Outdoor Japan TRAVELER - Issue 44 - Summer 2012

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Island Beat

Japan Islands–Micronesia

パキン環礁はポンペイ島の堡礁の南西端の先にあり、

た。ダイバー達がここに来る理由は、潮の変わり目に、 バショ

リーフパスがないためダイビングは外洋に面したリーフです

ウカジキ、ブルーマーリン、エイ類、キハダマグロなど、数え

ることになる。リーフエッジに沿ってシュノ-ケリングをした

きれないほどの生物に出会えるからである。サメ類は、巨大

が、30mを超える透明度があり、真下にはバラクーダの群れ

なヨゴレザメを初め、ツマジロやオグロメジロザメが見られる。

が回遊していた。

また耳を澄ませばイルカの鳴き声が聞こえることも。ここで

アンツのビーチは手付かずだがアクセスは難しくない。誰

のダイブは時間帯によっては潮の流れが速い時もあるので

も住んでおらず海岸は砂浜だ。深いジャングルがあり、海

(潮位表は要チェック) 、ある程度のドリフト・ダイビングの

鳥やフルーツコウモリが頭上を飛び回る。夕方にはグンカン ドリが陸からの上昇気流に乗りながら島を旋回する。 アンツの有名なリーフパスは多くのダイバーを魅了してき

経験が必要である。 いずれの環礁も、辿り着くには外洋を横断する必要があ るので、穏やかな夏の時期がおすすめだ。ポンペイ島から 離れた手付かずの環礁や島々に潜るなんてそうそう出来るこ とではないし、独特の海の世界に浸れることをお約束する。

パリキール・パス ポンペイ島に来た際はパリキール・パスでのダイブも外し てほしくない。上げ潮時には100匹以上のオグロメジロザメ の群れを見ることができたり、巨大なハタも目撃されており、 トビエイの大群もパスの入口を度々訪れる。 またこのパスは世間にあまり知られていないサーフスポッ トだったが、最近は波が上がると多くのハードコア・サー ファーがやってくるようになった。パリキールと港のパスは両 方ともワールドクラスなサーフスポットで、北半球の冬シーズ ンには多くのサーファーが訪れる。

島内の観光 島は濃い緑で覆われている。私は島の西海岸、コロニ ア、港とパリキール・パスを見下ろせるソケースリッジの頂 上まで登ることにした。かつて、この頂上に辿り着くのは困 難だったが、FSMテレコムが携帯用電波塔を設置したおか げで今は尾根に向かう旧道路を利用することが可能だ。 ソケース村の裏を通る旧道路のふもとに車を停め、そこ から尾根の頂までは小休止と水の補給を繰り返しつつ、少 し急な坂道を登るだけである。一緒に登ろうとする友人達 の誘いを断り、私はアジサシが巣に近寄るなと警戒する鳴 き声を聞きながら、一人静かに登ることにした。また、途中、 道路のぬかるみに野生の鹿の足跡もみつけた。 頂上に辿り着くと、そよ風と伴に魅惑的な景色が待ち受 ける。この場所からは、島内で最も印象的なランドマークで あるソケース・ロックの背面と全てのリーフパスが見渡せる。 数隻のボートが釣りかダイビングのため外洋に向かい、また サーファーがジェットスキーでサーフポイントに向かっていた。 降りる途中、旧日本軍の砲台跡地があるのに気付き先 に進むと、広大な跡地が綺麗に整備され花も植えられてい た。古くなった掩蔽号や廃屋を探検することができ、また大 きな砲床も近くにある。 町には戦争車両のコレクションもある。工具店の裏、芝 生の広場には、第二次世界大戦時のトラックや重機が放 置されており、またその隣には旧日本軍の戦車コレクション が恐らく世界のどこよりも多く並んでいる。大半の戦車は原 型を保っており、キャタピラや砲塔も着いたままである。また ここだけでなく、近くのジャングルにも残っているとのこと。 あるポンペイ市民は一台の戦車を修理して、時々自分の工 事敷地内で乗り回しているそうだ。 ポンペイ島の人々は2世紀以上に渡り、 ドイツ人、スペイ ン人、日本人や米国人の統治下にあった。統治時の名残 は、スペイン砦跡、野球場、教会やその他の残骸に見るこ とができる。しかし今日、コロニアは賑やかな町に変貌し、 島の美しい自然は冒険心にあふれた旅行者達を待ち受け ている。✤ SUMMER

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