OECD Observer Japan 50th Anniversary Special Edition (in Japanese)

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日本の建築はどこに向かうのか ルーリー.オブライアン 建築家*

日本の発展と影響力は、長く、建築に 長期にわたって。その影響力は今後も 継続していくだろう 世界の建築は過去50年の間に劇的な変 化を遂げた。20世紀を通じて多く見ら れた支配的な建築学派、投資家に成功 を約束できる建築様式、建築運動を主 導する単一のビジョン、時代精神を総 括できる建物などは、もはや存在しな い。建築の世界の21世紀は、単なる美 の追求ではなく、エコロジカル.フッ トプリントとサステナビリティを重視 することから始まった。 日本の建築は、この変化を反映してい るだけでなく、多くの意味で私たちの ために道を切り開いている。建築はそ の土地の風土と危険な環境に対応し うるものでなければならないこと、 32

また、伝統文化を生活者のニーズを満 たす形で現代建築のなかに表現しなけ ればならないことを日本は理解してい る。気候変動の問題を世界に知らしめ た1997年の京都議定書から2011年の福 島原発事故にいたるまで、建築家はそ の代償だけでなく、過去世代による

日本は、その土地の風土と 環境に対応しなければなら ないこと、現代建築のなか に伝統文化を表現しなけれ ばならないことを理解して いる。 決定に疑問をいだきはじめた。ゲニウ ス.ロキ(土地の気風)があらためて 全体論的に見直され、その土地に適し たコンセプトに特権を与えようとして いる。毎日24時間の生活、仕事、休養 の場についての議論や開発への地元住

民の参加、そして高齢化社会と地震の 発生により、日本の建築家は、あらゆ る世代の市民に受け入れられる答えを 探すことを余儀なくされている。 建築は、常に、世界の技術の交流と 輸出入によって発展してきた。例え ば、710年から784年に日本の都であっ た奈良に、片山東熊の設計で1894年に 完成したフランス.ルネッサンス様式 の奈良国立博物館は、この「コピーア ンドペースト」という方法でなされた 世界でも卓越した建築的奇跡である。 また、辰野金吾の設計で1914年に完 成した中央停車場(現.東京駅)もあ る。東京駅は最近、著名な照明デザイ ナー面出薫の手で改装されたが、ロン ドン様式の建物にたやすく調和した。 日本人の思考方法を共有し、最も影響 力を与えた西洋人建築家とされるフ ランク.ロイド.ライトは、東京に帝国


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