、図書館 はより良いサービス提供のために新 しい技術を取り入れてきました。 古くは巻物の資料の隅につけられ た分類用の札(タグ)から、今日、 図書館マネジメントシステムとして 使われているMarcレコードまで、技 術の大半は、いかに図書館が保有す る図書や情報の膨大なメタデータ を整理し保存するかに使われてきま した。出版業界でも、プレス機械の 時代以降、似たような技術の進化を 遂げてきました。結局、基本的に は、新し技術はほとんど、製品の製 作とその流通や保存管理、という 目的に使用されてきました。今では 物理的な製品がより、電子上だけの 製品・サービスにとって代わってい るだけです。よって、図書の管理用 メタデータとそのメタデータの品質 については、出版物を製作し流通 させる出版社にとっても、それを 保存管理する図書館にも、両方に 通ずる問題なのです。

12

当初は、図書メタデータは図書館 員がユーザのために図書を探す目的 として主に使われていました。最近 では、ユーザが直接、メタデータを 駆使して本や資料にアクセスできる ようになってきています。電子目録 の導入は図書をユーザに直接届ける 効率的な手段として大きな役割を  果たしました。ユーザが自分で検索 することができるこのセルフサービ ス的なシステムを導入したことによ って、図書館員は、従来の木製の  カタログ棚と紙の目録カードを使用 していたころよりも、そして実際にユ ーザに対面応対するよりも、より  多くのユーザを効率的にサポート  できるようになったのです。 ところが、出版社ではこのような 変化は今のところ見られません。  電子システムを導入してからも、  図書館のような爆発的なユーザが 直接アクセスをしてくるようなことも なく、未だにアクセスは個人よりも 機関からが多いというのが現状で す。出版社のウェブサイトは、個人  ユーザが情報を簡単に引き出せる場 というよりも、出版社が自らの製品 やサービスを潜在ユーザにPRする 場となっているようです。 どのように図書の情報を記 載するか、出版社の図書情報 の何をどう整理して目録に記 載するか、については以前か ら図書館員にとって非常に  時間がかかり、経験とスキル を要する仕事でした。決まっ た型を使ったカード目録の  導入でそれはかなり単純な  作業となり、1901年に情報の 共有化と図書資源の削減のた めにアメリカ議会図書館が始 めた、図書情報を予めカード に印刷するというシステムは 多いに作業効率化に役立ちま した。1960年代には、コンピ ュータの登場によって、図書 館はオンラインコンピュータ ライブラリセンター(OCLC)や Birmingham Libraries Cooperative Mechanisation

Project(BLCMP、Talis社の前社)と いう情報整理・カタログ作成を専門 に行う組織と協力することで、更に 作業を効率化することに、成功しま した。 なお、現在においてもOCLCや BLCMPの組織は、メタデータ 作成 作業の効率化に貢献しています。 このように新しいテクノロジーに よって図書メタデータに関わる作業 の様子は以前とだいぶ変わってきま した。しかし、結局、作業方法が変 わっただけで、メタデータを個々の 図書館が作成する、という作業自体 は何も変わっていないのです。メタ データの作成自体は出版社や他の 機関にて行われて、図書館員の作業 の効率化はされいるかもしれません が、昔のように、図書館員が巻物の 隅に札をつけたときと同じことを新 しいテクノロジーを使って行ってい るだけなのです。 ところが、ついに、この延々と続い てきた作業そのものを根本的に変え る、パラダイムシフト的なテクノロジ ーが出現したのです。

Linked Data 新展開に向けて Sir Tim Berners-Lee提唱の Linked Dataは、個々の単語データ に意味のあるタグをつけて、コンピ ュータが自動的に情報を収集、解釈 及び分析を行うことを可能としまし た。これによってインターネットを  単にデータの集合体から、知識デー タベースへ変えるというセマンティッ クウェブという構想が、従来の図書 館のカタログ作成という作業を根本 的に変えることになると考えていま す。 Linked Dataの世界では、どの 単語、例えば著者名、分野、メディア のフォーマットの種類、出版社や 他、個人がつけた様々な単語のタグ が意味のある情報の要素となりま す。このような考え方の元では、現在 まで図書を検索するための単語を 含んだカタログ目録は、著者という 情報にたどりつくため、または調べ

Linked Data と セマンティックウェブ セマンティックウェブはSir Tim Berners-Leeによって2001年に 初めて提唱されました。 セマ ンティックウェブは、 単独のデ ータに意味付けをして互いに リンクすることで、 単なるデー タベースを一つの巨大な知識 のネットワークを作り上げる という構想です。 Linked Data はこのセマンティックウェブを 構築するためのツールの一つ です。 まだ初期段階にはあり ますが、 メタデータがリンクさ れた、 政府、 メディアや組織な どの膨大なデータが、 ウェブ 公開されています。

たいある分野という情報にたどりつ くための情報リンクを集めて掲載し たリンクの集合体、ということになり ます。セマンティックウェブはネット上 に構築されているゆえに情報はすべ てグローバルに共有することが可能 です。この、 セマンティックウェブのグ ローバルな性質が、図書館及び出版 社の今後を変える鍵となるのです。 図書の情報リンクがグローバルに 共有されると、個々の図書館で情報 を持つ必要がなくなります。つまり、 図書情報は今後、個々の図書館で持 つものではなく、全世界で共有する ものに変わっていくことになるでしょ う。同様に、出版社の図書メタデータ がリンクされるようになってくると、 データの正確さという品質を問う必 要性は消え、各図書館が行っていた カタログ作業というものも不要と なります。 もちろん、経験やスキルを持つカ タログ担当者は今後も必要とされ続 けるでしょうが、必要とされる数は激 減するでしょうし、国会図書館などの 中心的な図書館や組織に数名いれば こと足りるという状況になるかもしれ ません。このような変化は一夜にして 起こるものではなく、更に、今後数年 のうちに起る可能性も少ないと思わ れます。ただし、10年後ではどうでし ょう。10年後には、情報のとらえ方や 扱い方がこれまでと全く異なってい るかもしれないですね。


Illuminea July 2010 Japanese